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一 「バッドエンドしかない」という悪役令嬢とやらの従者になったのだが、聞いて欲しい
一の7
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「ふぅ」
一つため息を吐いてエロアナル令息は椅子の背へ深々と凭れた。
「けれどこのことは父上に手紙を送って、お返事をいただいてからだよ、シシィ。いいね?」
「ええ、エリィお兄さま」
「旦那様はお許しになられるでしょうか、エロアナル様」
「許すも何も、父上はシシィが学園に行くと言ったら拗ねて三日間自室に籠ったくらいだ。大喜びで今すぐ帰って来いと言うに決まっているよ」
待ってくれ。兄だけじゃなくて父もか。父もこんな感じなのか。勘弁してくれ、これ以上変な保護者が増えたら僕のツッコミが追い付かない。
「母上なんか、シシィが王都に行くのが寂しすぎて暴れて付近のダンジョンを更地にしちゃったんだから。シシィが領地から出ないと言えば二人とも喜ぶに決まっているよ」
母もか。母もなのか。付近のダンジョンを更地にって。あれか、冬の初めにオシリスキナ領のダンジョンが一掃されたから他の公営住宅への入居希望者が増えた時のあれか。あれものすごい調整に苦労したんだぞふざけんなしかもその後にシリアナ嬢がラストダンジョンに来たんだったすごい迷惑だよ怖いよこの一族、魔王の僕よりラスボスっぽいじゃんやめてもらえるか。
「大体ね、アナルアルト殿下との婚約だって王命だから嫌々渋々引き受けただけであって、いつでもあのアホ殿下の弱みを握って婚約破棄へ持ち込もうと父上も母上もボクも狙っているのだから」
さらりとアホ殿下て。やっぱ狙ってたなこの兄。それどころか一家総出でアホ殿下との婚約を破棄しようと狙っていたのか。ダメだこいつら、早くなんとかしないと。だが今この時点で各種とりどりに用意された破滅の未来からシリアナ嬢を救うにはありがたい要素と言えるだろう。
「そうと決まれば今日はもう屋敷へ帰ろう。一刻も早く父上に許可をいただいて、領地でシシィと暮らす準備をしなければ」
あ、これもう決定事項だろ。一応許可が必要ってだけで、断られる要素微塵もないんだろうなぁ。まぁ、これでばっどえんど回避に一歩近づいたわけだから良しとしよう。
「出会ったばかりでもうお別れなんて私は寂しいよ、シシィ」
「キリーお兄さま……」
「そうだぞ、オレも寂しいぞシシィ」
「イヴォお兄さま」
「そんなにシシィと離れるのが寂しいなら、キリーとイヴォは定期的にうちへ商品を卸しに来てくれればいいじゃないか。ついでにエロアナル殿下との婚約を破棄できそうなネタがないか探って教えてくれていいんだぞ」
幼なじみのエロアナル令息と離れるのは寂しくないのかシリイタイ卿、イヴォヂ卿。薄情である。
「シシィはアナルアルト殿下との婚約が嬉しくないのかい?」
「……わたくしには荷が重いのです、キリーお兄さま」
「シシィに荷が重かったら一体他のどんな令嬢が見合うというのだ。うちのシシィ以上の令嬢など存在するはずもないだろうそうだろうキリー、イヴォ!」
「そうだ、そうだ!」
「そうだな、その通りだともエリィ」
わざわざ立ち上がってまで三人肩を組んたアホ令息たちを、心を無にして眺める。何が彼らをここまでさせるのかさっぱり分からん。まぁ、確かに三人へはにかんだ笑みを浮かべて見せているシリアナ嬢はかわいいが。
「しかしシリアナがアナルアルト殿下との婚約を望まないのならば、兄として断固阻止せねばなるまい! そうだろう、キリー、イヴォ!」
「もちろんだ。なぁ、兄さん?」
「もちろんだとも。なぁ、イヴォ」
ダメだこいつら。というかダメな人間しかシリアナ嬢の周りにはいないのか、シリアナ嬢が人をダメにする何かを発しているのか。
「全力でアナルアルト殿下と婚約破棄できそうなネタを探ろうじゃないか。このキレヂ・オ・シリイタイに任せておけエリィ」
「シリイタイ伯爵家の名に懸けて、必ずシシィとアナルアルト殿下を婚約破棄させてみせるとオレも誓おう、エリィ」
「キリー、イヴォ……何と頼もしいことか……」
「オレたちは『シシィを守る兄の会』だ! いいな、エリィ! 兄さん!」
「うむ、よい名だ。だがしかしもう少しこう、隠密的な要素が欲しい。『秘密結社シシィを守る兄の会』ではどうだ! エリィ、イヴォ!」
