月が導く異世界道中

あずみ 圭

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20巻

20-2

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「あのさ、よければその辺り、もう少し教えてもらえると……」
「んー、それはまた会えたらね、冒険者さん。少し話しすぎちゃったもの」
「あ、僕の名前は――」

 名乗っていなかった事に気付く。それに、彼女の名前も知らなかった。
 マリコサンは種族名であって、個人名じゃないんだよな?

「自己紹介もまた今度ね。と言っても、私は個体としての名前は持っていないし、欲しいと思った事もないの。そんなの欲しがるのは〝ハグレ〟の子くらいだわ。また私達に会えたら、その時には貴方の名前を教えてちょうだい! またね、不思議な冒険者さん! 楽しかったわ!」

 いや。僕よりマリコサンの方が数倍不思議な存在だと思うのですが。
 彼女は一方的に話しまくると、微かな燐光りんこうを残して消えた。
 マスコットのようで、それでいてたたずまいは職人のようでもあり。
 だが確かに、迷宮の名物になるだけの強力な個性なのは……間違いなかったな。
 奥には陣が見える。
 周囲にはこれ以上ない静寂せいじゃく
 次もオルタフロアなのは勘弁と願いながら陣に乗る。さいわいにも、そんな僕の不安は杞憂きゆうで終わった。
 僕は無事、五人の仲間が待つ次層の入口部分に辿たどけたのだった。


 ◇◆◇◆◇


 マリコサンとの初遭遇を果たし、次のフロアでみんなと合流できた僕は、その日の探索を終了する事にして、宿へ戻った。
 三層攻略。
 予想ではもっと行けると思っていたのに、大分苦戦している。
 初日の反省会的なものをやっていると、成り行きで僕らが保護している刑部おさかべ家の姫――いろはちゃんの一行も、いつの間にか会話に参加してきた。
 彼女の護衛をたばねる立場にあるショウゲツさんは何か知っているのか、驚きをあらわにしている。

「オルタフロア? 三層で、入口にAltと刻まれた……? まさかギルドをさわがせている〝くれない回廊かいろう〟ですか!? 実在していたとは」
「今度は紅の回廊の確認……、もう驚きませんとも。私、成長しました」

 ショウゲツさんから紅の回廊という名を聞き、いろはちゃんからはあきらめにも似た感想を頂いた。

「ホクトによると、十層まではもうルートはできておるし、明日以降問題が出るとすれば、やはりそのオルタフロアですな。念話すら通じぬ場所とは、どんなカラクリになっているのやら」

 そうまとめた巴に、僕はうなずく。

「うん。なんらかの条件があるようだけど、前の層で突出した成果があると飛ばされるようだから、急ぎすぎて皆が分断されるってのはまずい」

 スピードクリアだけがその条件に該当するとは思えない。
 ガーデンだとドレイクの撃破数が条件の一つになっていたんだろうし。
 僕ならともかく、ベレンにホクト、シイがうっかりそれでオルタフロアに飛ばされた場合、もしかしたら危険かもしれない。
 下に行けば行くほど、その危険もおそらくは高まる。

「でしたら、明日からは私と巴さん、それに若様だけで迷宮に行くのは如何いかがでしょう。私達でしたら、誰がその妙なフロアに飛ばされても、特に困りませんもの」

 澪が無難ながら一番安全だろう方法を提案してくれた。
 確かにそれなら危険はない。僕ら三人だけなら大抵大丈夫だと思う。
 ただ……ホクトのマッピング、ベレンの鑑定術、シイの手先の器用さ。
 迷宮って環境だと、彼らの能力は下手をすると僕ら三人よりも適応できている。
 特にろくに情報がない下層を視野に入れると、僕らだけで進むのが得策とは言えない。
 うーん。澪の言葉を切っ掛けに、皆からも意見が続々と出てくる。
 当然それは、同行を求めるたぐいのもの。
 明日以降も迷宮に行きたいのは確かに伝わってくる。 
 迷宮に行かずとも、いろはちゃんの関係で情報収集とか、上でやってもらいたい事が何もないわけじゃない。ただ、そっちは本来の目的じゃないというか、今の優先順位としては低いと言わざるを得ない。
 総力をもって、まずは傭兵団との交渉を成功させるのが第一なんだよな……。
 夕食を兼ねた反省会は雑談を交えつつ、結論にはなかなか進まず、といった雰囲気ふんいきで進んでいく。

