20 / 28
人間の国に行きます4
しおりを挟む
今私は猛烈に感動している。だって景色がスイスイ変わっていく。風を感じる!
私は手に入れたばかりのキックボードを早速乗り回している。フワフワのカーペットもツルツルの大理石もなんのその。段差の所はアロンが運んでくれる。
「ここが図書館ですよ。」
「おおー。」
今までの私なら考えられないくらいの距離を進んだ先にその建物はあった。
本館は黒を基調としたヨーロッパにありそうな城だったのに対し、この図書館はどちらかというとインド風。頭に玉ねぎのような形の帽子をかぶった、まあ簡単に言うとタージマハルっぽい。黒いけど。なんか怪しい魔法実験とかしてそうな雰囲気だね、完全に偏見だけど。
「すでに話は通してありますので、本日はリナ様の貸し切りです。」
「ええ、良いのにそこまでしなくても。」
「この図書館は本城に比べて入場規制が緩いですから、色んな方がいらっしゃるのです。余計なトラブルは避けた方がよろしいかと思いまして。」
「まあ、そうだね。これ以上変態全裸令嬢とか量産したくないし…」
「では入りましょう。」
「うん。」
アロンが重そうな扉を開けてくれたので、ミーアと手を繋いで入場する。
「わああ。」
その景色はまさにファンタジー。幻想的。受付のような部屋を抜けると、そこは本の塔だった。丸い部屋の壁一面に本が並べられ、それが天井までずっと続いている。高さも4、5階分くらいあるんじゃないかな?上の方の本とかどうやって取るんだろう?所々浮いている光の玉が窓一つない図書館の中を優しく照らしている。
私が上を向いたままその光景に見惚れていると、司書さんっぽい人が声をかけてくれた。
「ふふ、お気に召しましたか?ペット様。」
「うん。すごく綺麗な所だね。上の方の本とかはどうやって取るの?」
「それを取るのが私達の仕事です。」
私は改めて司書のお姉さんに目を移した。タイトスカート にかっちりとしたジャケットを着たお姉さんの背中からは、綺麗な黒い羽が生えていた。
「飛べるの?」
「ええ、もちろんです。申し遅れました。私図書館長をしておりますヴィーと申します。」
「魔王様のペットのリナだよ。よろしくね。」
「よろしくお願いします。本日はどの様な本をお探しですか?」
「えーっとね、お城の外の事を知りたいの。街はどんな感じなのかとか、できれば写真付きで。大魔王国と、人間の国のも知りたい。」
「かしこまりました。ただいま該当する書籍を持って参りますので、閲覧室で少々お待ちください。」
「はーい。」
ヴィーさんは綺麗な漆黒の翼をバサリと広げると、そのまま飛んで行った。
「すごい、本当に飛んでる。」
「彼女のような鳥科の獣人族は魔法の行使なしに空を飛ぶことができる唯一の種族です。この図書館は彼女の一族が代々管理しているので、彼女達が自由に飛べるようにこの様なデザインになったそうです。」
「へえ~。…あれ、ってことは翼がなくても皆魔法を使えば飛べるってこと?」
「はい、飛べますね。」
「ミーアも?」
「はい。」
「私も飛べるようになるかなあ。」
「大きくなればきっと飛べますよ。」
「ふふ、楽しみ!」
「さあ、先に閲覧室に行って待っていましょう。こちらですよ。」
「うん。」
よく見ると本と本の間に、いくつか扉がある。この中が閲覧室になっているのだろう。流石に図書館でキックボードを乗り回すほど私は悪ガキではない。私は良い子に歩いて閲覧室に入った。
閲覧室は思ったより広く、私が二人横になってもまだ余裕がある大きなソファとローテーブル、レオの執務机には多少劣るが、十分立派な机と椅子が置かれていた。その奥にもまだ部屋があるみたいだ。良いホテルの一室って感じ。
「ここは高位貴族用の閲覧室となっております。」
「だからこんなに豪華なんだね。普通の部屋もあるの?」
「はい、他の部屋は共同で使うようにできています。」
「そっか。まあ貸し切りなんだし、遠慮なく使っちゃおう~。」
魔王のペット生活にも慣れてきて、こんな特別待遇を受けても別段申し訳なさを感じることもなくなってきた。感覚が麻痺してるのかな。でも自分から我儘とか言ってないしセーフだよね。ドレスや宝石が欲しいとかおねだりもしてないし…あの無礼者を殺しなさい!とかも言ってないし…うん、大丈夫大丈夫。
ソファに座ってミーアが入れてくれた紅茶を飲んでいると、扉がノックされた。
「お待たせいたしました。こちらが今年の情報誌となっております。大魔王国の王都と他2都市、後は隣国のスリチア王国、他2国の情報誌です。」
「ありがとう。」
「また何かありましたらお呼びください。」
一礼して部屋を出ていくヴィーさんを見送ったあと、テーブルに乗せられた本の山に視線を移す。どうやら情報誌と言っても沢山種類があるみたい。まあ私の世界でも、街の観光案内ひとつとっても色んな出版社から何冊も出てるもんね。
「どれから読もうかな…」
「それではまずこちらから読むのはいかがですか?大魔王国の最大手出版社から出ている人気の情報誌ですよ。」
「じゃあそれにする。」
「かしこまりました。」
ミーアは私の隣に腰掛け、見やすいように雑誌を膝に広げてくれた。
「王都の街並みがよくわかる写真ですと…こちらですね。」
「わあ。思ったより普通だね。」
街行く人達の姿は異形だけど、街並み自体は普通。ちょっと昔のヨーロッパって感じ。私自身は日本から出たことないけど。汚らしい感じもなく、かと言って近代ファンタジーな感じもなく、いたって普通。まあお城の中がちょっとアンティークっぽい以外は普通だからそんな気はしてたけど。
