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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

145話 捜索

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 ジンタンは、まさか娼婦が購入できるとは思いもしなくて、自分の無知を呪ったのだった。それほどまでに、ジンタンはジューンの事を気に入っていた。

「なあ?」

「ジンタン様、どうかなさいましたか?」

 ジンタンは、自分の屋敷に戻ってきて御付きのメイドに相談していた。

「あのな……俺がいつも言っている娼館あっただろ?」

「女性にする話じゃありませんね」

「す、スマン……」

「まあ、ジンタン様らしいですね。それでどうしたのですか?」

「ああ……娼館でいた女が買われてしまったんだよ。お前は娼館でいた人間が購入できるって知っていたか?」

「ま、まさかジンタン様!娼館の女を気に入っていたのですか?」

「ああ……あの女はいい。本当にこの俺を夢中にさせていたのは事実だ」

「何を言っているんですか!ジンタン様は、グルード家の第2後継者なのですよ」

「だから何なんだよ。貴族位なんかもうなくなったじゃないか?兄貴がいればグルード家は安泰だよ」

「ですが、いずれはジンタン様とて由緒正しい家系の妻をめとってですね。娼館にいる女などジンタン様が購入する必要などありません」

「別にかまわないだろ?」

「いいえ、構います!もし奴隷が欲しいというのなら、奴隷商で特別奴隷を購入したらいいではありませんか。なにも犯罪奴隷に堕ちた子供など、ジンタン様が気に掛ける必要などありません」

「そんな事より聞きたいのは、購入されてしまった娼婦を手に入れたいんだが何とかならないか?」

「何を言っているのですか?そんな方法あるわけないじゃないですか?」

「どうしてもか?」

「じゃあ、反対に聞きますが、その娼婦を購入された人物はどこにいるのですか?誰が購入されたのですか?いつ購入されたのですか?」

「うっ……」

「分かる事は何がありますか?」

「分かるのはジューンという名前だけだ……」

「では、その名前だけでどうやって探すのですか?」

「そ、それが分からないかと聞いているんだ?」

「そんなめちゃくちゃな事をおっしゃらないでください!ここ、Freedom統一国家は、国内なら転移マットで移動が可能な国なのですよ?それに、フリーの町の大きさをジンタン様も知らないわけではないでしょう?」

「それはわかっているよ」

「だったら諦めるしかありません」

 ジンタンにとって、非情ともいえる宣告だった。



 その中、兵士の中で又問題が発生していたのである。

「ま、また殺害があったのか?」

「はい……また奴隷です……」

「外傷は?」

「酷い有様です……ですが、奴隷の主人が納得しているのです……」

「はあ?奴隷はその人間の財産だろ?殺されて何も言わないはずが……」

「それがですね。知り合いにその奴隷を譲ったらしいのです。」

「譲った?高い金を払って自分の財産だぞ」

「譲ったと言っても、お金を払ってもらったみたいですが」

「だったら、その譲った人間の事を聞いたらどうだ?」

「それが、高い金を払ってもらっていた為、絶対口を割らないというのです」

「馬鹿な!実際、奴隷といっても命が亡くなっているんだぞ?」

「そうはいっても、手放した財産なので主人には関係ないと言われては……」

 ランスロットは、ケンジにそのように報告書を上げるしかなかった。実際の所ランスロットは、これ以上の追及は出来ないと思っていた。譲り受けた奴隷を、主人がどのように扱おうが本人の自由である。

「主君、少しよろしいでしょうか?」

「なにかあったのか?」

「今回、報告書を上げさせてもらったことで相談が……」

「ああ、見させてもらったがこれは本当の事なのか?」

「はい……奴隷が犠牲になっております。しかし、このままではどうにもなりません」

「それで、譲った相手も特定できないのか?」

「はい……頑として言いません」

「譲った時の契約でも結んでいるのか……厄介な事だな」

 ケンジは、これ以上何もできないと思い、ランスロット達をその業務から通常業務に戻したのだった。

「しゅ、主君、この事件は放置するというのですか?」

「だが、実際なんともできないのが実状なんだろ?これからは国民達の認識が変わらないとどうにもならん」

「ですが……」

「この件については、奴隷達の主人の認識が変わらないとどうしようもない。主人達は俺とは違い、奴隷を売って資産を増やしている」

「はい……」

「そして、それを買った人間はいたぶる事を快楽に感じている人間だとしか今は分からないだろ?仮にその人間が分かって逮捕したとしても、自分の所有物だと言って罪を逃れるだろう」

「では、このまま放って置くのですか?」

「そんなわけあるか。今は奴隷達の主人を追及しても平行線なんだろ?だったら違う事を考えなきゃいけないだけだ」

「は、はい……」

 ケンジは、早速動くことにした。ケンジは奴隷商の元締めに会う事にしたのだった。



 一方、ジンタンはジューンの事が忘れることが出来なかったのだ。個人的に、ジューンという奴隷を捜索していたのだ。
 
「ジンタン様。もうお止め下さい。グルード家がやるような事ではありません」

「これはグルード家ではない、俺個人がやっている事だ」

「しかし、そんなあての無いことをしても、お金が無駄に減っていくだけではありませんか?」

「無駄だと?」

「実際、誰が買っていったかわからない娼婦を見つけるだなんて、意味がないじゃないですか」

「そ、それは……」

「ジンタン様……もう諦めてください!」

 その時、ジンタンに一つの情報が入ったのだ。

「ジンタン様、よろしいですか?」

「入れ」

「今、情報が一つ入りました。ジューンという女性に似た人間が冒険者風の男に買われたみたいです。その男は、大男でありその大きさから巨人族の血が入っていてもおかしくないという事です」

「ほ、本当か?それで、その男はどこに?」

「それ以上の足取りは掴めていません……」

「ジンタン様、やはりこれで中止なさるべきです」

「何を言っている。購入した男の容姿がわかったんだぞ?」

「言わせていただきますが、その男は本当にその娼婦を買ったのですか?違う男かもしれないではありませんか?」

「それはそうかもしれないが、こうして情報が入ったんだぞ?そんな巨人族の血が入った大男なら可能性はあるかもしれないじゃないか?」

「ですが」

「くどい!俺は絶対あきらめないからな!」

 ジンタンは、メイド達の言う事も聞かず捜索をさせたのだった。そして、ジンタンの捜索は間違っていなかった。





 そのころ、ジューンは大男に夜な夜な奉仕をさせられており、その大男に責められていた。

「エ、エディン様……や、やめて……し、しん、死んじゃいます」

「まだまだ、今宵はまだまだ攻めてやるから覚悟しろ」

「い、いやああああああああ」

 ジューンは、毎晩エディンに奉仕していて気絶寸前まで追いやられていた。娼館で対応した時は3時間だったが、毎晩のように朝方まで抱かれて気絶するほど責められていたが、気絶してもすぐに起こされ体力がもたなかったのだ。

「おい。なにを気絶している。起きろ!」

「も、もうやめて……やめてください……」

 ジューンは気を失ったのだった。

「何だ……全然起きねえ。やはりこいつも使い物にならなかったか」

 エディンは、ジューンの腕を持ち持ち上げたが、力が抜けた状態でうんともすんとも言わなかった。

「死んじまったのか?」

「うう……」

「生きているみたいだな。しょうがねえ……こんな役立たずは、またあいつのとこに売ればいいか」

 エディンは、にやけた顔でその売ったお金で新しい奴隷を買おうと思っていたのだ。


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