ハイエルフの幼女は異世界をまったりと過ごしていく ~それを助ける過保護な転移者~

まぁ

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1章 異世界トラバース

1章ー20 幼女は指名依頼を受ける!?

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 「あいがとぉ~、おにいちゃん」

 などとお礼を言うエレナ。けれどその目は僕を全く見ていない。

 両手にもった緑色のカードをキラキラと、愛おしいものを見るかの如く見つめている。


 ことの発端は宿屋で起きた。

 王都への出発が明日へと迫った夜、僕たちは宿でご飯を食べていたのだが。ちょうど一緒になった別のお客さんのお子さんとエレナが仲良しになって、とここまではいい。

 けれど子ども同士で何を話したかは詳しくはわからないが、食事を終えたエレナは

 「ぼーけんしゃになる」

 キリッ。

 と僕に言い放ったのだ。理由を聞いても何も話そうとせずに、ただなりたいと言ってきかなかった。

 「どうしても?」

 「どーしても!」

 だめだ、こりゃ。

 子育て経験のない僕にはお手上げな事案だよ。

 一瞬スキルに頼ろうかと思ったけど、どうせないだろうと思い諦めた。

 「わかった、おにいちゃんの負けだよ。明日一緒にギルドに行こうか」

 「うん!!」


 そして今朝ギルドへ向かい登録を済まして現在に戻る。

 いや、夜なのにギルドに行くって聞かないエレナを丸め込むの結構大変だったんだよ? それを考えたら僕はがんばったよね!?

 「エレナ、絶対に1人でギルドに行っちゃメっ、だよ」

 「うん」

 「危ないことしたらダメだからね」

 「うんうん」

 「僕の――」

 「うんうんうん」

 だめだぁ~、聞いていないよ。

 目も心もギルドカードにホールドされている。これは、しっかりと監視しておかないと昨日みたいに勝手に外へ、ギルドへ行きかねない。

 僕はポチに視線を向ける。

 「わん」

 よし、今度こそまかせた。その時はちゃんと知らせてくれよ!

 「よし、そろそろ馬車の出る時間になるから門の方へ向かおうか」

 「あ~い。いらーい、いらーい、たっしぇーい、や~!」

 エレナのよくわからない歌が始まると僕たちは歩くペースを少し早め馬車乗り場へと急ぐ。

 ちなみに、緑の冒険者カードが示すランクはノービスでこれはFランクのしたにあるもんだ。

 ノービスのランクはギルドに登録できる年齢前の冒険者志願者が登録するときに適応されるものであり、街での依頼は受けれるが討伐や採取など街の外での依頼は特別な依頼以外では受けられない。

 その特別な依頼の代表格はポーターの仕事。いわゆる荷物運びだ。

 まぁ、つまり生きるのに困った子どもがお金を稼ぐための手段の一つだと思って間違いない。
 
 そうだ。なんでエレナが依頼、依頼などと変な歌を口ずさんでいるかというと、どうしても依頼を受けたいとギルドカードをもらった時に駄々をこねたのだ。

 ここでもなかなかいうことを聞いてくれず、あまり長時間そうしているの他の人に迷惑になると考え、僕はまた説得することをあきらめた。そして、わけのわからないことをし始めた。


 以下がそのやり取りだ。

 「お姉さん、依頼を頼みたいのですが」

 「依頼ですか。受けるのではなく、出す方ですか?」

 「はい」

 「そうしますと、依頼事務料として銀貨1枚と成功報酬の30%が必要ですが」

 「えっとあとは、指名依頼ってやつはありますか?」

 「はい、指名事務手数料で最低金貨1枚がさらに追加になります。これは指名した人物が断ったとしても返却されません。別途お支払いいただければギルドの方から依頼を受けてもらえるようにサポートいたしますが」

 「サポートは必要ありません。指名依頼をお願いします」

 「かしこまりました。それでは依頼内容と指名したい冒険者、成功報酬をお教えください」

 「依頼内容は、荷物の運搬のお手伝い、指名したい冒険者はエレナ、成功報酬は銀貨3枚で」

 「へっ?」

 「あぁ、気にしないで進めてください。間違いではなく、正気ですので」

 「はぁ。わかりました。それでは、エレナさんはノービスなので指名事務手数料は最低の金貨1枚となります。ですから金貨1枚と依頼事務料の銀貨1枚、成功報酬の銀貨3枚、成功報酬の銀貨3枚の30%である銅貨9枚をいただきます」

 ・・・・・・。

 数分後。

 「エレナさん、お仕事の依頼がきましたけど」

 「いらい?」

 「冒険者のおしごとだよ」

 「やるぅ!!」

 「では依頼内容ですが、これを王都まで運んでください。報酬は銀貨3枚です」

 「???」

 「この荷物をおにいちゃんといっしょにこれから行く所に運ぶと、銀色の丸いやつがもらえるってことだよ」

 「エレナこれで、ぼ、ぼうけんしゃ?」

 「そうだよ、エレナはりっぱな冒険者だよ」

 「や~」

 「ってことでお願いします」

 「それでは、依頼が無事に終わりましたらクロノさんがサインをして、エレナさんは王都のギルドまでこれを持っていってください」

 「はい。あとでこの子に説明しておきますね」

 「ええ、もうそれでいいです。では、こちらがその荷物です」

 荷物を受け取ったエレナはそれをお気に入りのポシェットへと入れた。

 以上が事の全てだ。

 親ばか、兄バカと言うがいい。

 僕にはどうしようもなかったのだ。王都に着いたらアドヴァイザーでも探そうかな、子育ての。このままだと我儘娘になっちゃうかもしれない・・・。

 おっ、それよりもどうやら馬車が来たみたいだ。

 
 こうして締まらない感じでだが、僕たちはファースの街を旅立ったのだ。
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