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七章 蜃気楼都市小閑編
常連争奪と密かな危機(上)
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常連。
それは国家となったツィーゲでようやくそれなりに広がり始めた言葉。
荒野に赴く冒険者たちの中で、トップランカーの次に羨望を集めつつある存在を示す新しいワードだ。
常連と呼ばれる彼らはこれまで冒険者からの任意では入る事が出来なかった蜃気楼都市にある程度自由に出入りできる。
荒野において今やセーフルームだの宝の山だのと呼ばれる蜃気楼都市だけに常連たちは注目を集めてやまない。
時には敵意をもって尾行され、時には真っ当に接待を受け、常連となる方法を皆が知ろうとした。
しかしながら蜃気楼都市から口止めがあるのか、大抵は口を割らない。
冒険者ギルドもこの件への関与は慎重に慎重を重ねて常連たちに接している。
間違いなく現在の荒野事情におけるトップシークレットの一つであり、そして少しずつではあるが少数の冒険者の体験談が漏れ始めている。
今はちょうどそんな時期だった。
「おうおう! 頼んだ素材が入らねえってのはどういう事だ! ここはツィーゲの素材商最大手、マーケットに出ねえような代物でも融通してみせるムゾー商会さんだろうがよぉ!!」
柄の悪い男が見るからに立派な商会の受付で声を荒げていた。
横には身なりの良い、だが線の細い若い男も同行している。
察するに用心棒と商人、或いは学者。
そんな雰囲気の二人だった。
受付の丁寧な対応にも二人は全く退く様子がない。
話の内容からするにムゾー商会の契約不履行が問題のようだから、柄の悪さや声の大きさで店にかける迷惑は別として非は商会の側にある様子だ。
もはや受付は頭を下げ謝る事しか出来なくなっている。
荒野でしか手に入らない素材というのはそれぞれに特殊で強力、即ち重要な場面での利用を前提にしている事も多い。
通常の商会と客の揉め事であれば金で片付く事も多いが、ここでは両者引けないケースも多々ある。
「お客様、まことに申し訳ございません。私、代表より第一調達部を任されておりますショウと申します。続きは別室にて……決して悪い内容には致しませぬので」
誠実に見える謝罪、その後の丁寧で柔和な笑顔での案内。
大声をあげていた二人組の客は店の奥に通されていった。
受付の女性が耐え切れず涙を流し数人に付き添われて奥に引っ込んでいき、そして代わりの受付がカウンターに立つ。
長蛇の列をなす客から先頭の者が案内され、そして新たな商談が始まっていく。
このところのムゾー商会でそれなりによく見られる、見られてしまう光景だった。
「人の往来は減るどころか増え、そして我が商会の売り上げも全体を見れば右肩上がり。だのに先に待つは分厚い暗雲であると、そう示唆するような光景ですね」
客から見えないからか、その様子を見ていたムゾー商会代表が顔をしかめる。
冷徹な彼がこのように感情を見せるのは珍しい。
かつては冒険者ギルドの支部長であるルクサとツィーゲの仏頂面ツートップを飾った彼だけに秘書は嫌な汗が頬を伝うのを感じる。
ちなみに仏頂面の方は今はルクサの方が何故か人生を謳歌し始めたため、ムゾー商会代表がワントップを張っている。
「支援冒険者パーティ数も順調にその数を増やしており、荒野用のランクも参考にしながら有望な冒険者にはいち早く声掛けをするよう徹底しております」
秘書を務めるのは若い女性。
この世界は大抵美しい容姿の者ばかりだが、彼女はその中でも身に着ける物や礼法などの所作まで気を遣い一目を引く美貌を持っていた。
もっとも彼女の雇い主はそれを含めて彼女の能力をかって秘書として使っている。
だからこそ美貌に溺れる事なくすべき報告を素早く主にしてみせたのだった。
「……トアさんのとこ、どうなっていますか?」
「複数の商会と良い関係を築いている、と濁されるだけで専属の契約などはまだ交わせておりません」
「正直クズノハ商会が彼女たちを囲ってくれればこちらも諦めがつくのですがね、あの孤児院の様に」
「……はっ」
「しかし今や文句なしのナンバーワンである彼女たちは何故か蜃気楼都市の常連ではない。資格を得る条件付けについても未だ確定していないと」
「はい。ただ体験談を語ってくれたパーティの多くは以後かの都市への出入りが出来なくなっているのは事実の様です」
「……こちらとしては有望な冒険者にわざわざ金をかけてその価値を下げてしまったという訳ですね」
「……申し訳ありません」
「私の方針です。君に落ち度はありません。で」
