研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

本条蒼依

文字の大きさ
186 / 347
第5章 意外なスキル

23話 呆気ない盗賊達

しおりを挟む
 ベックが死んだと商人ギルドから報告されたヒロトシはやるせない気持ちとなっていたがどうしようも無かった。
商人ギルドパルラン支部では、ベックが欲にかられてとんでもない行商をしたと非難を受けていた。これは、護衛を請け負った冒険者たち6人が犠牲となったからである。

 オサム率いるパーティーの男性4人は惨殺されて、女性2名は盗賊に連れ去られたとみてよかった。サキとジュリは今頃どんな目に遭っているのか、想像したらいたたまれなかったのだ。

「お姉ちゃんを返してよ!」

 ベックの家の前で泣きながら訴えていたのは、サキの妹であるシャーロットだった。ベックの奥さんはただ謝罪して頭を下げるしかなった。

「しゅ、主人が本当にごめんなさい……」

「な、なんで!あんな無茶な事をしたのよ!」

 シャーロットは、ベックの奥さんに怒りをぶつけるしかなかったのだ。こんな事をしても姉であるサキが帰ってこないのは分かっていたが、自分でも感情のコントロールができなかったのだ。

「貴方に慰謝料を請求します!」

「そ、そんな!確かに旦那のやった事は許せない事でしょうが、わたし達に請求だなんて……」

「無茶な行商をして、良い生活をしていたのでしょう?私の姉は私の治療費を稼ぐために、いつも頑張ってくれていた。私はそんな姉にいつも申し訳なく思っていて、ようやく姉は私の治療費が終わる目処がつき、もうすぐ自分の為に生活が出来たというのに!あんた達のせいで!」

 シャーロットはその場に泣き崩れてしまった。




 その頃、サキとジュリは盗賊に囚われて地獄のような生活を送っていた。

「親方!あの女はもうだめだな……」

「お前達又無茶な事をしたんだろ?」

「何を言ってんです!親方が一番無茶をしたんだですよ」

「そ、そうか……そいつは悪かったな。しゃあねえ!」

 盗賊はサキ達を、奴隷商に売ってしまうつもりだった。

 その頃ヒロトシは、ベックを殺した盗賊の事を調べるようにと、冒険者ギルドに依頼を出していた。

「ヒロトシ様。この依頼はどういう事ですか?」

「まあ、今回の事はベックが欲にかられての事だったが、これからミトンの町には赤豆が輸送されてくるだろ?」

「まあ、そうですね……」

「だったら、その盗賊達は邪魔だろ?」

「それはそうですが……ベックが死んでいた場所から考えるに、ミトンの町からだいぶん遠いですよ?」

「わかっているよ。だいたい普通に移動すれば、馬車で15日ほどの距離だろ?」

 ベックはあまりに赤豆を積載し、15日の距離を30日かけて進んでいた。これでは盗賊に襲ってくださいと言っているようなもので、本来ならベックはこんな事をする行商人ではなく、今回の儲け話に冷静な判断が出来ていなかったみたいだ。

「それはそうですが……情報だけでいいのですか?」

「ああ!構わない。出来るだけ早く居所を掴んでほしい」

「分かりました。依頼料をはずめば、それに特化した一流の冒険者が依頼を受けてくれると思いますがどういたしますか?」

「じゃあ、1週間で100万ゴールドを出す」

「はぁあ?100万ゴールド⁉10万ゴールドじゃなく100万?」

「足りないか?」

「いえいえ、十分すぎますよ。これなら超一流の冒険者が受けてくれるはずです」

「じゃあ、頼んだぞ」

「承知しました」

 ヒロトシは、ギルドに依頼を出し屋敷に帰った。今回わざと冒険者ギルドを使ったのだ。

 屋敷に帰ると、詰め寄ってきたのは当然シアンとセレンの二人だ。ギルドに頼まなくとも、元闇ギルド最強の諜報部隊員である二人に調査させれば一発でわかる事だからだ。

「「ご主人様!」」
「一体どういうことですか?」
「何で私達でなくギルドに調査依頼なんか出すのですか?」
「私達がそんなに頼りないですか?」
「そうですよ!闇ギルドは離れましたが腕は落ちていません」

