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護衛がつきます2
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「いい加減にしなさい、アロン。」
「…?」
私がミーアのスカートの裾を掴んでいるのを見て、ミーアが私とアロンの間に立って言った。
「貴方のその禍々しいオーラ、眉間のしわ。リナ様の事が疎ましいと言っている様なものです。」
「は?い、いや、俺はそんなつもりは…」
「だからその悪い癖を治しなさいと言っているのです。」
「えっと、ミーア…?」
「怖い思いをさせて申し訳ありません、リナ様。アロンは私の親戚で…幼い頃からの仲なのです。」
「そうだったんだ。」
「腕も立ち、根も真面目ですので近衛騎士にまで上り詰めたのですが、ひとつ欠点があって…」
「欠点?」
出会った人間を一人残らず踏み潰す欠点かな?
「やる気を出せば出すほど、眉間にしわが寄り、負のオーラを出してしまう事です。」
「え?私の護衛が嫌でそうなってるんじゃ…」
「…そんな事はあり得ません。王命ですから。」
ほら、王命だから仕方なく人間なんかの護衛してるんだぞって顔に書いてあるじゃん。
「はあ、アロン、貴方という人は…。リナ様、申し訳ありません。信じられないかもしれませんが、本当に彼には悪意がないのです。気になる様でしたら、彼はただの大きめの家具とでも思っていただいて構いません。」
すみません、それもうやってます。
「アロンの腕は確かですし、何かあってもリナ様を必ずやお守りするでしょう。ですのでこのままアロンが護衛につくことをお許しいただけませんか?」
「うーん、ミーアがそこまで言うなら…本当にアロンは私の事嫌いじゃないの?」
「はい。」
嫌そうな顔!でもこれがやる気の表れってわけ?
「アロンはこの様な悪癖の為、今まで魔王様以外の警護につくことができませんでした。魔王様は寛大なお方ですので、些細な事は気にしないのですよ。」
ミーアが言うんだから事実なんだろうけど。私はチラリとアロンの顔を見上げた。ギロリと私を睨み返すアロン。身長差も相まって、ものすごい迫力。すかさずミーアがアロンの脇腹を突き、アロンの眉間からはしわが消えた。この二人、結構な仲良しさんだな。
「分かった。ミーアの事を信じる。ちょっと怖いけど気にしない様にする。」
「ありがとうございます。」
今のやりとりで少し時間を食ってしまったので抱っこ移動に切り替える。昼までに目的達成しないといけないからね。
「いいですか、アロン。リナ様を抱き上げる時はこのようにします。貴方も有事の際はリナ様を抱えてお守りすることになるのですからよく見ていてくださいね。」
「し、しかし俺なんかが少しでも触れれば全身粉砕骨折して死ぬのではないか?」
こわ!発想が怖いわ。やっぱ魔族の考えることは違うわ。抱かれたくない。子供的意味で。
「何を言っているのです。魔王様だっていつも抱っこされていますよ。リナ様も砕け散ることなくこの様に無事です。」
「う、うむ…」
ミーアも言葉選びが魔族。
そうこうしているうちに、私たちは地下にある厨房にたどり着いた。
「リナ様、こちらです。今の時間ですとまだシェフも厨房にいるはずですよ。」
「う、うん。」
私と同じ異世界人。どんな人かな?百年前だと、大正時代?うわ、話し合うかな。ん?でも出された料理はどれも現代っぽかったけど…そもそも百年前に召喚されたってことは今何歳よ?もしかしてヨボヨボのお爺さん?
ええい、細かいことは良いんだよ!いざ、初対面!
私は緊張しながら厨房の扉を開いた。
「ふんふーん。うふっ上手にできたわ!」
ステンレス製と思われる作業台に流し台、何個も並ぶコンロ。ピザが焼けそうな釜戸に大きめのオーブン。近代的な調理場で鼻歌を歌いながらケーキのデコレーションをしているのは、金髪をお団子頭にした綺麗な女性…ん?男性?いやいや、じょせ…んん?