「我ら、『秘密結社シシィを守る兄の会』!」
「うおおお!」
がっしりと手を握り合うアホ令息三人。ドン引きである。妹に異常な愛情を注いでいる淫らな肛門令息はともかく、シリイタイ兄弟はシリアナ嬢を子熊だと思っていたくせに何だこの突然の溺愛は。何かおかしな魔法でもかかっているのか。
「男の子は秘密結社とかお好きですわよね……」
生あたたかい瞳で見守っているがそれでいいのかシリアナ嬢。本人がいいなら別にいいが。
「またおいで、シシィ!」
「また来いよ、シシィ!」
シリイタイ兄弟に見送られながらフィストファック商会を後にする。シリトア。我が忠臣よ。僕何だか疲れたよ。だがシリアナ嬢とエロアナル令息はやたらと上機嫌である。
「やはりエリィお兄さまは頼りになりますわね。大好きですわ」
「そうだろう、そうだろう、シシィ。このボク、エロアナル・ス・ンゴイ・オシリスキナだけが頼れるシシィの本当のお兄様だよ?」
「フルネームはおやめくださいませ、お兄さまがド変態になってしまわれますのよ」
とてもいい笑顔でシリアナ嬢は呟いたが淫らな肛門令息には聞こえていないようだ。
「そんな頼りになるシシィの大事なお兄さまにだけ、秘密のお話がありますの。夕食後少しお時間いただけます?」
「シシィ……ボクにだけ? ボクだけが頼りなのだね? もちろんだとも! シシィが愛するお兄様は頼りになるよ!」
ちょろい。ちょろすぎる。チョロアナル令息。でも味方は多い方がいい。微妙に逃げ腰のままエロアナル令息に抱きつかれるシリアナ嬢から、助けを求める視線を感じたが無視した。僕、この人とできるだけ関わり合いになりたくないんだよ。できれば君とも早めにさよならしたい。そうこうしているうちにオシリスキナ家のタウンハウスに到着し、家令によって少し早めに用意された夕食を済ませたエロアナル令息の鼻息を横顔に受けながら、シリアナ嬢を待っている。近いよ離れて淫らな肛門令息。
ナイトガウンを羽織ったシリアナ嬢が応接室に現れた。ソファへ深く沈み込み待ち構えるエロアナル令息と、ソファへ浅く腰かけたシリアナ嬢の手元へホットミルクを置く。ホットミルクの入ったカップを両手で包み、幾度目かの逡巡を振り払い、シリアナ嬢はようやく重たい口を開いた。
「お兄さま……わたくし、生まれる前の記憶がございますの」
「まさか、前世が女神だと言うのかいさすが我が妹だよシシィ」
ツルツルの脳みそ直結で食い気味に放った言葉と体勢が前のめりである。落ち着けバカアナル令息。シリアナ嬢は冷静に首を横へ振った。
「違いますわ。前世でわたくしは、この世界とは違って魔法のない世界に暮らしておりましたの。けれど文明は発達していて、この世界は前世の世界の乙女ゲームの世界なのです」
「OK、ボクのシシィはこの世界に舞い降りた天使ということで良いのかな?」
話を一切聞いてねぇなこのアホ令息。妹のこととなると脳みそ直通の会話しかできないのかこの令息。話が進まないのでツッコみたい気持ちをぐっと堪える。
「前世の乙女ゲームとしてのこの先のシナリオを知っていますの。そしてどのシナリオでもわたくしは悪役令嬢として破滅する運命なのです。わたくしだけではありませんわ。場合によってはオシリスキナ家没落の危機もございますの。ですので、その未来を避けたいのです。お兄さま、わたくしに協力していただけますか」
通じたかなぁ。この人の話を聞いてない兄上に。僕の心配を他所に、エロアナル令息はソファから立ち上がり、そっとシリアナ嬢の頭を抱き寄せた。
「一人で悩んでつらかったね、シシィ。ゆっくりでいいよ。話してごらん。世界中の誰もが敵になったとしても、ボクだけは君の味方だよシリアナ。ボクの天使、ボクの庭に咲いた可憐な薔薇。だってボクは、君のお兄様だもの。君が生まれた日、ボクは君を守ると誓ったのだから」
「エリィお兄さま……っ。しかし正式名称はおやめくださいませ、わたくしのことは愛称で。どうか愛称でお呼びくださいませですのよ」
正式名称の何が悪いのだシリアナ嬢。良い名前ではないかシリアナ嬢。うっかり誤変換すると尻穴嬢。
エロアナル令息は妹に対して過剰な愛情を抱いているが、それでもシリアナ嬢を深く愛しているのだろう。それだけは間違いないようだ。
