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五章 ローレル迷宮編
三度目の焼ける街
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「どうして旦那が絡むとどこも魔境に早変わりなんすかね!?」
ライムの遠慮ない絶叫が廊下に響く。
カンナオイで、いやローレルでも屈指の安全性を誇る超高級旅館で彼は上司の帰りを待っていただけ、の筈だった。
以前単身この国を訪れた時よりも数段安全な環境下で子守をするだけ。
急な呼び出しではあれど難しい仕事でもない。
だが今。
クズノハ商会従業員兼密偵のライム=ラテは前回ここを訪れた時、それも森で野営をした夜以上の危険に晒されていた。
完全武装の上、全員が目に狂信者だけが灯す危険な光を宿したヒトの部隊。
そこらの魔物よりもずっと危険で厄介な連中が襲撃を仕掛けてきたのだった。
黄昏時を少し過ぎ、夜の賑わいが始まろうとした刻の頃。
街の治安を考えても、この宿の特殊性を考えてみてもまず襲撃自体が有り得ない。
密偵も馴染んできたライムですらそう判断し夕食はチャーハンがマスト、などと気を緩めていた。
この状況で迅速に対応した千尋万来飯店は見事で、戝の迎撃も初動では成功、客の避難経路への誘導も完璧だった。
では何故ライムが緊迫した様子なのか。
賊どもの動きが、明らかにライム達、具体的には同室の刑部いろは一行を狙っていると見抜いたからである。
更にいえば、賊の指揮官が只者ではない実力者だというのもある。
この攻撃は奇襲だ。
つまり初動が抑えられた以上、攻撃を仕掛けた側は不利になるのだ。
だというのに賊の士気は落ちていない。
すぐに部隊全体を立て直し、かつ士気を保ったままいろはを狙う頭がいる部隊。
ライムが頭を抱えたくなるのも無理からぬ事だった。
ただ逃げるだけなら彼には容易い事だが、今は同僚とともにいろはを守らねばならない。
大所帯では当然逃走しきるのは難しく、迎撃には足手まといが数人。敵は多勢。
いくらクズノハ商会とはいえ状況はよくない。
「ちっ! 野郎、もうこっちの尻尾を見つけやがった!」
密偵として磨き上げた彼の気配感知が多数の気配がこちらに向け一丸となって行動を始めたのを知らせる。
即座に同僚の亜人達とアイコンタクト、ライムはいろは達を押し出すように先行させ手で合図を交わし殿で陣形を築く。
「旦那達が戻るまでお客人たちに傷一つ負わせねえ!」
「何のつもりか知らないけどー、ウチに喧嘩売るとはいい度胸じゃない!! つまんないヒューマンどもなら遠慮なく潰すから!」
ライムの気勢に最初に応じたのはクズノハ商会唯一のスキュラ、レヴィだ。
雪山で失態を晒して以降、更に強さを磨いた彼女は内心で仕事が荒れてきたのを喜んでもいた。
戦いと力を追求する事を至上の目的とするレヴィは、亜空の外に出る者として日常業務の訓練で振り分けられた今回の仕事をやや退屈に感じていたからだ。
急な呼び出しで何事かとウキウキしていた彼女にとっては望む所といったところか。
すぐそこまで迫る接敵の気配に二人が臨戦態勢と取る。
護るべき対象と他の面々には宿からの脱出を最優先してもらっているため、ここは二人だけだ。
「……あら、ハズレ。おかしいわ、間違いなくこちらだと思ったのに」
(やべぇ)
凛とした女性の声。
音もなく塵となって消えた扉から姿を現したのは女だった。
次いで響くのは千尋万来飯店とライムらが離れの庭に仕掛けた罠の発動音。
声と音を聞いたライムは本能と理性の両方で危険を感じた。
ローレル連邦の武人として完全武装した女一人に、巴を師として経験を積んだライムが危険を感じたのだ。
それは勇者の力を目にした時と同じか、それ以上。
「ねえ、見慣れぬ方。娘は、いろははどこですか?」
「……」
「……最高じゃない、この女」
ライムは顔を顰める。
母が子を取り返す為の殺意ならば彼女の放つソレが至極当然のものだ。
しかし違う。
目の前の女は子どもにではなく別の存在への愛慕から、ライムとレヴィに容赦ない殺意と敵意を向け、静かに笑っているのだ。
一言でいって醜悪。
故にライムは言葉もなく沈黙のまま、持ち得る最大レベルの警戒を胸に剣を構えるのみ。
一方のレヴィは彼女の放つ強者の気配から危険な笑みを浮かべ、対峙する相手を最高と評価した。
彼女の種族スキュラは本能でヒューマンを嫌う。
生理的にGを嫌う人と似ている、と真は評したが実際には少なくともそれを更に何倍か増加させたものだろう。
嫌悪し避ける、のではなく嫌悪し皆殺しにしたい、というのだから結構な本能だ。
レヴィの場合は現在は「強い」とつくヒューマンに限定されるが、本能そのものは一応健在。
そして目の前には恰好の敵。
殺し甲斐がありそうな女を前に、ライムですら見た事がない笑みを浮かべたレヴィがそこにいた。