「――そこで意見があるんだが、よろしいか?」

 その声は、僕の後ろからした。
 僕の首にほど近い場所に刃が添えられ、それを持たぬ方の手を挙げながら、〝彼〟はそう言った。

『!?』

 巴、澪以下全員が、その発言で今の状況に気付いた。
 まあ、僕もだ。
 本当に、いきなり出現したって感じだ。
 いや、本当にびっくり。驚きすぎてパニックになる機会すら失ったほど。


 首筋くびすじ浜野はまの――いや、刃物に今気付くとか、何?

「グランドマスター!?」

 皆が驚く中、おそらく彼に向けてそう口にした者が一人。
 グランドマスター……耳慣れない言葉だ。
 武闘派ロボット的な何かのかんむりにそんなのがついていたような、ってくらいしか思い当たらない。
 言葉のぬしであるショウゲツさんに、彼が応える。

「うむ。久しいな、ショウゲツ君。随分ずいぶん貫禄かんろくがついた」
「グランド――」
「その呼び方はやめてくれ。むずがゆいよ。六夜ろくやでいい」
「は、はあ。六夜様は、本当に、お変わりなく……」
「私は永遠の二十歳だからな」

 いきなり僕に刃を向け、かつのんびりと話し出し、どういう意図か自己紹介までしてくれたショウゲツさんの知り合いらしき人は、冗談めいた事を口にする。そして唐突に僕から刃を離し、音もなく壁を背にする場所に移動した。
 暗殺者、かな。とんでもなく凄腕なのは一目瞭然いちもくりょうぜん
 どんなスキルによるものか、ここにいる誰にも気配さえつかませなかった。
 彼が移動した事で、僕にもその姿が確認できる。
 この世界では珍しく、僕と同じくらいの低い身長。長くもなく、短くもない銀髪。引き締まり、しなやかさを感じさせる四肢。
 驚いた事に、容姿はこの世界の平均よりずっと、僕寄り。
 刃物の正体は一対のカタールだ。
 今の彼は構えるでもなく、それを手にしていた。
 僕は改めて、ショウゲツさんに説明を求める。

「……ショウゲツさん、彼は?」
「彼、六夜様は私の……師の師です」

 師の師? ああ、だからグランドなのか。
 祖父母の英語表現的な。
 既におじいちゃんなショウゲツさんの師の師って、どんだけサバ読むんだ、永遠の二十歳って。
 しかし六夜と名乗った彼の外見は、確かに二十歳程度に見える。
 なんらかの手段で老化が止まっている?

「私は通りすがりのアサシン、六夜と申す者。どうぞ、よしなに」
「あ、これはどうも。ライドウです。クズノハ商会の代表をしています」

 僕は商会の代表として振る舞う際の偽名を伝える。

「先ほどは危険な真似まねをしてすまなかった。紅の回廊の踏破者とうはしゃを一度見て、確かめておきたかった故、ついつまらぬ事をした。あそこまで迫れたというのに、まるでれる気がしなかったのは久々だった。君はなかなかどうして素晴らしい傑物けつぶつのようだ」

