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第84話 闇の獣人、廃村を巣食う魔物退治と村を修復する

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 廃村に着いた俺は早速村に巣食っていた魔物退治をすることになった。

 魔神王の四人には村の周辺の魔物の一掃を命じておいた。四人が同時に頷くと東西南北の四方に向かって散っていく。

 俺は相変わらず全裸のままだったので、マントで前を隠してから屋根の上に飛び乗って分身を50体ほど作ってから、ゴブリンの寝泊りしている廃屋へと足を踏み入れた。

 分身のうち2体は村の入り口に待機させてある。ゴブリンが村の外に逃げ出さないためだ。

 残りの2体は村の裏口にて待機。海へと通じる道があるそうだが、たまにそこから水棲の魔物が村にやってくるらしいので警戒の為に待機させておく。

 残りの40体の分身達は畑に向かわせて、そこで死んだ土を蘇生させるために射精させまくっている。それも単発じゃない。連続射精させて畑に光る精液をどんどん浴びせていく。

 こんな事もあろうかと、俺は体感時間で12時間ほど休んでいる間に、精液ポーションの効果が更に上がるようにと、「王者の霊衣」の効果をさらにアビリティ書き換え(精液必須)で1000倍から3000倍に上げておいた。

 おかげでマントの効果を1上げるのに精液ポーション10万本だから、2億本になる。

 だが、精液ポーション必要数半減のアビリティのおかげで1億本で抑えられた。

 何でアビリティ強化の2万倍にしないのかというと、あれだと強すぎるからだ。俺はこの村を聖地にしたいわけじゃない。そりゃ神様達がそうしてほしいと頼むのならそうするけど、あいにく今回の依頼は廃村になった村を元通りにして活性化させてほしいという内容だ。

 それに魔神王との戦いでわかったが、アビリティ強化は切り札として有効だ。

 普段なら魔法なんてほとんど通用しないといわれるあの魔神王が、2万倍に増大した「発情」のアビリティの前に全員、発情してしまった。

 さらにもう一度2万倍にして「発情」をかけたら、全員が淫獣と化してしまったほどだ。

 なら切り札をあまり濫用するわけにはいかない。そういうのは秘匿しておいて、いざという時に使うべきだ。

 そんな訳で俺の分身達の放つ精液は、以前の1000倍よりもはるかに質がいい3000倍の濃度になっている。

 その分だけ、亀頭部の鈴口から透明な液体が際限なくにじみ出ているのは否めないが、浄化魔法ピュリファイをかけているから、村の家屋を汚すことはない。何事にも正の面と負の面があるものだ。こればかりは仕方ない。

 もちろん畑をどんなに活性化させても耕す者がいないと意味がないし、実際には人が住んでもらわないといけないのは当然のことだ。俺は村長になるつもりはないと神々に念を押したらそれでいいと言われた。とにかく自分達が直接手出しをすることは、よほどの強力な悪魔か邪神でない限りは女王神によって禁じられているので、あのゴブリンや地下に巣食う怪物達だけでもなんとかしてくれ、とのことだった。

 

 大地の大精霊達に命じておいたので、俺がゴブリン退治を終える頃には肥料をばらまいた時と同じような状態の土になっているだろう。光る精液を見てその波動の高さに驚いた大精霊達は狂喜乱舞に近い状態で、同じような精神状態の風の大精霊と共に精液を畑全体に届くようにして、村およびその周辺の土地と空間の浄化に異常なほど乗り気でいる。

 残りの6体の分身は、水の大精霊に命じて水を呼び込んだ井戸に射精しまくっている。

 これで地下の水脈にまで光る精液が染みこんでいって、地下水脈を浄化し、水質が上がるので水の大精霊達はとても喜んでいる。

 後は村の中の廃屋に巣食ったゴブリンを退治するだけだ。

 とにかくゴブリンは繁殖力が強い。俺がアンガーの魔法で村の中央から村全体に範囲を拡大してやると、それほど動きは早くないが、のそのそと100体以上のゴブリンが現れてきた。

