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番外編 元オランジェ子爵とトマス
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<元オランジェ子爵>
ラクロワ国にノエルを迎えに行かせた娘キーラが帰国することはなかった。
どうなったのかとやきもきしているゴーチェのもとへキーラがラクロワの王族と結婚したという知らせだけが届いた。
初めは王族という玉の輿に乗った娘に「でかした!」と諸手を挙げて喜んだ。
しかし、その手紙にはゴーチェとキーラとの縁を切る旨がしたためられていた。
王族の血縁者に平民は不要。この度の婚姻による貴殿への利益は皆無であるというようなことが、つらつらと書き連ねられていた。ラクロワには未来永劫入国禁止の上、キーラが王族に嫁いだと他言することなかれとの言葉も添えて。
漏らせば命の保証もしかねると匂わせたその手紙を怒りでぐしゃりとつぶしたゴーチェだったが、もう平民の身分の自分ではラクロワ国に抗議するどころか、自国に助力を求めることもできなかった。
子供二人を失い、妻は実家で幽閉されていると聞く。
自分の周りには誰もいなくなってしまった。
「どうしてこんなことに……ノエルを大事にしていれば……浮気などしなければ……キーラたちを窘めていれば……」
冷え切った人気のない家で一人、悔いても悔いてもうらびれた寂しい生活が変わることなく、ゴーチェは一生を孤独にすごしたという。
<トマス>
一方、ラクロワ国からの正式な抗議を受けて誘拐罪で拘束されたトマスは一貫して誘拐を否定し、愛し合っている自分の婚約者を救助しただけだと訴えた。
父親の侯爵も情状酌量を訴えたが認められなかった。
何より、ノエルが家族からの虐待・搾取による亡命をし、ラクロワの国籍と侯爵家の身分を得ているという事実は重く、トマスの拘束が解かれることはなかった。
このままアレオン侯爵家にも処分が下るというとき、突然ラクロワ国より書簡が届いた。
ある縁談を受け入れれば、トマスの罪を不問に付すというものだった。
ラクロワ国で大きな商会を経営する男爵家がメローランド国で商いの拠点を作るにあたり、娘をアレオン侯爵家に嫁がせたいという事だった。アレオン侯爵は大喜びでその縁談を受けた。
受け入れなければ降爵の上、トマスは罪人として裁かれてしまうのだ。
王命にも等しい縁談を当主のアレオン侯爵が引き受けたがトマスはその縁談をかたくなに拒否をした。
ノエルを守る者たちがトマスに望んだ処罰は、禁固や罰金、労働ではなく結婚。恐らくこの度の縁談はオハナ家の差し金。
トマスが誘拐の罪で処罰されたと知ればノエルが気に病むと、トマスへの訴えが取り下げられたのだろう。
代わりにラクロワ国の令嬢と政略結婚することがトマスに下される罰だった。
それは互いに貿易上のメリットがあり、アレオン家の繁栄にもつながることから本来断れるものではない。
それでも納得できないと駄々をこねているトマスにその男爵令嬢からの手紙が届く。
そこには、彼女がノエルと友人であり仕事上のパートナーであると書かれていた。
トマスはそのことに驚き、あれほど嫌がっていたというのにその令嬢に連絡を取って会うことにした。
ノエルのことを聞きたくて会ったのにトマスはとどめを刺されることになった。
ノエルがどれほどアランという恋人を愛しているのか、人目をはばからずいちゃいちゃしているのか。街ではバカップルと呼ばれているとか信じられない話ばかりだった。
そして子供達や困窮している者たちに手を差し伸べ、国を動かすほどのアイデアで社会に貢献し、近々国から勲章を授与される予定だという。
そんな話に胸を痛めると同時に、自分自身が情けなくなった。
不遇な環境を自分から切り開き、ノエルは新天地で輝いていた。
それに比べて自分がしたことと言えば、ノエルをだますように連れ去り、親にまで迷惑をかけただけ。
守るべき侯爵家を自分が貶め、そして今もせっかく差し伸べられた政略結婚を感情のままにはねつけている。
自分の愚かさ、甘さが恥ずかしかった。自分がこんな人間であるからノエルを幸せにもできず、失ったのも当然の結果なのだと痛感した。
トマスはよどんで周りが見えなくなっていた心に日が差し、目が覚めた気がした。
