お前の辞書に自重って文字を加えてくれないかな!?

かむかむ

文字の大きさ
41 / 107
暗雲

第39話 スライムの効能(前)

しおりを挟む
 流石に多少時間を置いただけでは回復しきれなかったのか、旭陽が吐き出す絶頂の証は既に色がない。

 それでもさっきから精液が零れる度に、弱りきっていたスライムが回復していくのが伝わってきた。
 繋がっているからこそ気付けることだが、この個体の渇きは予想を遥かに上回る。
 多分普通の人間からだったら、ヤり殺す勢いで搾り取っても何一つ変わらないほどだ。
 それがはっきり回復しつつあると感じられるんだから、旭陽の魔力は余程上質なんだな。いや、分かってたけど。

「ッヒ、ぃ゛イああッ!? ゃっぁ゛ッ、ァひっ! ひぐっ、ッャ……! っぁ、きィ……っ!」

 感心している間にも、旭陽は俺の手に爪を立てて止まらない絶頂に耐えていた。
 シーツから腰を浮かせて、困惑と微かな恐怖を綯い交ぜにした嬌声をひっきりなしに上げている。

 ここまで露骨に混乱しているのは珍しい。
 色のない精液を吐き出し続けている狭い孔に、ゼリー状の体を細めて潜り込ませた。

「、ァ゛、ッ!」

 息を吸おうとして失敗したような、引き攣った音が空気を震わせた。
 目一杯見開かれた黄金が、過剰な刺激にぶるぶると震えている。

 旭陽が我に返るより先に、狭すぎる路を逆さに辿って奥を目指していった。

「ッぁ、あっヒッ――ぃ゛ゥっ……ッ」

 俺の意思通りに動くスライムの動きに合わせて、がく、がく、と褐色の腰が揺れる。
 体も頭も、人の手では到底再現できない刺激に理解が追い付いていないようだ。
 訳が分からないって顔も可愛いけど、やっぱり気持ち良すぎて取り乱してる声のほうが良いな。

 意識を俺のほうへ引き戻すべく、痙攣している腸壁へ一斉に齧り付かせた。
 一層大きく全身がしなる。

「――ッあ゛ぁああーーッ゛ッ!」

 咆哮じみた悲鳴が耳を打った。
 吐き出すものがないまま、胎内が激しく蠢いている。
 俺の手とシーツを、切羽詰まった力ががりがりと引っ掻いた。

「旭陽」

 耳にキスを落とせば、それだけで「ひっ」と啼いて新たな精を零した。
 痙攣する体に腕を回し、上半身を引き起こす。

「ッぁう! ッひ、ァ゛ぐっ、ぁっ、ァううッ……!」

 触れられるだけでもつらいのか、旭陽が腰をがくがくと震わせながら大粒の涙を落とした。
 痙攣が止まらない体を起こさせて、背中を俺の胸板を凭れ掛からせる。

 うん、こっちのほうが触りやすい。
 満足しながら首筋に吸い付き、両腕で旭陽の体を抱き締めた。

「ッンア! っゃ゛、だ、っぁき、ィ゛ッ、さわっ……!」

 背後から唇を押し付けて、痕が残らない程度に肌の味を確かめる。
 舌を滑らせていると、力が入っていない体をびくつかせながら旭陽が何かを訴えてきかけた。

 触られると余計につらいんだろうな。
 否定されるより前に、尿道口から侵入させていた体を精嚢の中へ押し込ませる。

「ッぁ゛ッっひ!?」

 がち、と歯が鳴った音がした。
 一気に緊張した体を抱き締めて、精嚢の中へ催淫効果を持つ体を流れ込ませていく。

「ッひぐっ、ィッ、ぁ゛あーッ! ゃ゛っアッ、ッ! ぁッぎ、ッひィ゛いーーっ!」

 嫌がって逃げようとする体を両腕で抱き留め、結腸を拡げている体をぶるぶると震わせる。
 本来なら勢いよく噴き上がるはずの精液は、出口から精嚢まで全てを埋め尽くしているスライムの体内にじわじわと広がるだけに留まった。
 今のはあんまり射精感はなかったかもしれない。

 慰めるように腹部を撫でると、旭陽の泣き声が一層大きくなる。

「ひァッ、あっ、ッっか――ッア゛、ら、っぁき、ッぁ、つ゛ぃい……っ!」

 完全に力が抜けている全身を俺に預けきって、ぐずぐずと旭陽が泣きじゃくっている。
 熱いってことは、スライムの催淫効果は確かだったようだ。

 ……つまり今って、前も後ろも性感帯が媚薬で満タンにされてる状態か?
 ちょっとやりすぎだろうか……。

 心配になって見下ろせば、焦点がぶれ始めている黄金と目が合った。
 肩に乗せられた頭は後ろに仰け反って、ちょうど俺を仰ぎ見る姿勢になっている。

 あ、キスしやすそう。
 そう感じてしまえば我慢できなくて、泣いている男の口に唇を重ねた。

「ッン゛んぅ!」

 驚きか快感か、引き攣った呼吸が跳ねる。
 熱い口腔を掻き回し、舌を絡め取った。

 いつもなら何らかの反応があるそれも、今は応えることも逃げることもできない様子だ。
 力なく痙攣している舌に甘く噛み付き、じゅうじゅうと吸い上げる。

「ッぅ゛、ぁッン、ン゛ぅうー……ッ!」

 ぷしゃ、とスライムの中に透明の液体が吐き出された。
 精とはまた違った味に、また繋がった先の渇きが少し満たされる。
 手に旭陽の腕が絡んできて、加減を失っている爪に強く引っ掻かれた。

