最終話まで読みました。
やはり、何度読んでも怒涛の展開には舌を巻くばかりですね。ここまで物語を線密に練って動かせる人はなかなかいないと思います。罪はどこまで赦されるべきなのか、正直言ってグレーゾーンが多いですよね。警察に捕まり、法に裁かれるだけが償いにはならない。それがいいですね。
特に明日香が顕著で彼女の人生は確かに波乱万丈で同情の余地はあるのだけど、同時に自業自得でもあるように作られているのがいいですよね。
リストラ、父の暴力、母の自殺。度重なる不幸に明日香は、愛の拠り所を無理矢理でも咲夜に求めた。罪の意識を抱える彼女に、寄り添うことで心を満たそうとした。憎むべき相手「今泉」。彼を押した時、咲夜と結ばれるかもしれない未来を失った。
同時に咲夜も不貞。女の子同士とは言え、体の関係を持った。これを罪と捉えるかによっても解釈は変わってきますね。京は許したけれど、それは彼女が身を呈して庇ったからもしれない。徳を積むと同時に罪も犯しているのでプラスマイナスが働いてプラスに落ち着いたような感覚がありますね。
本来、人の行いは数字や目に見えて表せるものではありません。けれど、無理矢理可視化させたのが今回の寿命が見える、という設定なのかもしれませんね。
良い悪いで是非が問えないかもしれないけれど、己と___他者と向き合ったからこそ、得られた未来がそこにあったのかもしれませんね。

第四章まで読みました。
改めて私の作品作りに多大な影響を与えた作品だなと痛感しました。三田姉妹のトリック。超能力者の売買。身代金要求。全てが線密に練られていて、お話の精密さに脱帽せずにはいられませんでした。戦闘シーンも、頭の中で想像して読むことができましたし、暗号を使って明日香ちゃんへSOSを送るのも見事でした。ここらへんは、「咲夜」の真骨頂とも呼べるシーンばかりで、読む手に汗がにじむ思いでした。素晴らしい作品ですね。

Part26までの感想を送ります。
恋愛を絡めた話でここまで面白く書けるのはやっぱり見事だなと何度も見ても思いますね。文芸部が私の学校にはなかったので、どんな風に活動する部活なのかこういう小説を読むことでしか知り得ないのが少し悲しいところです。こうやって仲間と表現の仕方や推敲の作業を意見伝えあってやれたら、愉しそうだなと本気で思います。
文芸部設定が死なないように盗作してしまう未来先輩の話を入れてくるのは、うまいなと思ったり。恋に無自覚だった咲夜への嫉妬と、咲夜の恋心の自覚までが違和感なく感情の変化として落とし込まれていて勉強させられる思いです。