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沖縄での生活は思った以上に充実していた。
本店のコンセプトを踏襲しつつ南国の雰囲気を取り入れるお店づくり。一足先に店長として沖縄入りしていた、柏木さんは5歳年上のアネゴ肌の女性だ。
スタッフ、アルバイトの採用、什器、備品の購入、1ヶ月あるホテルのプレオープンの期間をどうするか、決めることは山積みだった。
▲
「うーん。ホテル内の店舗ともなると採用も結構な人数になりますね。」
「そうね。早瀬くんはどんな人がいいと思う?」
「そうですね。デザイン力もそうなんですけどホテル内っていう店舗の特性上カウンセリング力っていうか聞き上手な人がいいと思うんです。」
ここの店舗ではブライダルのお客様も多く担当する。結婚を前にナーバスになっているお客様も多いだろう。そういうお客様から上手に要望を引き出せる人がいい。
「本部からの再雇用の希望者リストの中に、確か…あぁこの人、名字は変わってるけど帝都ホテルのブライダル部門で伝説って言われてた人!私が入社したのと同時ぐらいでやめちゃったから、ブランクは10年か~。」
「じゃあ採用の有力候補ですね。」
「僕の方では…へぇこの人、建築学科卒ですね。うちみたいな業種に応募してくるってめずらしいですね。都市の緑化と建築が専門って書いてある。」
高橋圭人、懐っこい笑顔の写真が履歴書に張り付いている。
「早瀬くんその人興味あるの?」
「そうですね。この人だけじゃないんですけど、いろんな人生があって今ここで僕らの店に働きたいって応募してきてくれてる。履歴書って興味深いじゃないですか。」
「そういえば早瀬くんはなんで沖縄にきたの?正直断るかと思ってた。」
社会人になってこんなに誰かと一緒に仕事をすることがなかった僕は、すっかり柏木さんに心を許していた。
「…付き合ってた相手が結婚してたんですよ。びっくりですよね。それで何もかも嫌になって逃げてきちゃったんです。」
今まで誰にも相談できなかったことをつい話してしまった。
「そっかそういう事情だったんだ。」
こんな後ろ向きな理由で沖縄に来たと知ってがっかりしただろうか。
「すみません。失望しましたよね。」
「あぁ~いやいや。実はさ、早瀬くんを沖縄店に引っ張ってほしいて上に言ったの私なんだよね」
「そうだったんですね。全然知らなかったです。」
「早瀬くん、東京にいい人がいる感じだったから来てくれないかと思ってた。だから私としてはラッキーだったかな。」
でもさ、と柏木さんは続けた。
「ちゃんと話したの?本音でぶつかっておかないと後悔をず~っと持って歩くことになるわよ。私もあのとき素直になってれば今沖縄にはいなかったかな~なんて思ったりしちゃうわけよ。」
「今柏木さんいなかったら、僕もいないじゃないですか。そんなの困りますよ。」
言うと二人で目を合わせて笑った。
笑いながら胸がチクリと痛んだ。僕はどこまで本音で結城さんと話しただろうか。
本店のコンセプトを踏襲しつつ南国の雰囲気を取り入れるお店づくり。一足先に店長として沖縄入りしていた、柏木さんは5歳年上のアネゴ肌の女性だ。
スタッフ、アルバイトの採用、什器、備品の購入、1ヶ月あるホテルのプレオープンの期間をどうするか、決めることは山積みだった。
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「うーん。ホテル内の店舗ともなると採用も結構な人数になりますね。」
「そうね。早瀬くんはどんな人がいいと思う?」
「そうですね。デザイン力もそうなんですけどホテル内っていう店舗の特性上カウンセリング力っていうか聞き上手な人がいいと思うんです。」
ここの店舗ではブライダルのお客様も多く担当する。結婚を前にナーバスになっているお客様も多いだろう。そういうお客様から上手に要望を引き出せる人がいい。
「本部からの再雇用の希望者リストの中に、確か…あぁこの人、名字は変わってるけど帝都ホテルのブライダル部門で伝説って言われてた人!私が入社したのと同時ぐらいでやめちゃったから、ブランクは10年か~。」
「じゃあ採用の有力候補ですね。」
「僕の方では…へぇこの人、建築学科卒ですね。うちみたいな業種に応募してくるってめずらしいですね。都市の緑化と建築が専門って書いてある。」
高橋圭人、懐っこい笑顔の写真が履歴書に張り付いている。
「早瀬くんその人興味あるの?」
「そうですね。この人だけじゃないんですけど、いろんな人生があって今ここで僕らの店に働きたいって応募してきてくれてる。履歴書って興味深いじゃないですか。」
「そういえば早瀬くんはなんで沖縄にきたの?正直断るかと思ってた。」
社会人になってこんなに誰かと一緒に仕事をすることがなかった僕は、すっかり柏木さんに心を許していた。
「…付き合ってた相手が結婚してたんですよ。びっくりですよね。それで何もかも嫌になって逃げてきちゃったんです。」
今まで誰にも相談できなかったことをつい話してしまった。
「そっかそういう事情だったんだ。」
こんな後ろ向きな理由で沖縄に来たと知ってがっかりしただろうか。
「すみません。失望しましたよね。」
「あぁ~いやいや。実はさ、早瀬くんを沖縄店に引っ張ってほしいて上に言ったの私なんだよね」
「そうだったんですね。全然知らなかったです。」
「早瀬くん、東京にいい人がいる感じだったから来てくれないかと思ってた。だから私としてはラッキーだったかな。」
でもさ、と柏木さんは続けた。
「ちゃんと話したの?本音でぶつかっておかないと後悔をず~っと持って歩くことになるわよ。私もあのとき素直になってれば今沖縄にはいなかったかな~なんて思ったりしちゃうわけよ。」
「今柏木さんいなかったら、僕もいないじゃないですか。そんなの困りますよ。」
言うと二人で目を合わせて笑った。
笑いながら胸がチクリと痛んだ。僕はどこまで本音で結城さんと話しただろうか。
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