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二章 ロッツガルド邂逅編
魔将ロナ、ライドウを知る
しおりを挟む五巻収録部のダイジェストその2です。
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余計な仕事だ。
率直な感想だった。
陛下に仕える魔将として、やることなどいくらでもあるというのに。
そう思っていた。
「ライドウ、ねえ」
「はっ」
だが、報告を聞く限り無視はしないほうがよさそうに思える。
私の勘も、この男は調べておくべきだと囁いている。
「実技試験だけで学園の臨時講師になった商人。冗談みたいな存在ね」
「……はい。しかし事実です」
「見ておくしかないにせよ、学園での身分が必要か。仕方ない、貴女が行くはずだった潜入、少しの間私が代わるわ。確か使う偽装の皮はカレン=フォルスとかいったかしら?」
「ロ、ロナ様が直接赴かれるのですか!?」
「そうするしかないでしょう。どの程度の実力者で、どんな思想を持っていて、どうすれば殺せるのか。実力者だというのなら、それをはっきりさせておかなければね」
「でしたら私が」
「お前に見極められないレベルなら無駄足でしょう? 私が今ここにいるなら、私が行くのが最良なのよ。面倒なことにね」
「……申し訳ありません」
ロッツガルド学園の講師採用試験の難易度は既に理解している。
実技試験のみの場合、どんな内容の試験になるかもわかってる。
あれに通過した者の実力を見極めようと思ったら、この街にいる魔族では私くらいしかいないでしょうね。
……しかし、商人ってキーワードだけ妙に浮いてるわよね。
違和感が凄いわ。
「いいわ、代わりにこの街に蒔いた策の進捗確認はお前にやってもらうから。報告をまとめておくだけで構わないから頼むわね」
「はっ。それで、ロナ様。ライドウはともかくとして、あの連中への調査はいかが致しましょう」
「……。やっておけと命じたい所だけど、人が足りないわね。この街ではまったく私達の存在は露見していないのだからそれはまだ壊したくないし……」
「……」
私の言葉に神妙に頷く部下。
ここロッツガルドはヒューマンの街だ。
戦争をしている相手なんだから、当然ここは敵地。
だけど、幻術を駆使して魔族はこの街にも手勢を配している。
ヒューマンは基本的に戦争における情報というものを軽視しているからやりやすい、というのもあるが手にした利は大事にしたい。
また一から潜入させるのは時間もかかる。
しかもこの街にはヒューマンとも私たちとも違う勢力も一部、入り込んでいる節がある。
それこそが私が今ここに出向いている理由であり、部下の言ったあの連中、だ。
……いかにこの戦争が現状魔族に有利、優勢であっても。
まだ勝利した訳じゃない。
何か一つ読み違えただけでも戦局はまだまだどうとでもなってしまう。
だからこそ、この、ノイズのように入り込んできたライドウとかいう存在にも気を配らざると得ない。
陛下から情報を任された将としての、私の任務だ。
「まあ、それは考えておくわ」
それにしても、クズノハ商会か。
辺境のツィーゲで伸びている新しい商会の一つだ。
あの街では特になにも起こしていないが、その奥の荒野では魔族はそれなりに動いていた。
もちろん私の部下達だ。
だが、彼らからの連絡は少し前に絶えてしまっている。
何かがあった。
確実に何かがあったのに、何があったのかがわからない。
調査に向かった者は、何も掴めないか帰ってこないかのどちらかだった。
果ての荒野は何が起きても不思議ではない所だとはいえ、不気味な結果だ。
その荒野に一番近い街の商会。
少し気になりもする。
あの街が属する国はヒューマンの大国アイオン。
ヒューマンの国では珍しく情報集めに余念がない場所で、多少の注意が必要とも言える国だ。
もっとも。
情報を集めることが目的となってしまっていて、その分析や活用においてはお粗末なものだ。
私達と並ぶにはここから十年かけても足りないだろう。
「いずれにせよ、この街はヒューマン最高の学府を要する場所よ。揺さぶることができればその影響は世界中に広がる。着実に、策を育てていきましょう。いいわね」
「一命に変えましても」
とにかく。
講師ライドウ、そして商人ライドウ。
どれほどのものか、見せてもらいましょうか。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「はぁ、はぁ……」
自分の呼吸が耳障りだった。
私は魔族の扱う高度な幻術を使用し、ヒューマンのカレン=フォルスとしてロッツガルド学園に入り込んだ。
カレンはグリトニア帝国にほど近い小国で神童と呼ばれながら、評判通りに優秀な力を身につけていった秀才“だった娘”だ。