「待て待て。今回はわざとギルドに依頼を出したんだ」

「「わざと?」」

「ああ……商人ギルドから疑われたのは知っているな?」

「ええ。ご主人様が、ベックにわざと無理な行商をさせたということでしたね」
「馬鹿な事を!ご主人様がそんなことするはずないのは、日頃からの行動で分かりそうなものを!」
「しかし、その疑いは晴れたのですよね?」

「表向きはな。やっぱり全体を見たらまだ疑っている人間はいるよ」

「どういう事ですか?」

「㋪美研はサンライトと二つの店をやっていて、次々ヒット商品を出しているよな?」

「「ご主人様の実力です」」

「ありがとな。だがそう言ってくれるのは仲間内だけだよ。外部の人間はそう思う人間は少ないって事だ。僻み妬みはやっぱりあるからな。ここで俺達だけで事件を解決したらどうなるか一目瞭然だろ?」

「つまり事件が表になる前に、自分達だけで解決して隠ぺいしたと?」

「そういうことだ!情報だけでも依頼したら、俺達に罪はないと言う事が外にわかるだろ?」

「「なるほど……」」

「こういう時は、ギルドを最大限に利用した方がいいんだよ。お前達には悪いとは思ったが今回は我慢してくれ」

「「そういう事でしたか」」
「私達が悪かったです。申し訳ございません」
「ごめんなさい……」

「謝らなくてもいいよ。自分達の仕事に誇りを持っている証拠だ」

「「ありがとうございます」」
「その代わりに……」

「ああ!わかっているよ。ギルドから情報が入ったら、お前たち二人にも一緒に来てもらうからな。準備しとけよ」

「「はい!」」

 それから、三日もせず情報がヒロトシに報告され、セレンとシアンの3人で出発することになった。トラックで向かったヒロトシ達は、盗賊達に逃げる準備もさせず盗賊のアジトに到着した。

「シアン、セレン準備はいいか?」

「「はい!」」
「我々に濡れ衣を着せた恨みを果たしてやりましょう」
「絶対にゆるさない」

 盗賊達のアジトは洞窟にあった。当然、出入り口には大勢の盗賊達が見張りがいたが、ヒロトシは、有無も言わさず出入り口にいた盗賊に向かって【ファイヤーボール】を撃ちこんだ。

 ものすごい衝撃と熱風に盗賊達は何事かと思ったほどだった。外から絶叫が聞こえてきて、出入り口付近から熱風が吹き込んだからだ。

「「「「「「ぎゃああああ!」」」」」」

 外にいた盗賊はファイヤーボールで瞬殺され、それと同時にシアンとセレンが洞窟に潜入した。

「て、敵襲!」

 出入口にいた盗賊は敵襲と叫び、警笛を鳴らしたのだ。すると洞窟の中からワラワラと盗賊が出てきて、シアンとセレンに襲い掛かってきた。

「女二人で乗り込むとは恐れ入ったわ!」
「後悔しろ!」
「ひゃっはぁ~~~~~!」

「馬鹿な奴等ね!わたし達に敵うはずないでしょ?」

 セレンは冷ややかな笑みを浮かべて、大鎌を構え襲ってくる盗賊達を薙ぎ払った。

「「「「「「ぎゃああああ!」」」」」」

 盗賊達は、セレンに近づく事さえできなくて、胴体を真っ二つにされていく。

「ど、どういう事だ……一歩も近づけねぇ……」

「当たり前でしょ?あの子の通り名は首狩りよ」

「なっ!何でそんな奴が俺達を襲うんだよ……痛っぐっががががががが!」

 シアンに少し傷をつけられると、その盗賊は泡を吹いて絶命した。

 セレンが大きな鎌で盗賊達を真っ二つにしていき、遠くにいる奴らは、シアンがあり得ないスピードで移動していき、かすり傷をつけていく。そして、洞窟内はこの世の地獄と化していた。

