君のすべては僕のもの

ぽんち。

文字の大きさ
7 / 36
第一章(高一春)

3:久城 楪

しおりを挟む
 ザワザワとした教室、自分に向けられた視線、こうなる事は予想していたが耐えきれず、思わず眉をひそめた。

そして、こう思わずにはいられなかった
「………どうして、僕はΩなんだろう。」


 第2性別がΩと言うだけで、この世界は残酷だ。Ωには社会的地位が無いに等しい。ヒートのせいでまともに働けないせいだ。
 加えて、僕は「蒼い瞳持ちΩ」であることが
さらに世間に刺激を与えた。蒼い瞳を持つΩは、
優秀な個体らしい。そして、僕のような完全な蒼い瞳のΩは今まで一人もいなかったそうだ。青みがかった人は数人いたらしいが、Ωのほとんどは紫の瞳だった。
 まあ、そんな都市伝説級のΩがいれば、話題にもってこいだもんな。生きづらい世の中だ。

 幼稚園の頃、それが理由でいじめを受けて以来、
小中は通信で通わせてもらっていたが、さすがに高校まで通信で通うわけいはいかないということで、登校してきた訳だが、早くも帰りたいっっ…。
 廊下の窓にふと目をやると、嬉しそうな顔でこちらを見てくる叔父叔母の姿を見て、もう少し頑張ろうと決意した時、ふとなんとも言えない感覚に襲われた。

 先程の入学式の挨拶の時のだ。急に激しい動悸に襲われた。先程は、大勢の前で見世物みたい目にあったので、緊張していたのだろうと深く考えなかったが、今は違う。何かがおかしい。
 何かに怯えるような、でも何かを求めているようなそんな甘く痺れるような感覚に襲われる。

「………はぁっ。」

 ガタガタッという音と共に、椅子から落ちてしまった。自分の体温が急に上がるのを感じる。

「楪!!!」
 何かを察した叔父が教室に入ってきてくれた。
「晴久…叔父さ…ま。」
 激しい動悸のせいで、頭が真っ白になりかけたその時だった。それまで自分に向けられていた視線が教室の扉に向けられた。
なんで、このクラスにこの人たちが…!?そんなザワザワした声を聞き、視線を扉に向けたその時

「……あぁ。いた。」

 低いその声は一瞬で僕を包み込んだ。アッシュグレーの髪、燃えるような彼の紅い瞳を見て
感じたに、僕は怖くなった。
 先程まで、自分を襲っていた動悸はびっくりするくらい収まっていて、胸の奥から熱い思いが込み上げてきた。



     ー彼に愛されたいー



そうか。あなたなんだね。僕のは。

 驚いたように目を見開いた彼を見て、自分が涙を流していることに気づく。
「楪?」
 心配そうな叔父さんがこちらを見つめてくる。
大丈夫だよと伝えなければならないのに、上手く言葉が出てこない。そして、湧き上がってくる熱に耐えきれず、彼に微笑み意識を手放した。




「初めまして。僕の運命。





 次に目を覚ますと、そこには見慣れない白い天井があった。そして、自分に刺さっている点滴を見て、重度のヒートを起こしていたことに気づく。

「そうか。あれはヒートの前の症状だったんだ。また迷惑かけちゃったな。」
 教室でヒートを起こすなんて最悪だ…。教室に行きづらいな。そう思いながら、これからのことを考えていると、バンッと勢いよく病室のドアが開く。


「楪!!大丈夫か??」
と叔父と叔母が、心配そうに病室に入ってきた。
「お医者様からは点滴もしてあるから、今は落ち着いてるけど1週間ヒートが続くだろう…って」
「もうそろそろかなとは思っていたが、急に教室でヒートが来るなんて。」
「心配ばかりかけて、ごめんなさい…」
「いいのよ。今日は病院でゆっくり寝て休んで?」
 明日の朝すぐ迎えに来るからねと優しく叔母は声をかけてくれた。
 叔父に優しく頭を撫でられ、安心感に包まれ、疲れていたせいかまたすぐ眠ってしまった。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

無自覚オメガとオメガ嫌いの上司

蒼井梨音
BL
ベータとして生きてきた無自覚オメガの小国直樹は、オメガ嫌いの白鷹課長のいる部署に異動になった。 ビクビクしながら、なるべく関わらないように仕事をしてたのに、 ペアを組んでいた先輩が倒れてしまい、課長がサポートすることに。 そして、なぜか課長にキスされてしまい…?? 無自覚オメガ→小国直樹(24) オメガ嫌いの上司→白鷹迅(28)アルファ 第一部・完 お読みいただき、ありがとうございました。 第二部 白鷹課長と一緒に住むことになった直樹。 プロジェクトのこととか、新しくできた友だちの啓さんのこととか。 相変わらず、直樹は無自覚に迅さんに甘えています。 第三部 入籍した直樹は、今度は結婚式がしたくなりました。 第四部 入籍したものの、まだ番になってない直樹と迅さん。 直樹が取引先のアルファに目をつけられて…… ※続きもいずれ更新します。お待ちください。 直樹のイラスト、描いてもらいました。

