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《幸季視点》
あたたかな支配 03
しおりを挟む「ぅ、ン……ッ」
「こんなに感じやすいのに、よく今まで誰とも触れ合わずに我慢できたね」
――こんなに気持ちいいなんて、知らなかったから。
触れ合ってみたいとは思っていたけれど、彼にその気がないのはわかっていたし、自分からそれを望むこともしなかった。
いつか、――向こうから求めてもらえれば。
そう考える気持ちが全くないわけではなかったが、聞き分けのいいSubでないと彼の隣にいられないような気がして、いつもどこか遠慮していた。
彼とパートナーである以上、他の誰かにそれを求めることもできず、幸季はずっと一人で孤独と戦い続けてきた。
――あったかい。
リウと触れ合った部分から、あたたかさが伝わってくる。
その体温にひどく安心する。
「ずっと、寂しかったね」
「……ん、ぅ」
リウの言うとおりだった。いつも寂しかった。
ずっと最優先にしてきたパートナーにあっさり捨てられ、それから毎日、不安な気持ちに押し潰されそうだった。そんな気持ちを紛らわせたくて見つけたのが、リウと出会うきっかけになったあの店だ。
リウに今日こうして出会うまでは、取り上げられてしまった首輪の空虚感に苦しんでいたはずなのに、――今は逆に解放されたような、そんな不思議な心地がする。
――リウが、欲しい。
心がそう叫んでいた。
でも、また捨てられてしまうかもしれないと思うと、怖くて自分からは前に進めそうにない。
幸季は平凡なSubだ。小柄で童顔なせいで若く見られるけれど、それ以外はいたって普通だ。いつものスーツを着れば、どこにでもいるようなサラリーマンでしかない。
――そんな自分のどこをリウは気に入ってくれたんだろう。
どうして、自分をパートナーにしてくれようとしているんだろう。
それがわからないから、素直に受け入れられない。
「どうして……」
「ん?」
「僕に、そんな価値なんて……」
「ないと思う?」
顔を覗き込まれた。
Glareが増えたのがわかる。力が抜け、ふらりと揺れた身体をリウに支えられた。
「もう、Glareは……だめ」
「気持ちよくない?」
「気持ちよすぎて、へんになる……から、」
「それはやめる理由にならないよね。ほら、望んでごらん。ちゃんとあげるから」
――望んだら、くれるの?
ハッとリウのほうを見る。
優しくこちらを見下ろすリウと視線が絡む。
「コウキってさ、言葉よりも顔に全部出てるよね。ホント……それがたまんないんだって」
「……リウ?」
「俺に委ねたくて仕方ないんでしょ? ほら、全部さらけ出していいんだよ。ちゃんと受け止めてあげる……その代わり、俺のことも受け止めて」
耳元で囁かれた。
どんどん強くなるGlareにがくがくと身体が震え始める。
「コウキのこと、抱きたいな」
「……抱いて、くれるの?」
自分にはその魅力がないのだと思っていた。
Domの奴隷としてただ奉仕して、そうやって生きていくだけの人生なのだと思っていた。
再び誰かのパートナーになれるかもしれないというだけで奇跡のようなことだったのに、その上……深いところで繋がれるかもしれないなんて。
「またそんな言い方。俺のこと煽ってる?」
Glareがまた強くなる。この力はどこまで強くなるんだろう。
強大な力に縛り上げられていく。強い支配が幸季の心を雁字搦めにしていく。
「コウキ、本当に俺を受け入れてくれるならStrip。全部、俺に見せて」
支配者の声だ。
与えられたCommandに、逆らう気なんてまるで起きなかった。
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