 いろはちゃんの護衛二人、アカシさんとユヅキさんが呆然ぼうぜんつぶやく。

「六夜……アサシン、六夜。本物で、生きてる? 冗談でしょ」
「ショウゲツ様も笑える冗談が言えるんだと思ってたのに……本当とか全く笑えない」

 ローレルの竜騎士のチュウゴさんは、目を見開いて硬直している。記憶喪失中のモーラの方は……警戒はしているけど、六夜さんへの興味はさほどなさそうだ。いろはちゃんをかばう位置にいるのが、少し健気けなげだと思ったり。
 ちなみに、巴と澪は一瞬で戦闘態勢になっていたから、僕が手で二人を制して落ち着かせた。
 わざわざ声をかけてくる時点で、僕を殺す気で来たわけじゃないだろうから。
 依然得体が知れない人なのは事実だけど、ね。

「六夜さん、でしたか」
「ああ」
「とりあえず、貴方は敵ではないと考えていいんでしょうか?」

 ちらっとアサシンとか聞こえた。
 つい最近も、そっち系のに襲われたばかりだ。無関係と決めつけるのは、僕でもやらない。

「ふむ。その問いには〝今のところ〟と前置きをするが、イエスと答えよう」

 わずかな間を置いて彼、六夜さんは僕と向き合ってそう答えた。

「……では、ご用件は?」
「君らの目的について少しな。聞けばライドウ君は下、正確には二十層の傭兵団が目的だとか。それは確かかな」
「……ええ、確かです。でもそれは僕の質問に対する答えとしては不充分です」
「無論、承知しているとも。順に答えよう。まあ、私の事については後でショウゲツ君にでも聞いておいてもらえると助かる。その方が自分で話すよりも、ある意味確かな情報と言えるだろうしね」

 自分で話すよりも、確か?
 どういう意味だ?
 僕に代わって、巴が答えをうながす。

「それで、若の問いへの答えはなんじゃ? わしらが大人しく聞いているうちに話すがいい」
「そうしよう、竜の侍よ。ライドウ君を訪ねた理由の一つは、先ほども話した三層のオルタフロアの踏破者への興味。もう一つはその目的の確認、最後に伝言だ」
「伝言じゃと?」

 巴は六夜さんにかなりいらついているようだった。声の調子にそれが出ている。
 それは澪も、亜空の皆も同様。
 一方、いろは組の皆は六夜さんという存在に対して、何か畏敬いけいのような感情を抱いているように見える。六夜さんの方から振らない限り一切会話に参加してこないのも、その感情が理由なのかもしれない。

「今、私と仲間達は君らの目的である傭兵団とともにいる。ちなみにその傭兵団の今の頭領は、私の弟子でね、ヴィヴィという。ビビじゃないぞ? 彼女、こだわりがあるのか、ここを適当にすると結構怒るからな、気をつけろ。それから、そこにいるショウゲツ君の直接の師でもあるね」

 !?
 目的の傭兵団の頭がショウゲツさんの師!?
 結構おばあちゃんじゃないか!
 現役なのか?
 まあ、あれだ。ビビもヴィヴィも同じ気がするけど、気にしているなら、その時は配慮するようにしよう。
 僕も真って名前だけど、いじってマゴットとかになったら、ちょっと嫌だし。
 一応ショウゲツさんを見ると、彼は意図を察して頷いた。

「はい、ヴィヴィ様は私の師です。世界でも有数のストーキング能力と奇襲能力にけた、遊撃と斥候せっこうのプロです」

 ショウゲツさんが誇らしげに師について語ってくれた。
 一点の曇りもない。一切引いてもいない。 
 見事な師弟関係と言わざるを得ない。
 でも……嫌な説明だな。
 うん、嫌だ。交渉相手としては僕には荷が勝つ。会う前から断言できるよ。

「え、じゃあ僕に伝言って?」 

 まさかそのヴィヴィさんから? まさかのショートカット路線だったりする、のか?
 期待する僕に、六夜さんは首を横に振った。

「いや、彼女からじゃない。同じ層にいる別の者からだ。仲間からの頼みで上に来るついでだったのでね。まあ、預かっておいた。結果、それが君のような……逸材だったのだから、面白いものだ」
「別の……」
「彼いわく、用件の詳細や思惑おもわくは知らないが、今来るのはお互いに最悪のタイミングだ。ピクニックローズガーデンとの交渉を望むなら、しばらく待ってほしい、との事だ」

