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第11話
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僕の幼馴染みは鈍感である。
それはもう本当に、わかってとぼけてるんじゃないかと思うほどに。
「レイ、今回も無事ラーテリィ嬢の邪魔は出来たのか?」
「……違うよ。彼らの、本来迎えるハッピーエンドの手助けをしただけだ」
「モノはいいようだな」
ははは、と笑いながら透明の酒が入ったグラスを揺らす、僕の気心知れた友人。
その友人ことアルベルト・タータニアは、この国の第1王子である。
幼い頃から父の仕事でよく城には行っており、他の貴族より交流があった僕は、アルといつの間にか仕事の話から恋バナまで…いろんな話をする親友と呼ばれる仲になっていた。
幼馴染みとはまた違う、そんな仲。
「それにしてもこの酒美味いな」
「でしょ。まあ最初の段階でも十分美味しかったけど、アドバイスを素直に受け入れてくれたからより美味しくなったね」
「素直な人達でよかったな。ほんとに飲みやすい、何にでも合いそうだ」
アルのグラスに入っている酒は、僕が…マクニール家が長期契約したレマダリ家の酒。
試用販売元を募集していたので、僕がラティに内緒で立候補したのだ。
僕や父上のアドバイスを元に改良を重ね、出来上がった最高傑作。
マクニール家が持っている飲食店で卸す用に、長期契約を結んで安定した収入を約束した。
これでレマダリ家のしばらくの財政状況についての問題は解決。
「でも最初、聞いた時はびっくりしたよ。レマダリ子爵のご子息が縁談を持ち込んでくるなんて…。アンジュ嬢がいるから彼は無害だと思ってたし」
「コルケリア伯爵とレマダリ子爵まあまあ仲良かったしな、モイフナー殿の相手が最初からいなかったら真っ先に縁談を申し込んでただろう」
「彼は優しい人だからね、うっかりラティが恋に落ちてしまう可能性もあった。
2人の間に何があったのかと思えば、ダヴィアン家の問題児アンドレ殿が原因とは……」
余計なことしてくれるよ、と手元にあるティーカップを持ち上げる。
僕の飲み物はコーヒー。
お酒は夜飲むからね、ラティの家で。
「で、レイ。今回は何をした?」
「何って、だから別に」
「いいから。楽しみにしてたんだ、お前のイカれた愛故の行動」
ニヤ、といたずら子のように笑うアル。
僕は王子らしからぬそんなアルの顔をジッと見つめてから、ふぅ、と小さく息を吐いた。
「仕方ないなあ。期待通りじゃなかったからってガッカリするなよ?」
「しないって」
手をヒラヒラさせ、早く僕に話させようとするので仕方なく話し始める。
「まず、は___」
.
僕の幼馴染みは鈍感である。
それはもう本当に、わかってとぼけてるんじゃないかと思うほどに。
「レイ、今回も無事ラーテリィ嬢の邪魔は出来たのか?」
「……違うよ。彼らの、本来迎えるハッピーエンドの手助けをしただけだ」
「モノはいいようだな」
ははは、と笑いながら透明の酒が入ったグラスを揺らす、僕の気心知れた友人。
その友人ことアルベルト・タータニアは、この国の第1王子である。
幼い頃から父の仕事でよく城には行っており、他の貴族より交流があった僕は、アルといつの間にか仕事の話から恋バナまで…いろんな話をする親友と呼ばれる仲になっていた。
幼馴染みとはまた違う、そんな仲。
「それにしてもこの酒美味いな」
「でしょ。まあ最初の段階でも十分美味しかったけど、アドバイスを素直に受け入れてくれたからより美味しくなったね」
「素直な人達でよかったな。ほんとに飲みやすい、何にでも合いそうだ」
アルのグラスに入っている酒は、僕が…マクニール家が長期契約したレマダリ家の酒。
試用販売元を募集していたので、僕がラティに内緒で立候補したのだ。
僕や父上のアドバイスを元に改良を重ね、出来上がった最高傑作。
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これでレマダリ家のしばらくの財政状況についての問題は解決。
「でも最初、聞いた時はびっくりしたよ。レマダリ子爵のご子息が縁談を持ち込んでくるなんて…。アンジュ嬢がいるから彼は無害だと思ってたし」
「コルケリア伯爵とレマダリ子爵まあまあ仲良かったしな、モイフナー殿の相手が最初からいなかったら真っ先に縁談を申し込んでただろう」
「彼は優しい人だからね、うっかりラティが恋に落ちてしまう可能性もあった。
2人の間に何があったのかと思えば、ダヴィアン家の問題児アンドレ殿が原因とは……」
余計なことしてくれるよ、と手元にあるティーカップを持ち上げる。
僕の飲み物はコーヒー。
お酒は夜飲むからね、ラティの家で。
「で、レイ。今回は何をした?」
「何って、だから別に」
「いいから。楽しみにしてたんだ、お前のイカれた愛故の行動」
ニヤ、といたずら子のように笑うアル。
僕は王子らしからぬそんなアルの顔をジッと見つめてから、ふぅ、と小さく息を吐いた。
「仕方ないなあ。期待通りじゃなかったからってガッカリするなよ?」
「しないって」
手をヒラヒラさせ、早く僕に話させようとするので仕方なく話し始める。
「まず、は___」
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