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末路編
皇帝の末路
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余は偉大なる帝国の支配者ロリウス・コン・ヤーロゥ様ぞ。
寝覚めると何故か余は汚らしい布をまとい、薄汚いスラム街におった。
おかしい。余は確か自室にて新入りのメイドを可愛がっていたはずだ。
そうか!これは夢だな?ふっはっは!つまらぬ夢よ。早く起きてメイドを可愛がってやらなくては・・・
夢から覚めるのを待っておると、品の無い男共が余の前にやってきた。
「おい、オッサン。誰の許可を得て此処に居座ってんだ?あぁ?」
この輩はどうやら余を恫喝しようとしておるようだが、余を皇帝と知ってもその態度を保てると良いのぅ。ふっはっは!
「頭が高い!余の顔を知らぬとは言わせんぞ。この偉大なる皇帝ロリウス・コン・ヤーロゥ様をな!!」
ふっはっは!跪くがよい愚民どもよ!
「皇帝?あの糞帝国の皇帝か?・・・オッサン馬鹿か?この共和国で敵国の帝国、それも皇帝を名乗るなんて嬲り殺してくれって言ってるようなものだぜ?俺らは優しいからな、この縄張りを出るなら許してやんよ。」
輩は今何と言った?・・・共和国だと?
あんなステータスの高さを無視して愚民共までも人として扱う愚かな国に居るというのか?!
「なん・・・だと?此処があの愚かな共和国だというのか?」
そう余が呟いた瞬間、輩が余の髪を掴み上げ殴って来たのだ!
「てめぇやっぱり帝国の野郎だったのか・・・俺ら共和国民はなぁスラムの奴らでも愛国心ってもんを持ってるんだよ。[愚かな共和国]なんて言う奴は帝国の馬鹿共だけだ!」
ぐぁっ!くそっ!余は皇帝ぞ!誰よりも高いステータスを持っているはずだ!なのに何故こうも一方的に嬲られておるのだ!!
「はっ!帝国の奴らはステータスを自慢するくせに活かさず踏ん反り返っているからな!クソ弱いぜ!!」
□
余は皇帝だった者だ。今はスラム街の住民にまで落ちぶれた。
ここに来て半年になるが、色々あった。
飢えを凌ぐため飲食店に盗みに入り店主に切りつけられ顔に醜い傷が出来たり、金目の物を取ろうと宝石店に強盗にはいると一緒に協力していた男に裏切られ逃げる時の囮にされたこともあった。おかげで罰として両手の小指を切り落とされた。罰をうけた盗人の証だそうだ。忌々しい!
帝国へ戻る事も考えたが、魔物蔓延る外界に出るなど恐ろしくて余には出来なかった。
冒険者に大金を積んで護衛を頼めば行けるかもしれぬが、今の余は日々の食事すら満足に取れぬほどの貧民だ。とてもじゃないが無理だ。
また強盗に入ろうにも、最近になって海の向こうの王国から【豚輪】なる懲罰用の魔道具が使われる様になったのだ。
聞いた話だがアレは人の尊厳を奪う悪魔のような発想だ。
なんでも、ステータスを全て1にした上に獣の様に四足で歩く事を強要され言語までも封じられるというのだ!
恐ろしくて、それ以来犯罪を起こさないよう細心の注意をはらっておる。
帝国へ帰る未練が無くなった訳ではないが、噂に聞く現在の帝国は酷いものらしい。
皇族は骨肉の争いの末全員死亡。また貴族供も次の皇帝に成るべく各々の領土に別れ内戦状態。
今更皇帝の余が戻っても邪魔者として排除されるだけであろう。
今の余にはスラム街で暮らす以外生きる道は無いのだ。
「あ、いましたね!」
余のねぐらに子供の声が響き渡った。
「今日は貴方にプレゼントを持ってきてあげたんですよ!ほら【豚輪】。知ってます?貴方にとっても似合うアクセサリーなんですよ♪」
天使の様な笑顔の幼女だが言動は余にとって悪魔だ!
こやつは危険だ!余の本能が逃げろと言っている!
カチリ
動く前に首に圧迫感を感じた。っ!いつの間につけられたのだ?!
「ブ、ブヒッ!?ブヒブヒ!!」
「ウチの国、今グルメブームなんですよぉ。食料が豊富なのはいいのですがそれで毎日残飯が出ちゃって、それを処理する豚さんが不足気味なんです!」
悪魔幼女は恐ろしく綺麗な笑顔で語る。
余は、余は人の尊厳まで無くすのか・・・!?
嫌だ!余は人だ!残飯処理の豚などではない!!
必死に手足を動か悪魔から逃れようとするが首輪が閉まるばかりで、ちっとも逃げられなかった。幼女なのになんという怪力なのだ!?