シリアナ嬢は少しずつ、攻略対象と聖女についてエロアナル令息へ説明して行った。エロアナル令息は意外にも静かにシリアナ嬢の話を聞いている。
「それで、エインはわたくしの前世の話を知っていて協力してくれているのです。ですので、エインの本当の身分は明かせません。けれども誓って怪しい人物ではないとわたくしが保障いたしますわ」
うーん、魔王が怪しくないなんて言い切っていいんだろうかシリアナ嬢よ。むしろ魔王なんて一番怪しいこの世で信用しちゃダメな人物なんじゃないだろうかシリアナ嬢よ。しかし話が進まないので黙っておく。
「シシィとの秘密はエインが先、と言うわけだね羨ましい許さない」
殺気がだだ漏れている。しかしエロアナル令息は頬へ指を当て、しばし思考に耽ると僕へ顔を向けた。
「攻略対象とやらは全員身元も現在の居場所もはっきりしている。個々の情報を収集しよう。現在の状況と聖女との接触の有無、それから今後の動向の監視も必要だろうね。その辺りはキリーに頼むとしよう。今日、シシィとシリイタイ兄弟を引き合わせたことが早速役に立ったな」
妹への愛が過剰な変態ではあるが、おそらく公爵令息としては優秀なのだろう。独り言のように呟き、それから僕の肩を叩く。
「これから君には何かとお使いを頼むことになるだろう。後で君に何が、どの程度までできるか確認させてもらうよ。それからシシィ、良ければ今の話を父上と母上にもするべきだとボクは思う。愛するシシィの憂いを晴らすのに何もできないなんてとても悲しむだろうから」
シリアナ嬢が僕へ視線を送る。僕は無言で頷いた。エロアナル令息が顔を近づけて来る。
「何今の二人だけ分かり合ってるみたいな合図すごい羨ましい許さない」
怖い怖い怖い。あと顔近い。鼻息で穴が空きそう。
「とにかくその『乙女げぇむ』とやらの『しなりお』で、我が家の没落やらシシィの破滅やらを防ぐために、学園へ通いたくないと言い出した、ということでいいのかい?」
「ええ、ゲームはゼンリツセェン学園にわたくしとヒロインである聖女が入学するところが始まりで、わたくしと聖女の卒業で終わりなのです。ですので、学園に行くという大前提の選択をしないことにしましたの。これはエインの発案ですのよ」
「他に回避できそうなものは全て回避しよう。まずはアナルアルト殿下との婚約の解消だな。やはりそのためには父上と母上にもこの話をしなくては」
何だか生き生きして来たな、エロアナル令息。そんなに妹の婚約解消が嬉しいか。
「一つ確認したいのだが」
「何ですの?」
「学園へ通わない令嬢は、どこで洗礼式を受けるのだ?」
「……エインはいついかなる時も顔がいいのですわ」
今それ関係ないねシリアナ嬢。いつもの鳴き声を無視して兄妹を眺める。
「……」
シリアナ嬢とエロアナル令息が顔を見合わせる。だって魔界にはそんな風習ないんだもん知らないよ。
「通常、学園へ通わない貴族令嬢は領地内にある女神神殿で洗礼を受ける。女神神殿は領主の城がある都市にあるが、そこまで行くことのできない平民は女神協会で簡易の洗礼式をする決まりだ。決まり、ではあるが」
「平民は必ずしも洗礼式に参加しないと聞きますわ。洗礼を受けたかどうか、確認する術がないので」
「つまり最悪は洗礼式に参加したフリをしてやり過ごすこともできる、ということだな?」
「……さすがエインですわ。オシリアナ教徒は全員、洗礼式に参加することを名誉なことと教わっているので、参加したくない人間などいないという考えが当たり前なのです。それを逆手に取るのですわね」
「よし、神殿を買収しよう」
肘掛けをぽんと一つ叩いてエロアナル令息は軽く口にした。エロアナル令息、判断早い。この人ほんと、妹が絡むと有能になるのか有能なのに妹が絡むとダメになるのかどっちなんだ。
「さて、エイン。今度はボクが確認させてほしい」
「何なりと」
「君は何を、どこまでできる?」
「金のかからないことならば大抵のことは。僕に勝てる人間も魔族も居ない。必要とあらば精霊王も屈服させてみせよう。戦闘に於いて、僕の敵などドライオル・ガズム以外に存在し得ないと断言しよう」
威張って言うことじゃないけど、金のかかること以外なら何でもできると自負しているぞ。ただし、金はない! マジ全然ない。一切ない。えっへん。
「この世に僕が見通せない場所はなく、この世に僕の手の届かぬ地はない。これでいいか?」
魔王アイは怪光線は出せないが千里眼なのだよ! はっはっは!
