溺愛されすぎて監禁されそうな令嬢とその婚約者の攻防戦

ソフィア

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round❸(ディオネ視点)

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「え………。」
そう呟いてしまった私は、足早にラーツ様の執務室から離れた。ラーツ様の発言に驚いてしまったからだ。けれど、大事な所を聞いていなかった私は、
「ラーツ様、まさか…私に2人で過ごすための城を送って下さるつもりだったの!庭園でも、贈り物を頂いたのに…。私も何か差し上げられるものはないかしら。刺繍したハンカチでも送ろうかしら…いえ…それだと足りないわ…。」
と、見当違いなことを呟きながら、王宮にある自室に向かっていると、目の前に衛兵達が話をしていた。
「聞いたか?殿下が…」
ラーツ様の話をしている様子で、私はついはしたなくも、盗み聞きをしてしまった。それが私とラーツ様の攻防戦の始まりになるとは知らずに…。
「何かしら…。」
話が上手く聞き取れず、物陰に移動して、近寄ってみると…
「いや、だからな、殿下が城を買っただろ?」
「そうだな。俺もそうきいた。それがどうしたんだ?王太子妃様のために買ったんだろ?相変わらずラブラブだよな。まぁあの様子じゃ国も安泰そうで安心だけどな。」
そう言った衛兵に私は嬉しくも恥ずかしい気持ちになった。けれど、それはつかの間だった。
「俺も最初はそうおもったんだけどよ、聞いちまったんだ。」
「何をだ?」
「ここだけの話だぞ…実はな、殿下が城を買ったのは王太子妃様を独り占めするためだったらしい。」
「はぁ?お前何言ってんだ?夢でも見たんじゃないのか?」
私も信じられなかった。あんなに優しくカッコよくて完璧なラーツ様がそんなことをするとは到底思えなかった。
「いやな、殿下の執務室前の警備をしてたんだが、シュテルさまが来た時に、閉じ込めることはしない。王太子妃様が願えば構わないだろ?と仰っていたんだ。俺も夢を見てるのかと思ったよ。」
「……嘘だろ…。」
「ホントだよ。殿下があんなにも独占欲が強いだなんて王太子妃様が可哀想になっちまったよ。」
「馬鹿!お前。死にたいのか。殿下に消されるぞ。いいじゃないか、殿下達はもうすぐ夫婦になるんだ。男は惚れた女を逃がしたくないのは誰でも同じだろ…。」
「いや、でもなぁ…監禁だろ?まぁでも言われればそうかもしれんな。跡継ぎが早く生まれるだけか。いいなぁ…俺も女がほしいぜ。」
……良くない。全然よろしくない。監禁?トジコメル?何それ…。でも、ラーツ様がそんなことするわけ……。
蒼白になりながらも、必死に頭の中で否定した。でも、1度浮かんだ不安は膨れるばかりだった。
「いいえ。悩んでいては解決しないわ。ラーツ様にそれとなくきいてみましょう。」
きっと…間違いよ。勘違いしたのよ。だってありえないもの。

「ディオネ…ここにいたのか。探したよ。何してるんだい?」
「ヒッ!」
さっきの話を聞いたあとであったため、思わず悲鳴を上げてしまった。
「?そんなに怯えてどうしたんだい?誰かに何かを言われた?」
心配そうな顔をしているラーツ様をみて、やっぱり間違いだとおもった。
「私のディオネに手を出すやつがまだいるのか…これは時期を早めるしかないな…。」
そうとても小さくラーツ様が呟いたのを私は聞いていた。
ジキヲハヤメル…?それは、まさか、私を丸め込んで閉じ込めること?
一瞬で冷たい水をかけられたかのように頭が冷えた。そして、それを回避するための方法を考え始めた。
「ラーツ様。私は大丈夫です。少しボーッとしておりまして、声をかけられて驚いてしまったのです。」
こんな時でも淑女の笑顔を浮かべられる己の能力を今日ほど感謝したことは無い。
「それはそうと、ラーツ様。一緒に住む話ですが…ラーツ様も忙しいでしょうし…今のままでもよろしいのではないでしょうか?」
そう言った瞬間、ラーツ様の目が冷ややかになった気がした。まるで全てを見透かすような目をしていた。
「へぇ…ディオネは、私と一緒にいたくないんだね?」
「いえ、そうではありません。私はラーツ様の体を心配しているのです。疑ってらっしゃるのですか…悲しいです。」
そう言って涙をふく素振りをした。
「そうじゃないんだ。ごめんね。許して?」
「ええ。わかってくださっているならいいのです。」
「私は、ディオネのことを疑ったりはしないよ。それに、ディオネのお父上にもこの件は断られてしまったからね。今回は諦めることにするよ。」
ありがとうお父様……。
ラーツ様は好きだけど、監禁はやめて欲しい…。お父様、お母様そして、お兄様にも会えなくなってしまうし、平民街にも行けなくなってしまうだなんて耐えられないわ。
安心しすぎて、私はその後の言葉をきいていなかった。
「ふふ。ディオネは、ほんとに可愛いなぁ…。誰にも見せたくないなぁ…」



※すみません…長くなりました…。
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