名を聞くようになり、魔族の障害になるようなら先に芽を摘んでおこうと出向いた先で、内輪の揉め事で裏切りに遭い、死んだ。
私が手を下すまでもなく。
私がしたことと言えば、そう。
便利そうだったから、その事実を知る者を皆殺しにして替え玉を立て、カレン=フォルスが存命であるかのように振る舞わせて駒の一つに仕立てた。
それだけだ。
そして今、私はカレンの名を借りてライドウの講義を受けていた。
しかし、これは……。
いくら私が学生レベルに魔力の出力を加減して、扱う術も制限しているとは言え、あり得ない。
私と、ツィーゲの商会の姉妹が先ほどからライドウにひたすら攻撃を仕掛けていた。
だが、何もかも通用しない。
一々ここが悪い、あそこが悪いと指摘しては奴は魔術を、物理攻撃を潰して潰して潰しまくってくれている。
あまりにも頭にきたから、ほんの一度だけ、偶然を装うことができそうな好機に本気の一撃を混ぜてしまった。
……それも、一瞬驚いたような顔をして無言で弾かれてしまったけど。
こいつ、講師なんて柄じゃない。
明らかに別の超一流。
戦場の、それも最前線にいたって毎度必ず戻ってくる、そんな物騒な輩だ。
うちの軍にもイオという同類がいる。
敵軍にいた場合、一番やっかいな分類に属する連中だ。
決して倒れず、軍を鼓舞し、更に何かを期待させる存在。
しかも、こいつに至っては……。
尚も通じない攻撃を繰り出しながら横目にもう一つの講義を見る。
そこでは何度かライドウの講義を受けた学生達が魔物と戦っていた。
そちらはライドウの補佐とかで識という男が監督している。
ちっ。
心の中で舌打ちする。
あの識という男の魔術の腕も尋常ではない。
持っている凄まじく高性能な杖といい、下手をするとあの男でさえ私と同程度の実力を持つかもしれない。
あそこまで高度な回復魔術は滅多に見られない。
そして学生が戦っている魔物。
これがまたまずい。
ミスティオリザード、だった。
荒野の深部に生息する、私が知る限りリザードマンとして最強の種族。
苦労して、何人もも命を犠牲にしながら仲間に加わってもらうべく交渉に向かい、あっさりと振られた相手でもある。
ライドウはアレを召喚した。
今、体術でさえ私も姉妹も寄せ付けず、精霊魔術も魔術も蹴散らしているライドウがだ。
荒野と密接に繋がるツィーゲの商人だから予想の範囲内、なんてならない。
明らかに会得している魔術の種類が尋常ではない。
聞き慣れない言語で、殆ど詠唱もなく魔術を発動させているのも異常だ。
もしも、イオの武術と私の魔術を同時に習得して、更にそこに召喚魔術を加えて高めているとしたら、それはもうヒューマンじゃない。
一人にして軍、悪夢のような存在。
心の底からそう思う。
もし目の前で悠然と発つ、見た目は幼い亜人であるこの男が、勇者に勧誘などされでもしたら。
魔族にとって、非常にまずい事態になる。
それこそ、先日のリミア攻めで報告があがった魔人とやらをこちらに引き込んでぶつけなくてはいけないような、それほどの事態だ。
とはいえ……魔人とソフィア達を両方ぶつければこの男とて殺せるに違いないでしょうけどね。
そういう意味では、まだ手がある相手か。
「ん、ここまで」
ライドウが時間を確かめて講義の終了を告げる。
味方についてくれるのならこれ以上ない武器になるのも間違いないはずなんだけど。
何故か、そうなる気がしない。
これは勘、と言っていいものかどうかわからないけど、私の中にはどうしてかライドウに対しての警告が鳴り響いている。
「あ、ありがとうございました……」
演技ではない疲労をそのままに、ライドウに言葉を返す。
そうか。
力もさることながら、私がこいつに感じる得体の知れない感覚は……、これだ。
戦意の希薄さ、とでも言おうか。
これは実戦じゃないんだから、殺気まで漲らせるとかそういうことを問題にするんじゃないけど。
戦いに対する、命を失うかもしれない場にいる事に対する、総合的な緊張感の薄さをライドウに感じる。
戦場に慣れる事とは絶対に交わらない暢気さ?
それが同じ人物の中で同居している?
いや、違うわね。
気持ち悪い。
最初に出会った時に感じた拍子抜けする程の気配のなさも気になる。
強者ほど己に内包する力の気配、オーラ、威容……。
ライドウにはそれがない。
まるで本当に一般人ではないかと疑わせるレベルだ。
しかしその実力は今見た通り。
う、ん……。
いけない。
ほんの一度の、しかも短い時間に得られた奴の表面的な情報から結論を出すのはまずい。
私は今焦っている。
思わぬ存在が突然現れた事に、冷静さを失っている。
本気の攻撃を混ぜたのもそうだ。
私はカレン=フォルスであり。
後に部下と交代するとしても、彼女として不自然すぎる振る舞いはするべきではない。
この街には策を寝かせてある。
そしてヒューマンに魔族の存在はまだばれていない。
その優位を、私自ら壊すような真似をしてどうする?