(どっちも、どっちか。まあ数こそ数十人だが、あの女以外は大した事なさそうだしこっちは二人。最低条件が旦那がお戻りになる前と考えりゃ何とかならあな)
ポジティブに状況を読むライム。
無理に相手を殺す必要はない。
出来る限り手札を露出させながら時間を稼ぐ。
と、そこまでライムが考えをまとめ始めた時。
「っつぁぁ!!」
「レヴィ!?」
「見た目通りの細腕。竹の枝を払うようなものね。あなた、戦いの経験は?」
「このぉぉぉぉ!!」
レヴィの右腕が飛んだ。
斬り飛ばされた。
女の姿はライムの視界に納まったまま。
口しか動きは見えなかった。
一瞬痛みに顔を歪めたレヴィが、怒号とともに喜悦の表情を浮かべて女に仕掛ける。
ライムの事は頭から抜け落ちているかもしれない。
同僚の表情から一つの可能性を考えつつ、ライムはそのフォローを始める。
出来る限りラインを揃えながらレヴィの力を最大限に高め、かつ敵を分析し、戦況を少しでも有利にする。
いつも通りの仕事だ。
(スキルを使った様子はねえ。だが何かをしてあの手にした武器、確かありゃ……ナギナタだったか。あれでレヴィの腕を斬ったのは間違いない。かすかだがスキュラの血が付着してる。つまり卓越した技と身体能力が手品の種。つまりそりゃ手品じゃなくて超高等技術って訳で、ってそりゃどうでもいい。つまり、やべえ)
幸いにしてライムには少々似た技術を味わった事がある。
彼の上司である巴が居合を練習する際に、何度か似た光景を見た事があったからだ。
(おっそろしい事に姐さんよりも太刀行きが鋭く静か。間違いなく達人。……だけどそもそも見様見真似で刀をああも鋭く振り回せる姐さんも大概おかしいよな。得物が違うとはいえ、厄介な相手だな、くそ!)
まずは敵を動かす。
とにかく敵を叩き潰す。
ライムとレヴィは同じ敵に向かいながらも考えはまるで火と油。
「あらあら、名乗りもできませんか。ええ、いいでしょう。無礼は命をもって償うというのならそれもよし。されどどのような相手であれこちらが礼を失するのはよくありませんね」
本性全開で下半身を人型から真っ黒な八本の蛸足に戻したレヴィが多脚ならではの手数と姿勢を持って猛攻を仕掛けている。
併せてライムが絶妙なコンビネーションで魔術と剣技を駆使して戦闘に加わる。
細い目をわずかに見開いた女は二人の攻撃をいなしながら鋭い攻撃を繰り出し、余裕を感じさせる声で言葉を続けた。
「私はカンナオイ、刑部家の遥霞。近くこの街とこの国を手土産に本当の愛を捧げる方の下に参る女です」
「レヴィ! お前をぶっ潰す名前だよ、覚えときな!」
「安心なさい、化け物。力次第ではお前のようなモノでもきっと、智樹様は受け入れて下さいますよ」
「しっ!!」
ライムの刀が遥霞の肩防具に器用に流される。
次いで振るわれる薙刀の刃をライムは紙一重で見切り、追撃を仕掛け、だが返しの薙刀で弾かれた。
「中々に強い。けれど刀の使い方がなっていませんね。きちんとした師がいない、我流の剣かしら?」
「悪いか? 生憎刀の方は新人なんだ」
「いえいえ。智樹様にお仕えする同志となった後ならば、私が手ほどきをして差し上げます。安心なさい、才は十分にありますよ」
「残念、既に仕える主は見つけてあるんで結構だ」
「ふふふ。皆最初はそういう、似たような事をいうのですよ。けれど数日あればすっかり心変わりをします。私たちの主はそれだけ偉大な方なのです」
「……あんたこそ、こっちに来ねえか? その化け物じみた力なら、うちでも十分使い物になる。その、行き過ぎた、色に惚けた頭も! うちの旦那ならさっぱりさせてくれるぜ!」
「……なんですって?」
「だから。帝国の勇者なんて旦那に軽くあしらわれるような小物じゃなく、俺らの主、ライドウに仕えてみねえかって事だよ!! っとぉ!?」
見えない斬撃がライムの刀を跳ね上げる。
恐らくは先制でレヴィの腕を飛ばしたものと同じだ。
ちなみにレヴィの腕はすでに再生済みだ。武器にも防具にもなる硬い鱗で覆われた腕を彼女は自在に操っている。
ようやく出してきた。
ライムは挑発を返した甲斐があったと微かな達成感を覚えていた。
それにまるっきり先ほどと同じかといわれれば、そうではない。
今度は僅かだが腕がブレて見えた。
静と動。緩急。
そんなものの極致とでもいうべき技法のなせる業か、とても目だけでは追いきれない速度を実現させているのだと、ライムは判断した。
とはいえ初めて見る代物、実戦の最中で追いきれないものに目を慣らすのは現実的ではない。
だから遥霞の全身の動きと相手の癖と。
様々な情報を総合して刃の射程と軌跡を読む。
言葉で遥霞の引き出しを一つ開けさせた事は大きい。
(鞘なんて物もない薙刀でどうやってあんな動きをさせてんのかは全く謎のままだけどな。何とか一歩か。さて頼むぞ、ガキども、客人を旦那の下までいかせりゃ勝ち確定――は?)
