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閨2
しおりを挟むディオルド様の与える刺激が強くてなにも考えられなくなっていた。感じたことのない感覚が気持ちがいいと思うまで時間はかからず、秘所を舐められる度に体が強ばるほどの快感に、いいと言うには恥ずかしくて、ただ声を上げ、名を呼ぶことしかできなかった。
「すまん」
ディオルド様の声のあと、熱くて大きなものが私の奥へと入り、あまりの圧迫感にディオルド様の腕を掴んでいた。
「ああ!ディオ…ンン!!」
「ロシェ…ル…せまい…く…」
腰を引いたディオルド様はすぐさま突き入れ私を揺らした。
「ああ!」
奥を突かれる度に強い衝撃が体を巡り、熱い局部に視界を揺らされる。 ディオルド様の力んだ顔が近づき、口を覆われ舌が入る。呼吸も声も吸われて息苦しい。
「ぐっ…」
熱いものが私のなかへ注がれる。それが子種だと理解したとき、涙が溢れた。なぜか流れる涙に、注がれる子種に、喜びを感じた。
「ロシェル…ロシェル」
ディオルド様は嬉しそうに私を見つめ、頬を包み涙を払った。優しい仕草に胸が熱くなる。
「痛くないか?…ああ…ロシェル…泣くな…もう嫌か?やめるか?すまん…加減が…ロシェル」
こんなにも私を思いやる人がいてくれる。私のことを宝と言ったジェイデン様が頭に浮かぶ。いつか、ディオルド様もそう思ってくれる?
「痛く…ない…ディオルド…さま…私たち…繋がって…嬉しい…もっと…子種をください…あ!」
私のなかでディオルド様の局部が動いた。男性は子種を吐き出すと落ち着くものだと本に書かれていたのに…これは落ち着いて…
「ロシェル…お前が誘惑したんだぞ…終わらんぞ」
険しく睨む臙脂の瞳に下腹が力んだ。
「く…ロシェル…なんてことをする…」
なにもしていないわ…
「すごいぞ…香る…」
香る…? 恍惚とした顔をするディオルド様が腰を振り始め、私はまた揺さぶられる。
「あ!う…ディオル…ン!いい!あ!」
私たちが繋がっているところから聞こえる音に恥ずかしくなる。腰が振られる度に打ちつく音も秘所が濡れているせいで発する音も、ディオルド様の荒い呼吸も私を高ぶらせる。
「ディオ…」
揺らされながらディオルド様の顔に触れ、引き寄せ口付けが欲しいと理解してほしくて口を開けると舌をくれた。厚い舌を咥えて吸っては絡める。ディオルド様の両腕が私の体に巻きつき密着する。
「ロシェル…ロシェル」
合わさる唇から熱い声が私の名を呼ぶ。呼ばれる度に下腹が力む。
一際大きく突かれて、ディオルド様の呼吸が注がれ、熱い子種が私のなかを叩くように広がる感覚に、幸せを感じた。満たされていく体にジェイデン様の言った喜びを確かに感じた。
「あ…あ…いい…ディオルド様…気持ちい…い」
もう恥ずかしさも消えて口から出ていた。苦しいくらいに私を抱き締める力も重みも心地よくて、力が入らない腕をゆっくりと上げてディオルド様のガウンを掴む。 ディオルド様の熱くて荒い呼吸が耳をくすぐる度に声が出そうになる。
「…ディオルド様…触れたい…あなたに触れたい」
ガウンを脱いで欲しい。 私の言葉を理解したのか、ディオルド様は私に巻きつけていた腕を離し、体勢を変えないまま無言でガウンを脱ぎ捨てた。
「…これでいいか?」
私は返事になるように、たくましい体に腕を回す。
「素肌が気持ちいい」
熱くて湿った体が、合わさる胸から早鐘のように打ち付ける鼓動が心地いい。
「ディオルド様…好きです」
私の首に顔を埋めているディオルド様に告げていた。
「俺も…ロシェル…俺も好きだ」
「嬉しい」
繋がったまま離れたくなかった。でも終わったなら離れることになる。このまま眠ることはできない。
「…足は痛くないか?広げっぱなしだ」
ディオルド様の言葉に足に力を入れ、たくましい腰を引き寄せるように抱く。
「平気」
「…ロシェル…誘惑はやめろと言ったろ」
「ふふ…なにが誘惑がわかりません…ごめんなさい」
俺は匂いに狂わされ、ロシェルの乱れた姿に胸を高鳴らせ、好きと言われて浮かれた。
