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第1章 異世界に!

閑話② その一方で。

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 ここ地球では、ケンジの幼馴染である立花舞(たちばなまい)が、その人生を終えようとしていたのだった。

 ベットで横になっていた舞だが、その眼光はまだまだ鋭く、人生を終えようとした老人の瞳ではなく、まだ20年は元気でいられるような感じである。
 しかし、その体はもう動くことは無く、舞の弟子やお世話になったであろうと思われる人間が、病院にお見舞いに来ていたのだった。

 舞は、ベットの中で気弱そうに見えるが、その眼光は鋭く齢95歳とは思えないくらい言葉ははっきりし、弟子である一人に人生最後の指示を出していた。

「正弘!お前は、わたしの弟子の中で一番賢く、そして正義感のある子だったね。これからは、私に代わって世の中の不条理や理不尽を正していくのだよ……わかったね!」

「ううう……舞様!わかりました!その言葉を守り、これから私が舞様に代わりがんばっていきます。だから、もう無理はせず長生きしてください!」

「いや、私はもうすぐお迎えがくるよ。だから、お前達は今まで通りみんなで頑張り世の中を正しい方向に、向かうようにしておくれ!それに、私は正しい方向にできたかわからないが、自分の人生を振り返り満足しているんだよ。これは自己満足かもしれないが、こういう人生が送れたのは私の周りにいてくれた人のおかげだよ。本当にありがとう……」

 そう言って、舞は息を引き取るのだった。お見舞いに来ていた人達は、舞の最後を看取り、感謝と偉大な人物が亡くなった事を悲しむのだった。



 舞が亡くなる、数十年前の出来事……舞の幼馴染である山道賢治が虐めを止める為、同級生から殴られ頭を打ち、意識不明だと知らせをうけるのだった。
 舞は、ケンジと学年が違う為、中学校から家に帰ると、母親から知らせを受け、賢治が運ばれた病院に、泣きながら向かったのだ。
 病院に行くが、病室が分からず看護婦に山道賢治の部屋を聞くと、看護婦は悲しい顔で病室ではなく、地下にある部屋に案内をしてくれるのだった。

 舞の不安な気持ちがドンドン膨らみ、心の中でそんなはずはと看護婦の後について行ったのだ。

 そこには、賢治の母親が一室の扉の前のベンチに座り、ただ……呆然と天井をみつめていたのだった。舞はその後景を見て、不安が一気に膨れ上がったのだ。

(嘘だよね……ケンちゃん……)

 それを見た舞は、賢治の母親の雅子の側に駈け寄り、雅子の肩をゆすって話しかけるのだった。

「おばさん!ケンちゃんは?ケンちゃんはどこ!」

 雅子は、舞が自分の肩をゆすった事で少し正気に戻り、舞がゆすっていると感覚ではわかっているのだが、何も感じなく声も聞こえなくなっていたのだ。
 それを見た、看護婦は舞の肩をつかみ、霊安室で横になっている賢治の部屋に通すのだった。舞は、部屋に入り賢治であろう横になっている人物の側に行き、顔にかぶせてある白い布をそっと取るのだった。

「けんちゃん?けんちゃん!うそでしょ……こんなとこで寝てないで、早く起きて……よ……ねえ!けんちゃんってば……いつまで……寝てる……の?もう夕方……だよ……ねえってば!」

 舞は、現実を見れないのか、いつも賢治を朝起こしにいっているつもりで、賢治の体をゆすり話しかけるが、何の反応もないのである。

「ねえ……けんちゃん……もう冗談は……やめてよ……ねえってば!早く起きてよ!ねぇ……」

 舞は、全然起きない、賢治の体をゆすって泣き崩れるのだった。それを見ていた雅子も声を殺し、泣き崩れるのだった。

 


