ハイエルフの幼女は異世界をまったりと過ごしていく ~それを助ける過保護な転移者~

まぁ

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1章 異世界トラバース

1章ー25 偽りの兄妹としても

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 ギルドでの騒動から数日後


 王都周辺にはいくつかの迷宮が存在する。

 その中でも一番知名度が高いのは≪始まりと終わりの迷宮≫だろう。

 とある古文書にはこうあったという。

 この迷宮は始りにして終。数多の邪を集め、浄化しせし神なる者の創造物。
 白の階より先は邪悪で清浄なる世界。神ならざる者、決して踏み入れることなかれ、と。

 この古文書が何を示しているのか、今だ解き明かした者はいない。

 だが、それでもこの迷宮はこの国で一番有名だと言って間違いない。

 理由はいくつかあるが、まずは迷宮の魔物から得られるアイテム。これが民の生活を豊かに、便利にする。そして、その広さゆえに多くの冒険者が迷宮に入っても魔物が、迷宮の資源が尽きることがない。そして、多くの冒険者が集まればそこで経済活動が生まれる。食事、武器、薬などが主になるが街が自ずと発展していくのだ。

 王都と迷宮、どちらが先にあったかは分からないが、王都がこの迷宮のおかげで豊かなのは間違いない。

 因みに、この≪始りと終わりの迷宮≫の冒険者による現在の公式最高到達階層は第65層となっている。また、主な狩場は第20層~第40層で多くのBランクやCランクの冒険者が活躍しているらしい。


 そして僕たちはかすかな希望を頼りに、ここへエレナの両親を探しに来ている。

 豊かな資源も魔物の素材も今は必要ない。

 そして、エレナと出会ってから初めて本格的にあの子の両親を探す今日を思い、僕は昨日エレナが眠りにつくのを見届けてから1人夜空を見上げながらいろいろなことを考えた。

 今まではなんとなく一緒にいたけど、もし両親が見つかったら? 見つからなかったら?

 エレナにとってなにが一番いいのだろうか?

 エレナに聞いたらなんと答が返ってくるのだろうか?

 いつまでたっても考えが纏まることなく、思考の渦に飲み込まれ僕はいつしか眠りについてしまった。

 そして、答えなんて出ていないまま僕はこの迷宮についてしまったのだ。


 「エレナ、お母さん達の情報が集まるといいね」

 「うん、おにいちゃんいりゅから寂しくないけど、おかーさん達にも会いたいの」

 始終笑みを浮かべているように見えるが、ところどころ寂し気な表情が見える。

 僕の気にしすぎなのかもしれないけどね。

 「きっと見つかるはずだよ」

 「うんっ」

 寂しそうな雰囲気を感じて思わずこんなことを言ってしまったが、エレナの笑顔を見ると僕の胸がチクリと痛む。

 会える、見つかるなんて言ってしまったけどその確率はかなり低いと思うのだ。

 まず、基本的にハイエルフの情報なんて見つからない。ギルマスから話を聞いたり街の中を調べれるだけ調べたけど手掛かりなしだし。

 ハイエルフは絶滅した、これが常識なのだ。

 唯一得られた情報は、神話の末期に役割を終えたハイエルフ達はこの迷宮に集ったということだけど、これも確証があるものではなく、おとぎ話の一つと言った程度だ。

 「エレナ、もし、もしだよ」

 「うん?」

 僕の声に反応したエレナ。いつものように首をかかげて不思議そうな顔をしている。

 「いや、なんでもない。気にしないで。よーし、はりきって行くか」

 もし見つからなかったらどうする? と聞きそうになってしまった。が、僕は何事もなかったように自分の言葉を止め元気を振り絞り音頭をとった。つもりだった。

 建設的に進めるには必要な質問。でも僕はできない。そういった結果を連想させるだけで辛そうになるこの子を見ていられないから。

 「おにいちゃん、どしたの?」

 「えっ?」

 「なんかね、いちゅもとちがうの。かなしいことあったの?」

 こんな子どもに見破られるほど狼狽えていたのか? 僕は。

 いや、ただ単に僕が馬鹿で感情的で自分を御せていないだけか。

 「おうち出るとき、ううん。今日はなんかずっとげんきない」

 えっ? 

 「だからきょうはここくるのやめよーってエレナ言いたかったの」

 ってことはエレナははじめから気づいてた?

 「エレナ、いしょにいりゅよ。だから、げんきなって」

 「あ、ありがとう。エレナ」

 う~ん、なんか僕が深く考えすぎなのか。気遣うべきエレナに気を使われてしまった。

 よし、今はとにかく全力で両親を探そう。その後のことはその時考えよう。

 僕がいくら考えても答えなんてでないのだから。

 僕が悲しくても、エレナの幸せのために行動する。

 これだ。これを一本、芯を通せばどんな問いにも答えがでる。迷うことなどないのだ。

 「よし、それじゃ今度こそはりきって行こう」

 「おぉぉ」

 「いちゅものおにいちゃんだ」

 「エレナがいるからね」

 そっとつぶやいたエレナの頭を優しくなでる。

 最初は気まぐれで一緒にいることにしたけど、気づいたら彼女は僕にとって欠かすことのできない自身の一部となってしたようだ。

 そんな自身の一部だけど、エレナにとってそれが一番いい、あの子の幸せにはそれが一番となったら僕は痛みを堪えてでも自身の一部をも切り離そう。

 「えへへへへへ」

 「なにがそんなに面白いの」

 「わかんな~い。けどたのしぃの」

 きゃっきゃしながら僕の周りを走り回るエレナ。

 さてと――

 「お嬢、迷宮で走り回ると危ないぞ」

 「あーい」

 ポチの注意でピタッと走っている最中にその場で固まったように止まるエレナ。

 あれはふざけてるな、絶対に。
 
 こうして僕たちは迷宮の奥へと再び歩みを進める。

 最初のうちはエレナの為にゆっくりと訓練を兼ねて進んでいったが、途中からは僕とポチが全力でかけていくことにした。

 さて、古文書にあった白の階とやらはいったいどこを示すのか。一気に駆け抜けてやろうじゃないか!!




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 ちょっとしんみりした話を書いてみました。
 どうでしょうか?

 最後の謎は簡単すぎですかね笑
 特になにかの伏線になるものでもないですが・・・。
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