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07.ティータイム①(詰んでることが判明)
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「お腹すきましたよね、喉渇いたし、すごく嬉しいです、私」
と王子に同意を求めたが、王子の答えは無言だった。
「…………」
彼は無言でうつむいた。
「王子、頑張ってー」
アラン様がやる気ない感じの声援を送った。
「諦めないで頑張れば、そのうち舌出し入れしたり、噛んだり、唾液飲ませたり、歯が当たる位のぐっちょんぐっちょんのキス出来るから」
横から聞いちゃったけど、それはないわー。
「入れ」
テレンス様がドアを開け中に入れたのは、ケーキと紅茶セットが載ったティーカートとそれを押す騎士だ。
騎士の人は王子とついでに私に一礼すると、テキパキとテーブルにお茶の用意をしてくれる。
「うわーい」
と座り直したが、私は妙なことに気付いた。
お茶は私と王子の前に一つずつ。
ケーキは、八種類あるが、どれも一つずつ。それらはみっしり私の目の前に置かれた。
横を見ると、王子の前には、一皿だけ。
チーズとドライフルーツ?
私はケーキが来たと言うのに相変わらず立っているお二人に尋ねた。
「お二人の分は?」
「何あるか分からないので、護衛中は基本飲食しません」
というのがアラン様の答えだった。
「……お茶も?」
「左様です」
と頷かれてしまった。
横を見ると王子は気にしていない感じでお茶を飲んでいる。
じゃあ良いのかな?
「あーのー、殿下、こっちのイチゴのショートケーキ、食べて良いですか?」
と私は王子に聞いた。
「ああ」
「あ、王子は甘いのもの好きではないのでケーキは食べません」
アラン様が教えてくれる。
「えっ、ではこれは全部私の分ですか?」
嬉しいというより、戸惑った。
チョコレートケーキ、チーズケーキ、プリン、フルーツタルト、イチゴのショートケーキ……etc.ケーキは大好きだけど八個はさすがに食べられない。
「あれ?ケーキ嫌いですか?」
「大好きですが、さすがに全部は食べられません」
「エルシー様のためにご用意したものです。お好きなのものをお召し上がりください」
「はい、では、遠慮なく……」
そういうわけで私はイチゴのショートケーキから頂いた。
「美味しい……」
すっごい、幸せ。
癒やされる。
「女の子はケーキ好きですね」
とアラン様が言う。
「滅多に食べられませんからね」
我が国、周辺国と比べても決して貧乏ではないし、我が家も貴族だからまあまあ裕福と言える。
ですが、高価なんですよ、ケーキの材料。
特にふわふわスポンジケーキ系は作れる職人も少ないし、贅沢系なのだ。
フルーツも高価だ。チョコは輸入品なのでもっと高価。
王宮のケーキ、さすがだなぁ、すごく美味しい。
こんなに濃くてふわっとした口当たりのホイップクリームって初めて食べた。
ふと、横から視線を感じた。
王子がじっと私を見ている。
「殿下、やっぱり食べますか?美味しいですよ」
「いや、美味しそうに食べるなと思って……」
「美味しそうではなく、美味しいのですよ」
「あーんしてあげてください。エルシー様」
とアラン様が面白そうに言う。
「いいですけど、でも殿下甘いの嫌いって言ったじゃないですか」
王子は眉をひそめた。
「あーんとは」
「あーんはあーんです。これです」
と私は新しいフォークを使って一口の大きさに切り、ブスッと刺し王子の口元まで運んだ。
「…………」
王子は当惑した様子で私とケーキを見た。
「あ、やっぱり甘いの駄目そうですか?」
引っ込めようとしたら高速で腕を捕まれた。
「食べる」
「美味しいですか?」
「幸せ過ぎて味は分からない」
と王子は答えた。
「ケーキ美味しいですよね。チーズ好きならチーズケーキいきますか?」
すごく美味しいけど一人で食べるとやっぱり味気ないというか、ケーキは特に誰かと一緒に食べたい。
だから王子が食べてくれるのは嬉しい。
「王子、こういう時、食べさせあいっこするんですよ」
とアラン様が言った。
美形がハッと息を呑んだ。
と王子に同意を求めたが、王子の答えは無言だった。
「…………」
彼は無言でうつむいた。
「王子、頑張ってー」
アラン様がやる気ない感じの声援を送った。
「諦めないで頑張れば、そのうち舌出し入れしたり、噛んだり、唾液飲ませたり、歯が当たる位のぐっちょんぐっちょんのキス出来るから」
横から聞いちゃったけど、それはないわー。
「入れ」
テレンス様がドアを開け中に入れたのは、ケーキと紅茶セットが載ったティーカートとそれを押す騎士だ。
騎士の人は王子とついでに私に一礼すると、テキパキとテーブルにお茶の用意をしてくれる。
「うわーい」
と座り直したが、私は妙なことに気付いた。
お茶は私と王子の前に一つずつ。
ケーキは、八種類あるが、どれも一つずつ。それらはみっしり私の目の前に置かれた。
横を見ると、王子の前には、一皿だけ。
チーズとドライフルーツ?
