研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

本条蒼依

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第5章 意外なスキル

17話 カイワームの特殊能力

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 ヒロトシは、リーファーに説明して何とか納得してもらおうとしていた時、ふとカイワームの方からバリボリと音が聞こえてきた。
 ヒロトシは何事かと思い、近づくとカイワームの変異上位種の1匹がとんでもない物を食べていたのだ。

「わぁ~~~~~!お前何を食べてんだ?こんなものを食べたら腹痛を起こすぞ」

 ヒロトシが取り上げたのは、なんとミスリルだった。カイワームはヒロトシの言ったことが分かっているようで、怒られるとシュンとして小さくなっていた。
 そして、他の5匹からなんか責められていたようだ。当然言葉解らないので奇声を上げているようにしか聞こえなかったが、又5匹が責めているように聞こえたので、ヒロトシは止めたのだった。

「いいか?これは食べ物じゃないんだ?ちゃんとご飯は上げただろ?」

『きしゃあぁぁぁぁ!』

「きしゃああああじゃない。こんなものはもう食べるなよ?」

『きしゃあああ!きしゃきしゃ!』

 何かを訴えているようだが、意思疎通が出来なかった。

「あの、ご主人様?何か訴えているみたいですね?」

「とはいえ、言葉が分からんからどうしようもないよ」

「ひょっとしてミスリルが食べたいんじゃ?」

『きしゃああ!』

「いやいや。駄目だろ?こんなの食べるもんじゃ」

「だけど、雑食と聞きますし……人間は食べるものじゃないけど、カイワームに取って好物なのかも?」

 ヒロトシは、他の5匹にミスリルを食べさせようとしたが、当然だがそっぽを向かれてしまった。

「ほら?他の5匹は食べないじゃないか?」

「この一匹はこういう物を食べていたから色も違うのかも?だったら、こうしましょう!」

「何かいい案でも?」

「ビアンカに通訳してもらいましょう」

「なるほど!あいつなら言葉が分かるかもな?すぐに呼んできてくれないか?」

「分かりました!」

 リーファーはヒロトシに言われて、サンライトに呼びに行ったのだ。しばらくすると、リーファーがビアンカを連れてきた。

『ヒロトシ、カイワームとお話したいのか?』

「ああ。頼む。こいつミスリルをボリボリ食べるんだよ。これは食いもんじゃ無いと教えてやってくれ」

『わかった』

 ビアンカは、サンライトでウェイトレスの様に食事を運んでいた為、ドラゴンの姿になっていた。人前では裸になってはいけないと言われていた為、人間の姿でウェイトレスの制服をずっと着ることが我慢できなかったからだ。

『きしゃあああ!』 
『きしゅききゃあああ!』

 二人を見ていたら、何を言っているのか分からなかったが会話はできているようだった。その間、他の5匹も会話していたようで、ビアンカから内容を聞くと、変異種はずっと一人でいた為、何でも食べないと生きていけなかったそうだ。
 当然、ミスリルを食べる前から体の色が濃いブルーだったが、ミスリルだけでなく鉱石を食べても今まで何も不具合はなかったそうだ。
 そればかりか、他の魔物から襲われそうになって逃げるとき、糸を巻き付けていたが切られる事も多々にあった。しかし、鉱石を食べ始めてからどんなに力の強い魔物でも、その糸は切られる事は無くなったそうだ。

『ヒロトシ。変異種はその鉱物が大好物なんだって。他の5匹は変わっている奴だから仲間外れにされるんだと言っているよ。まあ、今は同じ主人を持つ仲間だと言っているけどね』

 他の5匹は、そんなもの食べるのは止めろと言っていたそうだ。ここに来てから、腐っていない肉が食えるのに、なんで好き好んであんな物を食べようとするのか分からなかったようだ。

 ヒロトシは、その説明を聞いて引っかかる事があった。

「なあ、ビアンカ?さっき力の強い魔物から逃げるとき、その糸は鉱石を食べ始めてから絶対に切られる事はなかったと言ったな?」

『うん。なんかそう言っているよ』

「ご主人様?何か不思議な事でも?」

「ああ。ひょっとしたら凄い事かもしれないな。ビアンカ?変異種にその糸を吐いてくれと言ってくれないか?」
 
 ビアンカは、変異種にその強い糸を吐いてくれと頼んだ。変異種はその説明に糸を吐くと、その糸はなんとミスリルだった。

「こ、これは!」

「どうかしたのですか?」

「この糸ミスリルだ……」

「えええええええ!」

 ヒロトシがその糸を鑑定すると、ミスリルを細い糸に加工した絹糸と出たのだった。そして、驚くべきことが起こった。変異種は金銀銅鉄や青鉱石の糸も吐いて、最後にオリハルコンの糸まで吐いたのだった。