 最悪のタイミング、か。
 二十層の現在の状況は僕には分からないけれど、悪意のある伝言にも聞こえない。
 待て、ね。期間にもよる。ある程度なら待てると思う。

「待てとは、具体的にどの程度でしょう?」
「詳細は聞いていなくてな。私の主観的な意見でよければ言えるが」
「構いません」
「そうか。私はおそらく数年程度の感覚で言っていると感じた」

 無理。そんなに待てません。
 それに、その言葉は傭兵団のヴィヴィさんから出たものじゃない。
 つまり第三者の忠告にすぎない。こちらの事情も知らない。
 なら、直接交渉に賭けてみるのは、まだ十分選択肢に入れられるはず。

「……長すぎる、といった顔だね」
おっしゃる通りです。僕らは一刻も早くピクニックローズガーデンの力を借りたいんです」
「分からんな。こう言ってはなんだが、君らに彼らの力が必要だとは私には思えない。二十層での攻防という前提なら確かに勝負になるかもしれんが……それ以外の外の状況で、君らが彼らにおくれをとるような事はほぼあるまい。君らの方が上だろうに」
「守勢最強とまでうわさされる彼らの力を必要としているのは、僕らではなく、ツィーゲです」

 僕らの事情を話してみる事にした。
 なんというか、目の前で僕らと話すこの六夜という人には、話しても大丈夫だと、そう思えたから。

「ツィーゲ。世界の果てに挑む者達の街か。いや、今でもそうなのかは知らないが……」
「いえ、合っています。今ツィーゲはアイオンからの独立を目指して、二つの勢力と戦っています。もちろん主戦場は交渉や論戦ですが、防衛力の強化は急務です。そしてそれは、今のツィーゲに最も欠けた力でもあります」
「……君らで不足するものを、ローズガーデンには埋められると?」

 まだ六夜さんの態度は懐疑的かいぎてきだ。
 クズノハ商会とピクニックローズガーデン。両方を戦力という意味である程度知っているらしい彼から見て、僕らは相当強力なようだ。

「僕らは、あくまで一時的なツィーゲへの協力者であるべきと考えていますので」
「金で雇う傭兵団など、一時的という言葉のさいたるものだぞ?」
「しかし、きっとツィーゲの戦士にとって多くの見本となり、教材を提供してくれる存在になるだろうと考えています」
「……一時的、とはそういう意味かね」
「……はい。僕らは……クズノハ商会は、多くの人から規格外とか化け物とか、言われてしまっていますから」
「くくっ! 規格外で、化け物か! それはそれは……気の毒に。さぞ都合よく頼られているのだろうな」

 六夜さんが穏やかな表情を一瞬で破顔はがんさせた。短くだけど、声に出して笑ったほどだ。

「別に頼られるのは構わないんです。僕らがいるうちは、別に。ツィーゲには僕らだってお世話になっていますから」
「……ほう。面倒、わずらわしいと感じているからではないとすれば……では何故、君らが助けてやるのでは駄目なんだ?」
「多くの人は化け物とみなした者からは、何も学ぼうとしないからです。化け物なんて言葉自体が、自分達と切り離して別の存在と決めつける、いい例です」
「……」
「でも、それじゃ駄目なんです。だから僕はツィーゲ独立後も変わらずに自力で守り続ける、そのための力の核が欲しいんです。生き抜き、守り抜き、団体で事に当たる彼らなら、その核になってもらえると考えています。いずれ僕らが、ツィーゲを離れる日が来たとしても、安心できるように」
「……実に、面白い。ふむ……こうなってくると話は変わるな。こちらも最悪の状況は脱したわけだし、ヴィヴィ達があのツィーゲで語り継がれるような事になるとしたら、それも素晴らしい」

 六夜さんは僕の言葉を聞くと、顔色を変えた。
 そしてしばらくぶつぶつと考え事をしながら右へ左へ行ったり来たり。しかしながらその姿に一切の隙はない。これが常在戦場の心得、とでもいうべきものかもしれない。

物見遊山ものみゆさんならば、私としても帰ってもらうつもりだった。だがどうやら全く違ったようだ。中宮ちゅうぐうの許可も正式に得ての入国、そして君の力、予想外の考え。うむ。良い!」
「え、良い?」

 あまり予想してなかった言葉だった。

「後はその規格外を、化け物ぶりを見せてもらいたい。それが果たされたなら、私が橋渡しをしてあげよう。自分で言うのもなんだが、心強い味方になるぞ、私は。ヴィヴィはメンヘ……面倒くさいところもある娘だが、彼女の師である私が君らに味方するのだから、それがどれだけ有利かは分かるだろう?」

 師をうやまう弟子ばかりとも限らないだろうけど。
 傭兵や冒険者となると、むしろ下剋上げこくじょうなんて言葉の方が似合うかもしれない。僕はショウゲツさんを見る。実際を知っているだろう彼なら、物差しに使えるはずだから。
 アイコンタクトの結果は、真剣に頷く、というもの。
 よし、採用。

「ありがたいお話だと思います。では、これから貴方と戦えばいいんですか? それとも何か課題を?」
「はははは、私はアサシンだよ? 真正面からこれだけの猛者を相手にしても、途中でやられるのは目に見えているさ。後者だよ。さしあたって明日、十層まで到達してみせてほしい。できるだろう? 化け物と呼ばれるほどの力を備えるのなら」
「それはオルタフロアの、ですか?」
「……はは。そうだった。あれがあったか。分かった、あれはオフにしておこう。心配いらない」
「オフ!?」

 そんなオプションみたいな扱いなの、アレ!?

「その程度、問題はないとも。何せ君への伝言を頼んできたのは、ヤソカツイの大迷宮のデザイナーその人だからな。奴がいるという事は、最後のフェイルセーフが発動しているという事、つまり大迷宮とローレルの危機なわけだが、実は私はそれほど悲観していない。あの究極の引きこもりも、たまには初対面の相手と話をすればいいのだ、まったく」
「は、え?」

 大迷宮のデザイナーって、設計者って事か!?
 別に会いたいとも全く思っていませんけど!?
 地下深くにずっといる(んだろう)人と話が合うとも思えないし!
 ……って、六夜さんがもういない。
 い、いつの間に。またしても全く気付かなかったぞ?
 さらっと大迷宮の危機とか、危ない事まで言っておいて。
 悪い予感しかしない。

「……恐ろしい相手じゃな。状況によってはこちらの念話を封じ、儂らの誰にも気付かれずに部屋に侵入し、そして去っていく。いやあ若、これは参りましたなあ。単なる物見遊山とはいかぬようで」

 あんまり参った様子のない巴が、序盤だけ重々しく話しやがります。
 しかも後半はめっちゃ楽しそうです。お前、にっこにこじゃないか。
 一報、澪は不機嫌そう。

「ショウゲツ、あの者の事、詳しく話しなさい。すぐに、何一つ隠さずに、簡潔に。始めなさい」

 六夜さんの事をあまり良く思っていないみたいだな。
 どうでもいいけど、何一つ隠さずに簡潔に、って結構難しい気がする。

「あ、はい。私の知る限りの事はもちろん。六夜様も話すのを歓迎しておられたようですし」
「簡潔に!」

 て、手厳しい。話の潤滑剤的じゅんかつざいてきな前フリは許容しないと。
 けれど問答無用の澪に促されて始まったショウゲツさんの話は、思わぬ場所にも波及する、なかなかショウゲツ的――いや、衝撃的なものだった。


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