「あら?何かようかしら?」
私達に気付いた性別不明の人物が顔を上げる。おお、美人だ。でもこのハスキーボイスはやっぱり…
「あの。」
「あらあ!可愛いお嬢さんねえ!んふ、私に何か御用かしら?」
「男ですか?女ですか?」
しまった。勇者ですかって聞こうとしたのについ本音が出てしまった。料理人は突然の突っ込んだ質問にしばらくキョトンとしてたが、すぐに持ち直したようでにこりと妖艶に微笑んだ。
「心は乙女よ!」
「よく分かりました。」
オネエってやつだわ。そろそろ本題に入らないと。オネエ言葉が移ってしまうわね。
「オネエさんは勇者なのかしら?」
「そうよ、可愛い勇者さん。」
「え?な、なんで…」
「あら、来たばかりかしら?そんなに幼いんだもの、無理もないわね。私たち勇者は魔力があるでしょう?あなたから少しだけど魔力を感じだから言ってみただけよ。」
「そうなんですか…」
一応ミーアに確認を取った後、私はオネエさんにここまでの経緯を説明した。
「あらあ、災難だったわね。でも最初にあなたを見つけたのが人間嫌いの魔族じゃなくて良かったわ。今代の魔王様はとても寛大だと聞いているわ。あなたのようないたいけな幼女に首輪を付けるなんて変態じみてるけど、確かに魔王様の保護下にいるのが一番安全ね。」
「私もそう思います。」
「よかったわね。いきなり連れてこられてビックリしたでしょう?子供を召喚するなんて…百年前は考えられなかったけど…」
「あの、私中身は二十歳なんです。こっちに来たら何故かこんな身体になってしまったんですが…あなたの時は違ったんですか?」
「そうねえ…外見は別人だったわね。歳も少し若返ってたかしら。私日本人なのよ。見えないでしょう?」
確かに見た目は白人だ。
料理人は某二丁目のバーで働いていた所をある日突然、この世界に連れてこられたらしい。因みに名前はアケミだそうだ。源氏名だろ絶対。召喚されて初めて鏡を見た時は狂喜乱舞したそうだ。とっても美人だもんね。
それからは戦いに明け暮れることもなく、欲望の赴くままに容姿を磨いてたらいつの間にか大魔王国の城で働いてたんですって。色々はしょり過ぎい。
「そういえばアケミさんは百年前に召喚されたって言ってましたけど、どうして若いままなんですか?」
「ほら、魔族って寿命が長いじゃない?あれって魔力があるからなのよ。魔族には到底及ばないけど、勇者も魔力を持ってるから結構長く生きられるみたいなのよね。」
「何歳なんですか?」
「ピッチピチの127歳よ!」
「本名はなんですか?」
「ケンジよ!ってやめてよ!」
「何年の日本から飛ばされてきたんですか?百年前の人とは思えないんですけど。」
「ん?平成27年よ!世界が違えば時の流れも違うのかしらねえ。あなたは平成何年?」
「令和2年ですね。」
「令和!?なにそれ!?」
「…?」
私がミーアのスカートの裾を掴んでいるのを見て、ミーアが私とアロンの間に立って言った。
「貴方のその禍々しいオーラ、眉間のしわ。リナ様の事が疎ましいと言っている様なものです。」
「は?い、いや、俺はそんなつもりは…」
「だからその悪い癖を治しなさいと言っているのです。」
「えっと、ミーア…?」
「怖い思いをさせて申し訳ありません、リナ様。アロンは私の親戚で…幼い頃からの仲なのです。」
「そうだったんだ。」
「腕も立ち、根も真面目ですので近衛騎士にまで上り詰めたのですが、ひとつ欠点があって…」
「欠点?」
出会った人間を一人残らず踏み潰す欠点かな?
「やる気を出せば出すほど、眉間にしわが寄り、負のオーラを出してしまう事です。」
「え?私の護衛が嫌でそうなってるんじゃ…」
「…そんな事はあり得ません。王命ですから。」
ほら、王命だから仕方なく人間なんかの護衛してるんだぞって顔に書いてあるじゃん。
「はあ、アロン、貴方という人は…。リナ様、申し訳ありません。信じられないかもしれませんが、本当に彼には悪意がないのです。気になる様でしたら、彼はただの大きめの家具とでも思っていただいて構いません。」
すみません、それもうやってます。
「アロンの腕は確かですし、何かあってもリナ様を必ずやお守りするでしょう。ですのでこのままアロンが護衛につくことをお許しいただけませんか?」
「うーん、ミーアがそこまで言うなら…本当にアロンは私の事嫌いじゃないの?」
「はい。」
嫌そうな顔!でもこれがやる気の表れってわけ?