 そして村の中央にいる俺の存在を認めると、手にもった棍棒やナイフで一斉に襲い掛かってくる。

 だがあらかじめ打合せておいた通り、セレソロインがやりたがっていたのもあって、今回は彼に一任した。
 
 いや目玉の精霊に性別があるのかは知らないけど、便宜上、彼と呼ぶことにしている。

 ちなみに話が脱線するが、セレソロインがやけに乗り気だったのは一番最初に俺の大精霊になったのに、出番をエペランにとられ続けているからだけじゃないようだった。

 どうも俺が上位魔神達との戦いを繰り広げていた時に、俺が心配で実は密に時空の大精霊達は俺の行動を見ていたらしい。

 それが終わったら今度は魔神王を4体も倒して下僕にしてしまった。

 しかも性奴隷にしてしまったことが、時空の大精霊達の関心を強く引いてしまったようで…。

 つまり彼等もセックスの快感というものに興味を持ってしまったようだった。

 だから恐る恐る、俺が寝ようとしている時にセレソロインがやってきて、人間の性の営みについて質問してきた。

 どうも今まで興味がなかったので、調べようと思えば調べられたのだが、そういう器官がないので目にしても大して関心はもたなかったらしい。

 そこで俺に人間の姿に変えられることは可能かと聞いてきたので、可能だと答えたら人間の女の子になって俺に性的な奉仕がしたいと言ってきた。

 俺は「形態変異」でセレソロインを目玉の精霊から美少女に変異させてやった。

 後は…もう説明しなくてもわかるだろう。予想以上の美少女になって、その名器のすばらしさは彼女の中に挿入した肉棒がすぐに射精しないように、俺が必死に耐えないといけないほどだった。

 こうしてセレソロインは、俺の愛人の一人としてたまに俺に性的なご奉仕をすることを約束してくれた。

 わずか3時間ほどの性交だったが、それでも人間の美少女になって俺と交わったセレソロインは、すごく喜んでくれて、初めて何度も逝ったことが新鮮だったのか、完全に俺の虜になってしまい、さらには取り巻きの一人となってしまってエペランと張り合って口喧嘩するほどになった。

 そのセレソロインが、ゴブリン達を空間操作で次々と別の空間へと放り込んでいく。

 一体どこに転移させているのかと思ったら、なんと火山の噴火口だった。そりゃゴブリンって大して遺体に価値はないし、もっている装備品もボロっちいのばかりだからそういう処分したくなるのはわかるけどな。

 女や子供のゴブリンはダンジョンの浅い階層にいるゴブリン達の方へと転移させられていった。

 こうして僅か数十秒でこの村のゴブリン達は一匹もいなくなってしまった。

 「御苦労さん。しかし時空の大精霊のお前がこんな雑魚を相手にしてしまって、お前の名誉とかプライドとかに傷がついたりしないのか?」

 と、俺が聞くとセレソロインは触手をブンブンと左右に勢いよく振って否定した。

 「そんな名誉とかプライドよりもラフィアス様の方が大切です! あの汚らわしいゴブリン達の汗やヨダレがご主人様に付いたらと思うと…我慢できません!」

 若干引いている俺を尻目に「雄の成人ゴブリンは焼却よー!」とか言っている。よほど俺にゴブリンを近づけたくないんだろうな。

 確かにあいつら滅多に風呂に入らなくて不潔だからな。そんな事を考えながら、村全体を「新・覇王竜の叡智」で鑑定してみる。

 すると地下に大きな空洞があることがわかった。

 そこに大型のモンスターが複数、存在していることもわかった。さすがに進化したスキルなだけはあるな。

 どうもゴブリン目当てに大型の蛇型のモンスターが地下に巣食っているらしい。

 この村の家屋の傷み具合からして人が住まなくなって5年や6年ではないとわかっていたが、まさかここまで大きなモンスターが根城にするほどとは思っていなかった。

 こりゃA級クラスの冒険者じゃないと太刀打ちできないだろうな。ゴブリンの軍勢相手にへばった所で、大蛇たちに殺される危険性が非常に高いし。

 俺は地下の大空洞を透視のアビリティを使って調べてみた。鑑定やモンスター分布図だと調べられる範囲に限界があるし、たまにはこうして自分で調べないと大精霊に頼りっきりになってしまう。