落ち着け。
そして時間をかけて、奴を観察し、報告を聞き、見極める。
「……ふぅ……」
「お疲れ様、カレンさん。驚いたわ、凄い魔術の使い手なのね」
「あ、シフさん。いえ、結局先生には一撃も当てられなくて……。自信なくします……」
思わず漏れたため息に気がついたのか、レンブラント商会の姉妹、その姉の方が話しかけてきた。
「そんな! 身のこなしもボクより鋭かったですよ! ボクなんて弓も槍も全然駄目で腰に力入らなくなりそうでしたもん」
「お二人より少しだけ経験があるだけです。考えてみれば、だから学生なんですし、これから頑張りましょうね」
レンブラント姉妹。
この二人も商家の娘にしては戦闘能力が高い。
何ヶ月か訓練すれば魔族でも十分戦力として数えられる所まで行くかもしれない。
ここでぬるま湯につかっていてくれる分には問題ないのも確かだけど、ライドウの存在が彼女達をどう変えるかを考慮すると危険ではあるわね。
とりあえず、当たり障りの事を話しながら他の学生とも合流して整列する。
誰も彼も似たような憔悴ぶり。
何というか軍の訓練時代を思い出すわね。
[ああ、カレン=フォルス。君に少し用があるのだが、この後の君の予定を聞きたい]
「きょ、今日は先生の講義だけですが」
いきなり名指しされた。
極力動揺を外に出さないようにしながら予定を伝える。
何か聞かれるにしても、奴の情報をより集められる可能性もある。
これは嬉しい誤算ね。
ただ、ライドウにいきなり接近し過ぎるのも……。
[それは良かった。気になる点があってな]
「ま、まだ何かあるのですか!?」
[ああ、幸い時間もあるようだ。付き合え]
「……は、はい」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「ロ、ロナ様!? どうなされたんですか!?」
ゴテツという店からようやく私はアジトに戻った。
入り口を閉め、深く息を吐き出す。
そして歯を食いしばって大きく息を吸い込むと、私は自分の机の上に乗ったもの全部を乱暴に払い落とした。
それだけでは到底気が収まらず、無言のまま、しばらく手近な物に八つ当たりを続けた。
部下からの、何度目かになる静止を望む必死な言葉でようやく動きを止める。
畜生。
畜生!
ライドウ、クズノハ商会!
あいつら……!!
「聞くわ」
「は、はい」
怒りをにじませた声に部下が震える。
構わず続ける。
「クズノハ商会とはなに?」
「ツ、ツィーゲで最近登録された新しい商会の一つです。荒野の品や雑貨を主に扱っており、亜人の雇用をしています」
「……それだけ?」
「あとは、あの街の有力商人であるレンブラント商会とも良い関係を築いているようだと新たな報告が上がっているくらいです」
「そんなことはもう知ってるわよ!!」
「ひっ」
「大体、レンブラントはただの有力商人じゃない! あの男に逆らえる奴なんてツィーゲには実質いない。パトリック=レンブラントはツィーゲの支配者よ。そう言っても差し支えない権力を持ってる」
「え、そのような報告は」
「上がってきた情報をそのままに受け止めて思考を止めるな!」
「申し訳ありません!!」
声を荒げる。
いや荒げてしまった。
抑えていた分、感情が今は上手くコントロールできない。
「……そんなことはね、情報をきちんと把握して推察していけばわかることなのよ。いい? 命令するわ、全力で、全員で、もう一度クズノハ商会の事を調べ上げなさい」
「奴らと、一体何が」
「……あいつら、私の名前を知ってた。魔族の内情も、竜殺しどもの事も! 全部知っている様子だった」
「馬鹿な! ありえません!」
「私もそう思ったわ。でもね。ありえないと思う、それはつまり、私達の握ってきた情報が向こうにとっては手のひらの上にあるだけのものでしかなかったから。そういうことでしょう? 事実奴らはこっちの事を知っていて、ソフィアの事まで言い当てた。それどころか私の名前や関わった案件も幾つか把握していたのよ!」