ライムの誤算は決して彼の失策とばかりは言えない。
智樹の存在を貶める事、ライドウの名を出す事、離反を促す事。
彼がその意味をこの時点で知る事など不可能に近かったのだから。
遥霞の目に怒りが宿る。
瞬く間にそれは怒りから憎悪へ、更に怨念に近いような強烈な負の執着を交えてライムを睨む。
「っっ!」
戦いにのめり込んでいたレヴィがただならぬ気配に飛び退き、距離を取った。
遥かの変貌に一瞬呆けたライムも自らの硬直を叱責しレヴィに続く。
幸い、というべきかどうか追撃は放たれる事はなかった。
「ライドウが智樹様よりも上、ですって?」
「……少なくともウチの旦那は勧誘に薬なんぞ絶対に使わせねえよ」
「効率的に智樹様の魅力を教えるのに必要な道具を使うだけの事。より有益な手法があるのに部下に使わせないのは、ライドウが無能な上司である証拠」
「若様が上司として無能かどうかはともかく」
(おい、レヴィ。そこはともかく、じゃねえだろ?)
ライムの心の声は危うく口から出る所だった。
無事留まったのは現状、遥霞の放つ気配がどんどん危険域に突っ込んでいっている最中であり、その緊張感の数少ない恩恵によるものだった。
「聞いた話じゃ帝国で勇者? ってのをなんか半殺しにしたらしいし、強いのは確実。私は上に置くなら強い人がいい。だから智樹様ってのは論外。わかる?」
「……はん、ごろ、し?」
それはスイッチだった。
遥霞自身もこれまで生きてきて知らなかった、彼女の本当の怒りを生みだす言葉だった。
愛する男を間違えた事への自分への怒りも、愛を囁いて夫面をして何度も自分を抱いた男への怒りも、いろはの父親に向ける怒りも、ソレに比べれば小さなともし火だ。
運命が示す本当に愛する男の玉体を、傷つけたという発言。
ただ敵対するのではなく、既に直接手を出していたという事実。
許せるものではない。
最早ライドウとクズノハ商会は、ただの智樹の敵ではない。
遥霞の中で討滅必至の怨敵へと変化していた。
「……」
「……っ」
遥霞の左手が、薙刀に添えられた。
両手持ちに変えるのかと単純に考えたライムは絶句する。
薙刀が分裂した。
添えた左手がそのままの軌跡で元の位置に戻る。
もう一本の薙刀を手にして。
薙刀の二刀流。
黒と白、二本の薙刀がゆらりと同色の魔力を立ち昇らせている。
見慣れぬ武器の、更に未知の流儀。
ただライムは思い出していた。
もうずっと昔の事に思える、人生の転機を。
荒野に出現する並みの魔物なら一瞬で炭に変える威力の豪炎を涼やかに払って、笑って蹂躙を始めた今の上司の姿を。
「男の方はもういいわ。殺します。化け物は手足を捥いでから教育しましょう。勧誘の様子見はもうお仕舞い。いろはの回収もまだですもの」
「ちょっとライム。私今一瞬澪様を思い出したんだけど」
「気が合わねえな。俺は巴の姐さんだ」
人物は違えど、それは亜空における女傑のツートップ。
真絡みで来たというだけで一人でも大抵の所に行けたローレルがここまで危険な場所になるとは。
ライムは天を仰ぎたい気分であらん限りのスキルと魔術で遥霞を迎え撃つ準備を行う。
「こっちも荒野で鳴らした元冒険者だ。楽に殺れると思ってくれるなよ」
「勿論です。楽に死ねるなどと……微塵も思うな」
◇◆◇◆◇◆◇◆
街が苦痛にもがいている。
各所で立ち昇る煙と遠くから聞こえる悲鳴で、そんな感想が浮かんだ。
大きな街がこんな風に戦いに巻き込まれるのを見るのはこれで三度目か。
学園都市、リミア王都、そしてここ。
思えば、どこでもそれほど心が乱れる事は無かったような気がする。
現地にいて、生の風に触れているのに僕は戦場と化した街で……何を思っていただろう。
気分が落ち込んだりした事はあっても別件が原因だったしなあ。
それに今回の場合、ついさっきまで僕はあの世チックなとこにいた訳で。
生きてりゃ当然いつかは死ぬ訳で。
もちろん、だからといって積極的に誰かを見捨てるというんじゃない。
ただ、命が失われる事をそこまで悲痛と感じなくなったのは事実。
いや……そもそも僕はそんな風に感じていたか?