多幸感が頭の天辺から足先まで広がる感覚、強烈な快感に我を忘れた。 気がつけば細い足首を掴み、左右に広げて一心不乱に腰を打ち付けていた。
ロシェルの投げ出された腕も虚ろな水色も、口の端から流れる唾液も揺れる頂もまるで夢の中の光景のようだ。
「ロシェル…ロシェル」
もうロシェルは返事をくれない。俺の名を呼んでくれない。再び訪れた射精感にロシェルを抱き上げ、俺を跨ぐような体勢にし、体を丸めて汗ばむ乳房に耳をくっつけ鼓動を聞きながら突き上げる。
「ああ!」
この体勢は奥を穿ったようで、気を失っていたロシェルを目覚めさせた。
「ロシェル」
「あう!や!あ!」
ロシェルが俺の陰茎から快感を得ている。秘所から溢れる膣液は俺の秘毛を濡らし、注ぎすぎた子種と混ざり股間が濡れて突くたびに淫らな音を部屋に響かせている。それにも欲情を煽られ、俺の興奮は頂点に達している。
「ははっお前の鼓動が早鐘のようだ」
折れてしまうのではないかと思うほど細い体を俺に押しつけ、喘ぎと共に鼓動を聞く。
「ディオ……ディオルド…」
切な気な声に顔を傾けると水色の瞳から涙を流し見ていた。揺らせば雫が俺に向かい頬に落ち顎へ伝う。
「ディオルド」
いつもの落ち着いてしっとりとした声とは違い、少し高く甘えたような声音に腰が震える。俺は突き上げを止めて、ゆっくりと揺さぶる。
「もっと呼んでくれ」
「ディオ……ン!あ…いい」
「ああ…気持ちいいな…お前のなかはものすごく気持ちいいんだ…ロシェル…口の中も腹の中も」
ガガが女を抱く理由を知った。こんなにも幸せな気持ちになる。
「ディオ…あなたの…気持ちい…い…」
俺の陰茎が気持ちいいと言ってる。俺は丸めていた体を伸ばし、赤い唇に向かう。唇は待ちわびていたように少し開き、誘われるまま合わせる。
「ふ…ん…ディ…」
「はは…ロシェル…離れられんな」
何度出しただろうか。燭台の蝋燭が燃え尽き、残っているのは寝台近くの灯りだけになっていた。それだけ俺はロシェルの中にいる。抜きたくなくて入れたままだ。
「無理だ…こんなものを知ってしまった…俺はもう…手放せん…一日を…ここで過ごしたい」
「ん…」
頬を染めたロシェルが口付けしながら頷いた。
「上手に…」
「はは…ああ…上手だ」
気にしていたのか。
「上手だから離せん…お前のせいだな?」
「…嬉しい」
嬉しいか。そう思うか。
「ははっ…今夜は眠れんな」
俺にこれだけの幸せを与えてくれるロシェル。下階で過ごしていた夜は、酒と悪夢と気だるさが俺の常だった。今はどうだ?悪夢は離れ、酒を飲まんでも眠れ、深い眠りは短くても体を回復させ、初めて味わう快楽に浸っている。
「ああ…これが幸せか…お前は俺の幸せか」
ロシェルの口は離れていた。水色の瞳も閉ざされ、支える体は力を失くしていた。また意識を失ったお前のことを俺は気遣いを忘れ揺さぶる。 高ぶる射精感に陰茎をロシェルに押し込み、最奥で吐き出す。意識を失っているくせに腟内は収縮し痙攣する。女が絶頂を迎えたときに起こる変化を陰茎から感じ頬が緩む。
「…どんな顔だろうな…誰にも見せられんな」
それほど俺の顔は緩んでいるだろう。笑っているのかもしれん。
盲目と言われたが、まさにその通りだ。ロシェルを害する奴らは問答無用で殺し回れる気分だ。公爵位だろうが、国を支える男であろうが、無抵抗の女であろうが笑って殺せる。
「はは!……愛とは怖いな…ロシェル…これが愛だろ?」
ロシェルの顔を掴み、口を合わせる。流れる唾液を何度も飲み込み、満足するまで続けた。
「くく…変態だろ」
完全に変態になったぞ。 ゆっくりとロシェルを寝台に寝かせ、そのまま覆う。陰茎はやっと力を失くしたがロシェルの匂いは部屋に充満している。
「赤くしてやる」
繋がったまま、届く範囲に吸い付き痕を残していく。
「エコーが見たら怒るか?…ふん…知るか」
甘い匂いを吸い込み、脳を痺れさせながら夢中で吸う。
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