悪役令嬢なお姉様に王子様との婚約を押し付けられました

林優子

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21.不穏な足音

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 ジョゼフィーヌお姉様達はいつの間にかフレドリック殿下の側近になったようです。
 側近てそもそも何なんですかね?
「今のところ、ただの雑用よ」
 とお姉様が教えてくれました。

「だけどフレドリック殿下は既に公務をになっているし、扱うのはおいそれと人に見せられない書類ばかりよ。だから殿下の執務室に入れるのは雑用でも信頼出来る人間だけ。それが側近よ」
「僕らだけでなくてクラスメイトからも数人、既にフレドリック殿下の勉強会や文官との資料作成に参加してます。エリザベートお嬢様のクラスメイトのポール・ジョーフィア君もメンバーですよ」
「えっ、ポール君もですか?」
「ええ、フレドリック殿下はいずれ王太子ですから幅広い人脈が必要です。だからあのお三方も排除する気はなかったんですよ」
 あのお三方というのは、卒業パーティの時にあった三人の男子生徒のことです。同じクラスで高位貴族の子弟で幼なじみでもあるようですが、フレドリック殿下は最近距離を置いていたようです。
「でもねぇ、あの様子じゃあ三人は無理ねぇ」
 お姉様はため息を吐きます。
 クルトも腕組みしてうんうんと頷きます。
「無理ですね。フレドリック殿下はエリザベートお嬢様が大好きですから」

 なんか照れます。嬉しいです。
 でも。
「公私混同はいけません、よね?」
「そりゃ駄目だけど、事実でないことを言うのも駄目でしょう。人前で未来の王妃を貶め、未来の王の采配にケチ付けたのよ」
 お姉様は冷たく言いました。





 ***

 私は高等部に入学し、フレドリック殿下達も三年生に進級しました。
 学校の勉強、それから大暴走スタンビートの予兆があれば駆けつけます。
 フレドリック殿下の転移魔法を使うのでひとっ飛びです。
 転移魔法は無属性という本来属性に影響されない魔法ですが、闇魔法の人が得意な魔法です。闇魔法は空間を操ることに長けているそうです。
 私とクルトは転移魔法を使えませんが、フレドリック殿下は王国内ならどこでも自在に行けます。フレドリック殿下は私達を抱えて連れて行ってくれます。
 ただし、ちょっと酔います。

 私とクルトは他に回復魔法使いとして人々の治療や、それから薬作りもしてます。回復魔法は闇以外の火・風・水・光の魔法使いなら誰でも使えますが、光の魔法使いが一番得意な魔法です。
 治療に使うお薬も光魔法でしか育たない植物があるんです。
 レベル6の火・風・水魔法使いとレベル2の光魔法使いの能力がほぼ同等らしいです。
 だから重宝されています。
 でも光魔法使いはあまりいないので、今魔法省の人達は錬金術で義手や義足を作成しています。魔法技術と組み合わせると本物と遜色ないように作れるそうです。
 それと効果的な治療薬の研究もしてます。
 私も研究のお手伝いをしてます。
 ちなみに闇魔法は他者を治療するのは苦手ですが、自己再生能力に優れていて、闇魔法の覚醒者のフレドリック殿下はものすごく丈夫です。

 そんな感じで忙しく過ごしています。さらに王子妃教育もあり、学園に行けるのは週のうち四日くらいです。


 アンナ・モルゲンさんが聖女だという噂になったのは、そんな時でした。
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