トマスは侯爵家嫡男として、男爵令嬢との縁談を受け入れた。
それでも結婚式でノエルに会って揺らいでしまった。
そんな情けない心を見透かされたように「勘違いさせるようなことはするな」と真剣な顔でいわれた言葉に胸を突かれた。
せめてノエルの信頼を再び得られるような人間になりたいという気持ちが強く湧き上がった。
「約束する」
トマスは迷いを断ち切るようにノエルに誓った。
<男爵令嬢視点>
嫁いできたクラリスはトマスが気乗りでないことは百も承知だった。
ノエルとは事業の関係で知り合い、仲良くしていた。
心清らかすぎるノエルと違ってクラリスは国や商会、自分の利益になると思えばそこそこ清濁併せ呑む度量があった。
トマスと結婚して交易の拠点を作るというのも嘘ではなかったが、実際は侯爵家の実権を握りラクロワ国の諜報機関の拠点として手に入れるがための婚姻だった。
彼女にとって必要なのはメローランド国での高位貴族という身分。トマスの気持ちがどこに向こうとも気にならない。
いずれ乗っ取るつもりなのだから、トマスや侯爵がどんな態度でも構わないと思っていた。
しかし、意外にもトマスはクラリスを気遣った。
どうやらノエルに対しての後悔が、異国からきて奮闘している妻に対して気遣わせているらしい。
あらあらまあと思いながらも、誠実な態度をとるトマスにクラリスも誠実な態度で返した。特別愛情を抱いたわけではないが、その態度は好ましく思ったのだ。
アレオン侯爵家はクラリスと結婚してからメローランド国でも有数の商会を持つこととなった。
その商会を隠れ蓑としてどんどんラクロワの諜報員が入り込み、いつしかアレオン家はラクロワ国諜報機関の隠れ蓑同然となっていたが、トマスには何も感づかせないようにしてあげた。
トマスがろくでもない人間だったら実権を完全に奪い、居場所を無くしてやるつもりで乗り込んできたが、トマスの優しさと気遣い、そしてノエルがトマスとクラリスの幸せを望んでいたこともあり、トマスには人並みの幸せな生活を提供した。
つもりだった。
「まさか、私まで本当に幸せって感じるなんてね」
クラリスは口角を上げながら、幸せにやっているとノエルに手紙を書いた。
終
ラクロワ国にノエルを迎えに行かせた娘キーラが帰国することはなかった。
どうなったのかとやきもきしているゴーチェのもとへキーラがラクロワの王族と結婚したという知らせだけが届いた。
初めは王族という玉の輿に乗った娘に「でかした!」と諸手を挙げて喜んだ。
しかし、その手紙にはゴーチェとキーラとの縁を切る旨がしたためられていた。
王族の血縁者に平民は不要。この度の婚姻による貴殿への利益は皆無であるというようなことが、つらつらと書き連ねられていた。ラクロワには未来永劫入国禁止の上、キーラが王族に嫁いだと他言することなかれとの言葉も添えて。
漏らせば命の保証もしかねると匂わせたその手紙を怒りでぐしゃりとつぶしたゴーチェだったが、もう平民の身分の自分ではラクロワ国に抗議するどころか、自国に助力を求めることもできなかった。
子供二人を失い、妻は実家で幽閉されていると聞く。
自分の周りには誰もいなくなってしまった。
「どうしてこんなことに……ノエルを大事にしていれば……浮気などしなければ……キーラたちを窘めていれば……」
冷え切った人気のない家で一人、悔いても悔いてもうらびれた寂しい生活が変わることなく、ゴーチェは一生を孤独にすごしたという。
<トマス>
一方、ラクロワ国からの正式な抗議を受けて誘拐罪で拘束されたトマスは一貫して誘拐を否定し、愛し合っている自分の婚約者を救助しただけだと訴えた。
父親の侯爵も情状酌量を訴えたが認められなかった。
何より、ノエルが家族からの虐待・搾取による亡命をし、ラクロワの国籍と侯爵家の身分を得ているという事実は重く、トマスの拘束が解かれることはなかった。
このままアレオン侯爵家にも処分が下るというとき、突然ラクロワ国より書簡が届いた。
ある縁談を受け入れれば、トマスの罪を不問に付すというものだった。
ラクロワ国で大きな商会を経営する男爵家がメローランド国で商いの拠点を作るにあたり、娘をアレオン侯爵家に嫁がせたいという事だった。アレオン侯爵は大喜びでその縁談を受けた。