「街の中ってどんな感じ?治安とか。」
「そうですね。王都は良い方だと思いますよ。魔王様の管理下ですから。王都から離れた都市になりますと治安の方はピンキリですね。領主が治安維持に積極的な場合は安全な街となりますが、そうでない場合は犯罪者が野放しになっている状態ですから。」
「そうなんだ。」
「それでも人間の国よりは治安は良いのではないでしょうか。」
「そうなの?」
「人間というのはとにかく数が多いですからね。その分犯罪も多発します。また、魔族の国との大きな違いは、人間の国では誘拐や人身売買が横行しているという点ですね。」
「奴隷精度って大魔王国の属国になった時に廃止されたんじゃなかったっけ?」
「その通りです。しかし未だに根絶やしにすることはできておりません。彼らは地下に潜り、秘密裏に人身売買を続けているのです。」
私は手に入れたばかりのキックボードを早速乗り回している。フワフワのカーペットもツルツルの大理石もなんのその。段差の所はアロンが運んでくれる。
「ここが図書館ですよ。」
「おおー。」
今までの私なら考えられないくらいの距離を進んだ先にその建物はあった。
本館は黒を基調としたヨーロッパにありそうな城だったのに対し、この図書館はどちらかというとインド風。頭に玉ねぎのような形の帽子をかぶった、まあ簡単に言うとタージマハルっぽい。黒いけど。なんか怪しい魔法実験とかしてそうな雰囲気だね、完全に偏見だけど。
「すでに話は通してありますので、本日はリナ様の貸し切りです。」
「ええ、良いのにそこまでしなくても。」
「この図書館は本城に比べて入場規制が緩いですから、色んな方がいらっしゃるのです。余計なトラブルは避けた方がよろしいかと思いまして。」
「まあ、そうだね。これ以上変態全裸令嬢とか量産したくないし…」
「では入りましょう。」
「うん。」
アロンが重そうな扉を開けてくれたので、ミーアと手を繋いで入場する。
「わああ。」
その景色はまさにファンタジー。幻想的。受付のような部屋を抜けると、そこは本の塔だった。丸い部屋の壁一面に本が並べられ、それが天井までずっと続いている。高さも4、5階分くらいあるんじゃないかな?上の方の本とかどうやって取るんだろう?所々浮いている光の玉が窓一つない図書館の中を優しく照らしている。
私が上を向いたままその光景に見惚れていると、司書さんっぽい人が声をかけてくれた。
「ふふ、お気に召しましたか?ペット様。」
「うん。すごく綺麗な所だね。上の方の本とかはどうやって取るの?」
「それを取るのが私達の仕事です。」
私は改めて司書のお姉さんに目を移した。タイトスカート にかっちりとしたジャケットを着たお姉さんの背中からは、綺麗な黒い羽が生えていた。
「飛べるの?」
「ええ、もちろんです。申し遅れました。私図書館長をしておりますヴィーと申します。」
「魔王様のペットのリナだよ。よろしくね。」
「よろしくお願いします。本日はどの様な本をお探しですか?」
「えーっとね、お城の外の事を知りたいの。街はどんな感じなのかとか、できれば写真付きで。大魔王国と、人間の国のも知りたい。」
「かしこまりました。ただいま該当する書籍を持って参りますので、閲覧室で少々お待ちください。」
「はーい。」
ヴィーさんは綺麗な漆黒の翼をバサリと広げると、そのまま飛んで行った。
「すごい、本当に飛んでる。」
「彼女のような鳥科の獣人族は魔法の行使なしに空を飛ぶことができる唯一の種族です。この図書館は彼女の一族が代々管理しているので、彼女達が自由に飛べるようにこの様なデザインになったそうです。」
「へえ~。…あれ、ってことは翼がなくても皆魔法を使えば飛べるってこと?」
「はい、飛べますね。」
「ミーアも?」
「はい。」
「私も飛べるようになるかなあ。」
「大きくなればきっと飛べますよ。」
「ふふ、楽しみ!」
「さあ、先に閲覧室に行って待っていましょう。こちらですよ。」
「うん。」
よく見ると本と本の間に、いくつか扉がある。この中が閲覧室になっているのだろう。流石に図書館でキックボードを乗り回すほど私は悪ガキではない。私は良い子に歩いて閲覧室に入った。
閲覧室は思ったより広く、私が二人横になってもまだ余裕がある大きなソファとローテーブル、レオの執務机には多少劣るが、十分立派な机と椅子が置かれていた。その奥にもまだ部屋があるみたいだ。良いホテルの一室って感じ。
「ここは高位貴族用の閲覧室となっております。」
「だからこんなに豪華なんだね。普通の部屋もあるの?」
「はい、他の部屋は共同で使うようにできています。」
「そっか。まあ貸し切りなんだし、遠慮なく使っちゃおう~。」
魔王のペット生活にも慣れてきて、こんな特別待遇を受けても別段申し訳なさを感じることもなくなってきた。感覚が麻痺してるのかな。でも自分から我儘とか言ってないしセーフだよね。ドレスや宝石が欲しいとかおねだりもしてないし…あの無礼者を殺しなさい!とかも言ってないし…うん、大丈夫大丈夫。
ソファに座ってミーアが入れてくれた紅茶を飲んでいると、扉がノックされた。
「お待たせいたしました。こちらが今年の情報誌となっております。大魔王国の王都と他2都市、後は隣国のスリチア王国、他2国の情報誌です。」
「ありがとう。」
「また何かありましたらお呼びください。」
一礼して部屋を出ていくヴィーさんを見送ったあと、テーブルに乗せられた本の山に視線を移す。どうやら情報誌と言っても沢山種類があるみたい。まあ私の世界でも、街の観光案内ひとつとっても色んな出版社から何冊も出てるもんね。
