4 / 10
round❸(ディオネ視点)
しおりを挟む
「え………。」
そう呟いてしまった私は、足早にラーツ様の執務室から離れた。ラーツ様の発言に驚いてしまったからだ。けれど、大事な所を聞いていなかった私は、
「ラーツ様、まさか…私に2人で過ごすための城を送って下さるつもりだったの!庭園でも、贈り物を頂いたのに…。私も何か差し上げられるものはないかしら。刺繍したハンカチでも送ろうかしら…いえ…それだと足りないわ…。」
と、見当違いなことを呟きながら、王宮にある自室に向かっていると、目の前に衛兵達が話をしていた。
「聞いたか?殿下が…」
ラーツ様の話をしている様子で、私はついはしたなくも、盗み聞きをしてしまった。それが私とラーツ様の攻防戦の始まりになるとは知らずに…。
「何かしら…。」
話が上手く聞き取れず、物陰に移動して、近寄ってみると…
「いや、だからな、殿下が城を買っただろ?」
「そうだな。俺もそうきいた。それがどうしたんだ?王太子妃様のために買ったんだろ?相変わらずラブラブだよな。まぁあの様子じゃ国も安泰そうで安心だけどな。」
そう言った衛兵に私は嬉しくも恥ずかしい気持ちになった。けれど、それはつかの間だった。
「俺も最初はそうおもったんだけどよ、聞いちまったんだ。」
「何をだ?」
「ここだけの話だぞ…実はな、殿下が城を買ったのは王太子妃様を独り占めするためだったらしい。」
「はぁ?お前何言ってんだ?夢でも見たんじゃないのか?」
私も信じられなかった。あんなに優しくカッコよくて完璧なラーツ様がそんなことをするとは到底思えなかった。
「いやな、殿下の執務室前の警備をしてたんだが、シュテルさまが来た時に、閉じ込めることはしない。王太子妃様が願えば構わないだろ?と仰っていたんだ。俺も夢を見てるのかと思ったよ。」
「……嘘だろ…。」
「ホントだよ。殿下があんなにも独占欲が強いだなんて王太子妃様が可哀想になっちまったよ。」
「馬鹿!お前。死にたいのか。殿下に消されるぞ。いいじゃないか、殿下達はもうすぐ夫婦になるんだ。男は惚れた女を逃がしたくないのは誰でも同じだろ…。」
「いや、でもなぁ…監禁だろ?まぁでも言われればそうかもしれんな。跡継ぎが早く生まれるだけか。いいなぁ…俺も女がほしいぜ。」
……良くない。全然よろしくない。監禁?トジコメル?何それ…。でも、ラーツ様がそんなことするわけ……。
蒼白になりながらも、必死に頭の中で否定した。でも、1度浮かんだ不安は膨れるばかりだった。
「いいえ。悩んでいては解決しないわ。ラーツ様にそれとなくきいてみましょう。」
きっと…間違いよ。勘違いしたのよ。だってありえないもの。
「ディオネ…ここにいたのか。探したよ。何してるんだい?」
「ヒッ!」
さっきの話を聞いたあとであったため、思わず悲鳴を上げてしまった。
「?そんなに怯えてどうしたんだい?誰かに何かを言われた?」
心配そうな顔をしているラーツ様をみて、やっぱり間違いだとおもった。
「私のディオネに手を出すやつがまだいるのか…これは時期を早めるしかないな…。」
そうとても小さくラーツ様が呟いたのを私は聞いていた。
ジキヲハヤメル…?それは、まさか、私を丸め込んで閉じ込めること?
