そのうさぎ、支配者につき

コオリ

文字の大きさ
24 / 34
《莉兎視点》

狡猾で歪んだ狩人 02

しおりを挟む

 一緒に店を出る。
 馴染みのカフェに連れて行こうかとも考えたが、手持ちが少なかったことを思い出し、急遽自分の部屋に連れて帰ることにした。
 コウキは何も疑問に思っていないのか。疑いもせずに莉兎についてきた。
 こんな下心しかないDomに素直についてきてしまうなんて――、年齢の割にひどく迂闊だが、そんなところも可愛らしい。

「……プレイの後はいつもこんな感じで」

 部屋についても少しぼーっとした様子のコウキに理由を聞けば、困ったように眉を下げてそう答えた。
 すぐにその原因に思い至る。これはGlareによる支配の影響だ。
 Glareを浴び続けたトランス状態からまだ完全に抜けきれていないのだろう。莉兎の言葉に素直に頷き、ここまで何も言わずについてきたのも、それが影響していたのだ。
 そこまで自分の支配にすべてを委ねてくれていたことに、気分の高揚が抑えられない。
 この場でコウキのことを押し倒したくなってしまう。

 ――落ち着け、俺。

 せめて、同意を得なければ。
 Glareで無理やり縛るような真似はしたくない。コウキに自分から依存させてやりたいのだ。
 理性的なのか本能的なのか、どちらともつかない己の思考になんだか笑えてくる。

一条いちじょう莉兎です。ええっと、これ身分証がわりの学生証ね」

 仕切り直しとばかりに自己紹介をすることにした。
 信用を勝ち取るならば、まずはきちんと身分を明かすべきだろうと思ったのだ。だが、コウキにそれは逆効果だったらしい。
 紅茶を飲み、嬉しそうに笑っていたはずのコウキの顔に急に影が落ちる。
 悪い兆候に気づいて、軽いGlareを当てた。

「どう、して」

 突然のGlareにコウキは戸惑っている様子だった。Glareに支配のイメージしかないのだろう。だが、それは間違っている。
 Glareは確かに支配や威圧のための力だが、Subにとっては他の効果もある。
 心と身体を弛緩させる力だ。
 抵抗を削ぐための効果らしいが、使い方次第でこうして負の感情をコントロールすることもできる。

「あんまり良くないこと考えてそうだったから、ちょっとね。こうすれば気持ちいいでしょ?」

 そう優しく問いかければ、その瞼がとろりと落ちる。
 まだトランス状態から抜け切れていないコウキにとって、Glareの効果は抜群だったらしい。

「このまま、友達っていうのでもいいのかもしれないけどさ……でも、やっぱり欲が出ちゃうよね。そんな顔見たら」

 これは独り言だった。
 まずは友達から、というのが一般的だろう。莉兎もそのつもりでコウキをここに連れてきた――つもりだった。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
ある日ハイランクDomの榊千鶴に告白してきたのは、Subを怖がらせているという噂のあの子でー。 更新がずいぶん遅れてしまいました。全話加筆修正いたしましたので、また読んでいただけると嬉しいです。

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中  二日に一度を目安に更新しております

月弥総合病院

僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

待てって言われたから…

ゆあ
BL
Dom/Subユニバースの設定をお借りしてます。 //今日は久しぶりに津川とprayする日だ。久しぶりのcomandに気持ち良くなっていたのに。急に電話がかかってきた。終わるまでstayしててと言われて、30分ほど待っている間に雪人はトイレに行きたくなっていた。行かせてと言おうと思ったのだが、会社に戻るからそれまでstayと言われて… がっつり小スカです。 投稿不定期です🙇表紙は自筆です。 華奢な上司(sub)×がっしりめな後輩(dom)

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

不器用な僕とご主人様の約束

いち
BL
敬語のクラブオーナー×年下のやんちゃっ子。遊んでばかりいるSubの雪はある日ナイトクラブでDomの華藍を知ります。ちょっと暑くなってくる前に出会った二人の短編です。 🍸カンパリオレンジのカクテル言葉は初恋だそうです。素敵ですね。 ※pixivにも同様の作品を掲載しています

処理中です...