私はケーキが来たと言うのに相変わらず立っているお二人に尋ねた。
「お二人の分は?」
「何あるか分からないので、護衛中は基本飲食しません」
というのがアラン様の答えだった。
「……お茶も?」
「左様です」
と頷かれてしまった。
横を見ると王子は気にしていない感じでお茶を飲んでいる。
じゃあ良いのかな?
「あーのー、殿下、こっちのイチゴのショートケーキ、食べて良いですか?」
と私は王子に聞いた。
「ああ」
「あ、王子は甘いのもの好きではないのでケーキは食べません」
アラン様が教えてくれる。
「えっ、ではこれは全部私の分ですか?」
嬉しいというより、戸惑った。
チョコレートケーキ、チーズケーキ、プリン、フルーツタルト、イチゴのショートケーキ……etc.ケーキは大好きだけど八個はさすがに食べられない。
「あれ?ケーキ嫌いですか?」
「大好きですが、さすがに全部は食べられません」
「エルシー様のためにご用意したものです。お好きなのものをお召し上がりください」
「はい、では、遠慮なく……」
そういうわけで私はイチゴのショートケーキから頂いた。
「美味しい……」
すっごい、幸せ。
癒やされる。
「女の子はケーキ好きですね」
とアラン様が言う。
「滅多に食べられませんからね」
我が国、周辺国と比べても決して貧乏ではないし、我が家も貴族だからまあまあ裕福と言える。
ですが、高価なんですよ、ケーキの材料。
特にふわふわスポンジケーキ系は作れる職人も少ないし、贅沢系なのだ。
フルーツも高価だ。チョコは輸入品なのでもっと高価。
王宮のケーキ、さすがだなぁ、すごく美味しい。
こんなに濃くてふわっとした口当たりのホイップクリームって初めて食べた。
ふと、横から視線を感じた。
王子がじっと私を見ている。
「殿下、やっぱり食べますか?美味しいですよ」
「いや、美味しそうに食べるなと思って……」
「美味しそうではなく、美味しいのですよ」
「あーんしてあげてください。エルシー様」
とアラン様が面白そうに言う。
「いいですけど、でも殿下甘いの嫌いって言ったじゃないですか」
王子は眉をひそめた。
「あーんとは」
「あーんはあーんです。これです」
と私は新しいフォークを使って一口の大きさに切り、ブスッと刺し王子の口元まで運んだ。
「…………」
王子は当惑した様子で私とケーキを見た。
「あ、やっぱり甘いの駄目そうですか?」
引っ込めようとしたら高速で腕を捕まれた。
「食べる」
「美味しいですか?」
「幸せ過ぎて味は分からない」
と王子は答えた。
「ケーキ美味しいですよね。チーズ好きならチーズケーキいきますか?」
すごく美味しいけど一人で食べるとやっぱり味気ないというか、ケーキは特に誰かと一緒に食べたい。
だから王子が食べてくれるのは嬉しい。
「王子、こういう時、食べさせあいっこするんですよ」
とアラン様が言った。
美形がハッと息を呑んだ。
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