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《莉兎視点》
狡猾で歪んだ狩人 02
しおりを挟む一緒に店を出る。
馴染みのカフェに連れて行こうかとも考えたが、手持ちが少なかったことを思い出し、急遽自分の部屋に連れて帰ることにした。
コウキは何も疑問に思っていないのか。疑いもせずに莉兎についてきた。
こんな下心しかないDomに素直についてきてしまうなんて――、年齢の割にひどく迂闊だが、そんなところも可愛らしい。
「……プレイの後はいつもこんな感じで」
部屋についても少しぼーっとした様子のコウキに理由を聞けば、困ったように眉を下げてそう答えた。
すぐにその原因に思い至る。これはGlareによる支配の影響だ。
Glareを浴び続けたトランス状態からまだ完全に抜けきれていないのだろう。莉兎の言葉に素直に頷き、ここまで何も言わずについてきたのも、それが影響していたのだ。
そこまで自分の支配にすべてを委ねてくれていたことに、気分の高揚が抑えられない。
この場でコウキのことを押し倒したくなってしまう。
――落ち着け、俺。
せめて、同意を得なければ。
Glareで無理やり縛るような真似はしたくない。コウキに自分から依存させてやりたいのだ。
理性的なのか本能的なのか、どちらともつかない己の思考になんだか笑えてくる。
「一条莉兎です。ええっと、これ身分証がわりの学生証ね」
仕切り直しとばかりに自己紹介をすることにした。
信用を勝ち取るならば、まずはきちんと身分を明かすべきだろうと思ったのだ。だが、コウキにそれは逆効果だったらしい。
紅茶を飲み、嬉しそうに笑っていたはずのコウキの顔に急に影が落ちる。
悪い兆候に気づいて、軽いGlareを当てた。
「どう、して」
突然のGlareにコウキは戸惑っている様子だった。Glareに支配のイメージしかないのだろう。だが、それは間違っている。
Glareは確かに支配や威圧のための力だが、Subにとっては他の効果もある。
心と身体を弛緩させる力だ。
抵抗を削ぐための効果らしいが、使い方次第でこうして負の感情をコントロールすることもできる。
「あんまり良くないこと考えてそうだったから、ちょっとね。こうすれば気持ちいいでしょ?」
そう優しく問いかければ、その瞼がとろりと落ちる。
まだトランス状態から抜け切れていないコウキにとって、Glareの効果は抜群だったらしい。
「このまま、友達っていうのでもいいのかもしれないけどさ……でも、やっぱり欲が出ちゃうよね。そんな顔見たら」
これは独り言だった。
まずは友達から、というのが一般的だろう。莉兎もそのつもりでコウキをここに連れてきた――つもりだった。
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