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第0章
ゲームの悪役令嬢が悪役令嬢じゃありません
しおりを挟む待って、何事?!
なんで、悪役令嬢が男の子の格好をしてるの?!
一体何が起こってるの?!
誰か教えてください!
ゲームの中で、ライザが過去に男装していたなんて話は一つも出て居ないし、そんな設定も聞いた事がない。
攻略本にもアニメにもそんな設定なかったし、一体どうなってるの?
それに、この誕生日パーティーにだってライザは来ない。
だって、ライザと出逢うのは学園に入学してからなんだから。
本当に何が起きているのだろうか?
とりあえず、考察するのは後にして、
この場を切り抜けなければと改めて有効的に微笑む。
「グリモア様、どうぞ宜しくお願い致します。」
礼式通りの優雅なお辞儀。
な、筈なのだがそれを見てライザは小さく笑みを浮かべた。何がおかしかったのかは分からないがそこでも違和感を感じる。
「あぁ、宜しく頼む。
それと、僕の事はライザとお呼びください。」
「は、、はいっ!では、僭越ながらライザ様と。」
あまりの出来事に少し言葉が詰まってしまった。
ライザ・グリモアは侯爵家だ。
そんな相手が初対面の伯爵家令嬢に名前呼びを許可する事はまず有り得ない。
身分が自分より下の相手に許可する事は婚約者でない限り基本的には、ない。
それに、本来のゲームではライザ・グリモアは女の子。
そこにもかなり、いや大いに引っ掛かる。
本当に男の子なのか、それとも男装なのか…
ライザは私の言葉に嬉しそうに微笑むと父親のグリモア侯爵の方に顔を向けた。
「お父様、アリス嬢と少しお話がしたいのですか一緒に庭を歩いてきてはダメですか?」
「然し、まだ挨拶周りも残っているだろう?なぁ、アーノルド。」
ふむ、と髭を触りながらナイスミドルなグリモア侯爵はアーノルドに目を向ける。その瞳はすまないね、と言っている様だったがアーノルドは優しげな笑みを浮かべて穏やかな口調で返した。
「構いませんよ。
今日の主役はアリスですから、アリスの好きなようにしなさい。
後は私が説明をしておくから、話が終わったら私の所に戻っておいで?いいね。」
とりあえず話は聞いてみたいし、
行ってみるか…
「はい、お父様。」
私は元気よく頷くとライザに向き直る。
「レイル、何かあったら困るからね。
二人を守れるようについて行ってくれるかい?」
「畏まりました。旦那様。」
一応レイルも付いてくるみたいだから、
いきなり何かされるとかは無いと思うけど。
一体何を企んでいるんだろうか?
私は表情を崩さずにライザを見るとライザは何を思ったのかニッコリと笑みを返してきた。
「では、アリス嬢。行きましょう。
お手をどうぞ。」
礼式に習って手を出され、疑惑を抱えながらもその手を取ればゆったりとした歩みで手を引かれる。その後ろを3歩ほど開けてレイルが付いてくる。
この状況に戸惑いながらライザを見上げるとライザは優しげに笑う。
「アリス嬢、急にすまない。
主役は君だと言うのに。」
私よりも5cm位身長が高いため、赤い瞳がよく見える。
だが、その瞳には悪意はあまり感じられず、ライザの対応に戸惑いつつ私も普通の口調で言葉を返す。
「いえ、構いません!
寧ろ、侯爵家のライザ様にお誘い頂いたのに断る理由はありませんわ!」
「そうか、それなら良かった。
噂には聞いていたが、君は本当に心優しい少女なんだね。」
「いえ、そんな…」
ライザってこんなに人を褒めるタイプじゃなかった。
ゲーム設定だと放漫でわがままな性格だった筈だ。
思わず、う~んと首を捻るとライザは申し訳なさそうに眉を下げた。
「もしかして、嫌だったか?」
私は慌てて首を横に振る。
初めて会ったのに、突然首を捻られたらそうなるよね!
ごめんっと思いながらも
この際だからと疑問に思っていた事を
それとなく口にした。
「あっ、嫌!そういう訳じゃなく、…その、ライザ様は女性の方だとばかり思っていたので、驚いてしまって。」
すると、ライザは納得したのか
「あぁ、そういうことか。」
と、声を洩らした。
そういう事とは??
「…実はね、僕は双子なんだ。
妹は少し病弱でね、今日は体調が思わしくなく、此方には来ていないが
顔が似ているからよく間違われるんだ。」
ライザは申し訳なさそうに応えた。
双子?!
私は悪役令嬢がこの世界に存在している者と想い、息巻いていた為思わず落胆した。
敵対するなら見返して、あわよくば仲良くなろうと思っていたのに、こんな初っ端から出鼻を挫かれるとは…
妹が居るという事は、何かしらが起こって本来の放漫な性格は矯正されたのかもしれない。
妹が同じ転生者かもしれないし、
ライザが悪役令嬢でないなら
私の知ってるゲームの物語と同じ様に進むとは限らない。
これから16歳になるまでに、どんな対応も出来るだけの準備をしておかなくちゃいけない。
「…あの、アリス嬢?」
「あっ、ご!ごめんなさいっ!
また一人で物思いに耽ってしまって…」
またやってしまった。
どうにも記憶が戻ってから意識が二つあるようで、考え事に走ってしまう。
ライザは言いにくそうに口をもご付かせてから、少し拗ねたように視線を落とし私の瞳を見ると寂しそうに笑った。
「構わないが、やはり嫌だったのか…」
ライザが余りにも寂しそうに笑うので、私は思わず両手を顔の前で振り全力で否定する。
「いえ!違いますっ!
ライザ様に妹様がいらっしゃるのを初め知ったので、お恥ずかしながらどんな方か気になってしまいました。
…その、私はあまり同じ歳の知り合いが居ないので…」
「そう、…なのか?
僕の方が身分が高いから気遣ってるのではないのか?」
ライザ自身、身分が高いだけあってそういう対応をされた事があったのだろう。
見えない犬耳が垂らして切なげに鳴く音が私には聞こえた。
あぁ~…なんて可愛いの?!
この世界のライザ可愛い!!
ゲームの時は憎たらしくヒロインを虐める古典的な人物だったけど、
コロコロと表情が変わる様は正にお利口な犬って感じがして、
私の動物愛でたい精神に火をつけた。
「違います!それに私は、ライザ様とお友達になりたいと思ってます!」
勢いのまま心のままに言うと、
ライザの表情は今までになく光り輝いた。
それを見た事で、自分が何を言ったのか理解した私はやってしまった、と瞳を泳がせる。
友達になっちゃったら、16歳までに妹と関わらなくちゃいけない事があるかもしれないじゃん。
断罪されない為の、じゅ、準備期間が…
「そうか!
僕も実は、そう思っていて…
今回庭に誘ったんだ。
僕からも友達になってほしいと言ってもいいだろうか!」
あっ、これは友達になるしかない。
どうにかして今後、妹さんには会わないようにしつつライザくんとは仲良くしておこう、と心に決めた。
そして、折角なので
この後、めちゃくちゃお互いの好きな物についてレイルも混ぜて話しました。
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・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
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