君のすべては僕のもの

ぽんち。

文字の大きさ
31 / 36
第2章(高一冬~)

16:束の間( 秦同目線 )

しおりを挟む



「ところでそのお弁当は?」


 十中八九、優の言っていた
だろう。だからあえて、俺は楪に聞いてみた。


「こ…これは、その…。」


 楪が少し顔を赤らめて、バツが悪そうにしている。可愛すぎる。少し意地悪してみようかな。


「楪のお弁当だろ?」


「………!?な、んで、…?」


「優が楪のを食べたって言ってたからさ?」



 食べたって報告そっちのけで自慢されたしな。



「俺もまだ楪のお弁当食べたことないのに
先に優に食べられた気持ち分かる?」


楪は、顔を真っ赤にしたと思ったら、顔を逸らしてこう言った。



「っ…!た、橘の前に先に日下部と食べてたから。それで立花が通りかかって、に食べてったんだ。」



 焦った口調で楪が言い訳をしている。へぇ。…ねぇ。そこに通りかかったのが、俺だったら絶対食べさせて貰えなかったんじゃないだろうか。というか逃げてそう。そんなに嫌われることをしてしまったのか?




「じゃあ、ここで会った…だな。」




「……!?へっ?」




 さっきまで赤くなったと思ったら、本気で驚いた顔で俺を見ている。表情がコロコロ変わって、面白い。少しフッと笑い声を出して、楪の近くに寄った。




「いいだろ?ここで会ったついでじゃないか?
お昼まだだったんだ。楪の分けてもらえると嬉しいのだけれど。」




「…………。今日は日下部と食べるから、分けてあげられない。ごめん。」




 友紀に楪を取られた気分だ。
俺は明らかにシュンとした顔で楪を見た。




「………………。明日また作ってくるよ。秦同用に用意する。それじゃだめ?」




 うっ。そんな可愛い顔でお願いされたら、今日のを食べたいと我儘は言えない。仕返しをされたな。
 今日なんのお弁当を作ったのかは、後で友紀に教えてもらおう。



「分かった。明日も登校する予定だから。
楪のクラスに迎えに行くよ。」



「分かった。ありがとう。待ってるね」



 蒼い瞳を細め、フワッと微笑む楪に俺は固まってしまった。こんな顔今まで見たことがなかった。可愛い……。今すぐ俺のものにしたいというαの本能、ドクドクと高まる鼓動がうるさい。
 これ以上一緒にいるとまずいと察した俺は、
もう時間だ。じゃあ、また明日と声をかけ、校門の方へ向かう。




「博樹様。お帰りなさいませ。お待ちしておりました。」



「会食の予定だったな。早く向かってくれ。」



「かしこまりました。」



 こんなにも明日が待ち遠しいのは、初めてかもしれない。そんなことを考えながら、俺は車に乗り、セントラル学園を眺めていた。











しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

無自覚オメガとオメガ嫌いの上司

蒼井梨音
BL
ベータとして生きてきた無自覚オメガの小国直樹は、オメガ嫌いの白鷹課長のいる部署に異動になった。 ビクビクしながら、なるべく関わらないように仕事をしてたのに、 ペアを組んでいた先輩が倒れてしまい、課長がサポートすることに。 そして、なぜか課長にキスされてしまい…?? 無自覚オメガ→小国直樹(24) オメガ嫌いの上司→白鷹迅(28)アルファ 第一部・完 お読みいただき、ありがとうございました。 第二部 白鷹課長と一緒に住むことになった直樹。 プロジェクトのこととか、新しくできた友だちの啓さんのこととか。 相変わらず、直樹は無自覚に迅さんに甘えています。 第三部 入籍した直樹は、今度は結婚式がしたくなりました。 第四部 入籍したものの、まだ番になってない直樹と迅さん。 直樹が取引先のアルファに目をつけられて…… ※続きもいずれ更新します。お待ちください。 直樹のイラスト、描いてもらいました。

αで上級魔法士の側近は隣国の王子の婚約者候補に転生する

結川
BL
アデル王子の幼馴染かつ側近のルイス・シュトラール(α・上級魔法士)が転生した先は、隣国の王子の婚約者候補であるルカ・エドウィン(Ω・魔法未修得者)だった。 ※12/6追記:2章プロット作成のため更新を留めます(2章からはBL/オメガバースらしい話にします)シナリオ調整のため、公開済みの話に変更を加える可能性があります。