 賢治のお通夜、葬式がすみ、舞は心を閉ざしてしまい、部屋に引き篭もってしまったのである。その間、舞の友達や担任の先生が家を訪ねて、舞の心配をしていたのだった。
 舞は、これからの人生当然いつも一緒にいると思っていた、賢治がいない事に希望が持てず自らの手首を切って自殺しようとするのだった。
 だが、周りの人間が心配をしていた為いつも誰かがいたので、すぐ救急車を呼び一命を取り留めるのだった。自殺しようとした夜、舞はなかなか眠れず病院の廊下で一人、賢治を想い涙を流すのだった。そして、見回り看護婦に見つかりベットに戻され、朝方ようやく眠りにつくのだった。

「ま……い……、……さん……、舞さん……舞さん!立花舞さん!起きてください!」

 舞は、ようやく眠りにつけたのに、誰かに呼ばれて不機嫌になりブツブツ言いながら目を擦り目覚めるのだった。そこは、賢治がクローティアに会った美しい庭先であり、綺麗な花々が咲いている場所だった。

「やっと、起きてくれましたね。立花舞さん」

 舞は、病室で寝ていたはずなのに、こんな美しい庭先にいる事で、びっくりした様子だった。

「え!ここはどこ?あなたは誰ですか?」

「舞さん、ちょっと落ち着いてください。今ちゃんと説明をしますから落ち着いて下さい」

「なんで……あたしの名前を?」

「まず……私は、女神をやっているクローティアと言います。ティアとお呼びくださいね」

「め……女神?」

「そう、地球の創造神をしてます」

「それを、あたしに信じろと?まあ、百歩譲ってあなたが女神として、なんか用ですか?元の場所に、戻してほしいんですけど!」

「さすが、立花極心流古武術の跡取りですね。心が座ってらっしゃいます。まあ、最近は心が乱れまくって自殺までしようとし、その面影は微塵も感じられませんが」

「貴方、なんのつもりでここに連れ出したのよ!喧嘩を売るつもりなの!」

 舞は、武道家としてのプライドを、傷つけられてイラッとするのだった。

「ごめんなさいね。私も、命を無駄にする人間は嫌いなのよ。もし、これを見たらケンジさんも、あなたに愛想を尽かすはずだわ!」

 それを聞いた舞は、目を見開きクローティアの胸ぐらをつかみ、激しく揺すったのである。

「ねえ!あなた‼けんちゃんを知っているの?知っているなら、けんちゃんに会わせて!お願いだから‼」

 クローティアは、舞の腕力で思いっきり体を揺すられて、悲鳴をあげるのだった。

「きゃあ~~~!やめて、やめてぇ~~~服が破ける!破けるからやめてぇ~~~~~~‼」

 舞は、クローティアの悲鳴で、我に返り手を離すのだった。

「まったくもう……いきなり何をするんですか!女神の、胸ぐら掴んだのはあなたが初めてですよ……」

「ごめんなさい……だって、あなたがけんちゃんの事を……」

「だってじゃありません!ホントは、あなたにこうして会う事はしなくても良いんだけど、ケンジさんがどうしてもというので、伝言をしに来たんですよ。ったくもう、来なきゃよかったわ……」

「けんちゃんが?」

「そうです!そのケンちゃんが、自分が死んであなたが心配なので、伝言だけでも伝えてくれって言ったので、こうして私があなたをここ神界に呼び出したんです」

「え?けんちゃんが、女神様にお願いで伝言……なんで?そんな伝手があるの?けんちゃんて何者?」

「それでいいですか?あなたに、ケンジさんからの伝言なのですが……」

 クローティアは、舞の目の前にケンジの姿を映像的に映し出し、その映し出された、ケンジが喋りだすのだった。

「こんな早く死んでしまってごめん……まさか、あんな形で人生が終わるとは、俺も思っていなかったよ。舞……お前は、昔から俺の後についてきて俺になついていて、そんなお前が居なくなるのは、俺も想像がつかないよ。俺の人生はまだずっと続き、舞がいるもんだと思っていた……こんな早く死んでしまってごめんな。だけど、舞の人生はこれからも続く!俺の分まで幸せな人生を送ってくれ。いいな!今までみたいに、絶対俺の後を追うって事だけはやめてくれよ。最後に……舞!」

 映像に、映ったケンジは、舞の瞳をじっと見つめるのだった。

「お前の事、好きだったよ。誰よりも好きだった!直接、舞に伝えれない事が心残りだったが、ティアさんにお願いが出来て良かったと思っている。そして、舞のこれからの人生が幸せである事を祈っているよ。それじゃな!」

 そう言い、賢治の映像が消えるのだった。舞は、賢治の映像が消える瞬間、抱きつこうとするが一瞬早く消え、その場にうずくまるのだった。

「けんちゃん、ひどいよ……自分だけ、告白して行っちゃうなんて……あたしは告白の返事ができないじゃない……それに、ホントなら好きな人に告白されたら、幸せなはずじゃない!なんでよ!こんな悲しい告白ならいらない……よ……」

 舞は、その場に泣き崩れ、動かないのだった。

「舞さん……気持ちは、察しますがそろそろ……」

 舞は、クローティアの言葉に苛立ちを覚え、クローティアを睨むのだった。

「なんで、あんな映像みせたのよ!」

「これを見せないと、あなたケンジさんを追って、自殺しちゃうかもしれないでしょ?ケンジさんも、それだけ心配してたんですよ」

 クローティアは、舞にケンジの想いをしっかりした態度で、伝えるのだった。

「ねぇ……クローティアさん、死んだらけんちゃんに会える?」

 それを聞いた、クローティアは慌てて、舞を止めようとするのだった。

「舞さん!あなた、ケンジさんの今の伝言聞いてなかったのですか?」

「聞いてましたよ‼でも、けんちゃんのいない人生で、幸せになれるはずがないです。だったら、死んでケンちゃんに会えるなら会いたい……」

 舞は、瞳に涙をためて自分の想いを、クローティアにぶつけるのだった。

「いいですか!舞さん‼よ~~~~く聞いて下さいね。自殺しても、ケンジさんには絶対会えません!絶対ですよ。もし、自殺したら地獄に落ちます。そして、何万年ともいわれる時間、あなたの魂は罰を与えられ続け、苦痛を味わいながら消滅するのです。いいですか。消滅です!生まれかわれる事なく、この世からもあの世からも、いなくなっちゃうんですよ!」

「……」

「私は、貴方にケンジさんの事を忘れろとは言いません!その想いは初恋として、これからの人生をちゃんと生きる事です。今は、辛いと思いますが、時間が時間だけしか解決出来ないと思いますが、あなたはこれからの人生を精一杯生きて幸せになってください」

「けんちゃんがいないのに、このまま生きてもしょうがないよ……あたしは、このまま苦痛の中で、生きる自信はないです……」

「何を言っているのですか‼」

「ねえ、クローティアさん……けんちゃんに会わせて、けんちゃんの所に行かせてよ!お願いします……」

「舞さん……お気持ちはわかりますが、それは無理です。ケンジさんは、もうここにはいないのです。だから、こうして私があなたに伝言をしたのだから、あなたはこれからは前を向き、人生を進むべきです」

「お願い……お願いします……もう、ケンちゃんに会えないと言うなら、あたしはこの先の人生を歩めません……だから、もう一回だけでいいから会わせて……」

「舞さん、よく聞いて下さい!ケンジさんは亡くなりました。そして、新たな世界に旅立って、もうここにはいないし、会う事はできないんです」

「新たな世界に?それってどういう事?」

 それを聞いた、舞は泣きやむのだった。

「そうです!あなたの知らないもう一つの地球、ガイアースという所に旅立ちました。なので、もう会う事ができないのです」

「えーっと、クローティアさんがけんちゃんを、ガイアースって所に行かせたの?」

「その通りです!ケンジさんは、虐めから守さんという人を助けたので、その褒美とは違うのですが、次の転生を待たず、転移してもらいました」

「じゃあ!あたしを、そのガイアースに送ってください!」

 クローティアは、目が点になり思考が停止するのだった。

「お願い!このまま生きていても、あたしはなんの気力も起きないです。だったら、けんちゃんの所に行きたい!何でもします!だからお願い!けんちゃんの所に連れってて!」

「舞さん、ちょっと落ち着きなさい!気持ちはわかりますが、それは絶対に無理です。そんな事をすれば、ケンジさんのいるガイアースそのものが無くなってしまう恐れがあります!」

