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第一章(高一春)
2:噂の子
しおりを挟む「やっぱりぃ、いつ見てもヒロの紅い瞳、ゾクゾクするよね~♪」
とニヤついた顔で言ってくる友人に少し悪寒がした。
「やめとけ、友紀。博樹引いてるから 」
「むー!そんなことないよー!ねぇー?ヒロ~ って、その顔ヤメテ。」
俺の深紅のような紅い瞳、それはαの中でも特に優秀な遺伝子の個体であることを意味している。αは紅い瞳に近ければ近いほど、Ωは蒼い瞳に近ければ近いほど、優秀な個体なのだ。そして、逆の瞳の色は、劣勢な個体と蔑まれる。
道也は、少し赤みがかった夕焼け色の瞳、そして友紀は黒い瞳だ。黒の瞳は一般的な個体を表している。これはαやΩにも時々持つものがいるらしいが、だいたいβにしか現れない色味なので、「βの色」とされている。
「俺は自分の目より、友紀の綺麗な黒色の瞳好きだよ。」
「え!?!?どうしたの?なんか変なものでも食べた??保健室行く??」
「………。もう二度と褒めない。」
「いやごめん(笑)ヒロに褒められると思ってなくて、びっくりしちゃった…!」
「俺も博樹も友紀の努力は知ってるよ。」
「ありがとう!」
幼い頃から βの色持ちα と言われてきた友紀は、地道な努力で、俺や道也に必死についてきていた。今では、俺でも負けそうな時があるくらいの秀才だ。
「ってそんなことより!今は首席君の話だったじゃん?どんな子だろうね~??」
「αは間違いないだろう。」
「案外βやΩだったりして~」
「蒼い瞳のΩだったら有り得るかもな。まあ、そんなΩは都市伝説レベルだがな。」
「いや、案外いるかもよ!だって、俺たちの友人が都市伝説レベルのαじゃん!!」
確かにと言わんばかりに、道也が俺の顔を覗き込んでくる。恥ずかしい。
「……っ。そんなことより早く会場に行こう。」
そうして、俺たちは入学式の会場に向かったのだった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「名家専用席が用意されてるとは聞いてたけど~、まさかこんな見世物みたいに座らされるとは思ってなかったよ!!!」
校長の長話に飽きてきたのか友紀が、話しかけてくる。式の最中だし、普段なら相手にしないが、友紀の気持ちは痛いほどわかる。会場は1階と2階に別れていて、入学式は普通1階しか使わないらしいが、俺たち3人は今2階の席に座らされている。
「しかも橘は??入学式ボイコット??」
「仕事が入ってるらしい。」
「またかよ!!人気者は大変ですねー(棒)」
友紀…。完全にイライラしてるな。
今はいない名家橘の跡取り橘 優斗は、売れっ子芸能モデルらしい。いつも集まりの時には、仕事で来れないのだ。その為、同じ名家でも関わりが全くない。
「新入生代表挨拶に移ります。代表者は、登壇しなさい。」
「 はい 」
その声を聞いた瞬間、自分の心臓がうるさいくらい跳ね上がる。ドキドキドキ…と収まる気配のない動悸に俺は息を飲んだ。これは、一体……?
「ヒロ?顔赤いけど大丈夫?」
「熱でもあるのか?」
心配そうにする2人に、大丈夫だと頷き
視線を壇上に戻す。
登壇した新入生を見て、会場全員がざわめく。
嘘だろ。実在したんだ。そんな言葉が飛び交うほど、首席入学生は神秘的だった。
真っ黒な髪に、女性と見間違うくらいの小さな身体、そして何より首にある首輪と透き通るような神秘的な蒼い瞳に、見惚れてしまった。
体の体温が一気に熱くなるのを感じる。今自分の目の前にいるΩが愛しいとそう感じずにはいられなかった。
この現象はまるで………
「運命の番…?」
声に出てたらしく、驚いたような目で2人が見てきたが、今俺の紅い瞳は首席新入生しか移しておらず、気が付かなかった。
運命の番、昔本で読んだことがあった。
本能で惹かれ合うαとΩ。お互いがお互いを求め合う、まさに運命の相手。
「━━━━━……以上を持ちまして、新入生代表挨拶とさせて頂きます。新入生代表 久城 楪」
「見つけた。俺の運命……」
運命の番を見つけた嬉しさで、その時俺は気づかなかった。代表挨拶者の名前を聞き、表情が消えた名家のものがいることに。
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