実のところ、まったく……いやそんな事はないよな。
最初に手をかけたヒューマンの女に対して僕は……。
「若?」
「……ん?」
不意に巴から声を掛けられた。
彼女はフツから竜母という力を譲渡されたようだけど、見た目は変化なし。
内包する力は見事に高まっているけど。
身体というよりは魔力とかスキルとか、そういう方向がぽんと強化されていた。
……侍を目指す巴には不本意な強化かもしれない。
まあ身体能力は既に相当高いもんな、巴の場合。
あとは使い方の問題で、それは修練でしか向上しない、と思う。
「この通り街は焼けておりますが、まずはどうしますかな」
「若様、私としましては醤油蔵と味噌蔵、それから市場の食材を優先的に保護すべきかと」
「澪。ふむ……しかし市場はともかくとして醤油や味噌は貴重な麹菌があるか。恩を売っておけば後々交渉も易くなるというもの。若、澪の提案よろしいかと思いますがいかがでしょう?」
「麹菌……確かにサンプルは多い方が良いか。いいよ、澪は蔵から市場に回って。巴は」
「……儂は力の確認がてらいろはと合流の後、雑魚の相手をしようかと。若もご一緒頂けるとありがたいのですが」
「いいよ。それじゃ他の二人はローズガーデンと六夜さんに協力して住民の避難誘導ね」
『はっ!!』
ベレンとホクトが力強く頷く。
シイは様子がおかしかったので亜空に戻したままだ。
環が診てくれているから応急処置は問題ない。
万が一手に負えなくてもその時は識に頼めばいいし。
んで僕は智樹の薬で暴れてる連中を駆除して騒動を鎮圧か。
ま、三度目だし大丈夫でしょ。
界でおおまかな状況を確認する。
ん、宿が襲撃を受けてる。
保険として増員しといて良かったな。
……え?
何か、宿にいる敵にかなり強いのが一人いる。
一緒にいるのは、ライムにレヴィ。
かなり負傷してる。
「巴、悪い。ライムとレヴィが宿でピンチだ。向かってくれるか」
「ほぅ……あれらが。わかりました。楽しめる侍なら良いのですが。では失礼を」
「ああ」
巴を宿に向かわせると僕は更に状況を確認していく。
澪が行った蔵はまだ被害はない。
傭兵団ピクニックローズガーデンと六夜さんはさっきまでは一緒だったけど街の様子を確認すると即時散開して行動を始めた。
まずは住民を逃がすのを最優先する、そうだ。
街を襲撃しているのは大体三百人ほど。
レベルはかなり高いのばっかだけど、少ないな。
これまでの感覚と比較してそう思った僕は一応界を街の外まで広げてみる。
おっと。
カンナオイに向かってくる武装集団が複数。
味方だったらいいけど……って、敵か。
おお、カンナオイ本当にピンチ。
六方向から集団でこの街を目指す連中はざっと合計して一万。
レベルは大体ここを襲ってるのと同じ、平均して二百程度。
滅ぶとこだったね、カンナオイ。
だけど。
僕らがいる。
まずは街の中いろはちゃんと合流だ。
彼女の位置はっと。
「……はぁっ!?」
いろはちゃんの位置を特定した僕は思わず声を上げた。
なんで。
何でここにお前がいるんだ、イズモ!