「ならば、クズノハ商会とはアイオン王国の諜報機関……」
「な訳がないでしょう! それは、今のあまりにも不足した情報だけに頼った馬鹿でもできる推理に過ぎない。もっとも、今は誰が推理してもそこか、レンブラント商会の私的な諜報機関ぐらいの結論しか出ないわ。そんなことはわかってるの。だから、情報がいるのよ。しばらくロッツガルドは空けてもいい。全力よ。わかったわね」
「しかしロナ様がこちらに参られた本当の目的と任務が――」
「それは、何とかしたわ。とりあえずね。当面の情報収集の間くらいの穴埋めにはなりそうな手を打っておいたから」
ライドウ。
絶対にこのままでは済まさない。
少なくとも陛下にそれなりの報告が出来る状態にまで調査をしなければ、とても帰る事などできない。
私的にも、こちらはどうなるかわからないけどライドウに少しはやり返しておきたい気持ちがある。
ただしあくまでも冷静に。
私は自分にそう言い聞かせつつ、いきなり現れた謎の商会、クズノハ商会と関わっていく事になった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「こんな、馬鹿な……」
「……」
ロッツガルドとその近郊に散らばっていた者、それからツィーゲと荒野に潜ませていた手の者をほぼ総動員して調べ上げたクズノハ商会の情報と動向。
報告の山が今私の前にある。
馬鹿な、と口にしたのは普段は学園に潜入させているこの街での頭をやらせている部下だった。
その言葉を口にした気持ちは私も同じである。
でも……この間よりも私の方はずっと落ち着いていた。
一応は予測していたことでもあったから。
「クズノハ商会には、今日も品物が並んでいる。なのにいつどこから入ってきているのかわからない品物がある、か」
「明らかに奴らの名で入っている荷物と店頭の販売量が合いません。倉庫を隠している様子もありませんし……」
「時折、街で見たことがないクズノハ商会の関係者を見る、ともあるわね」
「考えられません。この街の人の出入り、特に最近ではクズノハ商会の関係者については徹底的にマークしているというのに……」
私の言葉に各々担当した部下が驚愕の表情で反応する。
「ライドウどころか、他の従業員ですら完全に動向を見失っている時間があるみたいね……」
「申し訳、ございません」
「それに、ツィーゲでもロッツガルドでも、従業員の話題に何故か暑いだの寒いだの、作物の育成がどうだのと、共通する単語がある、か。これは……ひょっとして」
あまり考えたくない可能性が見えてくる。
しかし、辻褄はそれで合うのよね。
「……確かに。ほぼ同日に、似たような話題が出ている事があるようですね……」
「ロッツガルド、ツィーゲ間で念話などは出来る筈ないでしょうけど……」
「そのような長距離通信の確立は我らでさえまだ……」
「例えば手紙の連続転移か何かを使って極めてタイムラグの少ない連絡方法を構築している可能性はそれなりにあるわね。念話の使用については?」
「従業員のほぼ全てが使用しています。ただ店に関する事ではなく、極めて私的な会話のみのようです」
ライドウが召喚魔術を使うから転移魔術をも高度に習得した上に実用的な運用法を確立している可能性には一応至った。
ただ商品全てを転移に頼るのは事故のロスが大き過ぎるでしょうからまずない。
それでも手紙のような通信に活用するとなれば遠く離れた二つの街で話題が一緒になる事もありえない事じゃない。
ただ、明らかにツィーゲともロッツガルドとも違う気候の話題がある理由がまだわからない。
荒野の情報かしら。
もしくは、どこかに奴らの拠点が別にあるのかもしれない。
そして念話をほぼ全員が使う、ですって?
しかも仕事に関する話がない、となると……。
盗聴を警戒している可能性も――?
「警戒?」
「ロナ様?」
何か大きな引っかかりを覚えて警戒という言葉を口にした。
盗聴を、警戒。
当然のことだ。
私は何を気にして……ッ!