 主人としてはそれも正しいんだろうが、俺がダメ獣人にならないためにもこういう風に自分で頭を悩ませて動くっていうのは大切なことだと思うんだよな。

 そんなわけで俺は面倒だから地下への入り口を見つけたら、分厚い鋼鉄の扉を粉砕して地下へと乗り込んでいったのはいうまでもない。

 扉? もともと大蛇が通った時に壊れていたから問題ないんだよ。後で修復するか、もっといい扉を設置すればいいだけだしな。

 覇王竜のマントのおかげで地面の上を滑るようにして浮きながら移動する俺は1分も経たない内に、やたらと開けた空間へと出た。

 そこには大小さまざまな大蛇がいた。音もなく来た俺を排除しようとしたのか、食おうとしたのかわからないが、大口を開けて威嚇している。

 ほーう。どうやら俺が只者じゃないとわかったようだな。俺はフェランさんに念話で、こいつらは罪のない人間を食ったことがあるのか? と聞いたら、すぐに「あります。それも村をあきらめきれないで様子を伺う為に戻ってきた人を何人も」という返事が。

 はい有罪。おまえらが人間を誰も食わずにいたら他の荒野とかに放り込んで見逃してやるつもりだった。

 そして食ったのは夜盗や盗賊だったら、そいつらが誰かを犯す、殺す、盗むの行為を食い止めたということで、これも見逃してやる理由にはなった。

 だが何の罪もない人間を食ったのは許せん。というわけで俺は神剣召喚で小さい蛇から始末していった。

 もちろん大蛇達も大人しく殺されるわけではないので襲い掛かってきたが、俺からしたら鈍くてあくびが出るほどだった。

 そんなわけで大蛇の繰り出すかみつき攻撃をあっさりと回避しては神剣召喚して、一匹ずつ殺していった。

 本当なら安楽死させてやろうかと思ったが、こいつらには恐怖と絶望を味わいながら死んでもらうことにした。

 そしてセレソロインに命じて、地下の大空洞の強度を上げて俺が大技を出しても大空洞が崩壊しないようにしてもらった。

 おかげで俺がレベル1の海神王の槍を一番大きな、おそらくこの群れのボスにして親と思われる大蛇の頭部に投げても、大空洞が崩壊することはなかった。

 いつもなら寿命を奪うのだが、たまにはこうして槍の威力を確認するのも悪くない。

 それが罪なき者を食ったモンスターなら実験材料にしても罰は当たらないだろうしな。

 もっとも今回の実験でわかったのは、海神王の槍は威力が強すぎるということだった。

 まさか頭部目掛けて槍を投げたら、頭だけじゃなくて下の蛇体まで吹っ飛ばすとは思わなかった。

 おかげで大蛇の上半身のほとんどが爆砕されて、バタバタと動いていた蛇体も見苦しいし、うるさいので、リビングホイールの遺体を闇の中の空間から投げつけて何度も叩きつけることで無理矢理、静かにさせた。

 一番大きな大蛇は40メートル近くあったが、上半身が海神王の槍で爆砕されて、残った蛇体はリビングホイールの遺体で叩き潰されて見るも無残なありさまだった。

 だが俺はこいつが生きるためとはいえ、俺の同胞として大切な人間を喰い殺したのだから、こんな無残な結末を迎えたのは当然のことだったので、何の感慨もわかなかった。

 他の蛇の遺体は闇の中の空間に収納したが、このボス蛇の遺体は収納する気にはなれなかった。

 よって浄化魔法・ピュリファイを使って血や肉片を浄化した後は、エペランを呼んでこの人喰い大蛇の遺骸を食べてもらうことにした。
 
 エペランは予想以上にご機嫌で人喰い大蛇の遺骸を食べてくれた。

 巨大化して大蛇の遺骸を一気に取り込んで、30秒ほどかけて消化していく。

 思っていたよりも美味だったらしくて、俺がダンジョン内に戻れと命じたら、コア・ブランチと同じように鼻歌を歌いながら戻っていった。


 その後はスリナ達魔神王と連絡を取り合った。

 村の周囲には思っていたより強い魔獣や魔物はおらず、盗賊などを見つけたが、俺が事前に命じた通りに殺さないでそのまま気絶させるだけにしておいてくれたようで、安心した。