「ドヤる陛下も最高に顔が良いのですわ!」
シリアナ嬢の鳴き声うるさい! エロアナル令息はシリアナ嬢の鳴き声を完全に無視して額へ手を当て、首を横へ振る。
「やれやれ……どこかの国の王族かと思っていたのだが。……ボクのかわいい妹は一体何を拾って来たのやら……いいだろう。上等だ」
エロアナル令息が本当に優秀ならば、今のやり取りで僕の正体に気づいただろう。安心したようにホットミルクへ口を付けた二人へ、小皿に乗せたスミレの砂糖漬けを差し出す。華やかな香りと甘味に解けた二人の顔を眺め、問いかける。
「二人とも」
「?」
「何だい?」
「神に背く覚悟は決まったか」
にっこりと微笑んで見せる。エロアナル令息は体をくの字に曲げて声を上げて笑った。シリアナ嬢はいつも通り「神スチル!」とか鳴いていたがもう以下略。
「あはははは。ボクの妹を苦しませる神などクソ食らえだよ、エイン」
「元より運命に逆らうと決めましたの。見たこともない神など、従う義理はございませんわ」
いいだろう、気に入った。存分にやってやろうじゃないか。
翌朝、僕は使い魔にエロアナル令息とシリアナ嬢連名の手紙をオシリスキナ公爵へ届けさせた。返事も持って帰るように言付けたから、公爵の手紙もすぐに届くだろう。
「父上の返事かい? 良ししかないに決まっているじゃないか。さ、無駄な時間を使う暇はない。公爵領へ帰る支度をするよ。父上のことだから、返事と一緒に学園への入学取り消しの書類も送って来るだろうからね。忙しい忙しい」
エロアナル令息へ乙女げぇむとやらの話をした一ヵ月後。陽が中天を越える頃にはほぼ荷造りが終わっていた。やはりこの屋敷の家令は優秀だ。
「失礼します。おや、エロアナル令息は?」
「お兄さまはフィストファック商会へ行かれたわ」
「なるほど。早速攻略対象の情報を探らせるのか」
「エインたら、すっかり口調が戻ってしまっているわ」
「シリアナ嬢に付いて学園へ行かなくて良くなったからな。あくまでも僕は君の従者兼、協力者だよ」
だって、協力しないとまた魔王城に乗り込んで来るじゃん。そしたら多分、今度はエロアナル令息がシリアナ嬢を追いかけて乗り込んで来るじゃん。下手したら一家総出で乗り込んで来るじゃん。悪夢だよ。僕の平穏のためにも何が何でもシリアナ嬢にはばっどえんどを回避してもらわなくては。
シリアナ嬢の部屋を見渡す。簡潔にまとめられた荷物は驚くほど少ない。
「旅慣れているな」
「オシリスキナ家の人間は男女の区別なく戦闘に借り出されますの。機動性は戦闘に於いて重要ですわ。お父さまのお返事が来たらすぐ、オシリスキナ領へ出発しますわよ」
こつこつ。夜より深い闇色の鴉がガラスを叩く。窓を開けると鴉は幾つかの書類と、一通の手紙に変化した。手紙と書類をシリアナ嬢へ渡す。
「何と書いてあった?」
「『全力でやれ』と」
「ぷはっ! 何とも恐ろしい返事だな」
「お声を上げて笑う陛下尊みがすごくすごいですわあああ!」
シリアナ嬢の前世やら乙女げぇむやらの話を省いてもこの返答。これから徹底的に追い込まれるのであろうアホ殿下には同情しかない。
かくして、麗らかな早春のある日。
オシリスキナ公爵令嬢、シリアナ・ス・バラシーク・オシリスキナは魔王エイン・ナゾルト・カイカーンと共に王都アナルナメルから、オシリスキナ領ドエロミナへと旅立ったのである。
一つため息を吐いてエロアナル令息は椅子の背へ深々と凭れた。
「けれどこのことは父上に手紙を送って、お返事をいただいてからだよ、シシィ。いいね?」
「ええ、エリィお兄さま」
「旦那様はお許しになられるでしょうか、エロアナル様」
「許すも何も、父上はシシィが学園に行くと言ったら拗ねて三日間自室に籠ったくらいだ。大喜びで今すぐ帰って来いと言うに決まっているよ」
待ってくれ。兄だけじゃなくて父もか。父もこんな感じなのか。勘弁してくれ、これ以上変な保護者が増えたら僕のツッコミが追い付かない。