 クローティアは、適当に説明しても舞は諦めず、このまま戻しても舞は自殺をしてしまうと思ったので、どういう事なのか詳しく丁寧に説明をしたのだった。
 理由としては、ケンジはガイアースの魔素の不足を補う為、地球にあっても使う事のない魔素を吸引する為に、触媒としての役目でガイアースに転移した事を説明する。
 もし、ここで舞の我儘を聞いて、ガイアースに転移した場合、吸引する人間が2人になる為、必要である魔素が相乗効果で、2倍以上の魔素がガイアースに流れ込む事になり、そうなった場合どうなるのか想像が出来ず、最悪の結果ガイアースが魔素を大量に蓄え、魔力爆発という事もあり得るのだ。
 舞は、その説明を受け、どうしようもないとわかり泣き崩れるだけであった。クローティアは、舞をこのまま戻す事もできず、困り果てるのだった。

「クローティアさん……どうしても無理ですか?どんな事もします……あたしが死んだら、あたしの魂を取ってもいいから……」

「貴方は、私を何だと思っているのですか!魂を取るって、私は悪魔じゃありません!ったく失礼な……」

「ご、ごめんなさい……でも、このままじゃホントにもう会えない……」

 それを聞いて、クローティアは黙り込み、舞の目を真っ直ぐに見つめこう言うのだった。

「舞さん!ホントにどんな事もやる覚悟はありますか?」

「はい!けんちゃんに会えるなら!出来る事どんな事だってがんばります!」

「一つ方法があります。転移じゃなく転生です。舞さんがこの人生を一生懸命生きて、人生を終えてガイアースに転生する方法です。転生ならガイアースで生まれる事となり、地球の魔素を吸引する事もないです。ですが、貴方が普通に生きて出来る事ならまず、ケンジさんには会う事は出来ないでしょう!もし、それ以上の事が出来たのなら、ケンジさんに会う事が、0.1%以下の確率ですが可能性はあります。このままでは0%で会う事は叶いませんが!」

 舞は、ものすごく喜び、クローティアに抱きつくのだった。クローティアは、その条件を説明するのだが、普通で考えればとてもじゃないが、その条件が達成される事はないものだった。
 説明によれば、舞がこのまま人生を普通に過ごすのではなく、善行を行い、自分の人生をかけて人々の為、善の業(カルマ)を魂に蓄える事だったのだ。善のカルマはどんな方法でも良いらしく、例えばアイドルになり人々に夢を与えるのでも良いし、ボランティアに参加し人々を救ってもいいのである。
 そして、精一杯生きて自分自身も幸せに生き、舞が人生を終えご臨終した時、クローティアがその貯めた善のエネルギーを使い、転生をさせてくれるものだった。

「そんな事でいいのですか?」

「舞さん、よく聞いて下さい。そんな事と言いましたが、普通に暮らし貴方が思うような溜め方で、他の次元にあるガイアースに行けると思いますか?私が、例に出したものは普通に天国に行けて、次の人生が人間に転生できるだけです」

「それじゃあ!けんちゃんのいるガイアースって所には、どうやったら行けるのですか?」

「それは、自分で考えて行動し、人生をすごしてください。ただ、ヒントを与えるとすれば、人間界になにかしら良い方向に貢献した人間になる事です。それが出来たらと言っても、ケンジさんと会えるとは私は言えません」

「そんな……それじゃ、その人生を達成しても、けんちゃんと会えるかどうか分からないじゃないですか?」

「それじゃ、諦めなさい!」

「分かりましたよ!やりますよ!」

「そのエネルギーが、どのくらい貯まるか分からないですが、そのエネルギーを使い、舞さんを転生させてあげる事を約束しましょう!ただ、半端な気持ちで臨むなら、辞退しておいた方がいいですよ。もし、エネルギーが足りなければ、次元を越える時、魂は越える事はできないし、天国に送られる事になるでしょう!もし、越える事が出来たとしても、人間に転生できるとは言えません……」

