雨上がりの蝶

藤極京子

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 俺が何をしたっていうのか。

 これは昆虫達の恨みか?

 大量に捕った罪か?

 そうとしか思えないけど、なんて馬鹿馬鹿しい思考なんだ。
 
 それしか考えられないけど、こんなの現実的ではない。
 
 落ち着け。

 落ち着け。

 雨で、真っ暗で、頭が混乱しているだけだ。

 そうだ。

 見間違いだ。

 あり得ない。

 あり得ない。
 
 だって、さっきまで。

 そうだ。
 
 そうだ。

 大粒の雨で視界がやられていて、葉っぱとか枯れ枝とか、そんなのが変な風に見えてしまっただけなんだ。

 落ち着け。

 落ち着け。

 取り合えず、もう一度確認しよう。

 確認して、帰ろう。

 雨が降ってから、寒くなったけど、確認しなきゃ。

 確認しなきゃ。
 
 雨が。

 雷が。

 寒くて。

 真冬になってしまったような。

 寒い。

 寒い。

 でも、確認しなきゃ。

 確認して。

 寒い。

 寒い。

 寒い。 



 雨の臭い。
 草の臭い……。
 土の臭い――……。


 血の――臭い――……?








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