「っ」

 痛みに一瞬眉を寄せたが、それも泣きじゃくる声の心地良さが押し流していく。

「旭陽、そろそろちゃんとイきたい?」

 キスしながら、少し唇に隙間を作って声をかけた。
 意識が飛びかけている旭陽が、僅かに俺のほうへ瞳を揺らした。
 ほんの少しだけ、見間違い程度に頭が横に振られた気がする。

 どちらか分からなかったから、俺の好きにしよう。
 俺の意思に従って、奥深くまで潜り込んでいたスライムが一気に手前まで引いてきた。

「あ゛ーーーッ! ヒぃッ、くあッ、ゃ゛あぁアアアーッ!」

 熟れきった前と後ろから同時に引き抜かれて、旭陽の全身が激しく跳ね上がった。
 透明の液体がびしゃびしゃと下肢を濡らし、シーツに小さな水溜まりを作っていく。

 暴れる体を腕の中へ無理矢理閉じ込め、まだ射精が終わっていない鈴口にまた不定形の体を伸ばさせた。

「ッあ゛ッがっひ゛ぅうッ! ャっあ゛ッ~~~っぁあアアア゛ーーーッッ!!」

 吐き出している最中の精液を押し戻されて、あまりの苦しさに旭陽の体が硬直する。
 強張ったまま震えている腕を撫でて宥め、後ろにもまた飲み込ませていった。

「ーーーーーッ゛っ!!」

 がくりと体を揺らした旭陽が、声もなくはくはくと唇を震わせている。
 閉じられない口から真っ赤な舌が覗いて、考えるよりも先に歯を立てていた。
 舌から滴っている唾液を舐め取り、口付けの角度を深める。

「っぅ゛、ぁ゛、……っん、ンぅ゛ぅァ……ッ」

 深く口腔を弄っていれば、ぶるぶると震えていた瞳が瞼の奥に隠れていく。
 やばいとは咄嗟に理解したが、甘い唾液の味につい咥内を荒らし続けてしまう。

 完全に瞼が落ちてから、やっと口を離せた。
 力尽きた頭がかくりと垂れる。
 涙や唾液の混じった体液がシーツに滴り落ち、水溜まりを少し広げた。

「……旭陽」

 そっと肩を撫でてみても、がくりと体は震えるのに瞼が持ち上がらない。
 しまった。いつもより混乱してる旭陽が珍しくて、ついトばさせてしまった。
 俺のこの張り詰めすぎてズキズキしてる雄はどうしたらいいんだ……

 困っていると、弱弱しさがなくなった桃紅色がぷるぷると体を震わせた。
 お礼に俺のを扱こうかと提案してくれているらしい。

 元気になってくれば質量まで増えて、旭陽の前と後ろに潜り込んでもまだ体の一部が外に存在している。
 確かに俺の逸物を包むくらいはできるだろう。
 ……気持ちは嬉しいけど。

「いや、いいよ。後で旭陽に責任取ってもらうから」

 旭陽以外でヨくなるつもりはないから、首を振って否定を返した。
 ぷる、と弾力が出てきた体を振ってスライムが納得を示す。
 物分りの良い相手に笑って、腕の中の熱い体を優しく抱き締めた。

 早く起きろ、旭陽。
 嬉しいって気持ち、まだお前に注げてないんだから。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

弟勇者と保護した魔王に狙われているので家出します。

あじ/Jio
BL
父親に殴られた時、俺は前世を思い出した。 だが、前世を思い出したところで、俺が腹違いの弟を嫌うことに変わりはない。 よくある漫画や小説のように、断罪されるのを回避するために、弟と仲良くする気は毛頭なかった。 弟は600年の眠りから醒めた魔王を退治する英雄だ。 そして俺は、そんな弟に嫉妬して何かと邪魔をしようとするモブ悪役。 どうせ互いに相容れない存在だと、大嫌いな弟から離れて辺境の地で過ごしていた幼少期。 俺は眠りから醒めたばかりの魔王を見つけた。 そして時が過ぎた今、なぜか弟と魔王に執着されてケツ穴を狙われている。 ◎1話完結型になります

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

【完結】白豚王子に転生したら、前世の恋人が敵国の皇帝となって病んでました

志麻友紀
BL
「聖女アンジェラよ。お前との婚約は破棄だ!」 そう叫んだとたん、白豚王子ことリシェリード・オ・ルラ・ラルランドの前世の記憶とそして聖女の仮面を被った“魔女”によって破滅する未来が視えた。 その三ヶ月後、民の怒声のなか、リシェリードは処刑台に引き出されていた。 罪人をあらわす顔を覆うずた袋が取り払われたとき、人々は大きくどよめいた。 無様に太っていた白豚王子は、ほっそりとした白鳥のような美少年になっていたのだ。 そして、リシェリードは宣言する。 「この死刑執行は中止だ!」 その瞬間、空に雷鳴がとどろき、処刑台は粉々となった。 白豚王子様が前世の記憶を思い出した上に、白鳥王子へと転身して無双するお話です。ざまぁエンドはなしよwハッピーエンドです。  ムーンライトノベルズさんにも掲載しています。

処理中です...