「これはどういうことでぃ!」

 ようやく騒ぎに気づいた盗賊の親分が騒がしい入口に顔を見せた。逃げようとしたり、奥の部屋に行こうとした盗賊は全てシアンが毒殺し、この場から逃げれない様にしていた。

「やっと!黒幕の登場ね」
「貴方はもう終わり……覚悟しなさい!」

「てめえら!何をしたかわかってんのか!」

 この惨状に盗賊の親方は顔を真っ赤にして怒鳴ったのだ。

「何を怒っているのかよくわからんな?お前達は好き勝手生きてきたそのツケが今戻って来ただけなんだよ」

「ガキが!知った風な事を言ってんじゃねぇ!」

 盗賊の親方は、ヒロトシがいきなり会話に入ってきてむかっ腹がたった。たった3人に、ここまでやられてしまったのだ。

「お前達はここで死んでもらう!」

「ご主人様!ちょっと待って。こんな奴に、ご主人様の手を煩わせなくても私達で十分です」

 ヒロトシが魔法を飛ばす前に、シアンが親分の首を切ってしまった。

「あああ!シアン狡い!とどめを刺すのは私だったのに!」

「ふふっ。こういうのは早い者勝ちだわ」

「女ぁ!何勝手に……しゃ……ガガがガガがガガ……」

 シアンに首を傷つけられて親分は、そのまま死んでしまった。

「「「「「親方がやられちまった……」」」」」

「貴方達、どうしますか?抵抗して殺されるか?」
「それとも生きて鉱山送り、どちらにしますか?」

「俺何もしてないな……」

 生き残った数少ない盗賊達は、両手を上げて降参してしまった。そして、シアンとセレンは意気消沈した盗賊達を素巻きにしてしまった。

「「ご主人様は何もしなくてもいいですよ。こういう汚れ仕事はあたし達でやります」」

 地下牢に行くと、誘拐された人間が囚われていて、生気を失った状態で見つかった。

「クソ……あいつ等盗賊は本当にろくでもない人間ばかりだな……」

 牢屋に囚われていた人間全員奴隷に落とされていた。先ほどの盗賊の中に奴隷商人がいて、後は悪徳商人に売りに行くだけだったようだ。その中には、ベックの護衛を務めていたサキとジュリの姿もあった。

「君達はベックの護衛を務めていた人だよね?」

 前にベックと一緒に、㋪美研に来ていたのを覚えていたヒロトシは、サキとジュリに声をかけたが、あまりに酷い仕打ちをされたのだろう。2人はヒロトシの声に反応はしなかった。この反応は二人だけではなく、牢屋に入れられていた10人も同じだった。

 ヒロトシは、奴隷に落とされた12人全て保護し、ミトンの町へと連れて帰る事にした。




しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

完結 シシルナ島物語 少年薬師ノルド/ 荷運び人ノルド 蠱惑の魔剣

織部
ファンタジー
 ノルドは、古き風の島、正式名称シシルナ・アエリア・エルダで育った。母セラと二人きりで暮らし。  背は低く猫背で、隻眼で、両手は動くものの、左腕は上がらず、左足もほとんど動かない、生まれつき障害を抱えていた。  母セラもまた、頭に毒薬を浴びたような痣がある。彼女はスカーフで頭を覆い、人目を避けてひっそりと暮らしていた。  セラ親子がシシルナ島に渡ってきたのは、ノルドがわずか2歳の時だった。  彼の中で最も古い記憶。船のデッキで、母セラに抱かれながら、この新たな島がゆっくりと近づいてくるのを見つめた瞬間だ。  セラの腕の中で、ぽつりと一言、彼がつぶやく。 「セラ、ウミ」 「ええ、そうよ。海」 ノルドの成長譚と冒険譚の物語が開幕します! カクヨム様 小説家になろう様でも掲載しております。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...