月が導く異世界道中

あずみ 圭

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五章 ローレル迷宮編

最深部への誘い

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 ずーん、だ。

「シイ、やはり戻っているべきじゃないか? 少し、いや大分おかしいぞ?」

「……なんか、ぼーっとする。ざわざわーってして、落ち着かない感じ。けど悪くないの。ずっとこんな気持ちでいら」

「はぁ」

「なにその溜息」

「あのリョーマってのに何か盛られたか、と思ってな」

「リョーマ……。ああ、あの。蝶のように舞い、蜜蜂の様に踊るとか言ってたアサシンズの一人だ」

「ああ。奴に接近されてからお前の様子がおかしい」

「んー。どうだろ。思わず、刺せよ! って突っ込んだ記憶しかない」

「若様もあのご様子だし……まあ一度識様か環様に診てもらう事だ。わかったな」

「はーい」

 シイとホクトが何やら話している。
 ああ、しかし。
 がーん、って感じです。
 気分がひたすら重い。

「まあまあ若。ともあれ交渉も無事こちらの望む形にまとまったのですから」

「巴さんの言う通りですわ若様。後は六夜とアズノワールについて少しだけお許し頂きたい事があるので……そう、一度だけ頷いて頂ければ後は私がすべて……」

 巴と澪が傍で何やら言っている。
 ちなみにベレンはアズノワールさんの剣について彼にまとわりついて話を聞いていた。
 ……そうだよ、あの剣も悪いんだよ。
 アズノワールさんとの相性が良すぎた。
 壊れても戦闘中に修復する再生力、幻獣を憑依させて様々な能力を得る特性。
 彼の為にある剣だった。
 でも……思い返せばヒントは彼らの側から幾つももらっていたんだ。
 さっきまでしていたアズノワールさんとの戦い。
 僕はその最中に彼を危険だとみなし、敵として呼び捨てで呼び、そして手が出せず口が聞けない状態にして戦いを終わらせようとした。
 最悪だ。
 倒せると思ったから。
 勝てる相手だと判断したから、僕はそうしようとした。
 僕はもっと早い段階で、ピクニックローズガーデンに僕らが抱かせた溜飲を下げられる様に苦戦してみせ、その上で全員が見ている前で降参する形で戦いを終わらせるべきだったのに。
 簡単な答えだ。
 レンブラントさんならアズノワールさんから戦いの提案があった段階でこの絵を描いて、実現させていただろう。
 その降参で僕が得るのは目的としていたピクニックローズガーデンとの友好的な交渉への入り、そして失うのは何と何も無い。
 まさにノーリスクハイリターンだ。
 僕はバトルジャンキーでも戦士でもない。商人、の筈だ。
 そうじゃなくちゃ、いけないのに。
 実際に僕がした事は何も益がない……それどころか怪我までして皆に心配かけただけ。
 これがずーんやがーんでなくて一体何だと。

「澪、あの二人には手を出さない。そして僕は頷かない。いいね?」

「そ、そんなぁ。ちょっとだけ、ちょっとだけですから。私にかつてない屈辱を与えた男と、わ、若様のお顔を斬った男……。ちょっとだけが駄目でしたら、ほんの少しだけ、それでしたら私の裁量で」

「……澪」

 澪が六夜さんにされた事も聞いた。
 そっちについては僕も思う事はある。
 けれど彼にというより……僕自身に対してという方が正しい。
 正直、僕は今珍しく自分が嫌いになっている。
 いつもならそれなりに開き直れるのに、出来ずにいる。
 交渉は巴が中心になって向こうの……ヴィヴィさんとアゲハさん、ノーマッドさんと話を進めてくれて殆どまとまっている。
 僕は巴と澪、それにベレンが亜空から持ち込んでくれた識の薬を使って顔の傷を治療してもらって同席だけしていた形だ。
 大分僕が血を流した事もあって具体的な所は儂が表に出て話を進めましょうと、巴は言ってくれたけど。
 ま、結局僕が果たした役割は脅し役だ。
 お屋敷に備えられた魔除けのガーゴイル像。
 あんな愚かな立ち回りをやってしまった以上、僕に出来るのはその程度って事だったんだろう。
 ……はぁ。