 舞は、少し黙り込み、下を向いたまま動けないでいた。

「このまま諦めて帰りますか?私はどちらでもいいですよ。」

「けんちゃんに、会う事が0.1%に増えるなら、あたしがんばります!」

「良いのですか?すごく大変な事ですよ」

 舞は、黙って首を縦に一回ふるのだった。

「わかりました。私は、舞さんの人生を見ていますよ」

 そう言って、舞の頭を撫でて、光の渦に案内するのだった。

「この事は絶対に他人や親にも言ってはいけないですよ。そして、この事が夢だと思わないように、目立たない場所に私の紋章を刻みますが許してくださいね。目覚めても、この紋章があれば夢だとは思わないでしょう!貴方の人生が、幸福で後悔しない人生だと祈っています。」

 舞は、そのまま光の渦に消え、元の病院のベットの上に戻るのだった。




 こうした出来事があり、舞は齢95歳になるまで精一杯生きて、人々に感謝、尊敬の念に囲まれながら、人々に惜しまれつつ、息を引取るのだった。
 そして、80年ぶりに舞は天界に召還され、クローティアと涙の再会を、果たすのであった。

「舞さん……よく頑張りましたね!私にも、こんな結果になるとは思いもしませんでした」

 舞の姿は、中学3年生の時の姿に戻っていたのだった。

「クローティアさん!あたし頑張って人生をすごしたよ。自分の事だけど、胸を張って自慢できる人生だった!」

「ええ!ええ!わかってます。あなたの魂は、善のカルマで満たされ溢れ出てるのがわかりますよ。これなら、きっと次元の壁も突破できるでしょう‼」

「クローティアさん、一つ聞いてもいいですか?」

「わからない事なら、何でもお答えしますよ」

「あたしは、このまま転生し、けんちゃんに会えるのでしょうか?あれから、80年以上もたっていて、けんちゃんが生きていても、すぐ寿命って事になるんじゃないですか?」

「それなら大丈夫ですよ。ケンジさんは、向こうに転移した時、ハイヒューマンという種族になってます。その種族は5千年という時を生きるので、80年ぐらい余裕で生きますし、見た目もまだ変わってもないですよ」

 それを聞き、舞は驚き絶句するのだった。

「ただ、今のケンジさんはある国の国王をやっていて、会うには相当苦労します」

「はっ?国王……どういう事?」

「えぇ……舞さんに分かりやすく言えば、一般の日本人がアラブの国王に会おうとする感じです……」

「えぇ~~~!そんなの会える訳ないじゃないですか!」

「なので、舞さんのエネルギーを使って、95年前に転生させたいと思います」




 クローティアの、考えはこうだった。舞を、95年前のガイアースに転生させれば、ケンジがガイアースに転移する15年前に、舞はどこかの町か村に生まれる事が出来て、15年後別れた時の、年齢で二人は会えるという事になるのだ。
 転生した時は、舞の前世の記憶は当然ないが、ガイアースの住民は5歳になると教会で祝福を受けるのだが、その時前世の記憶が甦るようにしてくれたのだ。
 その理由は、ここはテンプレで記憶がある状態で、父親とはいえおむつを替えられたりするのは、前世の記憶があると耐えられないだろうと、クローティアに言われたら、舞は確かにと頷くのだった。


 そして、次に10歳になったら、ギルドに登録しそこで力をつけるのが良いと、クローティアは舞にアドバイスをするのだった。
 力を十分につけたら、13~15歳でケンジのあらわれる町に向かうといいだろうと教えてくれるのだった。初めて訪れる町は、ブリュンガスという町で、ここで会えなければ1週間ぐらいで、次の町のテンペに現れるからと教えてくれるのだった。

 クローティアは、舞にスキルを与える事はしなかったのである。なぜなら、舞はガイアースの人類になるので、祝福が与えられる時に、スキルが与えられるからである。
 それに、前世の記憶が甦ると、舞の前世での経験もよみがえり、武闘家としての記憶が甦り、魔物の世界でも十分通用するのである。



 そして、クローティアは舞に、ケンジと会ったらすぐに舞だとわかる祝福を与え、ガイアースに送るのだった。


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