「ぅ……あ」
言葉にならない呻き声。
そうだ、当然だ。
“盗聴をしている”私達が、盗聴を警戒するのはおかしな事じゃない。
出来ると、知っているからだ。
もしクズノハ商会が念話の盗聴を警戒しているのだとしたら、この事実が示すものは……多くはない。
「奴らにも、念話を盗聴する手があるかもしれない。まずいわね」
「……っ!?」
こちらが把握できない魔術知識と技術の深さ。
諜報活動を受ける事を前提とした従業員の動き。
見当もつかない第三の拠点の可能性。
細心の注意を払っても面白いように撒かれてしまう個々の力量差。
……今はもう、ここまでだ。
「……一度戻るわ。引き続き、クズノハ商会の動向は気にしておきなさい。ただし、決して刺激しないこと。いいわね」
陛下に報告する段階に達したと、私は判断した。
ただし良くない意味で、ね。
明らかな脅威。
決して目を離してはいけない相手。
そういうものとして、奴らの事を報告しなくてはね。
ロッツガルドに来て本当に良かった。
思わぬ、そして得難い貴重な情報に触れる事ができた。
今はそれを、収穫と考えよう……。
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予定より作業が遅くなりました。すみません。
次は新しい方の更新になりますのでよろしくお願い致します。
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余計な仕事だ。
率直な感想だった。
陛下に仕える魔将として、やることなどいくらでもあるというのに。
そう思っていた。
「ライドウ、ねえ」
「はっ」
だが、報告を聞く限り無視はしないほうがよさそうに思える。
私の勘も、この男は調べておくべきだと囁いている。
「実技試験だけで学園の臨時講師になった商人。冗談みたいな存在ね」
「……はい。しかし事実です」
「見ておくしかないにせよ、学園での身分が必要か。仕方ない、貴女が行くはずだった潜入、少しの間私が代わるわ。確か使う偽装の皮はカレン=フォルスとかいったかしら?」
「ロ、ロナ様が直接赴かれるのですか!?」
「そうするしかないでしょう。どの程度の実力者で、どんな思想を持っていて、どうすれば殺せるのか。実力者だというのなら、それをはっきりさせておかなければね」
「でしたら私が」
「お前に見極められないレベルなら無駄足でしょう? 私が今ここにいるなら、私が行くのが最良なのよ。面倒なことにね」
「……申し訳ありません」
ロッツガルド学園の講師採用試験の難易度は既に理解している。
実技試験のみの場合、どんな内容の試験になるかもわかってる。
あれに通過した者の実力を見極めようと思ったら、この街にいる魔族では私くらいしかいないでしょうね。
……しかし、商人ってキーワードだけ妙に浮いてるわよね。
違和感が凄いわ。
「いいわ、代わりにこの街に蒔いた策の進捗確認はお前にやってもらうから。報告をまとめておくだけで構わないから頼むわね」
「はっ。それで、ロナ様。ライドウはともかくとして、あの連中への調査はいかが致しましょう」
「……。やっておけと命じたい所だけど、人が足りないわね。この街ではまったく私達の存在は露見していないのだからそれはまだ壊したくないし……」
「……」
私の言葉に神妙に頷く部下。
ここロッツガルドはヒューマンの街だ。
戦争をしている相手なんだから、当然ここは敵地。
だけど、幻術を駆使して魔族はこの街にも手勢を配している。
ヒューマンは基本的に戦争における情報というものを軽視しているからやりやすい、というのもあるが手にした利は大事にしたい。
また一から潜入させるのは時間もかかる。
しかもこの街にはヒューマンとも私たちとも違う勢力も一部、入り込んでいる節がある。
それこそが私が今ここに出向いている理由であり、部下の言ったあの連中、だ。
……いかにこの戦争が現状魔族に有利、優勢であっても。
まだ勝利した訳じゃない。
何か一つ読み違えただけでも戦局はまだまだどうとでもなってしまう。
だからこそ、この、ノイズのように入り込んできたライドウとかいう存在にも気を配らざると得ない。
陛下から情報を任された将としての、私の任務だ。
「まあ、それは考えておくわ」
それにしても、クズノハ商会か。
辺境のツィーゲで伸びている新しい商会の一つだ。
あの街では特になにも起こしていないが、その奥の荒野では魔族はそれなりに動いていた。
もちろん私の部下達だ。
だが、彼らからの連絡は少し前に絶えてしまっている。
何かがあった。
確実に何かがあったのに、何があったのかがわからない。
調査に向かった者は、何も掴めないか帰ってこないかのどちらかだった。
果ての荒野は何が起きても不思議ではない所だとはいえ、不気味な結果だ。
その荒野に一番近い街の商会。
少し気になりもする。
あの街が属する国はヒューマンの大国アイオン。
ヒューマンの国では珍しく情報集めに余念がない場所で、多少の注意が必要とも言える国だ。
もっとも。
情報を集めることが目的となってしまっていて、その分析や活用においてはお粗末なものだ。
私達と並ぶにはここから十年かけても足りないだろう。
「いずれにせよ、この街はヒューマン最高の学府を要する場所よ。揺さぶることができればその影響は世界中に広がる。着実に、策を育てていきましょう。いいわね」
「一命に変えましても」
とにかく。