「は、先ほどのお二人でしたらコハクヒトヨタケをお求めでした」
「コハクヒトヨタケ? ……生ですか」
代表は挙げられた素材の名にわずかに首を傾げた。
「いえ乾燥でよいとの事です」
「馬鹿な。あれは確かに荒野でもそれなりに奥に向かわねば手に入らない素材だが乾燥でも良いのであれば在庫はあるはずでしょう」
彼の言葉は正しい。
その素材は荒野産でもそれなりに量を確保できている品だった。
生のままとなれば提供難易度は跳ね上がるが保管がきく乾燥品でも良いのならムゾー商会にとっては決して難しい仕事ではない、筈だった。
代表が己の額を手で押さえる。
あの客の怒り様、ごね様も無理はないと。
「……それが、こちらの予測以上に素材の維持が難しくなってきております。契約した冒険者の方々が持ち込んで下さる希少素材の量も増えていますが、そうしたものより少し希少性が薄い、これまでであれば在庫の確保に苦労しなかった辺りの小レア品の需要が加速度的に増していまして」
「先週の議題にもあがっていましたね。まさかこれほどの速度ですか。売り上げの数字だけを見ている場合ではありませんか」
「……はい」
「パトリック=レンブラントが大波と表現するほどの激動、いかなるものかと十分に備えたつもりでしたが……まったく途轍もない」
男の口から思わず嘆息が漏れる。
「……」
「代表?」
「強がって竜骨が折れてしまっては取り返しがつかん、か」
「??」
「少し出ます」
「え!? ど、どちらへ」
「夕方までには戻ります。緊急にウチだけでなく情報を共有したいので夜の予定はキャンセルしてください」
「……わかりました。絶対招集を即時通達しておきます。三件でよろしいでしょうか」
「ええ、よろしく頼みます」
阿吽の呼吸で会話を済ませる二人。
代表は行き先を告げなかったがすべき事は指示していった。
秘書もまたそれに従う。
彼らにとってはいつも通りの景色だ。
秘書であり、時に影武者の様でもあり。
優秀な人材を得られた幸運をムゾー商会代表はせめてものストレス緩衝材にして未だ陽が高いツィーゲの街に繰り出していった。
「ただでさえ気を遣わせているというのに、あまり彼に負担をかけたくもないのですけどねえ。レンブラント氏の睨みも無視できませんし。やれやれ、です。いつぶりですか、こんな板挟みを私が味わうなんて」
強い陽射しではないナニカによって流れた汗を拭きとり、ムゾー商会代表は本当に珍しく愚痴を漏らすのだった。
それは国家となったツィーゲでようやくそれなりに広がり始めた言葉。
荒野に赴く冒険者たちの中で、トップランカーの次に羨望を集めつつある存在を示す新しいワードだ。
常連と呼ばれる彼らはこれまで冒険者からの任意では入る事が出来なかった蜃気楼都市にある程度自由に出入りできる。
荒野において今やセーフルームだの宝の山だのと呼ばれる蜃気楼都市だけに常連たちは注目を集めてやまない。
時には敵意をもって尾行され、時には真っ当に接待を受け、常連となる方法を皆が知ろうとした。
しかしながら蜃気楼都市から口止めがあるのか、大抵は口を割らない。
冒険者ギルドもこの件への関与は慎重に慎重を重ねて常連たちに接している。
間違いなく現在の荒野事情におけるトップシークレットの一つであり、そして少しずつではあるが少数の冒険者の体験談が漏れ始めている。
今はちょうどそんな時期だった。
「おうおう! 頼んだ素材が入らねえってのはどういう事だ! ここはツィーゲの素材商最大手、マーケットに出ねえような代物でも融通してみせるムゾー商会さんだろうがよぉ!!」
柄の悪い男が見るからに立派な商会の受付で声を荒げていた。
横には身なりの良い、だが線の細い若い男も同行している。
察するに用心棒と商人、或いは学者。
そんな雰囲気の二人だった。
受付の丁寧な対応にも二人は全く退く様子がない。
話の内容からするにムゾー商会の契約不履行が問題のようだから、柄の悪さや声の大きさで店にかける迷惑は別として非は商会の側にある様子だ。
もはや受付は頭を下げ謝る事しか出来なくなっている。
荒野でしか手に入らない素材というのはそれぞれに特殊で強力、即ち重要な場面での利用を前提にしている事も多い。
通常の商会と客の揉め事であれば金で片付く事も多いが、ここでは両者引けないケースも多々ある。
「お客様、まことに申し訳ございません。私、代表より第一調達部を任されておりますショウと申します。続きは別室にて……決して悪い内容には致しませぬので」
誠実に見える謝罪、その後の丁寧で柔和な笑顔での案内。
大声をあげていた二人組の客は店の奥に通されていった。