「ブヒィ・・・」
「活きが良い豚さんですね!いっぱい食べてくれそうで私も嬉しいですよ!さぁ行きましょうねぇ」
「ブヒィィィィィイイイッ!!!」
次の瞬間には、そこに居た汚い男と天使のような幼女は忽然と消えていた。
寝覚めると何故か余は汚らしい布をまとい、薄汚いスラム街におった。
おかしい。余は確か自室にて新入りのメイドを可愛がっていたはずだ。
そうか!これは夢だな?ふっはっは!つまらぬ夢よ。早く起きてメイドを可愛がってやらなくては・・・
夢から覚めるのを待っておると、品の無い男共が余の前にやってきた。
「おい、オッサン。誰の許可を得て此処に居座ってんだ?あぁ?」
この輩はどうやら余を恫喝しようとしておるようだが、余を皇帝と知ってもその態度を保てると良いのぅ。ふっはっは!
「頭が高い!余の顔を知らぬとは言わせんぞ。この偉大なる皇帝ロリウス・コン・ヤーロゥ様をな!!」
ふっはっは!跪くがよい愚民どもよ!
「皇帝?あの糞帝国の皇帝か?・・・オッサン馬鹿か?この共和国で敵国の帝国、それも皇帝を名乗るなんて嬲り殺してくれって言ってるようなものだぜ?俺らは優しいからな、この縄張りを出るなら許してやんよ。」
輩は今何と言った?・・・共和国だと?
あんなステータスの高さを無視して愚民共までも人として扱う愚かな国に居るというのか?!
「なん・・・だと?此処があの愚かな共和国だというのか?」
そう余が呟いた瞬間、輩が余の髪を掴み上げ殴って来たのだ!
「てめぇやっぱり帝国の野郎だったのか・・・俺ら共和国民はなぁスラムの奴らでも愛国心ってもんを持ってるんだよ。[愚かな共和国]なんて言う奴は帝国の馬鹿共だけだ!」
ぐぁっ!くそっ!余は皇帝ぞ!誰よりも高いステータスを持っているはずだ!なのに何故こうも一方的に嬲られておるのだ!!
「はっ!帝国の奴らはステータスを自慢するくせに活かさず踏ん反り返っているからな!クソ弱いぜ!!」
□
余は皇帝だった者だ。今はスラム街の住民にまで落ちぶれた。
ここに来て半年になるが、色々あった。
飢えを凌ぐため飲食店に盗みに入り店主に切りつけられ顔に醜い傷が出来たり、金目の物を取ろうと宝石店に強盗にはいると一緒に協力していた男に裏切られ逃げる時の囮にされたこともあった。おかげで罰として両手の小指を切り落とされた。罰をうけた盗人の証だそうだ。忌々しい!
帝国へ戻る事も考えたが、魔物蔓延る外界に出るなど恐ろしくて余には出来なかった。
冒険者に大金を積んで護衛を頼めば行けるかもしれぬが、今の余は日々の食事すら満足に取れぬほどの貧民だ。とてもじゃないが無理だ。
また強盗に入ろうにも、最近になって海の向こうの王国から【豚輪】なる懲罰用の魔道具が使われる様になったのだ。
聞いた話だがアレは人の尊厳を奪う悪魔のような発想だ。
なんでも、ステータスを全て1にした上に獣の様に四足で歩く事を強要され言語までも封じられるというのだ!
恐ろしくて、それ以来犯罪を起こさないよう細心の注意をはらっておる。
帝国へ帰る未練が無くなった訳ではないが、噂に聞く現在の帝国は酷いものらしい。
皇族は骨肉の争いの末全員死亡。また貴族供も次の皇帝に成るべく各々の領土に別れ内戦状態。
今更皇帝の余が戻っても邪魔者として排除されるだけであろう。
今の余にはスラム街で暮らす以外生きる道は無いのだ。
「あ、いましたね!」
余のねぐらに子供の声が響き渡った。
「今日は貴方にプレゼントを持ってきてあげたんですよ!ほら【豚輪】。知ってます?貴方にとっても似合うアクセサリーなんですよ♪」
天使の様な笑顔の幼女だが言動は余にとって悪魔だ!
こやつは危険だ!余の本能が逃げろと言っている!
カチリ
動く前に首に圧迫感を感じた。っ!いつの間につけられたのだ?!
「ブ、ブヒッ!?ブヒブヒ!!」
「ウチの国、今グルメブームなんですよぉ。食料が豊富なのはいいのですがそれで毎日残飯が出ちゃって、それを処理する豚さんが不足気味なんです!」
悪魔幼女は恐ろしく綺麗な笑顔で語る。
余は、余は人の尊厳まで無くすのか・・・!?
嫌だ!余は人だ!残飯処理の豚などではない!!
必死に手足を動か悪魔から逃れようとするが首輪が閉まるばかりで、ちっとも逃げられなかった。幼女なのになんという怪力なのだ!?
「ブヒィ・・・」
「活きが良い豚さんですね!いっぱい食べてくれそうで私も嬉しいですよ!さぁ行きましょうねぇ」
「ブヒィィィィィイイイッ!!!」
次の瞬間には、そこに居た汚い男と天使のような幼女は忽然と消えていた。
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