講師ライドウ、そして商人ライドウ。
どれほどのものか、見せてもらいましょうか。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「はぁ、はぁ……」
自分の呼吸が耳障りだった。
私は魔族の扱う高度な幻術を使用し、ヒューマンのカレン=フォルスとしてロッツガルド学園に入り込んだ。
カレンはグリトニア帝国にほど近い小国で神童と呼ばれながら、評判通りに優秀な力を身につけていった秀才“だった娘”だ。
名を聞くようになり、魔族の障害になるようなら先に芽を摘んでおこうと出向いた先で、内輪の揉め事で裏切りに遭い、死んだ。
私が手を下すまでもなく。
私がしたことと言えば、そう。
便利そうだったから、その事実を知る者を皆殺しにして替え玉を立て、カレン=フォルスが存命であるかのように振る舞わせて駒の一つに仕立てた。
それだけだ。
そして今、私はカレンの名を借りてライドウの講義を受けていた。
しかし、これは……。
いくら私が学生レベルに魔力の出力を加減して、扱う術も制限しているとは言え、あり得ない。
私と、ツィーゲの商会の姉妹が先ほどからライドウにひたすら攻撃を仕掛けていた。
だが、何もかも通用しない。
一々ここが悪い、あそこが悪いと指摘しては奴は魔術を、物理攻撃を潰して潰して潰しまくってくれている。
あまりにも頭にきたから、ほんの一度だけ、偶然を装うことができそうな好機に本気の一撃を混ぜてしまった。
……それも、一瞬驚いたような顔をして無言で弾かれてしまったけど。
こいつ、講師なんて柄じゃない。
明らかに別の超一流。
戦場の、それも最前線にいたって毎度必ず戻ってくる、そんな物騒な輩だ。
うちの軍にもイオという同類がいる。
敵軍にいた場合、一番やっかいな分類に属する連中だ。
決して倒れず、軍を鼓舞し、更に何かを期待させる存在。
しかも、こいつに至っては……。
尚も通じない攻撃を繰り出しながら横目にもう一つの講義を見る。
そこでは何度かライドウの講義を受けた学生達が魔物と戦っていた。
そちらはライドウの補佐とかで識という男が監督している。
ちっ。
心の中で舌打ちする。
あの識という男の魔術の腕も尋常ではない。
持っている凄まじく高性能な杖といい、下手をするとあの男でさえ私と同程度の実力を持つかもしれない。
あそこまで高度な回復魔術は滅多に見られない。
そして学生が戦っている魔物。
これがまたまずい。
ミスティオリザード、だった。
荒野の深部に生息する、私が知る限りリザードマンとして最強の種族。
苦労して、何人もも命を犠牲にしながら仲間に加わってもらうべく交渉に向かい、あっさりと振られた相手でもある。
ライドウはアレを召喚した。
今、体術でさえ私も姉妹も寄せ付けず、精霊魔術も魔術も蹴散らしているライドウがだ。
荒野と密接に繋がるツィーゲの商人だから予想の範囲内、なんてならない。
明らかに会得している魔術の種類が尋常ではない。
聞き慣れない言語で、殆ど詠唱もなく魔術を発動させているのも異常だ。
もしも、イオの武術と私の魔術を同時に習得して、更にそこに召喚魔術を加えて高めているとしたら、それはもうヒューマンじゃない。
一人にして軍、悪夢のような存在。
心の底からそう思う。
もし目の前で悠然と発つ、見た目は幼い亜人であるこの男が、勇者に勧誘などされでもしたら。
魔族にとって、非常にまずい事態になる。
それこそ、先日のリミア攻めで報告があがった魔人とやらをこちらに引き込んでぶつけなくてはいけないような、それほどの事態だ。
とはいえ……魔人とソフィア達を両方ぶつければこの男とて殺せるに違いないでしょうけどね。
そういう意味では、まだ手がある相手か。
「ん、ここまで」
ライドウが時間を確かめて講義の終了を告げる。
味方についてくれるのならこれ以上ない武器になるのも間違いないはずなんだけど。
何故か、そうなる気がしない。
これは勘、と言っていいものかどうかわからないけど、私の中にはどうしてかライドウに対しての警告が鳴り響いている。
「あ、ありがとうございました……」
演技ではない疲労をそのままに、ライドウに言葉を返す。
そうか。
力もさることながら、私がこいつに感じる得体の知れない感覚は……、これだ。
戦意の希薄さ、とでも言おうか。
これは実戦じゃないんだから、殺気まで漲らせるとかそういうことを問題にするんじゃないけど。
戦いに対する、命を失うかもしれない場にいる事に対する、総合的な緊張感の薄さをライドウに感じる。
戦場に慣れる事とは絶対に交わらない暢気さ?
それが同じ人物の中で同居している?
いや、違うわね。
気持ち悪い。
最初に出会った時に感じた拍子抜けする程の気配のなさも気になる。
強者ほど己に内包する力の気配、オーラ、威容……。
ライドウにはそれがない。
まるで本当に一般人ではないかと疑わせるレベルだ。
しかしその実力は今見た通り。
う、ん……。
いけない。
ほんの一度の、しかも短い時間に得られた奴の表面的な情報から結論を出すのはまずい。
私は今焦っている。
思わぬ存在が突然現れた事に、冷静さを失っている。
本気の攻撃を混ぜたのもそうだ。
私はカレン=フォルスであり。
後に部下と交代するとしても、彼女として不自然すぎる振る舞いはするべきではない。
この街には策を寝かせてある。
そしてヒューマンに魔族の存在はまだばれていない。
その優位を、私自ら壊すような真似をしてどうする?