受け入れなければ降爵の上、トマスは罪人として裁かれてしまうのだ。
王命にも等しい縁談を当主のアレオン侯爵が引き受けたがトマスはその縁談をかたくなに拒否をした。
ノエルを守る者たちがトマスに望んだ処罰は、禁固や罰金、労働ではなく結婚。恐らくこの度の縁談はオハナ家の差し金。
トマスが誘拐の罪で処罰されたと知ればノエルが気に病むと、トマスへの訴えが取り下げられたのだろう。
代わりにラクロワ国の令嬢と政略結婚することがトマスに下される罰だった。
それは互いに貿易上のメリットがあり、アレオン家の繁栄にもつながることから本来断れるものではない。
それでも納得できないと駄々をこねているトマスにその男爵令嬢からの手紙が届く。
そこには、彼女がノエルと友人であり仕事上のパートナーであると書かれていた。
トマスはそのことに驚き、あれほど嫌がっていたというのにその令嬢に連絡を取って会うことにした。
ノエルのことを聞きたくて会ったのにトマスはとどめを刺されることになった。
ノエルがどれほどアランという恋人を愛しているのか、人目をはばからずいちゃいちゃしているのか。街ではバカップルと呼ばれているとか信じられない話ばかりだった。
そして子供達や困窮している者たちに手を差し伸べ、国を動かすほどのアイデアで社会に貢献し、近々国から勲章を授与される予定だという。
そんな話に胸を痛めると同時に、自分自身が情けなくなった。
不遇な環境を自分から切り開き、ノエルは新天地で輝いていた。
それに比べて自分がしたことと言えば、ノエルをだますように連れ去り、親にまで迷惑をかけただけ。
守るべき侯爵家を自分が貶め、そして今もせっかく差し伸べられた政略結婚を感情のままにはねつけている。
自分の愚かさ、甘さが恥ずかしかった。自分がこんな人間であるからノエルを幸せにもできず、失ったのも当然の結果なのだと痛感した。
トマスはよどんで周りが見えなくなっていた心に日が差し、目が覚めた気がした。
トマスは侯爵家嫡男として、男爵令嬢との縁談を受け入れた。
それでも結婚式でノエルに会って揺らいでしまった。
そんな情けない心を見透かされたように「勘違いさせるようなことはするな」と真剣な顔でいわれた言葉に胸を突かれた。
せめてノエルの信頼を再び得られるような人間になりたいという気持ちが強く湧き上がった。
「約束する」
トマスは迷いを断ち切るようにノエルに誓った。
<男爵令嬢視点>
嫁いできたクラリスはトマスが気乗りでないことは百も承知だった。
ノエルとは事業の関係で知り合い、仲良くしていた。
心清らかすぎるノエルと違ってクラリスは国や商会、自分の利益になると思えばそこそこ清濁併せ呑む度量があった。
トマスと結婚して交易の拠点を作るというのも嘘ではなかったが、実際は侯爵家の実権を握りラクロワ国の諜報機関の拠点として手に入れるがための婚姻だった。
彼女にとって必要なのはメローランド国での高位貴族という身分。トマスの気持ちがどこに向こうとも気にならない。
いずれ乗っ取るつもりなのだから、トマスや侯爵がどんな態度でも構わないと思っていた。
しかし、意外にもトマスはクラリスを気遣った。
どうやらノエルに対しての後悔が、異国からきて奮闘している妻に対して気遣わせているらしい。
あらあらまあと思いながらも、誠実な態度をとるトマスにクラリスも誠実な態度で返した。特別愛情を抱いたわけではないが、その態度は好ましく思ったのだ。
アレオン侯爵家はクラリスと結婚してからメローランド国でも有数の商会を持つこととなった。
その商会を隠れ蓑としてどんどんラクロワの諜報員が入り込み、いつしかアレオン家はラクロワ国諜報機関の隠れ蓑同然となっていたが、トマスには何も感づかせないようにしてあげた。
トマスがろくでもない人間だったら実権を完全に奪い、居場所を無くしてやるつもりで乗り込んできたが、トマスの優しさと気遣い、そしてノエルがトマスとクラリスの幸せを望んでいたこともあり、トマスには人並みの幸せな生活を提供した。
つもりだった。
「まさか、私まで本当に幸せって感じるなんてね」
クラリスは口角を上げながら、幸せにやっているとノエルに手紙を書いた。
終
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