 これで村の周囲の脅威は一先ず去った。

 俺は土魔法で頑丈な土壁を作ったらどうだろうと大地の大精霊達に頼んだら、畑が浄化されて土が活性化されたので上機嫌になっていたせいか、それなら我々にお任せください、と言ったと同時に、材質不明のやたらと分厚い岩が地中からせりあがってきて、あっという間に全長15メートルほどの壁になって村の周囲を覆ってしまった。

 これなら空を飛ぶモンスターや地下を掘り進むのが得意なモンスターでない限りは、そうそう手が出せないだろうな。

 一体どんな材質の岩の壁なのかと大精霊達に聞いてみたが、花崗岩を使ったのだという。

 確か溶岩が元で、風や熱に強い岩石だっけ?

 そう思って質問したらその通りだという。さらに厚さも30センチにしたので、破城槌でも持ってこない限りはそう簡単には破られないし、念の為に3重にしたのだという。

 ということは厚さ90センチか。これならモンスターの軍勢が押し寄せてきても大丈夫だな。

 「後は種まきだが、どんな種をまくんだ? 俺も手伝おうか?」

 「ご安心を。すでに分身の皆様が射精活動を終えて、種まきをしておりますので本体のラフィアス様はその必要はありませんです」と、モグラの頭部をもった大地の大精霊リュンファールが答えてくれた。

 「それじゃ他は…そうだな。家屋も全部花崗岩にするか? 今の村の中の家は全部、木造だから火事になったら大変だろうしな」

 「それは良い考えですな、ラフィアス様。早速実行しましょう。それでお願いがあるのですが…」

 急に首をかたむけてつぶらな瞳を俺に向けてくる、リュンファール。あ、これおねだりする時の顔だわ。

 「その、ラフィアス様の精液ポーションを何本か譲ってもらいたいのです。それを一瓶飲めば、村中の家を壊して、代わりに花崗岩でできた家を100件ほど建てられますのでお願いしたいのですが…」

 俺はダンジョン内にいるエペランに命じて10本ほど最新の精液ポーションをもってきて、リュンファールに渡してもらった。

 さっそく飲んだリュンファールは一瓶をゆっくりと時間をかけて飲みきった。体感時間でおよそ5分ほどだろうと思われた。

 それからはやたらとハイになったリュンファールによって壊れかけていた廃屋が次々と潰されては、花崗岩でできた家が作られていき、100件ほどの花崗岩の家ができた後は、リュンファールの労いと村の浄化を兼ねて、俺も竜王の息吹、覇王竜の息吹、パーフェクトヒール、アルティメットヒール、ピュリファイの五種類を同時に起動して村を浄化し、癒していった。

 こうして耐久性の優れた花崗岩を使った家は大地の大精霊、リュンファールのおかげで朝までに全部建て直されていった。
 
 家屋の残骸は火の大精霊カルテナという女精霊がセレソロインと知り合いらしく、二人で火事にならないように燃やして灰にしていった。

 これで村の最大の懸念だったモンスターは全部倒した。再度鑑定してみたし、モンスター分布図のアビリティも使ってみたが、まるで反応がないので間違いない。

 後は家を建て直したので、その中や井戸、作物、公共施設など作るべきだろうか?

 とにかく今は村の中をもう一度見まわるべきだと思い、俺は覇王竜のマントの効力でまた空を飛んで村の中を低空飛行してみて回ることにした。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 村に巣食うモンスター退治はできましたし、家屋も大精霊のおかげで新たな家が建てられました。

 畑も浄化され、活性化して種も植えられて早くも若芽が出るほどに。

 そして井戸も浄化されて水汲みも可能になりました。

 問題はこの後ですね。村を立て直しても住む人がいない。

 次回は村の修復の休憩の間にラフィアスが神様達の話を聞く内容です。

 それでは読んで頂きありがとうございました。 

 
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