「うぅ……わかりました。あの若様、お怪我は本当にもう大丈夫ですか?」

 怪我。
 顔の、というか頭の怪我だ。
 あの戦いの最後。
 アズノワールさんの奥の手だった居合は僕の顔をかすめた。
 その直後……彼は不自然な体勢で剣を止め、そして目を閉じて降参した。
 僕が口にしていれば円満に終わる筈だった言葉だった。
 それを聞いて僕は我に返った。
 我に返ったというか、思い出した。
 ここに来た目的。
 それは戦闘じゃないって事。
 視界は真っ赤、頭の中では顔は真っ青。
 眉の上辺りから彼の剣が肉を斬り、骨に触れたみたいな不快な感触と共に上に滑っていった。
 直後生まれた熱さは、頭の中を逆に冷やしてくれた。
 つまりあの視界の赤さは血だ。
 結構盛大に出血していたらしい。
 頭って大事な部分だからちょっとした事でも出血は派手、と聞いた事があったようななかったような気がしたから僕自身は気にしてなかった。
 でも戦いを終わらせるアズノワールさんの言葉の二秒後にはクズノハ商会の皆が僕の周りにいた。
 額の肉は一応皮一枚でくっついた状態だったとか。
 即死ではないにしても大怪我の部類だ。
 なのにあの時、直前まで僕が考えていた事は……本当にろくでもない。

「もちろん。巴、ありがとう。おかげでレンブラントさんにも良い報告が出来るよ」

「なに、せっかく供をさせて頂いているのです。役に立ちませんとな」

「……なあ、あのまま僕が戦ってたらどうなったかな、交渉は」

「結果そのものは……大して変わらなかったでしょう。交渉が命令に、協力が従属という言葉に置き換わってはいたでしょうがな」

「はは……最悪だね」

 それはもう交渉でも契約でもない。

「あまり気にせん事です、若。大体あのアズノワールの提案自体が筋を読み切っていても一か八かの博打のようなもの。若は博徒ではありませんし、幸運の使徒でもない。加えて始まりの冒険者は奴に限らず曲者揃い、仕方ない事かと」

「そうか……」

「はい」

「なら、一応は依頼と報酬という交渉で話がまとまってツィーゲを盤石に近づける一手が無事指せた……この結果を喜んでおくべき、かな」

「その通りです」

 巴が頷き、澪も何度も力強く首を上下させてくれた。

「主力の一軍を迅速に惜しみなくツィーゲに寄越し防衛に加わり、教導も引き受ける。二年契約、更新交渉もあり。まあ値段の方もそれなりですが、個人的にはこの倍払っても雇う価値がある連中と判断します。若様、この度はご成約おめでとうございます」

「ベレン」

 いつの間にか戻ってきたベレンがピクニックローズガーデンとの交渉結果、彼らの戦力を評する。
 後ろにはアズノワールさん。
 さっきまで戦ってたのに、やあと右手をあげてる。
 剣は背に。
 盾に形状変化していた鎧は、今は再び彼の身を覆っている。傷は見た目にはない。
 こっちも修復能力ありか。
 とことん、継戦重視の装備。
 火力は幻獣頼りかな。

「実際に彼らを抑えてくれたのはベレン達だ。その評価はこれ以上ない参考になるよ、ありがとう」

 ベレンが深く一礼してシイとホクトの方に下がっていく。
 傭兵団への報酬、か。
 契約はツィーゲと彼らとの間に結ばれる。
 けれどベレンがそこまで評価するのなら追加報酬という形でクズノハ商会でも何らかの形で報いるべきかもしれない。
 そもそも悪い状況の中、土足で踏み込んだのもこちらなんだし。
 
「やあ、さっきは良い汗流したねライドウ、真君でいいかな? 傭兵契約の首尾も良かったようで安心したよ。六夜をはじめとした我々の口添えも成功の一助になっていれば幸いだ」

「ええ、ありがとうございます。巴、ピクニックローズガーデンへの報酬だけど」

 実際、始まりの冒険者からの賛成への口添えはかなりの威力を持っていた。
 同席していた六夜さんの言葉は何度もピクニックローズガーデンを強力に説得する力を有していた。

「わかりました。一部再考致します。幸いまだツィーゲへは連絡しておりませんので。ベレンがああまで言うのであれば、余白に副賞も用意すべきかもしれませんな。そちらもお任せを」

 ……流石は巴。
 僕の考えた事なんてお見通しか。

「頼む。で、アズノワールさん。何か御用でしょうか?」

「体の方はもう大丈夫なようだ。頑丈でもあるのか、素晴らしい」

「そちらこそ。いや、でも僕とやる前からおかしかった左腕は、まだ治っていないようですね」

 最初の内は少し気になっていた。
 僕とやる前から負傷していたみたいだったから。
 といっても戦闘に入ってからはあの戦いぶりだ。
 僕も遠慮するのはやめて……そんで自重も忘れて銀腕まで出して……はぁ。
 ずーん、だ。
 がーん、って感じなんだよ。

「おっと。いや気にしないでくれ、むしろこのおかげで怪我した時だけ扱える幻獣の力を借りられて早く戻れたのだから。にしても随分と落ち込んでいるな。大丈夫な感じじゃない」

