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いきなりお風呂って普通なの?【凌】02
しおりを挟むそんな奇跡のような出来事からもう一年。
振られずにこうしてずっと一緒にいられるのは、颯斗が本当に優しいからだ。それが、ただ物珍しさで付き合っているのだとしても。
どんな理由であってもこうして颯斗の隣にいれることは、僕にとって幸せに違いなかった。
*
「ねえ……ここ、高いんじゃないの?」
颯斗が車を止めたのは、大きなコテージの前だった。そのあまりにも立派な外観に、僕はその建物を車の窓越しに呆然と見上げる。
口はあんぐりと開いたまま、閉じることができなかった。
「だと思うだろ? それがさ、タダで泊まれるんだよ」
「―――え? タダ……? それって、無料ってこと?」
「そう」
ここが無料で借りられるなんて、到底信じられる話ではない。
僕はもう一度、立派なコテージを見上げる。
「実はここ、秋也んとこの別荘なんだよ。だからタダで泊まっていいって話でさ」
「秋也の、……そっか。お金持ちだって言ってたっけ」
「あの真っ赤なツーブロ頭からは想像できないけど。本当に相当なお坊ちゃんなんだよ。アイツ」
秋也というのは、颯斗の親友の名前だ。
学内でもよく目立つ、もう一人のイケメン。颯斗と秋也は高校の時からの仲らしい。
颯斗がワンコ系なら、秋也は猛禽系だ。その鋭い視線は鷹を思わせる。真っ赤に染めたツーブロックヘアに、耳に開いたたくさんのピアス。人懐こい颯斗とは違って、秋也は見るからに近寄りがたいタイプだ。
そんなタイプの違うイケメン二人がつるんでいるのだから目立たないはずがない。いつも女子たちの注目の的だった。
僕もそんな女子に混ざって、いつも二人を眺めていた。いや、僕が見ていたのは、最初からずっと颯斗だけだったけど。
颯斗と秋也は結構な頻度で一緒にいたから、颯斗を見ていれば自然と秋也のことも目に入っていた。秋也がお金持ちなのだという話は、僕と同じように二人を眺めていた周りの女子から漏れ聞いた情報だ。
僕として颯斗の情報の方が欲しかったけど……ミステリアスな分、そうやって噂されているのはいつも秋也の方だった。
颯斗と付き合い始めて、秋也とも何度か話をしたことがある。
鋭い目つきも派手な見た目も、陰キャの僕からすればどう絡んでいいかわからない相手に違いなかった。秋也は颯斗と違って、あんまり自分から話さないタイプだし。
苦手な印象もあったけど、秋也は言葉数が少ないだけで悪い人ではなかった。こんな僕にも「呼び捨てでいい」なんて言ってくれるし。まぁそれも、まだ面と向かって呼んだことはないけど。
心の中や颯斗との会話の中では呼べたとしても、やっぱりまだ恐れ多いっていうか……ファンの人から殺されそうっていうか。
そのうち、呼べたらいいとは思ってるけど。
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