『きしゃああああああ!』

「どうした?」

『ヒロトシ、その糸を吐くからその鉱石を食わせろだって。ここに連れてきてくれて命の危険が無くなったから感謝しているからお礼するだって言っているよ」

「だが……鉱石なんか食って大丈夫なのか?」

 ヒロトシが、変異種を神眼で見てもこれら鉱石を原料に糸を作っているとは出なかったのだ。ただ単に好物という事で食べたいみたいだった。
 これら鉱石を食べて身体が進化しただけで、食べなくともこれらの糸を吐き分けることができるようだった。

『大丈夫だって』

「わかった。じゃあ、いくつでもとは言わないが、ご飯の時にインゴット1本つけるよ」

 それを聞いた変異種のカイワームは喜んでいるようだった。野生の時はミスリル鉱石だったが、㋪美研にあるミスリルは鉱石から抽出した純度の高いものだったからだ。

『ヒロトシ。変異種が嬉しいって言ってるよ』

「変異種って言うのもなんか変だな。名前はあるのか聞いてみてくれ」

『名前無いって言ってるよ』

「そうか……じゃあ6匹に名前を付けてやるか」

 そういうと、6匹のカイワーム達は喜んでいた。ヒロトシは、変異種に身体の色からブルーと名付けた。身体の色からとった名前だが、ブルーはその名前を気に入ったようだった。
 後の5匹も色からとり、レッド・グリーン・イエロー・ホワイト・ブラックと名付けると、体をくねらせ喜んでいた。

 そして、ビアンカは5匹に通常の糸を吐くように言い聞かせ、ブルーにはミスリルの糸を吐く様に指示を出し、サンライトに帰っていった。

「リーファー、お前にはこのミスリルの糸でTシャツを作ってほしい」

 ヒロトシはTシャツの説明をして、リーファーに作ってもらった。この指示にリーファーは満足がいったようで、裁縫スキルでヒロトシの役に立てると思ったのだった。そして、このミスリル製の布で出来た服がとんでもない事になる。

「ご主人様。こんな感じでよろしいですか?」

「おお!いい出来だよ。これなら十分だな」

 ヒロトシはそのTシャツを、台の上に置き留め具に挟みしわにならないように固定した。そして、丁寧に布にクリームの研磨剤で磨き始めた。
 するとそのシャツは、+3シャツになり、魔法使いでも着れる防御の高い装備品となった。魔法使いだけではなくファイターも鎧の下にアンダーシャツとして着込める事が出来て、さらにダメージを軽減できることになった。

「う、嘘でしょ?布の服が+装備になるだなんて!」

「これもブルーのおかげだな。いくらスキルが人外になろうとも、ミスリルを糸には加工は出来ないだろうしな」

「そんなの当たり前ですよ!仮に+装備にしなくても行商人達にも人気が出ますよ」

 当然と言えば当然の事だった。行商をしている人間は戦闘力が無い為、少しでも防御力は上げておきたいが、ミスリルの鎖帷子は軽いとはいえ、やはり普通の人間にとっては重くて移動が遅くなる。しかし、この服ならば軽くて防御力もあり、買い求められるのは容易に想像が出来た。

 そして、㋪美研では新装備としてミスリルシャツを売り出す事になり、凄い反響を生んだ。

「マインちゃん。今度のこの装備は一体何なんだよ?なんで布の服がこんなに馬鹿高い値段なんだ?」
「そうだぜこんなシャツ誰も買わないと思うぞ?」

「いえいえ、この装備はミスリルで出来ているんですよ。つまりこのシャツで相当の防御力が望めるのです」

「「「「「はぁあ⁉」」」」」」

「つまりですね。魔法使いの皆さんにとって防御力の問題はこの服で解決されるのです」

「こ、これがミスリルだって?」

「そうです!シャツにしたら300万ゴールドは高いと思いますが、それを補うだけの商品なんですよ?」

「う、嘘だろ?ミスリルのシャツがあるなんて……」
「でも、シャツならあたしだって着れるよ。重くないしね」
「す、すごい!本当に軽い」

「ですが、驚くのはまだ早いのですよ」

「「「「「えっ!まだなにかあるのか?」」」」」」

「このシャツはミスリル製なので研磨技術を施せるのです」

「「「「「なんだって!」」」」」

「つまり魔法使いの方が、このシャツ一枚で相当の防御力を持てるのです。まあ、シャツを磨く事になるので研磨料金は高くなるのですが、ファイターの方でも鎧の下に着込めるので、防御力はさらに上げることが可能です」

 その説明を聞き、冒険者達はその場に固まって思考が停止していたのだった。


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