「母上なんか、シシィが王都に行くのが寂しすぎて暴れて付近のダンジョンを更地にしちゃったんだから。シシィが領地から出ないと言えば二人とも喜ぶに決まっているよ」
母もか。母もなのか。付近のダンジョンを更地にって。あれか、冬の初めにオシリスキナ領のダンジョンが一掃されたから他の公営住宅への入居希望者が増えた時のあれか。あれものすごい調整に苦労したんだぞふざけんなしかもその後にシリアナ嬢がラストダンジョンに来たんだったすごい迷惑だよ怖いよこの一族、魔王の僕よりラスボスっぽいじゃんやめてもらえるか。
「大体ね、アナルアルト殿下との婚約だって王命だから嫌々渋々引き受けただけであって、いつでもあのアホ殿下の弱みを握って婚約破棄へ持ち込もうと父上も母上もボクも狙っているのだから」
さらりとアホ殿下て。やっぱ狙ってたなこの兄。それどころか一家総出でアホ殿下との婚約を破棄しようと狙っていたのか。ダメだこいつら、早くなんとかしないと。だが今この時点で各種とりどりに用意された破滅の未来からシリアナ嬢を救うにはありがたい要素と言えるだろう。
「そうと決まれば今日はもう屋敷へ帰ろう。一刻も早く父上に許可をいただいて、領地でシシィと暮らす準備をしなければ」
あ、これもう決定事項だろ。一応許可が必要ってだけで、断られる要素微塵もないんだろうなぁ。まぁ、これでばっどえんど回避に一歩近づいたわけだから良しとしよう。
「出会ったばかりでもうお別れなんて私は寂しいよ、シシィ」
「キリーお兄さま……」
「そうだぞ、オレも寂しいぞシシィ」
「イヴォお兄さま」
「そんなにシシィと離れるのが寂しいなら、キリーとイヴォは定期的にうちへ商品を卸しに来てくれればいいじゃないか。ついでにエロアナル殿下との婚約を破棄できそうなネタがないか探って教えてくれていいんだぞ」
幼なじみのエロアナル令息と離れるのは寂しくないのかシリイタイ卿、イヴォヂ卿。薄情である。
「シシィはアナルアルト殿下との婚約が嬉しくないのかい?」
「……わたくしには荷が重いのです、キリーお兄さま」
「シシィに荷が重かったら一体他のどんな令嬢が見合うというのだ。うちのシシィ以上の令嬢など存在するはずもないだろうそうだろうキリー、イヴォ!」
「そうだ、そうだ!」
「そうだな、その通りだともエリィ」
わざわざ立ち上がってまで三人肩を組んたアホ令息たちを、心を無にして眺める。何が彼らをここまでさせるのかさっぱり分からん。まぁ、確かに三人へはにかんだ笑みを浮かべて見せているシリアナ嬢はかわいいが。
「しかしシリアナがアナルアルト殿下との婚約を望まないのならば、兄として断固阻止せねばなるまい! そうだろう、キリー、イヴォ!」
「もちろんだ。なぁ、兄さん?」
「もちろんだとも。なぁ、イヴォ」
ダメだこいつら。というかダメな人間しかシリアナ嬢の周りにはいないのか、シリアナ嬢が人をダメにする何かを発しているのか。
「全力でアナルアルト殿下と婚約破棄できそうなネタを探ろうじゃないか。このキレヂ・オ・シリイタイに任せておけエリィ」
「シリイタイ伯爵家の名に懸けて、必ずシシィとアナルアルト殿下を婚約破棄させてみせるとオレも誓おう、エリィ」
「キリー、イヴォ……何と頼もしいことか……」
「オレたちは『シシィを守る兄の会』だ! いいな、エリィ! 兄さん!」
「うむ、よい名だ。だがしかしもう少しこう、隠密的な要素が欲しい。『秘密結社シシィを守る兄の会』ではどうだ! エリィ、イヴォ!」
「我ら、『秘密結社シシィを守る兄の会』!」
「うおおお!」
がっしりと手を握り合うアホ令息三人。ドン引きである。妹に異常な愛情を注いでいる淫らな肛門令息はともかく、シリイタイ兄弟はシリアナ嬢を子熊だと思っていたくせに何だこの突然の溺愛は。何かおかしな魔法でもかかっているのか。
「男の子は秘密結社とかお好きですわよね……」
生あたたかい瞳で見守っているがそれでいいのかシリアナ嬢。本人がいいなら別にいいが。
「またおいで、シシィ!」
「また来いよ、シシィ!」
