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しおりを挟むソラティスが目を覚ましたのは、儀式を終えてから数日後のことだった。
ベッドサイドにいたバルトネルが、些細な指先の動きに気づいて声をかける。
「主! 目が覚めましたか?!」
「……っ。ここは……」
「ヴァーガリア邸ですよ。すぐに医者を呼んで参ります」
「ああ…ラシーは……?」
バルトネルは一瞬足を止めて、けれど「とにかく医師を連れてきます」と出ていった。
それからは目まぐるしい時間だった。使用人たちが入れ替わりに世話をしていき、医師や薬師の出入りも激しい。
だが、たった一人、ラシーヌの姿だけが見えない。隙を見て、何度も使用人たちに彼女のことを聞くが、誤魔化された。
代わりにレイアが現れる。繰り返し詰められて、医者が渋々ながら面会の許可を出した。
「ソラティス様っ!」
可愛らしい声で、彼のベッドへ駆け寄っていく。二つに結んだ薔薇色の髪が揺れる。今にも飛び付きそうな彼女を、使用人が留め、不満を口にした。
だがすぐに、愛くるしく笑った。
「お元気そうで何よりですわ」
ようやく体を起こせるほど回復した彼は、緩く着崩した部屋着のまま弱々しく笑いかける。
「ああ、レイア嬢か。まだこの地に留まってくれて助かった。話はバルトネルから聞いたと思うが、あとで改めて私からも説明させてくれ」
「ええ、もちろんです。しっかりと療養してくださいませ」
ニコッと笑って返す。レイアがぎゅっと握る手を、彼がやんわりと外して、周囲をざっと見た。
「ところであなたは知らないか? ラシーと話したいのだが」
「あら、まだ聞いていないのですね。あの子はソレーユ家に帰りましたわ」
「帰る?」
怪訝に眉根を寄せる。少し迷ったあと、近くにいた使用人にバルトネルを呼ぶよう指示した。
使用人が離れたあと、レイアがソラティスのベッドに身を寄せる。彼はわずかに身を引いた。
「ソラティス様、それよりも決めねばならないことがたくさんあるのです。すぐにとは申しませんが、お時間をいただけませんか?」
「ああ、それくらいなら。主治医に聞いて時間を取っておこう」
「ありがとうございます! では私はもう失礼しますね」
サッとベッドから降りて、すぐに扉へ向かう。
彼女が部屋を出るのと入れ替わりに入ってきたバルトネル。彼から事情を聞いて、ソラティスが表情を変えることになるのはすぐだった。
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