「……僕は商人として、0点の回答をしてしまいましたから」

「……なるほど。あー、真君。こういう時は逆に考えるのも手だぞ」

「逆、とは?」

「狂戦士としては満点だった。裏の世界的にもかなりの高得点だったと思う。評価基準を変えてみれば中々優秀な成績だ」

 どっちも嫌です。
 バーサークとか実際にスキルとして扱ってる人から言われるのもかなり微妙な気分になるな。
 もっとも、彼のそれは狂戦士そのものというよりも、その力だけを発動させて冷静に扱っていたように見えたけど。
 
「しかし、それなら丁度良かったな。良い気分転換になるだろう」

「は?」

 そういえば、要件をまだ聞いてなかった。
 僕以外の面々も彼の訪問の意図を掴めていないようだし、アズノワールさんは一体?

「そちらのベレン君と……それから澪さんには申し訳ないが」

「……はぁ?」

 その瞬間、地の底から這い出たようなお声が澪から発された。
 澪、めっちゃガラ悪い。
 ついでに怖い。
 反対にベレンはきょとんとした様子でいる。
 なぜ自分の名が出てきたのかよくわからないといった様子だった。

「真君と巴さんを案内したい場所があるんだ」

「僕と……巴を?」

「ああ。この迷宮、いや正確には牢宮だったか? まあ俺としてはどちらでも良いんだが、その最深部だ」

「っ」

「……ほぅ」

「この剣が突き刺さってた場所でもある」

「!!」

 ベレンの反応が凄かった。
 目を見開いて、眼球が飛び出さんばかりだ。

「この層でさえ色々と厄介で面倒じゃというのに、儂らが行くメリットはなんじゃな、アズノワール」

 確かに危険や罠の可能性もゼロじゃない。
 戦った限りでこの人の性格を考えると限りなくゼロだとも思えてくるけど。
 確かに強くて恐い次の手も読めない人ではある。
 ただ根底はシンプルなんだよな。
 体と技、それに精神が少しおかしいだけで。
 ……あれ、心技体揃ってね?

「真君のメリットについてはさっきも言ったがちょっとした気分転換かな。巴さんについてはメリット云々ではなく、君が上位竜だからだ」

「?」

 巴がはて、と頭を傾げた。
 上位竜だから、とはまた珍しい。
 そういえばここはドマとフツ、二つの上位竜の名前が挙がる場所でもあった。
 ドマは駄目な方、フツは謎な方。

「確かに真君とは命懸けの戦いをやった。だがそれは別に憎悪からのものでも使命からのものでもない。ならば戦いが終わって互いが無事であった以上……手を取り合う事もできるだろう?」

「まあ、確かに」

「……」

 実際戦いを終えて僕らはどちらも死なずにここにいる。
 アズノワールさんに個人的な敵意があるかと問われれば答えはノーだ。
 何というか、彼の口からまともな事を聞いて、ちょっとほっとしている自分がいる。
 巴は目をひそめて彼をただ、見つめていたけどさ。
 
「……ああ、君は、そうだろう。では付き合ってもらえるか?」

「わかりました。僕は構いません。ただ巴については」

「儂も構いませんよ、若。是非お供をさせてください」

 っと。
 別に反対とか警戒で黙ってたんじゃなかったのか。
 しかしだ。
 立ち上がった僕とアズノワールさんの間に今度は澪が割り込んできた。

「……」

 少し困った顔をしたアズノワールさんは臆せず澪に近づき、そして何事かを耳打ちした。

「……っ、その言葉、偽りはありませんね?」

「無論。騎士に二言はないよ」

 そこは武士では?
 騎士も一緒なんだろうか。
 そっちはあまり詳しくないからよくわからんな。

「では、必ず若様を無事に連れ帰りなさい」

「約束しよう。彼の顔が少しでも楽になっていたらそちらも少し考え直してくれるとありがたいが?」

「善処しましょう」

 悪い笑みの澪がすっと僕の前からどいた。
 心配してくれるのはありがたいよ?
 でもそこは巴の無事も頼んどこうよ、澪。

「では真君、巴さん。俺がこのまま案内しよう」

「いってらっしゃいませ、若様」

『いってらっしゃいませ!』
 
 僕は商人で、学園の講師。
 狂戦士でもないし、その筋の人でもない。
 戦闘は僕にとっては決して目的じゃなく、あくまで手段に過ぎない。
 唯一人を除いては、その勝敗もどうだっていい。
 拘る所じゃない。
 はぁ……大きい課題が出来ちゃったもんだな。
 ツィーゲもその戦闘、戦争の真っ只中だってのに。
 この世界最大の迷宮の最深部には確かに興味もある。
 ただそれが、この暗鬱な気分を変えてくれる程の何かであるとは、今の僕にはとても思えなかった。
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