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1章 異世界トラバース
1章ーC おにいちゃんといっしょ②
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彼らが朝市をふらつきミートボールを食べ、またいろいろなものを物色していると太陽もだんだんと高く昇り始めてきた。
時刻で言えばだいたい10時頃であろう。
「おにいちゃん、あれみて」
朝市を歩いているとエレナはすぐに指をさす。これもすでに十数回目だ。幼い彼女にはすべてが新鮮に見えるのだろう。あとは大好きなおにいちゃんとお出かけして気持ちが舞い上がっているというのもあるが。
「うん、あれだ。約束したし、エレナが好きな奴でいいよ。僕も同じ奴装備するからさ」
次に彼らが立ち寄ったのは武器防具が売られているお店であった。
少年は以前エレナにお揃いの武器を買ってあげると約束をしたのだ。
ちなみにクロノの主な武器は自身の拳なのでメイン武器を変える、というわけでない。いわゆるファッションと言ってもいいのかもしれない。
「おにいちゃんこれは?」
お店の商品を一通り見たエレナが手にしたのは一振りの短剣に見えるものだった。クロノは用意してあった【鑑定】を使うと彼にだけ見えるように短剣の情報が映し出された。
”名前:双竜剣 ランクD スキル:【】”
アイテムや武器を【鑑定】すると名前、ランク、スキルを見ることができる。名前はそのまま、その物の名前。ランクはG~Sまでありこれは単純に価値を表すものである。参考までに、
Gは銀貨1枚未満 Fは銀貨1枚以上 Eは金貨1枚以上 Dは金貨10枚以上、
Cは飛んで白金貨100枚以上 Bは白金貨1000枚以上、Aは価値がつけられない
Sは伝説級。
そしてスキル。これはそれに付与できるスキルの種類、数が表示される。今回で言えば付与されたスキルはなく、1個のスキルを付与できるということになる。
「いいんじゃないかな。見た目もかっこいいし。でもそれってもう一個ある?」
「ありゅよ。おなじの2個あったからこれにしたの」
「なるほどね・・・・・・」
少年はこの時どうするべきが悩んだ。双剣を別々に装備して問題ないのか? 左右の違いとか、握り方とか、そういったことを日本では学ぶこともなかったのだから仕方がないのだが。
彼の出した結論は、
「これください」
であった。その理由はというと、どうせまともに少年もエレナも武器を使うことはないだろうから、剣は飾りだ。という暴論であった。
「わ~い、おにいちゃんといしょ~。ばんばんやっちゅけちゃうよ」
「って、エレナ!! こんなところで剣を振り回したらメっだよ」
「あ~い」
見た目は幼女なエレナであるがそのステータスは一流どころの冒険者に迫るものがある。いや、今はすでにぶち抜いてしまっているので、万が一そんな彼女が振るう剣が周りの人に当たろうものならいったいどうなることか・・・・・・。
しゅんとしたエレナをみた少年は何かを言いかけたが、頭を振って再度気を引き締めて言葉を出す。
「周りの人に当たったら痛い、痛いでしょ? エレナはそうなったら嫌だよね?」
「いやっ」
「なら止めないとね」
「は~い」
痛い、痛いでは済まずにそのままあの世行きなのだが、そこクロノ少年も抜けているので許してあげて欲しい。
剣をちゃんとしまっててくてくと歩くエレナ、その後ろをついていく少年とポチ。さて、次の目的地はというと。
「おにいちゃん、あれ、あれ。あのアイシュがいい」
エレナが次に指を指したのはオレンジ色に染まったアイスだった。なんでも以前は冷たい氷に果実水をかけて食べる、いわゆるかき氷が主体だったのだが、最近になってこのアイスが流行ってきた。流行り始めてしばらく経つので、味もどんどんと新しいものがでており、エレナは初めてみたオレンジ色のアイスに心を奪われてしまったのだ。
「オレンジ味かな? よし、3つ頼もうか。ってポチはいるのかな? これ」
『もちろんです、主』
焦ったようにポチが言う。もちろん周りに人がたくさんいるので念話だ。
お店の人から3つアイスを受け取るとエレナはささーと、近くにあった椅子に駆けていきアイスを食べ始める。
「うぅぅ、ちゅめたぁぁい。でもおいちーー」
アイスを舐め、体を震わせるエレナ。そしてまたアイスを食べ・・・・・・。繰り返すこと数十回。
「おかわりぃ~」
「おかわりはありません」
食べ終えたエレナが右手を天へ、左手を腰に当ててそうの給う。時折彼女がやるポーズだが、これもハイエルフの名誉のために言っておくが、彼女独自のものである。
少年の答えを聞くと元気よく上げた右手はぐで~んと下がり、それに続いて頭も項垂れる様に下がっていく。
余程ショックだったらしい。それをみた少年はすかさずに
「いい子にしてたらまた来週も来るから、ね」
「うん、エレナいいこ、いいこにしゅる」
にょきっと起き上がったエレナ。現金な子である。
『主、私もお願いします』
「わかってるよ」
「うちのメンバーは食に貪欲だねー、まったく」
と、言う少年。すでにミートボール屋での出来事を忘れているのか?
「そろそろ帰ろうか? お洋服はまた別の日にね」
「うん、アイシュもそのときたべりゅの」
「はいはい」
にぎやかな朝市、その中で幼女の手を引く少年、その横を離れずに歩く犬。
そこには確かな幸せがある。
だけど、いつか幼女が真実を知った時、この関係はどうなるのか。
両親のことだ。
嘘をついた少年に怒るのか?
それとも、それを愛と受け取るのか?