「どれから読もうかな…」
「それではまずこちらから読むのはいかがですか?大魔王国の最大手出版社から出ている人気の情報誌ですよ。」
「じゃあそれにする。」
「かしこまりました。」
ミーアは私の隣に腰掛け、見やすいように雑誌を膝に広げてくれた。
「王都の街並みがよくわかる写真ですと…こちらですね。」
「わあ。思ったより普通だね。」
街行く人達の姿は異形だけど、街並み自体は普通。ちょっと昔のヨーロッパって感じ。私自身は日本から出たことないけど。汚らしい感じもなく、かと言って近代ファンタジーな感じもなく、いたって普通。まあお城の中がちょっとアンティークっぽい以外は普通だからそんな気はしてたけど。
「街の中ってどんな感じ?治安とか。」
「そうですね。王都は良い方だと思いますよ。魔王様の管理下ですから。王都から離れた都市になりますと治安の方はピンキリですね。領主が治安維持に積極的な場合は安全な街となりますが、そうでない場合は犯罪者が野放しになっている状態ですから。」
「そうなんだ。」
「それでも人間の国よりは治安は良いのではないでしょうか。」
「そうなの?」
「人間というのはとにかく数が多いですからね。その分犯罪も多発します。また、魔族の国との大きな違いは、人間の国では誘拐や人身売買が横行しているという点ですね。」
「奴隷精度って大魔王国の属国になった時に廃止されたんじゃなかったっけ?」
「その通りです。しかし未だに根絶やしにすることはできておりません。彼らは地下に潜り、秘密裏に人身売買を続けているのです。」
10
あなたにおすすめの小説
ハイエルフの幼女に転生しました。
レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは
神様に転生させてもらって新しい世界で
たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく
死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。
ゆっくり書いて行きます。
感想も待っています。
はげみになります。
転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流
犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。
しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。
遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。
彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。
転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。
そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。
人は、娯楽で癒されます。
動物や従魔たちには、何もありません。
私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!
義弟の婚約者が私の婚約者の番でした
五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」
金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。
自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。
視界の先には
私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
レティシア公爵令嬢は誰の手を取るのか
宮崎世絆
ファンタジー
うたた寝していただけなのに異世界転生してしまった。
公爵家の長女レティシア・アームストロングとして。
あまりにも美しい容姿に高い魔力。テンプレな好条件に「もしかして乙女ゲームのヒロインか悪役令嬢ですか?!」と混乱するレティシア。
溺愛してくる両親に義兄。アームストロング公爵の他に三つの公爵家のそれぞれ眉目秀麗な御子息三人も、才色兼備で温厚篤実なレティシアに心奪われ三人共々婚約を申し出る始末。
十五歳になり、高い魔力を持つ者のみが通える魔術学園に入学する事になったレティシア。
しかし、その学園はかなり特殊な学園だった。
全員見た目を変えて通わなければならず、性格まで変わって入学する生徒もいるというのだ。
「みんな全然見た目が違うし、性格まで変えてんだからもう誰が誰だか分からない!! 乙女ゲームの舞台かも知れないなんて知ったこっちゃない! 恋愛ど素人には荷が重いから、レティシアとバレずに平穏な学園生活送りたい! お願いだからモブとして学生生活エンジョイさせて!!」
果たしてレティシアは正体がバレる事なく無事卒業出来るのだろうか?
そしてレティシアは誰かと恋に落ちることが、果たしてあるのか?
レティシアは一体誰の手(恋)をとるのか。
これはレティシアの半生を描いたドタバタアクション有りの痛快学園コメディ……ではなく、れっきとした異世界ファンタジー感のある恋愛物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる