研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

本条蒼依

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第3章 新しい研磨

6話 王都を出発!そして……

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 次の日ヒロトシは、ミトンの町に帰還することにしたのだった。国王のローベルグも、ヒロトシと試合することが出来て大満足の様子だった。
 試合をして、国王が負けたと言う噂は王城中に広まっていて、上級貴族の中には、ヒロトシを王都にとどまらせる意見も出たほどだった。
 しかし、ローベルグはヒロトシには自由にしてもらいたく、ミトンの町に帰還させる事にしていた。

「国王!本当にヒロトシを帰還させるおつもりか?」

「ああ!そのつもりだ」

「それはちょっと待ってください!」
「そうです」
「その考えはあまりに危険ですぞ」

「どういう意味だ?」

「陛下を相手に試合に勝った人間ですぞ。そのような人物を野に放つおつもりですか?」

「はぁあ?何を言っておるのだ?」

「もし、そのような人物が国を起こしたらなんとなさいます。ロドン王国の新たな脅威が生まれるのですぞ。それならば、もっと目の付く場所に置いておいた方が……」

「わはははははは!お前達は心配性というかなんというか……お前達はもっと人を見る目を養うがよい!」

「「「どういうことでしょうか?」」」

「ヒロトシ相手にそのような事をしてみろ。それこそ、反感を持たれてロドン王国はいらぬ危険を持つことになるぞ」

「しかし!それが分かって、そんな危険人物を野に放つことはないと思うのですが……」

「よいか?ヒロトシはスタンピードを止めた人物だ。そんな人間相手に最初から勝ち目はない!だったら、その者が望む事をさせてやって、信頼を勝ち取るほうが安全だと思わぬか?」

「それは眉唾では?ミトンの人間達の協力もあって……」

「俺も最初そう思っておった。しかし、剣を交えてわかった事はあの実力は異次元的に本物だ!本当にヒロトシ一人でスタンピードを止められるであろう」

「そんな……」

「それに、あの者は全然本気を出しておらん。いいか?この俺を相手に全くだ!その意味をもっと考えるんだ」

「陛下を相手にですか?」

「ああ……最初、あ奴は素手で戦うと言ったから、俺は最初ヒロトシは武闘家と思ったがそうではない。武器を扱うのが下手なだけだ」

「「「はぁあ?」」」

「つまりだ!本職は前衛ではないと言う事だ」

「ヒロトシは、前衛職じゃ……」
「それはあまりに」
「そんな人物がこの世に……」

「そうだ。ヒロトシは、我妻レオナと同じ魔法使いだよ」

「だったらなおさら、野に放つのは!」

「どうやって止めるのだ?あの者は自由を求める人間だ」

「それは、騎士団を使い……」

「馬鹿な事を申すな!」

 ローベルグは、貴族達の言葉を遮り怒鳴ったのだった。

「「「ひっ!」」」

「すまない。大声を出してしまった」

「い、いえ……そんな……」

「それこそ馬鹿な行動をしないほうが良い。ヒロトシはこうも言った。自分はミトンの町が住みやすくて良いと……つまり、そういうしがらみは自分には必要ないと」

「「「では!」」」

「そうだ!ヒロトシを自由にさせておいた方が、国にとっても最善の方法だ。お主達もその辺をもっと考える事だ。わかったな」

「「「承知いたしました」」」

 そんな話が出ていたとは思っていなかった。ヒロトシは次の日、ミトンの町へ帰る準備をしていた。

「さあ、みんな。王都での用事は全て済んだ。ミトンの町へ帰ろうか」

「「「「「はい!」」」」」
「旦那様、安全運転でよろしくお願いします」

「分かっているよ。いちいちそんな事言うなよ……」

「「ご主人様、お願いがあるんですが……」」

 ルビーとサイファーが出発前に話しかけてきた。

「なんだ、王都の町で買い物がしたいのか?欲しいものがあるなら言ってみな?何でも買ってやるぞ」

「旦那様!そんなに甘やかしては……」

「セバスはうるさい!せっかくの王都だ。それ位許してやれよ」

「ですが……」

「「そうじゃないんです」」

「えっ?だったらなんだ?」

「帰り道は、ご主人様の隣に座りたいなあとおもったの。駄目ですか?」

 二人はもじもじしながら、助手席に乗りたいと言ってきたのだった。2人は行きはコンテナに乗っていたのだが、帰りは前から見る景色をみたいと言ってきたのだ。

「そんな事でいいのか?だったら早く言ってくれたらよかったのに……セバスは帰りはコンテナに乗ってくれ」

「「はい!」」

「わかりました」

「「「「「「ちょっと待って!だったらわたし達も!」」」」」」

 二人の様子を見て、女性達が手を上げたのだった。

「なんだ?お前達は!ここは年下の子に譲ってやろうと言う気持ちはないのか?」

「「「「「「ありません!」」」」」」」
「ご主人様の隣に座るのはわたしです!」
「なにいってんのよ!わたしにきまってるでしょ?」

 いきなりマイン達女性メンバーが、助手席を争奪しようとしていた。

「お前達は大人だろ?ルビーとサイファーに譲ってやれ」

「「「「「そんな……」」」」」

「「ご主人様……やっぱりわたし達……」」

「ったく……お前達はまだ子供なんだから我儘言っていいんだよ。それに、俺はさっきいいと言っただろ?」

「「はい!」」

 ヒロトシが許可を出し、ルビーとサイファーは笑顔となって返事をした。しかし、女性メンバー達は何やらブチブチ言っていたが気にしない様にした。

「「「「「クううううう……」」」」」
「おちびちゃん達に出し抜かれるとは、一生の不覚……」

「ったく……あいつ等はしょうがない奴らだ……」




 そして、王城から出発するときに、ローベルグや兵士達が見送りに来てくれたのには、ヒロトシ達も驚いたのだった。

「ローベルグ様、なんで?」

「なんでって、見送りに来たんじゃないか。この俺と剣を交えた者は友達みたいなものだ」

「国王陛下と友達って……」

「なんだ。いやなのか?」

「いやとかじゃなくて、恐れ多いと言いますか……」

「なに言ってんだ!短い間だったが俺はお前の事が気に入っている。今度、王都に来たときは必ず連絡を入れろよ!わかったな?」

「わ、わかりました」

「ったく……よそよそしいのはまだしょうがないみたいだな。まあ、元気でがんばれよ」

「はい!ありがとうございます!」

 そう言ってあいさつを交わし、ヒロトシはトラックに乗り込んで出発したのだった。

 ヒロトシ達は、軽快にトラックを飛ばしていた。その様子にルビーとサイファーは、助手席に座り目を輝かせていた。
 左右に広がる景色に興奮していたのだ。ヒロトシはその様子を見て、自分が初めて電車の先頭車両から見る景色を思い出していた。

「そんなに楽しいか?」

「「はい!ご主人様ありがとうございます!」」

 二人を笑顔で答えていたが、後ろの窓からは女性達が羨ましそうにみていたのは言うまでもなかった。ヒロトシはルームミラーでその様子を見て、苦笑いを浮かべていた。



 その頃、王都では何やら怪しい人物が、ヒロトシの様子を伺っていて、王都から出て行ったのを確認し、その姿がふっと消えたのだった。

「何であいつが王都に……たしか、ミトンの町では計画が行われていたはず……いったいどういうことなんだ?それにあの乗り物はいったい……」

 その男か女かわからない黒ずくめの人物は、忍者のように屋根を足場に移動して、スラム街の一角に入っていくのだった。

「ギルドマスター!大変です!」

「どうした?何かあったのか?」

「王都にあり得ない人物がいました……」

「あり得ない人物?」

「ミトンの町の英雄ヒロトシが王都にいました!」

「馬鹿な事を……今ミトンの町では大規模な征服計画が行われているはず、こんなところにいるはずが!」

「それがいたのです」

「それでミトンの英雄は?」

「それが変な乗り物で王都を出発したみたいです」

「お前は、みすみす逃したと言うのか?」

「そ、それは……先に情報を報せる方が重要と思ったので……」

「た、確かに……それはそうだな。すまなかった……」

「いえ……それよりミトン支部に連絡を入れた方が……まずはどうなっているか確認を!」

 連絡を入れても無駄だった……ミトン支部はもうすでに壊滅されていて、その情報が入ってくるのは3か月先の事になる。

 数日前、闇ギルドミトン支部だった洞窟には、6人の人間が舞い戻っていた。

「ど、どういう事だ……」
「何故誰もおらぬ……」
「それに、このゴーストたちは闇ギルドの人間か?」

 そう!舞い戻っていたのはヒロトシが闇ギルドに突入した時、別の作業をしていたネクロマンサー達だった。闇ギルドの人間が殺され、この辺りにはアサシンや盗賊達の怨霊が浮遊していたのである。

『悔しい……』
『ヒロトシを呪い殺せぇ……』
『この手で仕返しを……』

「この計画が失敗したとなれば俺達は……」
「ああ……闇ギルドから俺達が狙われるぞ……」
「なんとかしないと」
「今度はエルダーリッチより強力な魔物を……」
「おのれ!ヒロトシめ。この屈辱は絶対に俺達の手で果たしてやる!」
「覚えておれ!」

 ネクロマンサー達はその姿を消した。新たな脅威を探しにいったんこの洞窟離れたのだった。



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