というかお前ら、か。
コートを赤に変えつつ現場に一番近い敵の集団の中に転移。
いや本当に勘弁してくれよ、ロッツガルドチルドレーン。
ライムの遠慮ない絶叫が廊下に響く。
カンナオイで、いやローレルでも屈指の安全性を誇る超高級旅館で彼は上司の帰りを待っていただけ、の筈だった。
以前単身この国を訪れた時よりも数段安全な環境下で子守をするだけ。
急な呼び出しではあれど難しい仕事でもない。
だが今。
クズノハ商会従業員兼密偵のライム=ラテは前回ここを訪れた時、それも森で野営をした夜以上の危険に晒されていた。
完全武装の上、全員が目に狂信者だけが灯す危険な光を宿したヒトの部隊。
そこらの魔物よりもずっと危険で厄介な連中が襲撃を仕掛けてきたのだった。
黄昏時を少し過ぎ、夜の賑わいが始まろうとした刻の頃。
街の治安を考えても、この宿の特殊性を考えてみてもまず襲撃自体が有り得ない。
密偵も馴染んできたライムですらそう判断し夕食はチャーハンがマスト、などと気を緩めていた。
この状況で迅速に対応した千尋万来飯店は見事で、戝の迎撃も初動では成功、客の避難経路への誘導も完璧だった。
では何故ライムが緊迫した様子なのか。
賊どもの動きが、明らかにライム達、具体的には同室の刑部いろは一行を狙っていると見抜いたからである。
更にいえば、賊の指揮官が只者ではない実力者だというのもある。
この攻撃は奇襲だ。
つまり初動が抑えられた以上、攻撃を仕掛けた側は不利になるのだ。
だというのに賊の士気は落ちていない。
すぐに部隊全体を立て直し、かつ士気を保ったままいろはを狙う頭がいる部隊。
ライムが頭を抱えたくなるのも無理からぬ事だった。
ただ逃げるだけなら彼には容易い事だが、今は同僚とともにいろはを守らねばならない。
大所帯では当然逃走しきるのは難しく、迎撃には足手まといが数人。敵は多勢。
いくらクズノハ商会とはいえ状況はよくない。
「ちっ! 野郎、もうこっちの尻尾を見つけやがった!」
密偵として磨き上げた彼の気配感知が多数の気配がこちらに向け一丸となって行動を始めたのを知らせる。
即座に同僚の亜人達とアイコンタクト、ライムはいろは達を押し出すように先行させ手で合図を交わし殿で陣形を築く。
「旦那達が戻るまでお客人たちに傷一つ負わせねえ!」
「何のつもりか知らないけどー、ウチに喧嘩売るとはいい度胸じゃない!! つまんないヒューマンどもなら遠慮なく潰すから!」
ライムの気勢に最初に応じたのはクズノハ商会唯一のスキュラ、レヴィだ。
雪山で失態を晒して以降、更に強さを磨いた彼女は内心で仕事が荒れてきたのを喜んでもいた。
戦いと力を追求する事を至上の目的とするレヴィは、亜空の外に出る者として日常業務の訓練で振り分けられた今回の仕事をやや退屈に感じていたからだ。
急な呼び出しで何事かとウキウキしていた彼女にとっては望む所といったところか。
すぐそこまで迫る接敵の気配に二人が臨戦態勢と取る。
護るべき対象と他の面々には宿からの脱出を最優先してもらっているため、ここは二人だけだ。
「……あら、ハズレ。おかしいわ、間違いなくこちらだと思ったのに」
(やべぇ)
凛とした女性の声。
音もなく塵となって消えた扉から姿を現したのは女だった。
次いで響くのは千尋万来飯店とライムらが離れの庭に仕掛けた罠の発動音。
声と音を聞いたライムは本能と理性の両方で危険を感じた。
ローレル連邦の武人として完全武装した女一人に、巴を師として経験を積んだライムが危険を感じたのだ。
それは勇者の力を目にした時と同じか、それ以上。
「ねえ、見慣れぬ方。娘は、いろははどこですか?」
「……」
「……最高じゃない、この女」
ライムは顔を顰める。
母が子を取り返す為の殺意ならば彼女の放つソレが至極当然のものだ。
しかし違う。
目の前の女は子どもにではなく別の存在への愛慕から、ライムとレヴィに容赦ない殺意と敵意を向け、静かに笑っているのだ。
一言でいって醜悪。
故にライムは言葉もなく沈黙のまま、持ち得る最大レベルの警戒を胸に剣を構えるのみ。
一方のレヴィは彼女の放つ強者の気配から危険な笑みを浮かべ、対峙する相手を最高と評価した。
彼女の種族スキュラは本能でヒューマンを嫌う。
生理的にGを嫌う人と似ている、と真は評したが実際には少なくともそれを更に何倍か増加させたものだろう。
嫌悪し避ける、のではなく嫌悪し皆殺しにしたい、というのだから結構な本能だ。
レヴィの場合は現在は「強い」とつくヒューマンに限定されるが、本能そのものは一応健在。
そして目の前には恰好の敵。
殺し甲斐がありそうな女を前に、ライムですら見た事がない笑みを浮かべたレヴィがそこにいた。
(どっちも、どっちか。まあ数こそ数十人だが、あの女以外は大した事なさそうだしこっちは二人。最低条件が旦那がお戻りになる前と考えりゃ何とかならあな)
