会長にコーヒーを☕

シナモン

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6話 甘い言葉にご用心

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『…以前載せられてた海老しんじょあるじゃないですかぁ。あれ、めっちゃ評判いいんですよ。暑いんで冷やして出したら大好評♪』
『私もです~~。しんじょ系苦手だったけど、作るようになった』
『それでね、kofiさん、エビの殻ってどうされてますかあ?捨てちゃうのもったいないし、夏で生ごみの始末にも困るし』
『海老って臭いますよね』

 私、エビNGになってしまったんですよね。悲しいなあ。アレルギーの人や大偏食の人はこういう視点で会話をスルーしないといけないんだなあ。

『わぁ、お久しぶりですぅ~。殻はカラカラに炒ってお湯で煮出してそのままスープの出汁にしちゃったらどうでしょう。ものすごーく濃い出しが取れますよ。トムヤムクンやタイカレーにお勧めです♪』

『きゃあ、お久しぶりです。使っちゃっていいんですねー。さっそくやってみよう。トムヤムの素あるんで』
『kofiさん、お元気ですか~?相変わらずセレブ生活かしら』

 嬉しいお言葉……でもやっぱ言っておかないとね。


『ありがとうございます~。そういえば言ってなかったですが、事情があって私、急性海老中毒になってしまいました。タイカレー三昧したいのにできないんです~~』
『ええっ、それは大変』
『失礼しました』

 SNS連携で反応が早く指が素早く動く。

『食べないのが一番だそうですが憂鬱で…結構海老入りの食品食べていたんですね』
『そうですか…。タイカレーダメとはきついですね』
『美味しいのに―。エビエキス絶対入ってますもんね』
『台湾系に乗り換えられては』
『台湾。エビ使わないんでしたっけ』
『うーーん、あんまり知らないんですが、旅行した友達によればル―ローハンやバクテーみたいなのばっかり食べてたって言ってました』
『ああ、ル―ローハン』なるほどバクテー。よさそう。
 バクテー=肉骨茶。冷まして出せば立派な夏のランチにつかえそう。
 フムフム。
『それと、お茶がすごいたくさんあるって。苦茶ってご存じですか』
『いいえ』
『すっごい苦いけど体がすっきりするんだって。もしよかったらどうでしょう。新宿だったらどこかで売ってるかも。木の幹そのままぶった切ったようなのが入ってるんだって』
 へえ、苦茶…。
 木の幹? ううむ…うちの田舎にも似たようなのがないかな。


 早速。仕事帰りお茶を求めて新宿を歩いた。
 台湾茶専門店はいくつかあったはず。
 デパートやショップを巡る。

「あつ~~」

 しかしどこにもなかった。もっと探りたいけどこの酷暑の中歩き回るのは自殺行為だ。
 目的のものがなかったとはいえ、袋の中は茶葉の箱でいっぱい…。物珍しくてつい買っちゃった。
 接待の時出せばいいよね…。どうせおじいちゃんが多いし。い~匂い♪ はぁ~幸せ。
 帰るかどこかで涼もうか悩みながら歩いていると、白い店構えのレストランが見えた。いつか会長と一緒に来た店だ。

「なつかしー」

 あの時はエビアレルギー対応でお願いします、とだけ言って予約したのよね。
 深く考えずに。『はい、かしこまりましたー。お二人様同じ料理となりますがよろしいでしょうか』『はい、いいです』応答もすんなりいったのにな。
 お気楽だったのに…会長の鬼チェックのせいで…深刻ぽくなっちゃったじゃないの。
 ちょっと神経質すぎない??

「えっ…」

 しかし、店の前まで来て驚いた。
 ドアを閉じ、closedのサインが。

『諸事情により当面の間休業させていただきます。連絡先000-0000-0000』

「ええーー、休業」

 驚いて声に出ちゃった。
 会長と食事したのそんなに前のことじゃないのに。

 千葉に行く前よ??

 じろじろ見てると張り紙の下にもう一つ張り紙がしてある。

 なんか見覚えのある文体の、画像入りのチラシが。
 手書きで、『当店とは無関係です。お問い合わせいただきましても何もお答えできませんのでご遠慮ください』と書かれてる。

 えっ……。

 このチラシ…作りが例のフランチャイズ詐欺のと瓜二つではないかい…?
 連絡先は…。



「それで、この写真を撮ってきたというのか。…キミも熱心だねえ」

 会長に店の写メを見てもらった。
 だって…この前行った店ですよ?
 こんなとこまで詐欺が蔓延してるなんて悔しいじゃないですか!

「気持ちはわかるけどね。これをどうしろというんだい。もうとっくに訴えるなりしているだろう」

 むむ…。そうかなあ。
 どうしてほしいというより、一緒に話に乗ってほしかった、といいますか。
 ここ、行きましたよね?

「勝手に詐欺集団に店の写真利用されたか、あるいはこの店自体がフランチャイズで、親会社ともめたか。これだけじゃわからんだろう」
「‼ それはないでしょう、オリジナルのレストランですよ、ここ」
「そうかい。…何度も言うが、熱心なのはいいのだがね、スマホを手にあちこち出歩いて、また怪我でもされたら困るんだよ。油断してると危ないよ? 池に落ちるだけじゃない、人にぶつかったり、下手すりゃ道路に飛び出すことだってあるじゃないか」
「そ、それは…」
 く―――、前例があるだけに言い返せないデス。
「まったく、キミにスマホを持たせるんじゃなかったな。碌なことにならない気がする。危なっかしいから連絡以外は部屋で使いなさい。何かあってからじゃ遅いんだ」
 て、子供扱い。ただ写メっただけなのですが?

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