落ち着け。
そして時間をかけて、奴を観察し、報告を聞き、見極める。
「……ふぅ……」
「お疲れ様、カレンさん。驚いたわ、凄い魔術の使い手なのね」
「あ、シフさん。いえ、結局先生には一撃も当てられなくて……。自信なくします……」
思わず漏れたため息に気がついたのか、レンブラント商会の姉妹、その姉の方が話しかけてきた。
「そんな! 身のこなしもボクより鋭かったですよ! ボクなんて弓も槍も全然駄目で腰に力入らなくなりそうでしたもん」
「お二人より少しだけ経験があるだけです。考えてみれば、だから学生なんですし、これから頑張りましょうね」
レンブラント姉妹。
この二人も商家の娘にしては戦闘能力が高い。
何ヶ月か訓練すれば魔族でも十分戦力として数えられる所まで行くかもしれない。
ここでぬるま湯につかっていてくれる分には問題ないのも確かだけど、ライドウの存在が彼女達をどう変えるかを考慮すると危険ではあるわね。
とりあえず、当たり障りの事を話しながら他の学生とも合流して整列する。
誰も彼も似たような憔悴ぶり。
何というか軍の訓練時代を思い出すわね。
[ああ、カレン=フォルス。君に少し用があるのだが、この後の君の予定を聞きたい]
「きょ、今日は先生の講義だけですが」
いきなり名指しされた。
極力動揺を外に出さないようにしながら予定を伝える。
何か聞かれるにしても、奴の情報をより集められる可能性もある。
これは嬉しい誤算ね。
ただ、ライドウにいきなり接近し過ぎるのも……。
[それは良かった。気になる点があってな]
「ま、まだ何かあるのですか!?」
[ああ、幸い時間もあるようだ。付き合え]
「……は、はい」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「ロ、ロナ様!? どうなされたんですか!?」
ゴテツという店からようやく私はアジトに戻った。
入り口を閉め、深く息を吐き出す。
そして歯を食いしばって大きく息を吸い込むと、私は自分の机の上に乗ったもの全部を乱暴に払い落とした。
それだけでは到底気が収まらず、無言のまま、しばらく手近な物に八つ当たりを続けた。
部下からの、何度目かになる静止を望む必死な言葉でようやく動きを止める。
畜生。
畜生!
ライドウ、クズノハ商会!
あいつら……!!
「聞くわ」
「は、はい」
怒りをにじませた声に部下が震える。
構わず続ける。
「クズノハ商会とはなに?」
「ツ、ツィーゲで最近登録された新しい商会の一つです。荒野の品や雑貨を主に扱っており、亜人の雇用をしています」
「……それだけ?」
「あとは、あの街の有力商人であるレンブラント商会とも良い関係を築いているようだと新たな報告が上がっているくらいです」
「そんなことはもう知ってるわよ!!」
「ひっ」
「大体、レンブラントはただの有力商人じゃない! あの男に逆らえる奴なんてツィーゲには実質いない。パトリック=レンブラントはツィーゲの支配者よ。そう言っても差し支えない権力を持ってる」
「え、そのような報告は」
「上がってきた情報をそのままに受け止めて思考を止めるな!」
「申し訳ありません!!」
声を荒げる。
いや荒げてしまった。
抑えていた分、感情が今は上手くコントロールできない。
「……そんなことはね、情報をきちんと把握して推察していけばわかることなのよ。いい? 命令するわ、全力で、全員で、もう一度クズノハ商会の事を調べ上げなさい」
「奴らと、一体何が」
「……あいつら、私の名前を知ってた。魔族の内情も、竜殺しどもの事も! 全部知っている様子だった」
「馬鹿な! ありえません!」
「私もそう思ったわ。でもね。ありえないと思う、それはつまり、私達の握ってきた情報が向こうにとっては手のひらの上にあるだけのものでしかなかったから。そういうことでしょう? 事実奴らはこっちの事を知っていて、ソフィアの事まで言い当てた。それどころか私の名前や関わった案件も幾つか把握していたのよ!」
「ならば、クズノハ商会とはアイオン王国の諜報機関……」
「な訳がないでしょう! それは、今のあまりにも不足した情報だけに頼った馬鹿でもできる推理に過ぎない。もっとも、今は誰が推理してもそこか、レンブラント商会の私的な諜報機関ぐらいの結論しか出ないわ。そんなことはわかってるの。だから、情報がいるのよ。しばらくロッツガルドは空けてもいい。全力よ。わかったわね」
「しかしロナ様がこちらに参られた本当の目的と任務が――」
「それは、何とかしたわ。とりあえずね。当面の情報収集の間くらいの穴埋めにはなりそうな手を打っておいたから」
ライドウ。
絶対にこのままでは済まさない。
少なくとも陛下にそれなりの報告が出来る状態にまで調査をしなければ、とても帰る事などできない。