ポジティブに状況を読むライム。
無理に相手を殺す必要はない。
出来る限り手札を露出させながら時間を稼ぐ。
と、そこまでライムが考えをまとめ始めた時。
「っつぁぁ!!」
「レヴィ!?」
「見た目通りの細腕。竹の枝を払うようなものね。あなた、戦いの経験は?」
「このぉぉぉぉ!!」
レヴィの右腕が飛んだ。
斬り飛ばされた。
女の姿はライムの視界に納まったまま。
口しか動きは見えなかった。
一瞬痛みに顔を歪めたレヴィが、怒号とともに喜悦の表情を浮かべて女に仕掛ける。
ライムの事は頭から抜け落ちているかもしれない。
同僚の表情から一つの可能性を考えつつ、ライムはそのフォローを始める。
出来る限りラインを揃えながらレヴィの力を最大限に高め、かつ敵を分析し、戦況を少しでも有利にする。
いつも通りの仕事だ。
(スキルを使った様子はねえ。だが何かをしてあの手にした武器、確かありゃ……ナギナタだったか。あれでレヴィの腕を斬ったのは間違いない。かすかだがスキュラの血が付着してる。つまり卓越した技と身体能力が手品の種。つまりそりゃ手品じゃなくて超高等技術って訳で、ってそりゃどうでもいい。つまり、やべえ)
幸いにしてライムには少々似た技術を味わった事がある。
彼の上司である巴が居合を練習する際に、何度か似た光景を見た事があったからだ。
(おっそろしい事に姐さんよりも太刀行きが鋭く静か。間違いなく達人。……だけどそもそも見様見真似で刀をああも鋭く振り回せる姐さんも大概おかしいよな。得物が違うとはいえ、厄介な相手だな、くそ!)
まずは敵を動かす。
とにかく敵を叩き潰す。
ライムとレヴィは同じ敵に向かいながらも考えはまるで火と油。
「あらあら、名乗りもできませんか。ええ、いいでしょう。無礼は命をもって償うというのならそれもよし。されどどのような相手であれこちらが礼を失するのはよくありませんね」
本性全開で下半身を人型から真っ黒な八本の蛸足に戻したレヴィが多脚ならではの手数と姿勢を持って猛攻を仕掛けている。
併せてライムが絶妙なコンビネーションで魔術と剣技を駆使して戦闘に加わる。
細い目をわずかに見開いた女は二人の攻撃をいなしながら鋭い攻撃を繰り出し、余裕を感じさせる声で言葉を続けた。
「私はカンナオイ、刑部家の遥霞。近くこの街とこの国を手土産に本当の愛を捧げる方の下に参る女です」
「レヴィ! お前をぶっ潰す名前だよ、覚えときな!」
「安心なさい、化け物。力次第ではお前のようなモノでもきっと、智樹様は受け入れて下さいますよ」
「しっ!!」
ライムの刀が遥霞の肩防具に器用に流される。
次いで振るわれる薙刀の刃をライムは紙一重で見切り、追撃を仕掛け、だが返しの薙刀で弾かれた。
「中々に強い。けれど刀の使い方がなっていませんね。きちんとした師がいない、我流の剣かしら?」
「悪いか? 生憎刀の方は新人なんだ」
「いえいえ。智樹様にお仕えする同志となった後ならば、私が手ほどきをして差し上げます。安心なさい、才は十分にありますよ」
「残念、既に仕える主は見つけてあるんで結構だ」
「ふふふ。皆最初はそういう、似たような事をいうのですよ。けれど数日あればすっかり心変わりをします。私たちの主はそれだけ偉大な方なのです」
「……あんたこそ、こっちに来ねえか? その化け物じみた力なら、うちでも十分使い物になる。その、行き過ぎた、色に惚けた頭も! うちの旦那ならさっぱりさせてくれるぜ!」
「……なんですって?」
「だから。帝国の勇者なんて旦那に軽くあしらわれるような小物じゃなく、俺らの主、ライドウに仕えてみねえかって事だよ!! っとぉ!?」
見えない斬撃がライムの刀を跳ね上げる。
恐らくは先制でレヴィの腕を飛ばしたものと同じだ。
ちなみにレヴィの腕はすでに再生済みだ。武器にも防具にもなる硬い鱗で覆われた腕を彼女は自在に操っている。
ようやく出してきた。
ライムは挑発を返した甲斐があったと微かな達成感を覚えていた。
それにまるっきり先ほどと同じかといわれれば、そうではない。
今度は僅かだが腕がブレて見えた。
静と動。緩急。
そんなものの極致とでもいうべき技法のなせる業か、とても目だけでは追いきれない速度を実現させているのだと、ライムは判断した。
とはいえ初めて見る代物、実戦の最中で追いきれないものに目を慣らすのは現実的ではない。
だから遥霞の全身の動きと相手の癖と。
様々な情報を総合して刃の射程と軌跡を読む。
言葉で遥霞の引き出しを一つ開けさせた事は大きい。
(鞘なんて物もない薙刀でどうやってあんな動きをさせてんのかは全く謎のままだけどな。何とか一歩か。さて頼むぞ、ガキども、客人を旦那の下までいかせりゃ勝ち確定――は?)
