会長にコーヒーを☕

シナモン

文字の大きさ
77 / 153
5話 天敵とモール

しおりを挟む
うららかな午後。

「うーん、気持ちいい~」


私は今新宿ショートトリップ中です。



遡ること20分ほど前のことーー


ーーそーなんだよ。プロフェッショナル主婦っていうのかな? 勉強になったわー


私は藤島さんとビデオ通話してた。
私も参加するはずだったうちの会社の海老の商品開発。最初の打ち合わせが先日行われたと。
素人さん参加の試食会。藤島氏、女子に囲まれて…きっとモテモテだったに違いない。


ーー楽しかったよ~。早速一品決まりそうだ
ーーへー。いいなあ


かっこいいなあ…。画面の向こうの王子様にうっとり。
麗しのシェフとこうしてやりとりしてるなんて、素敵ー。


ーーあ、市川さん、甲殻類アレルギーだってね。海老の話はしない方がいいかな。もう大丈夫?
ーーええ、ばっちしです!

きゅーーん。さすがイケメンは気配りも忘れず。

スマホ映りもバッチリで。
やっぱ最新モデルはいいな~。

結局。
条件付き(ながらスマホダメとか男の画像入れるなとかストラップ外せとか…oz)で会長に買ってもらった最新スマートフォン。
圧倒的経済力にもの言わせて…。クソッ。
ささやかな抵抗を試みたものの…やっぱお金には勝てませんでしたわ。

ーーふっ、その様子じゃ聞いてないな

ーーえ?何をですか

ーー言ってもいいかな?

ーーいいです!

ーー市川さんいない時、九条くんから携帯かかってきたんだよ、サバランが食べたいって、夜中、突然

ーーえええっ、嘘!

ーーどうしても食べたかったんだろうね、次の日持っていきました。で、ちょっとキッチン使わせてもらいました。召し上がっていただけてホッとしました。ごめんね、材料拝借したよ

ーーええーー…っ

私は叫んだ。

やだ、何してんの、会長…っっ!


ーーすすすすみませんでした

ーーどういたしまして。サバラン、トロワグロやフォションにあるのにね。教えてあげようかと思ったけどやめたよ。君の味がいいんだって。…ぷっ、夜中に何かと思えば。胃袋握られちゃってるなあ…あははは…


藤島氏爆笑。しゃがんだのか画面が揺らぐ。多分ーー腹抱えて笑い出したな。
笑い声が響く響く。マジこのスマホ感度最高。

 アハハハハーーー……。

ーーご、ごめん、思い出したらつい、、

ちょっとちょっと!!
私のいない間にそんなことが?
えええ、何、サバラン食べたくて我慢できなくてシェフを呼んだだあ?
うううそーーー。
バカバカおバカーー。そうよデパ地下に買いに行け! サバラン売ってるってばー

って、行くわけないか。

で、なに、さらに一品作らせただとーー?

オーマイガーー…


真っ赤
と同時に
真っ青

だって!

そんなことされたら


私の職奪われるーー

本気で引きますーー。

ったく!
勝手にキッチンに他人入れないで!
しかもプロの料理人ーー。泣。

って、雇用主にはかないませんよね…。

いくら友達だからって有名シェフ呼びつけるとか。どんだけ~。


ーーすっすみません、お忙しいのに
ーー店休みだったんでね。ちょうどよかったよ。いいキッチンだね

藤島さんここに来たって…

あ、もしかして。

ーーハーブに水やってくれました?
ーーうん、やっといた

そうだったんだ!
えらいピンピンしてたからアレって思ったんだよね。

ーーありがとうございました

さすがよく気がつくなあ。
気にはなってたが会長にやらせるわけにいかないし。

ーーまあ市川さん何かあったらいつでも言ってよ。他人のレシピ再現って楽しいね!楽しかったよ!テレビ用の勉強になるし!

ひえーー、プロにそんなこと言われたんじゃ…。
やばっ、サバラン冷凍保存しとかなきゃ!


ーーすみませんでしたー。緊急時に備え在庫確保しときます
ーーいえいえ。クスクス……

そこへ割込み着信ーー

ーーあ、すみません、着信がーー
ーーあ、うん、じゃ、またねーー


会長からだ。


噂をすればなんとやら…。怖




『まだいるか?』タッチするなりお声が
『はい』

ええいますよ。
鬼の居ぬ間に洗濯…油売っておりました。

あなたのお話で盛り上がってるとこでした。


…すごい地獄耳ですね。


『予定より早く終わりそうだから帰って少し篭る』

へーそうすか。
今日は遅くなりそうだから帰ってもいいと言われていたのだが。

『で、アレをつまみたいんだが、あるか。


アレだよアレ』

またいきなり。

『はあ、アレ、ですか』

アレ?


ーーじゃわからんでしょ。いくらなんでも。
以心伝心じゃないんだ!
まさか…
サバランとかやめてよ。笑

『その、君が作った菓子じゃなくて市販の…なんて言うんだ、ビスケット? いつか出してただろう』

ビスケット…?
市販の?
私が出したやつ…
パッと頭に浮かんだのは

ーーブルボnアルフォーt?

言いそうになって口をつぐむ。
言ったところでわかんないよね。
パッケージごと出してないもん。

『えっと…ビスケットに船の絵のチョコがのっかってるのですか』

言い換えて聞いた。

『いやそれじゃない』

即答。違うのか。


ふーむ…

ならあっちか。


『わかりました。チョコとコーヒーのクリームの丸いビスケットですね』

『そう、それだ、たのむよ。四時には帰るから』


ラジャー。
通話終了。

ストックは…ない。
買い出しにgo!



てな訳で
私は新宿ショートトリップに旅立った。


しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。

翼 うみ
恋愛
父の会社を立て直す交換条件のため、ほぼ家族に身売りされた形で関東最大級の極道・桜花組の次期組長に嫁入りしたジェシカ。しかし母を亡くして以降、義母と義妹に虐げられていたジェシカは実家を出られるなら、と前向きだった。夫となる和仁には「君を愛することはない」と冷たく突き放される。それでもジェシカは傷つくことはなく、自分にできることを探して楽しんでいた。 和仁には辛い過去がありそれ故に誰のことも愛さないと決めていたが、純真で健気なジェシカに段々と惹かれてゆき――。 政略結婚から始まる溺愛シンデレラストーリー。

溺愛ダーリンと逆シークレットベビー

吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。 立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。 優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?

肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです

沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!

密会~合コン相手はドS社長~

日下奈緒
恋愛
デザイナーとして働く冬佳は、社長である綾斗にこっぴどくしばかれる毎日。そんな中、合コンに行った冬佳の前の席に座ったのは、誰でもない綾斗。誰かどうにかして。

甘い束縛

はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。 ※小説家なろうサイト様にも載せています。

降っても晴れても

凛子
恋愛
もう、限界なんです……

溺愛彼氏は消防士!?

すずなり。
恋愛
彼氏から突然言われた言葉。 「別れよう。」 その言葉はちゃんと受け取ったけど、飲み込むことができない私は友達を呼び出してやけ酒を飲んだ。 飲み過ぎた帰り、イケメン消防士さんに助けられて・・・新しい恋が始まっていく。 「男ならキスの先をは期待させないとな。」 「俺とこの先・・・してみない?」 「もっと・・・甘い声を聞かせて・・?」 私の身は持つの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界と何ら関係はありません。 ※コメントや乾燥を受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。

処理中です...