愛させてよΩ様

ななな
BL
帝国の王子[α]×公爵家の長男[Ω] この国の貴族は大体がαかΩ。 商人上がりの貴族はβもいるけど。 でも、αばかりじゃ優秀なαが産まれることはない。 だから、Ωだけの一族が一定数いる。 僕はαの両親の元に生まれ、αだと信じてやまなかったのにΩだった。 長男なのに家を継げないから婿入りしないといけないんだけど、公爵家にΩが生まれること自体滅多にない。 しかも、僕の一家はこの国の三大公爵家。 王族は現在αしかいないため、身分が一番高いΩは僕ということになる。 つまり、自動的に王族の王太子殿下の婚約者になってしまうのだ...。

流れる星、どうかお願い

ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる) オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年 高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼 そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ ”要が幸せになりますように” オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ 王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに! 一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが お付き合いください!

奇跡に祝福を

善奈美
BL
 家族に爪弾きにされていた僕。高等部三学年に進級してすぐ、四神の一つ、西條家の後継者である彼が記憶喪失になった。運命であると僕は知っていたけど、ずっと避けていた。でも、記憶がなくなったことで僕は彼と過ごすことになった。でも、記憶が戻ったら終わり、そんな関係だった。 ※不定期更新になります。

あなたの家族にしてください

秋月真鳥
BL
 ヒート事故で番ってしまったサイモンとティエリー。  情報部所属のサイモン・ジュネはアルファで、優秀な警察官だ。  闇オークションでオメガが売りに出されるという情報を得たサイモンは、チームの一員としてオークション会場に潜入捜査に行く。  そこで出会った長身で逞しくも美しいオメガ、ティエリー・クルーゾーのヒートにあてられて、サイモンはティエリーと番ってしまう。  サイモンはオメガのフェロモンに強い体質で、強い抑制剤も服用していたし、緊急用の抑制剤も打っていた。  対するティエリーはフェロモンがほとんど感じられないくらいフェロモンの薄いオメガだった。  それなのに、なぜ。  番にしてしまった責任を取ってサイモンはティエリーと結婚する。  一緒に過ごすうちにサイモンはティエリーの物静かで寂しげな様子に惹かれて愛してしまう。  ティエリーの方も誠実で優しいサイモンを愛してしまう。しかし、サイモンは責任感だけで自分と結婚したとティエリーは思い込んで苦悩する。  すれ違う運命の番が家族になるまでの海外ドラマ風オメガバースBLストーリー。 ※奇数話が攻め視点で、偶数話が受け視点です。 ※エブリスタ、ムーンライトノベルズ、ネオページにも掲載しています。

籠中の鳥と陽色の君〜訳アリ王子の婚約お試し期間〜

むらくも
BL
婚約話から逃げ続けていた氷の国のα王子グラキエは、成年を機に年貢の納め時を迎えていた。 令嬢から逃げたい一心で失言の常習犯が選んだのは、太陽の国のΩ王子ラズリウ。 同性ならば互いに別行動が可能だろうと見込んでの事だったけれど、どうにもそうはいかなくて……? 本当はもっと、近くに居たい。 自由で居たいα王子×従順に振る舞うΩ王子の両片想いBL。

籠中の鳥と陽の差す国〜訳アリ王子の受難〜

むらくも
BL
氷の国アルブレアの第三王子グラキエは、太陽の国ネヴァルストの第五王子ラズリウの婚約者。 長い冬が明け、いよいよ二人はラズリウの祖国へ婚約の報告に向かう事になった。 初めて国外へ出るグラキエのテンションは最高潮。 しかし見知らぬ男に目をつけられ、不覚にも誘拐されてしまう。 そこに婚約者を探し回っていたラズリウが飛び込んできて── ……王への謁見どころじゃないんだが? 君は、必ず守るから。 無防備なおのぼりα王子×婚約者が心配なΩ王子の ゆるあまオメガバース&ファンタジーBL ※「籠中の鳥と陽色の君〜訳アリ王子の婚約お試し期間〜」の続きのお話です。

処理中です...