私的にも、こちらはどうなるかわからないけどライドウに少しはやり返しておきたい気持ちがある。
ただしあくまでも冷静に。
私は自分にそう言い聞かせつつ、いきなり現れた謎の商会、クズノハ商会と関わっていく事になった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「こんな、馬鹿な……」
「……」
ロッツガルドとその近郊に散らばっていた者、それからツィーゲと荒野に潜ませていた手の者をほぼ総動員して調べ上げたクズノハ商会の情報と動向。
報告の山が今私の前にある。
馬鹿な、と口にしたのは普段は学園に潜入させているこの街での頭をやらせている部下だった。
その言葉を口にした気持ちは私も同じである。
でも……この間よりも私の方はずっと落ち着いていた。
一応は予測していたことでもあったから。
「クズノハ商会には、今日も品物が並んでいる。なのにいつどこから入ってきているのかわからない品物がある、か」
「明らかに奴らの名で入っている荷物と店頭の販売量が合いません。倉庫を隠している様子もありませんし……」
「時折、街で見たことがないクズノハ商会の関係者を見る、ともあるわね」
「考えられません。この街の人の出入り、特に最近ではクズノハ商会の関係者については徹底的にマークしているというのに……」
私の言葉に各々担当した部下が驚愕の表情で反応する。
「ライドウどころか、他の従業員ですら完全に動向を見失っている時間があるみたいね……」
「申し訳、ございません」
「それに、ツィーゲでもロッツガルドでも、従業員の話題に何故か暑いだの寒いだの、作物の育成がどうだのと、共通する単語がある、か。これは……ひょっとして」
あまり考えたくない可能性が見えてくる。
しかし、辻褄はそれで合うのよね。
「……確かに。ほぼ同日に、似たような話題が出ている事があるようですね……」
「ロッツガルド、ツィーゲ間で念話などは出来る筈ないでしょうけど……」
「そのような長距離通信の確立は我らでさえまだ……」
「例えば手紙の連続転移か何かを使って極めてタイムラグの少ない連絡方法を構築している可能性はそれなりにあるわね。念話の使用については?」
「従業員のほぼ全てが使用しています。ただ店に関する事ではなく、極めて私的な会話のみのようです」
ライドウが召喚魔術を使うから転移魔術をも高度に習得した上に実用的な運用法を確立している可能性には一応至った。
ただ商品全てを転移に頼るのは事故のロスが大き過ぎるでしょうからまずない。
それでも手紙のような通信に活用するとなれば遠く離れた二つの街で話題が一緒になる事もありえない事じゃない。
ただ、明らかにツィーゲともロッツガルドとも違う気候の話題がある理由がまだわからない。
荒野の情報かしら。
もしくは、どこかに奴らの拠点が別にあるのかもしれない。
そして念話をほぼ全員が使う、ですって?
しかも仕事に関する話がない、となると……。
盗聴を警戒している可能性も――?
「警戒?」
「ロナ様?」
何か大きな引っかかりを覚えて警戒という言葉を口にした。
盗聴を、警戒。
当然のことだ。
私は何を気にして……ッ!
「ぅ……あ」
言葉にならない呻き声。
そうだ、当然だ。
“盗聴をしている”私達が、盗聴を警戒するのはおかしな事じゃない。
出来ると、知っているからだ。
もしクズノハ商会が念話の盗聴を警戒しているのだとしたら、この事実が示すものは……多くはない。
「奴らにも、念話を盗聴する手があるかもしれない。まずいわね」
「……っ!?」
こちらが把握できない魔術知識と技術の深さ。
諜報活動を受ける事を前提とした従業員の動き。
見当もつかない第三の拠点の可能性。
細心の注意を払っても面白いように撒かれてしまう個々の力量差。
……今はもう、ここまでだ。
「……一度戻るわ。引き続き、クズノハ商会の動向は気にしておきなさい。ただし、決して刺激しないこと。いいわね」
陛下に報告する段階に達したと、私は判断した。
ただし良くない意味で、ね。
明らかな脅威。
決して目を離してはいけない相手。
そういうものとして、奴らの事を報告しなくてはね。
ロッツガルドに来て本当に良かった。
思わぬ、そして得難い貴重な情報に触れる事ができた。
今はそれを、収穫と考えよう……。
************************************************
予定より作業が遅くなりました。すみません。
次は新しい方の更新になりますのでよろしくお願い致します。
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