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第6章 ケンジの新しい生産力!
9話 新しい交渉相手③
しおりを挟むケンジはあれからずっと裁縫スキルとテイマースキルを上げる日々を過ごしていた。テイムしてきた鶏も敵のいない庭で飼育されていたため鶏ものんびりすごせる為卵を大量に生んでいたのだった。
だがもともと野生だったためか鶏にしたら気性が荒いのか怪我もよくしていたためケンジはいつも治療をして獣医学のスキルも順調に伸ばすことが出来るのだった。
そんな時、ケンジの家に訪問してきた客がいたのだった。
「すいません!ケンジ様は御在宅でしょうか?」
店舗の方でその人物は声をかけたらウランが対応したらしくその人を家の方に案内してくるのだった。
「ご主人様。お客様です。客室の方に案内しましたのでよろしくお願いします。」
ウランはそう言って店舗の方へ戻っていったのだった。ケンジは裁縫室からでて客室に向かうのだった。ケンジが急いで客室に入るとそこには見知った顔が2人いたのだった。
「遅くなってしまい申し訳ございません。」
「いきなりの訪問申し訳ない。」
そこにはブリュンガスのギルドマスターとアンナがいて頭を下げるのだった。
「で、今日はお二人そろって何の用ですか?」
「ケンジ殿我々の指名依頼を受けてくれないか?」
「いきなり何を言ってんですか?俺はここテンペの町で活動しているのですよ。ブリュンガスで活動している冒険者や生産者に頼めばいいじゃないですか。」
「そんなこと言わず聞いてくれ!」
ブリュンガスのギルマスの説明はここテンペと同じようにダンジョンの魔物が強くなり過ぎて満足に採掘や魔物の素材がそろわなくて困っているらしいのである。
ギルマスが急いで採掘して欲しいと言ってきている理由はテンペと同じようにオリハルコンとアダマンタイトを魔道ギルドで錬成し町の結界で使うヒイロカネが早急に欲しい為であるのだ。
ギルマスはこの二つのインゴットが足りなくなってきているが採掘しに行けるものが居なくて困っているのである。こんなことはケンジにとって前代未聞な事案で、ここで承諾したら他の町からも指名依頼が殺到し身動きが取れなくなってしまうのである。
「申し訳ないが断らさせてもらう。もしその指名依頼を受けたら他の町からも依頼が殺到しとてもじゃないがやっていけなくなるからな。」
「そんなこと言わずに頼む。もうヒイロカネの在庫が切れかけて町の結界が切れてしまいそうなのだ。」
「だったら他から取り寄せたらいいんじゃないのか?俺はこの町で活動し他の町まで見ることはできないよ。」
ここでアンナもケンジを説得しようと口をはさんでくるのだった。
「この町にはケンジ様が居るので足りなくなって来たらオリハルコンが手に入るのですが今は他の町は前よりひどくなって常時品薄状態なのですがここにきて魔物が強くなり過ぎてダンジョンに採掘できない事になっているのです。どうかお願いです!オリハルコンを納品してもらえないでしょうか?」
「ご主人様・・・どうするおつもりですか?」
「セバス。どうするといってもだな・・・ふつうこういう場合この町のギルドに指名依頼が来るはずだろ?こんな直接来るのはルール違反だ!」
ケンジはそういったが指名依頼はあちこちの町からきていたのだがケンジは熱心に取り組んでいなかった為こげついている状態なのである。
「ですが・・・ケンジ様に指名依頼をしてもぜんぜん受けてくださらないのでこうして訪問させてもらっているのです!」
「受けるか受けないかは俺の勝手じゃないか!それにあんた達は俺にやったことを忘れたわけじゃあるまい!」
「それは・・・悪かったと思っている。だが今はそんなこと言っている場合じゃないんだ。町の結界が切れて魔物が町を襲ったら本当に取り返しがつかなくなるんだ!」
「それはアンタ達ギルドのせいだろ。冒険者や生産者は日々の生活に追われ自分自身の成長が疎かになって魔物が強くなってからアタフタしても遅いんだよ。先を読んで対処方法を考えなかったあんた達のせいでなんでまた俺にその責任を負わせようとしているんだ?」
「ですが今この状況でダンジョンに潜り一回でインゴットを揃えれるのはケンジ様だけなのです。」
「まあ、今までギルドが自分達ギルドがあって」冒険者達が生活が出来ていると思い込んで経営してきた付けがいま試されているだけだろ。俺たち生産者に頼らず冒険者や生産者を守ってやれよ!」
「「そ、そんな!」」
「それではブリュンガスの町は機能停止してしまいます!お願いします。インゴット一個相場の倍の値段を用意させていただきますので!」
「おいおい!アンナさん、この町の相場でもオリハルコンの相場は一個2000万ドゴンもしているんだぞ?他の町になると2500~3000万はしていると思うがその倍を本当に支払うつもりなのか?」