ライムの誤算は決して彼の失策とばかりは言えない。
智樹の存在を貶める事、ライドウの名を出す事、離反を促す事。
彼がその意味をこの時点で知る事など不可能に近かったのだから。
遥霞の目に怒りが宿る。
瞬く間にそれは怒りから憎悪へ、更に怨念に近いような強烈な負の執着を交えてライムを睨む。
「っっ!」
戦いにのめり込んでいたレヴィがただならぬ気配に飛び退き、距離を取った。
遥かの変貌に一瞬呆けたライムも自らの硬直を叱責しレヴィに続く。
幸い、というべきかどうか追撃は放たれる事はなかった。
「ライドウが智樹様よりも上、ですって?」
「……少なくともウチの旦那は勧誘に薬なんぞ絶対に使わせねえよ」
「効率的に智樹様の魅力を教えるのに必要な道具を使うだけの事。より有益な手法があるのに部下に使わせないのは、ライドウが無能な上司である証拠」
「若様が上司として無能かどうかはともかく」
(おい、レヴィ。そこはともかく、じゃねえだろ?)
ライムの心の声は危うく口から出る所だった。
無事留まったのは現状、遥霞の放つ気配がどんどん危険域に突っ込んでいっている最中であり、その緊張感の数少ない恩恵によるものだった。
「聞いた話じゃ帝国で勇者? ってのをなんか半殺しにしたらしいし、強いのは確実。私は上に置くなら強い人がいい。だから智樹様ってのは論外。わかる?」
「……はん、ごろ、し?」
それはスイッチだった。
遥霞自身もこれまで生きてきて知らなかった、彼女の本当の怒りを生みだす言葉だった。
愛する男を間違えた事への自分への怒りも、愛を囁いて夫面をして何度も自分を抱いた男への怒りも、いろはの父親に向ける怒りも、ソレに比べれば小さなともし火だ。
運命が示す本当に愛する男の玉体を、傷つけたという発言。
ただ敵対するのではなく、既に直接手を出していたという事実。
許せるものではない。
最早ライドウとクズノハ商会は、ただの智樹の敵ではない。
遥霞の中で討滅必至の怨敵へと変化していた。
「……」
「……っ」
遥霞の左手が、薙刀に添えられた。
両手持ちに変えるのかと単純に考えたライムは絶句する。
薙刀が分裂した。
添えた左手がそのままの軌跡で元の位置に戻る。
もう一本の薙刀を手にして。
薙刀の二刀流。
黒と白、二本の薙刀がゆらりと同色の魔力を立ち昇らせている。
見慣れぬ武器の、更に未知の流儀。
ただライムは思い出していた。
もうずっと昔の事に思える、人生の転機を。
荒野に出現する並みの魔物なら一瞬で炭に変える威力の豪炎を涼やかに払って、笑って蹂躙を始めた今の上司の姿を。
「男の方はもういいわ。殺します。化け物は手足を捥いでから教育しましょう。勧誘の様子見はもうお仕舞い。いろはの回収もまだですもの」
「ちょっとライム。私今一瞬澪様を思い出したんだけど」
「気が合わねえな。俺は巴の姐さんだ」
人物は違えど、それは亜空における女傑のツートップ。
真絡みで来たというだけで一人でも大抵の所に行けたローレルがここまで危険な場所になるとは。
ライムは天を仰ぎたい気分であらん限りのスキルと魔術で遥霞を迎え撃つ準備を行う。
「こっちも荒野で鳴らした元冒険者だ。楽に殺れると思ってくれるなよ」
「勿論です。楽に死ねるなどと……微塵も思うな」
◇◆◇◆◇◆◇◆
街が苦痛にもがいている。
各所で立ち昇る煙と遠くから聞こえる悲鳴で、そんな感想が浮かんだ。
大きな街がこんな風に戦いに巻き込まれるのを見るのはこれで三度目か。
学園都市、リミア王都、そしてここ。
思えば、どこでもそれほど心が乱れる事は無かったような気がする。
現地にいて、生の風に触れているのに僕は戦場と化した街で……何を思っていただろう。
気分が落ち込んだりした事はあっても別件が原因だったしなあ。
それに今回の場合、ついさっきまで僕はあの世チックなとこにいた訳で。
生きてりゃ当然いつかは死ぬ訳で。
もちろん、だからといって積極的に誰かを見捨てるというんじゃない。
ただ、命が失われる事をそこまで悲痛と感じなくなったのは事実。
いや……そもそも僕はそんな風に感じていたか?