シリイタイ兄弟に見送られながらフィストファック商会を後にする。シリトア。我が忠臣よ。僕何だか疲れたよ。だがシリアナ嬢とエロアナル令息はやたらと上機嫌である。
「やはりエリィお兄さまは頼りになりますわね。大好きですわ」
「そうだろう、そうだろう、シシィ。このボク、エロアナル・ス・ンゴイ・オシリスキナだけが頼れるシシィの本当のお兄様だよ?」
「フルネームはおやめくださいませ、お兄さまがド変態になってしまわれますのよ」
とてもいい笑顔でシリアナ嬢は呟いたが淫らな肛門令息には聞こえていないようだ。
「そんな頼りになるシシィの大事なお兄さまにだけ、秘密のお話がありますの。夕食後少しお時間いただけます?」
「シシィ……ボクにだけ? ボクだけが頼りなのだね? もちろんだとも! シシィが愛するお兄様は頼りになるよ!」
ちょろい。ちょろすぎる。チョロアナル令息。でも味方は多い方がいい。微妙に逃げ腰のままエロアナル令息に抱きつかれるシリアナ嬢から、助けを求める視線を感じたが無視した。僕、この人とできるだけ関わり合いになりたくないんだよ。できれば君とも早めにさよならしたい。そうこうしているうちにオシリスキナ家のタウンハウスに到着し、家令によって少し早めに用意された夕食を済ませたエロアナル令息の鼻息を横顔に受けながら、シリアナ嬢を待っている。近いよ離れて淫らな肛門令息。
ナイトガウンを羽織ったシリアナ嬢が応接室に現れた。ソファへ深く沈み込み待ち構えるエロアナル令息と、ソファへ浅く腰かけたシリアナ嬢の手元へホットミルクを置く。ホットミルクの入ったカップを両手で包み、幾度目かの逡巡を振り払い、シリアナ嬢はようやく重たい口を開いた。
「お兄さま……わたくし、生まれる前の記憶がございますの」
「まさか、前世が女神だと言うのかいさすが我が妹だよシシィ」
ツルツルの脳みそ直結で食い気味に放った言葉と体勢が前のめりである。落ち着けバカアナル令息。シリアナ嬢は冷静に首を横へ振った。
「違いますわ。前世でわたくしは、この世界とは違って魔法のない世界に暮らしておりましたの。けれど文明は発達していて、この世界は前世の世界の乙女ゲームの世界なのです」
「OK、ボクのシシィはこの世界に舞い降りた天使ということで良いのかな?」
話を一切聞いてねぇなこのアホ令息。妹のこととなると脳みそ直通の会話しかできないのかこの令息。話が進まないのでツッコみたい気持ちをぐっと堪える。
「前世の乙女ゲームとしてのこの先のシナリオを知っていますの。そしてどのシナリオでもわたくしは悪役令嬢として破滅する運命なのです。わたくしだけではありませんわ。場合によってはオシリスキナ家没落の危機もございますの。ですので、その未来を避けたいのです。お兄さま、わたくしに協力していただけますか」
通じたかなぁ。この人の話を聞いてない兄上に。僕の心配を他所に、エロアナル令息はソファから立ち上がり、そっとシリアナ嬢の頭を抱き寄せた。
「一人で悩んでつらかったね、シシィ。ゆっくりでいいよ。話してごらん。世界中の誰もが敵になったとしても、ボクだけは君の味方だよシリアナ。ボクの天使、ボクの庭に咲いた可憐な薔薇。だってボクは、君のお兄様だもの。君が生まれた日、ボクは君を守ると誓ったのだから」
「エリィお兄さま……っ。しかし正式名称はおやめくださいませ、わたくしのことは愛称で。どうか愛称でお呼びくださいませですのよ」
正式名称の何が悪いのだシリアナ嬢。良い名前ではないかシリアナ嬢。うっかり誤変換すると尻穴嬢。
エロアナル令息は妹に対して過剰な愛情を抱いているが、それでもシリアナ嬢を深く愛しているのだろう。それだけは間違いないようだ。
シリアナ嬢は少しずつ、攻略対象と聖女についてエロアナル令息へ説明して行った。エロアナル令息は意外にも静かにシリアナ嬢の話を聞いている。
「それで、エインはわたくしの前世の話を知っていて協力してくれているのです。ですので、エインの本当の身分は明かせません。けれども誓って怪しい人物ではないとわたくしが保障いたしますわ」