「だが、それ位に我々は切羽詰まっているところまで追い詰められているんだよ。」
「ギルマスわかっているのか?そんなことしても全然解決しないんだぞ?」
「だが・・・今は誰も採掘できる状態じゃないんだ・・・」
「ブリュンガスの町は捨て帝国の中央に避難させた方がいいんじゃないのか?」
「そんなことが出来るわけがなかろう!」
「だが俺があんた達の言う事を聞きオリハルコンとアダマンタイトを5個づつ揃えても次はどうするつもりだ?」
「それはまたケンジ殿が・・・」
「馬鹿な事言ってんじゃないよ!そんなことできるわけないだろ!」
「だがそれしか・・・」
「お前達はいつもそんなことしか考えられないのか?今回もまた俺に依頼の強制しそればかりやらせるつもりなのか?」
「だが、今回はFランクみたいに低報酬じゃなく高額だぞ!全然違うじゃないか?」
「いいや!同じだね!都合のいい俺という駒をいう事を聞かせ利用しかしない考え方には反吐が出るよ!」
「そんないいかたしなくとも!こうゆうときにこそギルドとギルド員は協力しないといけないと・・・」
「何が協力だよ!俺の食器類が他から売りに出された時あんた達その生産者に何をしたんだ?」
「何をってそれは協力してもらい製作方法を教えてもらっただけだよ。」
「本当にお前等はいつも自分勝手な言い分だな。加盟店を盾に取り無理やり聞いたんだろ!もし教えなければ加盟店から外れてもらうとか言ったんじゃないのか?」
「それは当然だろ!加盟店になったのなら日ごろギルドから資金の援助や顧客の紹介を受けているのだからな!新しい商品開発に成功したなら教えるのが普通だろ。」
「ああ、その人が進んで協力したのであればな!あんた達のやっていることは合法な盗人と同じなんだよ!」
「貴様!大人しく聞いていれば調子に乗りやがって!」
「ほう!やっと化けの皮がはがれたな!そんなこと言ってもいいのか?お前達はどう転んでも俺に頭を下げる立場なんだよ!そんな態度を取ったら一部の望みも消えるんじゃないのか?」
「うぐっ・・・・」
それを聞いたギルマスは興奮して立ち上がった体を押さえ座り直したのだった。アンナはギルマスを押さえあわててケンジに謝罪するのだった。
「ケンジ様申し訳ありません・・・」
「もう謝ったところで遅いよ。気分が悪いんで帰ってくれ!」
ケンジはブリュンガスのギルマスとアンナを家から出すのだった。そしてケンジは思い立ったように出かけるのだった。
「ギル、システィナ、プリム今ちょっといいか?」
「どうかしましたか?」
「ちょっとメイガン商会に行くから一緒についてきてくれ。」
「「「はい、わかりました。」」」
ケンジ達はメイガン商会に着き店に入るのだった。そこには新人の受付嬢しかいなくて店の中は何やらどんよりとした空気が漂っていたのだった。ケンジは話しかけるのをためらったが話かけるのだった。
「すいません!」
「いらっしゃいませ。ようこそメイガン商会へ今日は何をお求めでしょうか?」
「いや、今日は商品を買いに来たんじゃないだ。」
「では、何をしに?」
受付嬢はお客ではないとおもい眉をピクット動かすのだった。
「うん。今日はガンスさんに相談事があってきたんだ。ガンスさんに取り次いでくれないかな?」
「はあぁぁぁ?ガンスさんって会長を呼び出せって?どうゆうことですか?」
ケンジはメイガン商会のカードを出して見せるのだった。受付嬢はそのカードを見て驚きふためくのだった。自分と同じような年齢の人が会長のマスターカードを見せてきたので当たり前である。
「し、失礼しました!会長は今面会中なので少し待っていただけたら取次ます。少しの間奥の部屋でお待ちして頂けますか?」
「ああ、ゆっくり待たせてもらうからいいよ。」
受付嬢は慌てて案内した部屋から出ていくのだった。するとすぐにガンスさんが慌てて部屋に入ってくるのだった。それも見知った顔がもう一人いたのだった。
「おおお!坊主!久しぶりだな!」
「ケンジ君ひさしぶりです。」
ガンスさんと息子のメイガンさんが入ってきたのだった。面会は息子さんでメイガンさんだったのである。この事によりある程度ケンジは推測できるのだった。
「おひさしぶりです。元気でしたか?」
ケンジはソファーから立ち上がりお辞儀をしたのだった。そしてガンスさんとメイガンさんはケンジの対面に腰を下ろし話し始めるのだった。
「今日はどうしたのだ?」
「ええ、丁度良かったです。メイガンさんの事が気になって様子を聞こうと思い商会に来たんですよ。でも、元気そうで良かったです。」
すると二人は暗く落ち込んだ様子で黙ってしまった。
「ああ・・・その様子ですとメイガンさんはこの町に移住を計画しているのですか?」
「「なぜそれを!」」
「いえね、今日来た理由は俺の所にブリュンガスの生産ギルドのトップが訪問してきましてですね・・・町の現状を説明していったんですよ。」
「なるほど・・・そうゆうことが・・・」