「アロンはこの様な悪癖の為、今まで魔王様以外の警護につくことができませんでした。魔王様は寛大なお方ですので、些細な事は気にしないのですよ。」
ミーアが言うんだから事実なんだろうけど。私はチラリとアロンの顔を見上げた。ギロリと私を睨み返すアロン。身長差も相まって、ものすごい迫力。すかさずミーアがアロンの脇腹を突き、アロンの眉間からはしわが消えた。この二人、結構な仲良しさんだな。
「分かった。ミーアの事を信じる。ちょっと怖いけど気にしない様にする。」
「ありがとうございます。」
今のやりとりで少し時間を食ってしまったので抱っこ移動に切り替える。昼までに目的達成しないといけないからね。
「いいですか、アロン。リナ様を抱き上げる時はこのようにします。貴方も有事の際はリナ様を抱えてお守りすることになるのですからよく見ていてくださいね。」
「し、しかし俺なんかが少しでも触れれば全身粉砕骨折して死ぬのではないか?」
こわ!発想が怖いわ。やっぱ魔族の考えることは違うわ。抱かれたくない。子供的意味で。
「何を言っているのです。魔王様だっていつも抱っこされていますよ。リナ様も砕け散ることなくこの様に無事です。」
「う、うむ…」
ミーアも言葉選びが魔族。
そうこうしているうちに、私たちは地下にある厨房にたどり着いた。
「リナ様、こちらです。今の時間ですとまだシェフも厨房にいるはずですよ。」
「う、うん。」
私と同じ異世界人。どんな人かな?百年前だと、大正時代?うわ、話し合うかな。ん?でも出された料理はどれも現代っぽかったけど…そもそも百年前に召喚されたってことは今何歳よ?もしかしてヨボヨボのお爺さん?
ええい、細かいことは良いんだよ!いざ、初対面!
私は緊張しながら厨房の扉を開いた。
「ふんふーん。うふっ上手にできたわ!」
ステンレス製と思われる作業台に流し台、何個も並ぶコンロ。ピザが焼けそうな釜戸に大きめのオーブン。近代的な調理場で鼻歌を歌いながらケーキのデコレーションをしているのは、金髪をお団子頭にした綺麗な女性…ん?男性?いやいや、じょせ…んん?
「あら?何かようかしら?」
私達に気付いた性別不明の人物が顔を上げる。おお、美人だ。でもこのハスキーボイスはやっぱり…
「あの。」
「あらあ!可愛いお嬢さんねえ!んふ、私に何か御用かしら?」
「男ですか?女ですか?」
しまった。勇者ですかって聞こうとしたのについ本音が出てしまった。料理人は突然の突っ込んだ質問にしばらくキョトンとしてたが、すぐに持ち直したようでにこりと妖艶に微笑んだ。
「心は乙女よ!」
「よく分かりました。」
オネエってやつだわ。そろそろ本題に入らないと。オネエ言葉が移ってしまうわね。
「オネエさんは勇者なのかしら?」
「そうよ、可愛い勇者さん。」
「え?な、なんで…」
「あら、来たばかりかしら?そんなに幼いんだもの、無理もないわね。私たち勇者は魔力があるでしょう?あなたから少しだけど魔力を感じだから言ってみただけよ。」
「そうなんですか…」
一応ミーアに確認を取った後、私はオネエさんにここまでの経緯を説明した。
「あらあ、災難だったわね。でも最初にあなたを見つけたのが人間嫌いの魔族じゃなくて良かったわ。今代の魔王様はとても寛大だと聞いているわ。あなたのようないたいけな幼女に首輪を付けるなんて変態じみてるけど、確かに魔王様の保護下にいるのが一番安全ね。」
「私もそう思います。」
「よかったわね。いきなり連れてこられてビックリしたでしょう?子供を召喚するなんて…百年前は考えられなかったけど…」
「あの、私中身は二十歳なんです。こっちに来たら何故かこんな身体になってしまったんですが…あなたの時は違ったんですか?」
「そうねえ…外見は別人だったわね。歳も少し若返ってたかしら。私日本人なのよ。見えないでしょう?」
確かに見た目は白人だ。
料理人は某二丁目のバーで働いていた所をある日突然、この世界に連れてこられたらしい。因みに名前はアケミだそうだ。源氏名だろ絶対。召喚されて初めて鏡を見た時は狂喜乱舞したそうだ。とっても美人だもんね。
それからは戦いに明け暮れることもなく、欲望の赴くままに容姿を磨いてたらいつの間にか大魔王国の城で働いてたんですって。色々はしょり過ぎい。
「そういえばアケミさんは百年前に召喚されたって言ってましたけど、どうして若いままなんですか?」
「ほら、魔族って寿命が長いじゃない?あれって魔力があるからなのよ。魔族には到底及ばないけど、勇者も魔力を持ってるから結構長く生きられるみたいなのよね。」
「何歳なんですか?」
「ピッチピチの127歳よ!」
「本名はなんですか?」
「ケンジよ!ってやめてよ!」
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