うーん、魔王が怪しくないなんて言い切っていいんだろうかシリアナ嬢よ。むしろ魔王なんて一番怪しいこの世で信用しちゃダメな人物なんじゃないだろうかシリアナ嬢よ。しかし話が進まないので黙っておく。
「シシィとの秘密はエインが先、と言うわけだね羨ましい許さない」
殺気がだだ漏れている。しかしエロアナル令息は頬へ指を当て、しばし思考に耽ると僕へ顔を向けた。
「攻略対象とやらは全員身元も現在の居場所もはっきりしている。個々の情報を収集しよう。現在の状況と聖女との接触の有無、それから今後の動向の監視も必要だろうね。その辺りはキリーに頼むとしよう。今日、シシィとシリイタイ兄弟を引き合わせたことが早速役に立ったな」
妹への愛が過剰な変態ではあるが、おそらく公爵令息としては優秀なのだろう。独り言のように呟き、それから僕の肩を叩く。
「これから君には何かとお使いを頼むことになるだろう。後で君に何が、どの程度までできるか確認させてもらうよ。それからシシィ、良ければ今の話を父上と母上にもするべきだとボクは思う。愛するシシィの憂いを晴らすのに何もできないなんてとても悲しむだろうから」
シリアナ嬢が僕へ視線を送る。僕は無言で頷いた。エロアナル令息が顔を近づけて来る。
「何今の二人だけ分かり合ってるみたいな合図すごい羨ましい許さない」
怖い怖い怖い。あと顔近い。鼻息で穴が空きそう。
「とにかくその『乙女げぇむ』とやらの『しなりお』で、我が家の没落やらシシィの破滅やらを防ぐために、学園へ通いたくないと言い出した、ということでいいのかい?」
「ええ、ゲームはゼンリツセェン学園にわたくしとヒロインである聖女が入学するところが始まりで、わたくしと聖女の卒業で終わりなのです。ですので、学園に行くという大前提の選択をしないことにしましたの。これはエインの発案ですのよ」
「他に回避できそうなものは全て回避しよう。まずはアナルアルト殿下との婚約の解消だな。やはりそのためには父上と母上にもこの話をしなくては」
何だか生き生きして来たな、エロアナル令息。そんなに妹の婚約解消が嬉しいか。
「一つ確認したいのだが」
「何ですの?」
「学園へ通わない令嬢は、どこで洗礼式を受けるのだ?」
「……エインはいついかなる時も顔がいいのですわ」
今それ関係ないねシリアナ嬢。いつもの鳴き声を無視して兄妹を眺める。
「……」
シリアナ嬢とエロアナル令息が顔を見合わせる。だって魔界にはそんな風習ないんだもん知らないよ。
「通常、学園へ通わない貴族令嬢は領地内にある女神神殿で洗礼を受ける。女神神殿は領主の城がある都市にあるが、そこまで行くことのできない平民は女神協会で簡易の洗礼式をする決まりだ。決まり、ではあるが」
「平民は必ずしも洗礼式に参加しないと聞きますわ。洗礼を受けたかどうか、確認する術がないので」
「つまり最悪は洗礼式に参加したフリをしてやり過ごすこともできる、ということだな?」
「……さすがエインですわ。オシリアナ教徒は全員、洗礼式に参加することを名誉なことと教わっているので、参加したくない人間などいないという考えが当たり前なのです。それを逆手に取るのですわね」
「よし、神殿を買収しよう」
肘掛けをぽんと一つ叩いてエロアナル令息は軽く口にした。エロアナル令息、判断早い。この人ほんと、妹が絡むと有能になるのか有能なのに妹が絡むとダメになるのかどっちなんだ。
「さて、エイン。今度はボクが確認させてほしい」
「何なりと」
「君は何を、どこまでできる?」
「金のかからないことならば大抵のことは。僕に勝てる人間も魔族も居ない。必要とあらば精霊王も屈服させてみせよう。戦闘に於いて、僕の敵などドライオル・ガズム以外に存在し得ないと断言しよう」
威張って言うことじゃないけど、金のかかること以外なら何でもできると自負しているぞ。ただし、金はない! マジ全然ない。一切ない。えっへん。
「この世に僕が見通せない場所はなく、この世に僕の手の届かぬ地はない。これでいいか?」
魔王アイは怪光線は出せないが千里眼なのだよ! はっはっは!