一瞬で冷たい水をかけられたかのように頭が冷えた。そして、それを回避するための方法を考え始めた。
「ラーツ様。私は大丈夫です。少しボーッとしておりまして、声をかけられて驚いてしまったのです。」
こんな時でも淑女の笑顔を浮かべられる己の能力を今日ほど感謝したことは無い。
「それはそうと、ラーツ様。一緒に住む話ですが…ラーツ様も忙しいでしょうし…今のままでもよろしいのではないでしょうか?」
そう言った瞬間、ラーツ様の目が冷ややかになった気がした。まるで全てを見透かすような目をしていた。
「へぇ…ディオネは、私と一緒にいたくないんだね?」
「いえ、そうではありません。私はラーツ様の体を心配しているのです。疑ってらっしゃるのですか…悲しいです。」
そう言って涙をふく素振りをした。
「そうじゃないんだ。ごめんね。許して?」
「ええ。わかってくださっているならいいのです。」
「私は、ディオネのことを疑ったりはしないよ。それに、ディオネのお父上にもこの件は断られてしまったからね。今回は諦めることにするよ。」
ありがとうお父様……。
ラーツ様は好きだけど、監禁はやめて欲しい…。お父様、お母様そして、お兄様にも会えなくなってしまうし、平民街にも行けなくなってしまうだなんて耐えられないわ。
安心しすぎて、私はその後の言葉をきいていなかった。
「ふふ。ディオネは、ほんとに可愛いなぁ…。誰にも見せたくないなぁ…」
※すみません…長くなりました…。
そう呟いてしまった私は、足早にラーツ様の執務室から離れた。ラーツ様の発言に驚いてしまったからだ。けれど、大事な所を聞いていなかった私は、
「ラーツ様、まさか…私に2人で過ごすための城を送って下さるつもりだったの!庭園でも、贈り物を頂いたのに…。私も何か差し上げられるものはないかしら。刺繍したハンカチでも送ろうかしら…いえ…それだと足りないわ…。」
と、見当違いなことを呟きながら、王宮にある自室に向かっていると、目の前に衛兵達が話をしていた。
「聞いたか?殿下が…」
ラーツ様の話をしている様子で、私はついはしたなくも、盗み聞きをしてしまった。それが私とラーツ様の攻防戦の始まりになるとは知らずに…。
「何かしら…。」
話が上手く聞き取れず、物陰に移動して、近寄ってみると…
「いや、だからな、殿下が城を買っただろ?」
「そうだな。俺もそうきいた。それがどうしたんだ?王太子妃様のために買ったんだろ?相変わらずラブラブだよな。まぁあの様子じゃ国も安泰そうで安心だけどな。」
そう言った衛兵に私は嬉しくも恥ずかしい気持ちになった。けれど、それはつかの間だった。
「俺も最初はそうおもったんだけどよ、聞いちまったんだ。」
「何をだ?」
「ここだけの話だぞ…実はな、殿下が城を買ったのは王太子妃様を独り占めするためだったらしい。」
「はぁ?お前何言ってんだ?夢でも見たんじゃないのか?」
私も信じられなかった。あんなに優しくカッコよくて完璧なラーツ様がそんなことをするとは到底思えなかった。
「いやな、殿下の執務室前の警備をしてたんだが、シュテルさまが来た時に、閉じ込めることはしない。王太子妃様が願えば構わないだろ?と仰っていたんだ。俺も夢を見てるのかと思ったよ。」
「……嘘だろ…。」
「ホントだよ。殿下があんなにも独占欲が強いだなんて王太子妃様が可哀想になっちまったよ。」
「馬鹿!お前。死にたいのか。殿下に消されるぞ。いいじゃないか、殿下達はもうすぐ夫婦になるんだ。男は惚れた女を逃がしたくないのは誰でも同じだろ…。」
「いや、でもなぁ…監禁だろ?まぁでも言われればそうかもしれんな。跡継ぎが早く生まれるだけか。いいなぁ…俺も女がほしいぜ。」
……良くない。全然よろしくない。監禁?トジコメル?何それ…。でも、ラーツ様がそんなことするわけ……。
蒼白になりながらも、必死に頭の中で否定した。でも、1度浮かんだ不安は膨れるばかりだった。
「いいえ。悩んでいては解決しないわ。ラーツ様にそれとなくきいてみましょう。」
きっと…間違いよ。勘違いしたのよ。だってありえないもの。
「ディオネ…ここにいたのか。探したよ。何してるんだい?」
「ヒッ!」
さっきの話を聞いたあとであったため、思わず悲鳴を上げてしまった。
「?そんなに怯えてどうしたんだい?誰かに何かを言われた?」
心配そうな顔をしているラーツ様をみて、やっぱり間違いだとおもった。
「私のディオネに手を出すやつがまだいるのか…これは時期を早めるしかないな…。」
そうとても小さくラーツ様が呟いたのを私は聞いていた。
ジキヲハヤメル…?それは、まさか、私を丸め込んで閉じ込めること?