実のところ、まったく……いやそんな事はないよな。
最初に手をかけたヒューマンの女に対して僕は……。
「若?」
「……ん?」
不意に巴から声を掛けられた。
彼女はフツから竜母という力を譲渡されたようだけど、見た目は変化なし。
内包する力は見事に高まっているけど。
身体というよりは魔力とかスキルとか、そういう方向がぽんと強化されていた。
……侍を目指す巴には不本意な強化かもしれない。
まあ身体能力は既に相当高いもんな、巴の場合。
あとは使い方の問題で、それは修練でしか向上しない、と思う。
「この通り街は焼けておりますが、まずはどうしますかな」
「若様、私としましては醤油蔵と味噌蔵、それから市場の食材を優先的に保護すべきかと」
「澪。ふむ……しかし市場はともかくとして醤油や味噌は貴重な麹菌があるか。恩を売っておけば後々交渉も易くなるというもの。若、澪の提案よろしいかと思いますがいかがでしょう?」
「麹菌……確かにサンプルは多い方が良いか。いいよ、澪は蔵から市場に回って。巴は」
「……儂は力の確認がてらいろはと合流の後、雑魚の相手をしようかと。若もご一緒頂けるとありがたいのですが」
「いいよ。それじゃ他の二人はローズガーデンと六夜さんに協力して住民の避難誘導ね」
『はっ!!』
ベレンとホクトが力強く頷く。
シイは様子がおかしかったので亜空に戻したままだ。
環が診てくれているから応急処置は問題ない。
万が一手に負えなくてもその時は識に頼めばいいし。
んで僕は智樹の薬で暴れてる連中を駆除して騒動を鎮圧か。
ま、三度目だし大丈夫でしょ。
界でおおまかな状況を確認する。
ん、宿が襲撃を受けてる。
保険として増員しといて良かったな。
……え?
何か、宿にいる敵にかなり強いのが一人いる。
一緒にいるのは、ライムにレヴィ。
かなり負傷してる。
「巴、悪い。ライムとレヴィが宿でピンチだ。向かってくれるか」
「ほぅ……あれらが。わかりました。楽しめる侍なら良いのですが。では失礼を」
「ああ」
巴を宿に向かわせると僕は更に状況を確認していく。
澪が行った蔵はまだ被害はない。
傭兵団ピクニックローズガーデンと六夜さんはさっきまでは一緒だったけど街の様子を確認すると即時散開して行動を始めた。
まずは住民を逃がすのを最優先する、そうだ。
街を襲撃しているのは大体三百人ほど。
レベルはかなり高いのばっかだけど、少ないな。
これまでの感覚と比較してそう思った僕は一応界を街の外まで広げてみる。
おっと。
カンナオイに向かってくる武装集団が複数。
味方だったらいいけど……って、敵か。
おお、カンナオイ本当にピンチ。
六方向から集団でこの街を目指す連中はざっと合計して一万。
レベルは大体ここを襲ってるのと同じ、平均して二百程度。
滅ぶとこだったね、カンナオイ。
だけど。
僕らがいる。
まずは街の中いろはちゃんと合流だ。
彼女の位置はっと。
「……はぁっ!?」
いろはちゃんの位置を特定した僕は思わず声を上げた。
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いや本当に勘弁してくれよ、ロッツガルドチルドレーン。
1,956
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