「ドヤる陛下も最高に顔が良いのですわ!」
シリアナ嬢の鳴き声うるさい! エロアナル令息はシリアナ嬢の鳴き声を完全に無視して額へ手を当て、首を横へ振る。
「やれやれ……どこかの国の王族かと思っていたのだが。……ボクのかわいい妹は一体何を拾って来たのやら……いいだろう。上等だ」
エロアナル令息が本当に優秀ならば、今のやり取りで僕の正体に気づいただろう。安心したようにホットミルクへ口を付けた二人へ、小皿に乗せたスミレの砂糖漬けを差し出す。華やかな香りと甘味に解けた二人の顔を眺め、問いかける。
「二人とも」
「?」
「何だい?」
「神に背く覚悟は決まったか」
にっこりと微笑んで見せる。エロアナル令息は体をくの字に曲げて声を上げて笑った。シリアナ嬢はいつも通り「神スチル!」とか鳴いていたがもう以下略。
「あはははは。ボクの妹を苦しませる神などクソ食らえだよ、エイン」
「元より運命に逆らうと決めましたの。見たこともない神など、従う義理はございませんわ」
いいだろう、気に入った。存分にやってやろうじゃないか。
翌朝、僕は使い魔にエロアナル令息とシリアナ嬢連名の手紙をオシリスキナ公爵へ届けさせた。返事も持って帰るように言付けたから、公爵の手紙もすぐに届くだろう。
「父上の返事かい? 良ししかないに決まっているじゃないか。さ、無駄な時間を使う暇はない。公爵領へ帰る支度をするよ。父上のことだから、返事と一緒に学園への入学取り消しの書類も送って来るだろうからね。忙しい忙しい」
エロアナル令息へ乙女げぇむとやらの話をした一ヵ月後。陽が中天を越える頃にはほぼ荷造りが終わっていた。やはりこの屋敷の家令は優秀だ。
「失礼します。おや、エロアナル令息は?」
「お兄さまはフィストファック商会へ行かれたわ」
「なるほど。早速攻略対象の情報を探らせるのか」
「エインたら、すっかり口調が戻ってしまっているわ」
「シリアナ嬢に付いて学園へ行かなくて良くなったからな。あくまでも僕は君の従者兼、協力者だよ」
だって、協力しないとまた魔王城に乗り込んで来るじゃん。そしたら多分、今度はエロアナル令息がシリアナ嬢を追いかけて乗り込んで来るじゃん。下手したら一家総出で乗り込んで来るじゃん。悪夢だよ。僕の平穏のためにも何が何でもシリアナ嬢にはばっどえんどを回避してもらわなくては。
シリアナ嬢の部屋を見渡す。簡潔にまとめられた荷物は驚くほど少ない。
「旅慣れているな」
「オシリスキナ家の人間は男女の区別なく戦闘に借り出されますの。機動性は戦闘に於いて重要ですわ。お父さまのお返事が来たらすぐ、オシリスキナ領へ出発しますわよ」
こつこつ。夜より深い闇色の鴉がガラスを叩く。窓を開けると鴉は幾つかの書類と、一通の手紙に変化した。手紙と書類をシリアナ嬢へ渡す。
「何と書いてあった?」
「『全力でやれ』と」
「ぷはっ! 何とも恐ろしい返事だな」
「お声を上げて笑う陛下尊みがすごくすごいですわあああ!」
シリアナ嬢の前世やら乙女げぇむやらの話を省いてもこの返答。これから徹底的に追い込まれるのであろうアホ殿下には同情しかない。
かくして、麗らかな早春のある日。
オシリスキナ公爵令嬢、シリアナ・ス・バラシーク・オシリスキナは魔王エイン・ナゾルト・カイカーンと共に王都アナルナメルから、オシリスキナ領ドエロミナへと旅立ったのである。
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