一瞬で冷たい水をかけられたかのように頭が冷えた。そして、それを回避するための方法を考え始めた。
「ラーツ様。私は大丈夫です。少しボーッとしておりまして、声をかけられて驚いてしまったのです。」
こんな時でも淑女の笑顔を浮かべられる己の能力を今日ほど感謝したことは無い。
「それはそうと、ラーツ様。一緒に住む話ですが…ラーツ様も忙しいでしょうし…今のままでもよろしいのではないでしょうか?」
そう言った瞬間、ラーツ様の目が冷ややかになった気がした。まるで全てを見透かすような目をしていた。
「へぇ…ディオネは、私と一緒にいたくないんだね?」
「いえ、そうではありません。私はラーツ様の体を心配しているのです。疑ってらっしゃるのですか…悲しいです。」
そう言って涙をふく素振りをした。
「そうじゃないんだ。ごめんね。許して?」
「ええ。わかってくださっているならいいのです。」
「私は、ディオネのことを疑ったりはしないよ。それに、ディオネのお父上にもこの件は断られてしまったからね。今回は諦めることにするよ。」
ありがとうお父様……。
ラーツ様は好きだけど、監禁はやめて欲しい…。お父様、お母様そして、お兄様にも会えなくなってしまうし、平民街にも行けなくなってしまうだなんて耐えられないわ。
安心しすぎて、私はその後の言葉をきいていなかった。
「ふふ。ディオネは、ほんとに可愛いなぁ…。誰にも見せたくないなぁ…」
※すみません…長くなりました…。
0
あなたにおすすめの小説
下賜されまして ~戦場の餓鬼と呼ばれた軍人との甘い日々~
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王宮から突然嫁がされた18歳の少女・ソフィアは、冷たい風の吹く屋敷へと降り立つ。迎えたのは、無愛想で人嫌いな騎士爵グラッド・エルグレイム。金貨の袋を渡され「好きにしろ」と言われた彼女は、侍女も使用人もいない屋敷で孤独な生活を始める。
王宮での優雅な日々とは一転、自分の髪を切り、服を整え、料理を学びながら、ソフィアは少しずつ「夫人」としての自立を模索していく。だが、辻馬車での盗難事件や料理の失敗、そして過労による倒れ込みなど、試練は次々と彼女を襲う。
そんな中、無口なグラッドの態度にも少しずつ変化が現れ始める。謝罪とも言えない金貨の袋、静かな気遣い、そして彼女の倒れた姿に見せた焦り。距離のあった二人の間に、わずかな波紋が広がっていく。
これは、王宮の寵姫から孤独な夫人へと変わる少女が、自らの手で居場所を築いていく物語。冷たい屋敷に灯る、静かな希望の光。
⚠️本作はAIとの共同製作です。
ホストな彼と別れようとしたお話
下菊みこと
恋愛
ヤンデレ男子に捕まるお話です。
あるいは最終的にお互いに溺れていくお話です。
御都合主義のハッピーエンドのSSです。
小説家になろう様でも投稿しています。
【完結】離婚を切り出したら私に不干渉だったはずの夫が激甘に豹変しました
雨宮羽那
恋愛
結婚して5年。リディアは悩んでいた。
夫のレナードが仕事で忙しく、夫婦らしいことが何一つないことに。
ある日「私、離婚しようと思うの」と義妹に相談すると、とある薬を渡される。
どうやらそれは、『ちょーっとだけ本音がでちゃう薬』のよう。
そうしてやってきた離婚の話を告げる場で、リディアはつい好奇心に負けて、夫へ薬を飲ませてしまう。
すると、あら不思議。
いつもは浮ついた言葉なんて口にしない夫が、とんでもなく甘い言葉を口にしはじめたのだ。
「どうか離婚だなんて言わないでください。私のスイートハニーは君だけなんです」
(誰ですかあなた)
◇◇◇◇
※全3話。
※コメディ重視のお話です。深く考えちゃダメです!少しでも笑っていただけますと幸いです(*_ _))*゜
※AI不使用です。
結婚して5年、初めて口を利きました
宮野 楓
恋愛
―――出会って、結婚して5年。一度も口を聞いたことがない。
ミリエルと旦那様であるロイスの政略結婚が他と違う点を挙げよ、と言えばこれに尽きるだろう。
その二人が5年の月日を経て邂逅するとき
契約妻に「愛さない」と言い放った冷酷騎士、一分後に彼女の健気さが性癖に刺さって理性が崩壊した件
水月
恋愛
冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件の旦那様視点短編となります。
「君を愛するつもりはない」
結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。
出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。
愛を期待されないのなら、失望させることもない。
契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。
ただ「役に立ちたい」という一心だった。
――その瞬間。
冷酷騎士の情緒が崩壊した。
「君は、自分の価値を分かっていない」
開始一分で愛さない宣言は撤回。
無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる