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22.ヒロイン対策委員会一年分室
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「言いにくいんだけど、誰かの口から聞くよりは、僕から言いたい」
とクラスメイトのポール君が教えてくれました。
「アンナ・モルゲン嬢が聖女だという噂があるんだ」
クラスじゃ話せないからと、ポール君は自分のお家の公爵家が出資している喫茶店に連れて行ってくれました。個室です。
護衛にカール達も一緒です。
「馬鹿馬鹿しいです。自分も聞いたけど、本当のことじゃないのは騎士団なら誰もが知ってます。親父を助けて、騎士団の皆の命を救ってくれたのは、殿下とエリザベート様です」
とカールが憤ってます。
カールのお父さんはセーガン卿です。
「ですよ!」
とオリガも怒ってます。
オリガのお兄さんはデュモンド卿です。
ポール君は続けます。
「僕も信じてはいない。従兄達が騎士団や魔法師団にいるからね。でも噂になってるのは事実なんだな……」
しゅんとしてカールも同意します。
「俺も聞きました。アンナ嬢は暇があれば救護院に通い人々を癒やす心優しい聖女だそうです」
「エリザベート様も行ってますよね、救護院……」
オルガの言葉にポール君が重々しく頷きます。
「うん、多分、それ、エリザベートさんのことだ。エリザベートさんは聖女の力を使う時、ピンクの髪になるんだろう?」
私は息を呑みます。
ポール君は知らないはずなのに……。
「えっとね、『ここだけの話』で、割と広まっている。白衣の天使って君、救護院で有名なんだよ」
「えっ、そうなんですか?」
「皆、わざと広めたりしないよ。でも、エリザベートさんに助けられて感謝している人はたくさんいるってこと」
カールも頷いてます。
「騎士団もそうです。極秘で『あかつきの乙女』って呼ばれてます。エリザベート様に助けられた人の数が多すぎて公然の秘密です」
「騎士学校に通っている友達も……それ、言ってました」
オリガもいいずらそうに言いました。
確かにグロブの森の大暴走の時は、髪の毛を気にしている余裕はありませんでした。
「モルゲン嬢の髪はピンクだ。誤解される余地はある。でも、否定すればいいだけの話だ。それなのに……」
「否定しないんですか、あの女」
オリガはアンナさんのこと、あの女呼びしてます。
「そこが彼女の狡猾なところだ。肯定はしない。『やだ、恥ずかしい』とか『そんな、私なんかまだまだです』とか言っているようだ」
「なにそれー!」
とオリガがパンとテーブルを叩きます。
「つまり表立って手出しは出来ない。フレドリック殿下に話したら大事になりすぎる。僕は避けた方が良いと思う」
ポール君がそう提案すると、オリガとカールの二人とも首を縦にしてます。
「あ、分かります。フレドリック殿下、エリザベート様が絡むと、何しでかすか分かりませんよね」
「え、そうですか?」
「モルゲン嬢には熱烈な信奉者がいる。モルゲン嬢の光魔法は特筆すべきレベルには達していないと聞いている。冷静に考えるとおかしいのに、彼らはモルゲン嬢を聖女と信じ込んでいる。自衛するに越したことはない。そこで、協力者を集めた」
パンパンと手を叩くと、ドアが開いて、
「あ、あなた達は……」
ベルガモット、アルペンローゼ、ミルクシスル。
同じクラスのお友達です。
「君が聖女なのは、公然の秘密って言っただろう。三令嬢ともご存じだ」
「……秘密にしていてごめんなさい」
中等部からのお友達でしたけど、話せないことが増えて少し距離が出来てしまいました。
三人のご令嬢は私の手を優しく、握ってくれました。
「分かっていますわ、エリザベート様」
「はい、こちらも知っていながら、言えませんでしたもの……」
「私、兄が騎士団に居るんですよ」
「えっ、そうでしたか」
「私は、救護院に姉が」
「私は父が文官をしておりますの」
「カール、オリガの他にエリザベートさんはこの三人のご令嬢となるべく行動してくれ」
「は、はい。でも皆様、よろしいのですか?」
「もちろんですわ」
三人のご令嬢は強く、頷いてくれました。