「それで、俺はギルドの権力者の言う事は聞きたくないと言って追い返したのですが、お世話になったメイガンさんの事が気になってガンスさんから様子を伺おうと。」
「坊主・・・ありがとな。気を遣わせて・・・だがもうメイガン商会は解散かもしれん・・・」
ケンジとギル達はガンスの言葉に驚くのだった。こんな大きな商会がもう終わりになるなんて考えられないことだった。
「なんで?メイガン商会が終わりになるのですか?」
「まあ、身内の恥を言うになるから勘弁してくれ・・・」
ケンジはガンスからもらったカードを出しガンスの目を見た。
「このカードはガンスさん一族しか持っていないカードなんですよね?だったら俺は身内じゃないんですか?」
「これは儂の一存でやったものだ。関係ない!」
「だけどガンスさんは俺をもう一人の息子だといって色々助けてくれたでしょ?何かあったか知りませんが水臭いですよ!」
メイガンさんはガンスの目を見て肩をポンポンと叩くのだった。ガンスさんはケンジの言葉に感動し目を潤ませていたのだった。
「で、何があったというよりたぶんオリハルコンが足りないせいですね?」
ギル達はケンジの言うことがわからないみたいだった。
「主、どういうことですか?」
「ギル、いいか?今何が起こっているかわかるよな?」
「ええ・・・オリハルコンが足りなくて錬成できなくて町の結界が維持できないんですよね?」
「ああ、そうだ!それによりメイガン商会はあちこちの町に支店がある訳だろ?」
「「「あ・・・・」」」
「という事は危険な街の支店は閉めて比較的安全な街だけに移住させる事で店を縮小させることになっているんだよ。」
「「なっ!」」
「まあ、予想で話してみましたがそういう事ですよね?」
二人は驚いた様子でケンジの意見が全部当たっていて頷くしかなかった。
「それなら俺の話を聞いてくれませんか?俺はメイガン商会に恩を返したいで協力させてください。」
「恩を返したいって・・・もう他の町は崖っぷちでどうしようもない状態なんだぞ。今更何ができるんだ?」
「まず第一にメイガン商会の支店は何店舗あるのですか?」
「全部でブリュンガスの本店合わせて20店舗だな。その20店舗が救えれば問題はなくなるのだが・・・」
「ってことは20の町の結界が維持できればいいんですよね?」
「そんな簡単に言うがオリハルコンとアダマンタイトのインゴットが最低でも100個は必要になってくるんですよ。今は満足に採掘できる人間が居ないのにどうしたら・・・」
「メイガンさんそのインゴット俺がメイガン商会に100個づつ今の相場じゃなく前の相場でお売りしますよ。」
「なにいいい!坊主、分かっているのか?100個づつだぞ?」
ケンジはインベントリからオリハルコンとアダマンタイトを部屋の片隅にだすのだった。その後景にガンスとメイガンは空いた口が塞がらず目を回すのだった。
「坊主!これはいったい!どこから調達したんだ?」
「これは今まで俺が掘った物でやましい物じゃないですよ。」
「オリハルコンとアダマンタイトのインゴット1個1000万ドゴンでいかがですか?これを町のギルドに売ったらメイガン商会も今までの損失を取り戻せるでしょ?」
「坊主!それはいかんぞ・・・1000万だなんて我々が得し過ぎる。」
「ケンジ君親父の言う通りそれはだめだ!」
「いいんですよ。俺はこの鉱石を掘っただけですからそれをメイガン商会に売るだけ何で損はしないし家族と思っている皆さんを助けるのが目的ですしね。ただ条件だけはあるのですがいいですか?」
「条件とはなんだ?」
「この商品の出どころは絶対内緒にしてほしいのです。」
「ああ!そんなことなら絶対大丈夫だ!商人は仕入れ先は絶対言わないと暗黙のルールがあるからな。」
「それにあたりを付けられても聞きただす事も出来ないから大丈夫だよ。」
「それを聞いて安心しました。」
「でも、本当にこの値段でいいのかい?」
「ええ、大丈夫ですよ。ギルドに高値で売っちゃってください!」
「がははははは!坊主は本当に痛快だな!」
「でも、本当にこの状況は何とかしないといけないかもしれませんね。」
「何とかとはどういうことだ?」
「魔物が強くなり過ぎて町の維持が出来なくなっている事ですよ・・・」
「今回俺がインゴットを用意したことで20都市はなんとか維持は出来ますが他の知らない所は幾つか多分崩壊すると思いますよ。」
ケンジの話を聞きガンス達は町の結界が消え城壁で守ることはできてもスタンビートが起きた町は崩壊するだろうと思っていたのだった。
そんなにあちこちでスタンビートは起こらないとは思うが今のうちに魔物の強さを元の状態に戻すか冒険者達を強化するかしないと本当に取り返しのつかない事になりそうだと思うのだった。
応援ありがとうございます!
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