それは今の少年にはわからない。
もちろん今の幼女にもわからない。
神の力の一端を得た少年。何でもできるといっても過言ではない。
が、この問題ばかりはどうやら簡単にはいかないようだ。
時刻で言えばだいたい10時頃であろう。
「おにいちゃん、あれみて」
朝市を歩いているとエレナはすぐに指をさす。これもすでに十数回目だ。幼い彼女にはすべてが新鮮に見えるのだろう。あとは大好きなおにいちゃんとお出かけして気持ちが舞い上がっているというのもあるが。
「うん、あれだ。約束したし、エレナが好きな奴でいいよ。僕も同じ奴装備するからさ」
次に彼らが立ち寄ったのは武器防具が売られているお店であった。
少年は以前エレナにお揃いの武器を買ってあげると約束をしたのだ。
ちなみにクロノの主な武器は自身の拳なのでメイン武器を変える、というわけでない。いわゆるファッションと言ってもいいのかもしれない。
「おにいちゃんこれは?」
お店の商品を一通り見たエレナが手にしたのは一振りの短剣に見えるものだった。クロノは用意してあった【鑑定】を使うと彼にだけ見えるように短剣の情報が映し出された。
”名前:双竜剣 ランクD スキル:【】”
アイテムや武器を【鑑定】すると名前、ランク、スキルを見ることができる。名前はそのまま、その物の名前。ランクはG~Sまでありこれは単純に価値を表すものである。参考までに、
Gは銀貨1枚未満 Fは銀貨1枚以上 Eは金貨1枚以上 Dは金貨10枚以上、
Cは飛んで白金貨100枚以上 Bは白金貨1000枚以上、Aは価値がつけられない
Sは伝説級。
そしてスキル。これはそれに付与できるスキルの種類、数が表示される。今回で言えば付与されたスキルはなく、1個のスキルを付与できるということになる。
「いいんじゃないかな。見た目もかっこいいし。でもそれってもう一個ある?」
「ありゅよ。おなじの2個あったからこれにしたの」
「なるほどね・・・・・・」
少年はこの時どうするべきが悩んだ。双剣を別々に装備して問題ないのか? 左右の違いとか、握り方とか、そういったことを日本では学ぶこともなかったのだから仕方がないのだが。
彼の出した結論は、
「これください」
であった。その理由はというと、どうせまともに少年もエレナも武器を使うことはないだろうから、剣は飾りだ。という暴論であった。
「わ~い、おにいちゃんといしょ~。ばんばんやっちゅけちゃうよ」
「って、エレナ!! こんなところで剣を振り回したらメっだよ」
「あ~い」
見た目は幼女なエレナであるがそのステータスは一流どころの冒険者に迫るものがある。いや、今はすでにぶち抜いてしまっているので、万が一そんな彼女が振るう剣が周りの人に当たろうものならいったいどうなることか・・・・・・。
しゅんとしたエレナをみた少年は何かを言いかけたが、頭を振って再度気を引き締めて言葉を出す。
「周りの人に当たったら痛い、痛いでしょ? エレナはそうなったら嫌だよね?」
「いやっ」
「なら止めないとね」
「は~い」
痛い、痛いでは済まずにそのままあの世行きなのだが、そこクロノ少年も抜けているので許してあげて欲しい。
剣をちゃんとしまっててくてくと歩くエレナ、その後ろをついていく少年とポチ。さて、次の目的地はというと。
「おにいちゃん、あれ、あれ。あのアイシュがいい」
エレナが次に指を指したのはオレンジ色に染まったアイスだった。なんでも以前は冷たい氷に果実水をかけて食べる、いわゆるかき氷が主体だったのだが、最近になってこのアイスが流行ってきた。流行り始めてしばらく経つので、味もどんどんと新しいものがでており、エレナは初めてみたオレンジ色のアイスに心を奪われてしまったのだ。
「オレンジ味かな? よし、3つ頼もうか。ってポチはいるのかな? これ」
『もちろんです、主』
焦ったようにポチが言う。もちろん周りに人がたくさんいるので念話だ。
お店の人から3つアイスを受け取るとエレナはささーと、近くにあった椅子に駆けていきアイスを食べ始める。
「うぅぅ、ちゅめたぁぁい。でもおいちーー」
アイスを舐め、体を震わせるエレナ。そしてまたアイスを食べ・・・・・・。繰り返すこと数十回。
「おかわりぃ~」
「おかわりはありません」
食べ終えたエレナが右手を天へ、左手を腰に当ててそうの給う。時折彼女がやるポーズだが、これもハイエルフの名誉のために言っておくが、彼女独自のものである。
少年の答えを聞くと元気よく上げた右手はぐで~んと下がり、それに続いて頭も項垂れる様に下がっていく。
余程ショックだったらしい。それをみた少年はすかさずに
「いい子にしてたらまた来週も来るから、ね」
「うん、エレナいいこ、いいこにしゅる」
にょきっと起き上がったエレナ。現金な子である。
『主、私もお願いします』
「わかってるよ」
「うちのメンバーは食に貪欲だねー、まったく」
と、言う少年。すでにミートボール屋での出来事を忘れているのか?
「そろそろ帰ろうか? お洋服はまた別の日にね」
「うん、アイシュもそのときたべりゅの」
「はいはい」
にぎやかな朝市、その中で幼女の手を引く少年、その横を離れずに歩く犬。
そこには確かな幸せがある。
だけど、いつか幼女が真実を知った時、この関係はどうなるのか。
両親のことだ。
嘘をついた少年に怒るのか?
それとも、それを愛と受け取るのか?
それは今の少年にはわからない。
もちろん今の幼女にもわからない。
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が、この問題ばかりはどうやら簡単にはいかないようだ。
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