「じゃあ、結束の記念に甘い物でも食べようよ。ここはフルーツを使ったデラックスパフェというのが美味いらしい」
後は和気あいあいと皆でパフェを食べました。
とクラスメイトのポール君が教えてくれました。
「アンナ・モルゲン嬢が聖女だという噂があるんだ」
クラスじゃ話せないからと、ポール君は自分のお家の公爵家が出資している喫茶店に連れて行ってくれました。個室です。
護衛にカール達も一緒です。
「馬鹿馬鹿しいです。自分も聞いたけど、本当のことじゃないのは騎士団なら誰もが知ってます。親父を助けて、騎士団の皆の命を救ってくれたのは、殿下とエリザベート様です」
とカールが憤ってます。
カールのお父さんはセーガン卿です。
「ですよ!」
とオリガも怒ってます。
オリガのお兄さんはデュモンド卿です。
ポール君は続けます。
「僕も信じてはいない。従兄達が騎士団や魔法師団にいるからね。でも噂になってるのは事実なんだな……」
しゅんとしてカールも同意します。
「俺も聞きました。アンナ嬢は暇があれば救護院に通い人々を癒やす心優しい聖女だそうです」
「エリザベート様も行ってますよね、救護院……」
オルガの言葉にポール君が重々しく頷きます。
「うん、多分、それ、エリザベートさんのことだ。エリザベートさんは聖女の力を使う時、ピンクの髪になるんだろう?」
私は息を呑みます。
ポール君は知らないはずなのに……。
「えっとね、『ここだけの話』で、割と広まっている。白衣の天使って君、救護院で有名なんだよ」
「えっ、そうなんですか?」
「皆、わざと広めたりしないよ。でも、エリザベートさんに助けられて感謝している人はたくさんいるってこと」
カールも頷いてます。
「騎士団もそうです。極秘で『あかつきの乙女』って呼ばれてます。エリザベート様に助けられた人の数が多すぎて公然の秘密です」
「騎士学校に通っている友達も……それ、言ってました」
オリガもいいずらそうに言いました。
確かにグロブの森の大暴走の時は、髪の毛を気にしている余裕はありませんでした。
「モルゲン嬢の髪はピンクだ。誤解される余地はある。でも、否定すればいいだけの話だ。それなのに……」
「否定しないんですか、あの女」
オリガはアンナさんのこと、あの女呼びしてます。
「そこが彼女の狡猾なところだ。肯定はしない。『やだ、恥ずかしい』とか『そんな、私なんかまだまだです』とか言っているようだ」
「なにそれー!」
とオリガがパンとテーブルを叩きます。
「つまり表立って手出しは出来ない。フレドリック殿下に話したら大事になりすぎる。僕は避けた方が良いと思う」
ポール君がそう提案すると、オリガとカールの二人とも首を縦にしてます。
「あ、分かります。フレドリック殿下、エリザベート様が絡むと、何しでかすか分かりませんよね」
「え、そうですか?」
「モルゲン嬢には熱烈な信奉者がいる。モルゲン嬢の光魔法は特筆すべきレベルには達していないと聞いている。冷静に考えるとおかしいのに、彼らはモルゲン嬢を聖女と信じ込んでいる。自衛するに越したことはない。そこで、協力者を集めた」
パンパンと手を叩くと、ドアが開いて、
「あ、あなた達は……」
ベルガモット、アルペンローゼ、ミルクシスル。
同じクラスのお友達です。
「君が聖女なのは、公然の秘密って言っただろう。三令嬢ともご存じだ」
「……秘密にしていてごめんなさい」
中等部からのお友達でしたけど、話せないことが増えて少し距離が出来てしまいました。
三人のご令嬢は私の手を優しく、握ってくれました。
「分かっていますわ、エリザベート様」
「はい、こちらも知っていながら、言えませんでしたもの……」
「私、兄が騎士団に居るんですよ」
「えっ、そうでしたか」
「私は、救護院に姉が」
「私は父が文官をしておりますの」
「カール、オリガの他にエリザベートさんはこの三人のご令嬢となるべく行動してくれ」
「は、はい。でも皆様、よろしいのですか?」
「もちろんですわ」
三人のご令嬢は強く、頷いてくれました。
「じゃあ、結束の記念に甘い物でも食べようよ。ここはフルーツを使ったデラックスパフェというのが美味いらしい」
後は和気あいあいと皆でパフェを食べました。
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