αで上級魔法士の側近は隣国の王子の婚約者候補に転生する

結川
BL
アデル王子の幼馴染かつ側近のルイス・シュトラール(α・上級魔法士)が転生した先は、隣国の王子の婚約者候補であるルカ・エドウィン(Ω・魔法未修得者)だった。 ※12/6追記:2章プロット作成のため更新を留めます(2章からはBL/オメガバースらしい話にします)シナリオ調整のため、公開済みの話に変更を加える可能性があります。

愛させてよΩ様

ななな
BL
帝国の王子[α]×公爵家の長男[Ω] この国の貴族は大体がαかΩ。 商人上がりの貴族はβもいるけど。 でも、αばかりじゃ優秀なαが産まれることはない。 だから、Ωだけの一族が一定数いる。 僕はαの両親の元に生まれ、αだと信じてやまなかったのにΩだった。 長男なのに家を継げないから婿入りしないといけないんだけど、公爵家にΩが生まれること自体滅多にない。 しかも、僕の一家はこの国の三大公爵家。 王族は現在αしかいないため、身分が一番高いΩは僕ということになる。 つまり、自動的に王族の王太子殿下の婚約者になってしまうのだ...。

流れる星、どうかお願い

ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる) オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年 高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼 そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ ”要が幸せになりますように” オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ 王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに! 一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが お付き合いください!

奇跡に祝福を

善奈美
BL
 家族に爪弾きにされていた僕。高等部三学年に進級してすぐ、四神の一つ、西條家の後継者である彼が記憶喪失になった。運命であると僕は知っていたけど、ずっと避けていた。でも、記憶がなくなったことで僕は彼と過ごすことになった。でも、記憶が戻ったら終わり、そんな関係だった。 ※不定期更新になります。

あなたの家族にしてください

秋月真鳥
BL
 ヒート事故で番ってしまったサイモンとティエリー。  情報部所属のサイモン・ジュネはアルファで、優秀な警察官だ。  闇オークションでオメガが売りに出されるという情報を得たサイモンは、チームの一員としてオークション会場に潜入捜査に行く。  そこで出会った長身で逞しくも美しいオメガ、ティエリー・クルーゾーのヒートにあてられて、サイモンはティエリーと番ってしまう。  サイモンはオメガのフェロモンに強い体質で、強い抑制剤も服用していたし、緊急用の抑制剤も打っていた。  対するティエリーはフェロモンがほとんど感じられないくらいフェロモンの薄いオメガだった。  それなのに、なぜ。  番にしてしまった責任を取ってサイモンはティエリーと結婚する。  一緒に過ごすうちにサイモンはティエリーの物静かで寂しげな様子に惹かれて愛してしまう。  ティエリーの方も誠実で優しいサイモンを愛してしまう。しかし、サイモンは責任感だけで自分と結婚したとティエリーは思い込んで苦悩する。  すれ違う運命の番が家族になるまでの海外ドラマ風オメガバースBLストーリー。 ※奇数話が攻め視点で、偶数話が受け視点です。 ※エブリスタ、ムーンライトノベルズ、ネオページにも掲載しています。

籠中の鳥と陽色の君〜訳アリ王子の婚約お試し期間〜

むらくも
BL
婚約話から逃げ続けていた氷の国のα王子グラキエは、成年を機に年貢の納め時を迎えていた。 令嬢から逃げたい一心で失言の常習犯が選んだのは、太陽の国のΩ王子ラズリウ。 同性ならば互いに別行動が可能だろうと見込んでの事だったけれど、どうにもそうはいかなくて……? 本当はもっと、近くに居たい。 自由で居たいα王子×従順に振る舞うΩ王子の両片想いBL。

籠中の鳥と陽の差す国〜訳アリ王子の受難〜

むらくも
BL
氷の国アルブレアの第三王子グラキエは、太陽の国ネヴァルストの第五王子ラズリウの婚約者。 長い冬が明け、いよいよ二人はラズリウの祖国へ婚約の報告に向かう事になった。 初めて国外へ出るグラキエのテンションは最高潮。 しかし見知らぬ男に目をつけられ、不覚にも誘拐されてしまう。 そこに婚約者を探し回っていたラズリウが飛び込んできて── ……王への謁見どころじゃないんだが? 君は、必ず守るから。 無防備なおのぼりα王子×婚約者が心配なΩ王子の ゆるあまオメガバース&ファンタジーBL ※「籠中の鳥と陽色の君〜訳アリ王子の婚約お試し期間〜」の続きのお話です。

処理中です...