悪役令嬢なお姉様に王子様との婚約を押し付けられました

林優子

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19.絶対阻止!騎士団壊滅イベント2

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「ジョゼフィーヌお嬢様はグロブの森の大暴走スタンビートをご存じだったのですね」
 クルトの言葉にお姉様は肩をすくめました。
「ええ、でもワタクシが知っていたのは、それがある、いえ、あったということだけ。いつ起こったことなのかも、ワタクシは分からなかったの」
「???」
「どういうことですか?」

 二日後、ボロボロヘロヘロで公爵邸に戻ってきた私達は一晩泥のように眠り、お昼に目が覚めました。
 今はお昼を食べています。
「処刑直前で牢屋に入っていた時だから調べようがなかったのよ。ワタクシが知っていたのは、グロブの森の大暴走スタンビートで騎士達が大勢亡くなったことだけ」
 お姉様は紅茶を一口飲んで、喉を湿らせた後、続きを話してくれてました。

「セーガン卿はこの大暴走スタンビートで亡くなったんだと思うわ。ある時から急に、姿を見なくなったから。デュモンド卿も、次見た時は片目を失っていた……」
「そうだったんですか」
「防げて本当に良かったわ。エリリン、クルト、頑張りましたね」
「はい」
「恐縮です、お嬢様」





 ***

「リーザ!」
 おやつの時間になってフレドリック殿下とセーガン卿がやって来ました。
「リーザ。ごめん、無理をさせたね」
 と言うフレドリック殿下の目の下にクマが!

「フレドリック様とセーガン卿の方こそ」
「いや、私は一応王子だし、鍛えているから……」
「強壮剤です。美味しくないけど効きますよ」
 とクルトがお二人に特製ドリンクを差し出します。
 私達はお茶、殿下とセーガン卿は強壮剤をぐびぐびと飲みました。

「あなた方のおかけで命拾い致しました。騎士団を代表して感謝を捧げます」
 セーガン卿はそう言って子供の私達に深々頭を下げました。
 出世したセーガン卿は、今はフレドリック殿下付きを抜けて、騎士団の副団長をしてます。
 セーガン卿は侯爵家の出で、魔王討伐等のこれまでの実績もあり、侯爵位を継がれました。
 同じくデュモンド卿は新たに子爵を授けられましたが、これまで通りフレドリック殿下の側近です。
 本当はお二人とも爵位でお呼びしなければいけませんが、「今まで通りで構いません」とおっしゃるので、卿とお呼びしてます。
 卿とは我が国では騎士爵以上をお持ちの方、つまり平民でないという意味です。そのため上位五爵位をお持ちの方は爵位でお呼びするのが作法マナーです。

「ところでどうしてジョゼフィーヌ嬢は大暴走スタンビートを予見なさったのでしょうか?」
『はっ』
 私とクルトは思わず顔を見合わせましたが、お姉様は落ち着いて答えます。
「文献で、大暴走スタンビートの前は一時魔物が減ると書かれていました。だからもしかして……と」
「そうでしたか、ジョゼフィーヌ様はさすが博識ですな」
「わずかな兆候を見逃さずに君は適切な助言をしてくれた。私から礼を言うよ、ジョゼフィーヌ嬢」
「ありがとうございます」
 お姉様はすましてそう返事しました。

「それより、デュモンド卿は?」
「もしかして、お怪我を?」
 お姉様の前世の話を聞くと心配になっちゃいます。
「あいつはピンピンしてますよ。事後処理をやっております」
「元気だよ、安心してくれ」
「はぁー、良かった」
 思わず安堵の息が漏れます。
「重傷者は出ましたが、幸い死んだ者はおりません」
「良かったぁ」
 お姉様の予言は回避出来たみたいです。

「じゃあ次はお薬ですね」
「はい、じゃんじゃん作りましょう、エリザベートお嬢様」
「頼むから休んでくれ、二人とも」
 とフレドリック殿下があわてて止めます。
「そうですよ。あなた方はまだ子供、無理はいけません」
 とセーガン卿にもたしなめられます。

「それはフレドリック殿下もですわ」
 お姉様は冷静に指摘します。
「そうですぞ、殿下」
 とセーガン卿も言い添えます。そんなセーガン卿にお姉様は言いました。
「セーガン卿、あなたもですよ。あなたに何かあれば、アリシアもカールも悲しみます。殿下もね」
「これは、一本取られましたな。はい、ゆっくり養生させて頂きます」
 とセーガン卿は頭を掻きました。





 ***

 その後も王国では何度か大暴走スタンビートが発生します。
 ですが、予兆を捕らえることで大きな被害は出さずにすんだのでした。
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