受付の女性が耐え切れず涙を流し数人に付き添われて奥に引っ込んでいき、そして代わりの受付がカウンターに立つ。
長蛇の列をなす客から先頭の者が案内され、そして新たな商談が始まっていく。
このところのムゾー商会でそれなりによく見られる、見られてしまう光景だった。
「人の往来は減るどころか増え、そして我が商会の売り上げも全体を見れば右肩上がり。だのに先に待つは分厚い暗雲であると、そう示唆するような光景ですね」
客から見えないからか、その様子を見ていたムゾー商会代表が顔をしかめる。
冷徹な彼がこのように感情を見せるのは珍しい。
かつては冒険者ギルドの支部長であるルクサとツィーゲの仏頂面ツートップを飾った彼だけに秘書は嫌な汗が頬を伝うのを感じる。
ちなみに仏頂面の方は今はルクサの方が何故か人生を謳歌し始めたため、ムゾー商会代表がワントップを張っている。
「支援冒険者パーティ数も順調にその数を増やしており、荒野用のランクも参考にしながら有望な冒険者にはいち早く声掛けをするよう徹底しております」
秘書を務めるのは若い女性。
この世界は大抵美しい容姿の者ばかりだが、彼女はその中でも身に着ける物や礼法などの所作まで気を遣い一目を引く美貌を持っていた。
もっとも彼女の雇い主はそれを含めて彼女の能力をかって秘書として使っている。
だからこそ美貌に溺れる事なくすべき報告を素早く主にしてみせたのだった。
「……トアさんのとこ、どうなっていますか?」
「複数の商会と良い関係を築いている、と濁されるだけで専属の契約などはまだ交わせておりません」
「正直クズノハ商会が彼女たちを囲ってくれればこちらも諦めがつくのですがね、あの孤児院の様に」
「……はっ」
「しかし今や文句なしのナンバーワンである彼女たちは何故か蜃気楼都市の常連ではない。資格を得る条件付けについても未だ確定していないと」
「はい。ただ体験談を語ってくれたパーティの多くは以後かの都市への出入りが出来なくなっているのは事実の様です」
「……こちらとしては有望な冒険者にわざわざ金をかけてその価値を下げてしまったという訳ですね」
「……申し訳ありません」
「私の方針です。君に落ち度はありません。で」
「は、先ほどのお二人でしたらコハクヒトヨタケをお求めでした」
「コハクヒトヨタケ? ……生ですか」
代表は挙げられた素材の名にわずかに首を傾げた。
「いえ乾燥でよいとの事です」
「馬鹿な。あれは確かに荒野でもそれなりに奥に向かわねば手に入らない素材だが乾燥でも良いのであれば在庫はあるはずでしょう」
彼の言葉は正しい。
その素材は荒野産でもそれなりに量を確保できている品だった。
生のままとなれば提供難易度は跳ね上がるが保管がきく乾燥品でも良いのならムゾー商会にとっては決して難しい仕事ではない、筈だった。
代表が己の額を手で押さえる。
あの客の怒り様、ごね様も無理はないと。
「……それが、こちらの予測以上に素材の維持が難しくなってきております。契約した冒険者の方々が持ち込んで下さる希少素材の量も増えていますが、そうしたものより少し希少性が薄い、これまでであれば在庫の確保に苦労しなかった辺りの小レア品の需要が加速度的に増していまして」
「先週の議題にもあがっていましたね。まさかこれほどの速度ですか。売り上げの数字だけを見ている場合ではありませんか」
「……はい」
「パトリック=レンブラントが大波と表現するほどの激動、いかなるものかと十分に備えたつもりでしたが……まったく途轍もない」
男の口から思わず嘆息が漏れる。
「……」
「代表?」
「強がって竜骨が折れてしまっては取り返しがつかん、か」
「??」
「少し出ます」
「え!? ど、どちらへ」
「夕方までには戻ります。緊急にウチだけでなく情報を共有したいので夜の予定はキャンセルしてください」
「……わかりました。絶対招集を即時通達しておきます。三件でよろしいでしょうか」
「ええ、よろしく頼みます」
阿吽の呼吸で会話を済ませる二人。
代表は行き先を告げなかったがすべき事は指示していった。
秘書もまたそれに従う。
彼らにとってはいつも通りの景色だ。
秘書であり、時に影武者の様でもあり。
優秀な人材を得られた幸運をムゾー商会代表はせめてものストレス緩衝材にして未だ陽が高いツィーゲの街に繰り出していった。
「ただでさえ気を遣わせているというのに、あまり彼に負担をかけたくもないのですけどねえ。レンブラント氏の睨みも無視できませんし。やれやれ、です。いつぶりですか、こんな板挟みを私が味わうなんて」
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