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その後はちょっとベンチでうつらうつらしてる間にモーリスさんが戻ってきて、部屋に荷物を置いてる間にお風呂の準備が出来たと呼ばれ、明るい内に広いお風呂を堪能した。
贅沢である。めちゃくちゃ気持ちよかった。
少し言葉を勉強して、豪華な夕食を頂き、アンヌさんを見送り、モーリスさんと少し話をして、ベッドに横になる。
大したことをした訳じゃない。なのにすっごい疲れた気がする。
知らないことばかりだったからかな……
魔力の話とか、召喚とかあるならそりゃあるわなって思って受け入れてしまったけど、ひとりでぼおっと考えてると、すごい話だよな、と思う。
ゲームじゃん。
そんな世界で遥陽は力を手に入れた。
おれは?
多分ないと思う。何も感じないもん。
両手を突き出して、むむむ、と力を込めるけどなーんも!起きない。
やっぱだめだ、おれはこの世界で平凡に生きるしかないみたい。
今日ちょっと教えて貰った感じだと、読めない書けないなのに理解は出来るという訳のわからない感覚に、覚えるの逆に難しいかもしれないと覚悟したのだけど、意外とすんなり入ってきて、自分が一番びっくりした。
この調子だと数日もすれば、時間がかかっても辞書片手に本くらい読めるようになるんじゃないかな。
遥陽びっくりするかな、優希勉強苦手なのに!って。
……いつか会えるよね、大丈夫だよね、遥陽だってきっとおれに会いたいって言ってるよね。
「……さみしい」
口にすると、なんだかぶわっと気持ちが広がってしまう。
何で呟いちゃったんだろ、さみしい、さみしい。
遥陽もジルもいなくて、さみしい。誰もいなくて、ひとりでさみしい。
隣の部屋にモーリスさんがいるから、恐怖は今日はない。
だから余計さみしいのかもしれない。
昨日も一昨日もジルがいたから。
いつ戻ってくるかな。
早く戻ってきてほしいな……
おれ結構、ジルのにおい、落ち着いてて安心出来てすきなんだよなあ、香水なのかな、早く一緒に寝たいな……
……
…………
……一緒に寝たいな?
何考えてんだおれは?
不安過ぎて頭バグってんのか?え?
ここにきて不安過ぎて頭おかしくなってるんじゃないか?
ないないないないないでしょさみしいからって一緒に寝たいはないでしょ?まだ二回、一緒に寝ただけだよ?
こわいから同じ部屋にいてくれれば良かっただけで、隣で一緒に寝たいって望んだ訳ではない。
……訳ではないんだけど、確かに安心したのは事実であって。
これからも一緒に寝たい訳じゃあ……
いやジルが一緒に寝たいならまあ……
まあじゃないよ何考えてんだおれは、そんな、恋する乙女みたいな……みたいな……
……
いや考えるな、おれはきっとあの顔に騙されてる。
あんなきらきらした顔面の耐性がおれになかっただけだ。
遥陽の系統なら慣れてんだ、かわいいに慣れててイケメンに慣れてないだけだ、うん、よし。
だから帰ってきても大丈夫、もう大丈夫。
大丈夫だから、早く帰ってきて。
◇◇◇
「アンヌさん」
「はいなんでしょう」
「アンヌさんってお子さんいますか」
「はいまあ……どうされました?」
「……いえ、なんも……」
翌日、起きて暫くして、朝食が済んでも頭がぼんやりしていた。
体調が悪い訳じゃない。
ただおれ本当、勉強出来ないから……考え過ぎたのかもしれない。
ジルじゃなくて、アンヌさんに甘える方が普通になんじゃないかと思って。
でもそれもよく考えたら……いやよく考えなくてもおかしい話で、なんでアンヌさんに甘えるんだよお前馬鹿か、と気付いてしまう。
おれって世話を焼く遥陽がいないとこんな甘ったれだったっけ?
「お昼は何を作りましょうか、お菓子もおすきなものをご用意しますよ」
「えっ、あ、えと、あったかいのがいいです、サンドイッチとかも美味しいけど、あったかいの……」
「リクエストがあればなんでも言って下さいね」
ふふ、と笑っておれの頭を撫でた。
それだけのことで、なんだかちょっと、ただ仕事として働いてるだけじゃなくて、おれを身内に入れてくれたかのような……そんな気がして嬉しかった。
こんな頭を撫でられることなんて、前の世界ではなかった。
親と仲良い訳ではなかったし、おれは出来の悪い子だったし、うん、素直にちょっと嬉しいかな。
「アンヌさんユキ様をお孫さんみたいにかわいがってますねえ」
「だってユキ様素直でかわいらしいんですもの」
「えっ」
「ほら~俺がかわいいっていうのわかったでしょ、何かもう赤ちゃんみたいなんですよねえ」
「えっ」
「ふふ、わかりますわかります」
「ええ……」
赤ちゃんはない。ほっぺた触るんじゃない。
言い過ぎだとは思うものの、正直ちょっと……構われるのは嬉しいかもしれない。
だってアンヌさんもモーリスさんもにこにこしてるんだもん。
あんまりこういう、ちやほやじゃないけど、ユキ様ユキ様と構われることってなかったから、なんかその、なんかあったかくなるっていうか。
孫でも弟でも赤ちゃんでも、このふたりが優しくしてくれるんならいいや、って思っちゃう。
あれこれ病んでる?まさかまさか、このおれが鬱になる訳がない。
ただちょっと揺れてるだけだ。
勉強をすれば良い子だの覚えが早いだの褒められ、食事をするだけでちゃんと食べられたと褒められ、ちょっとした手伝いで褒められ、笑ってるだけでこっちまで嬉しくなると微笑まれ……あれこれやっぱり5歳児くらいの扱いされてないか。
贅沢である。めちゃくちゃ気持ちよかった。
少し言葉を勉強して、豪華な夕食を頂き、アンヌさんを見送り、モーリスさんと少し話をして、ベッドに横になる。
大したことをした訳じゃない。なのにすっごい疲れた気がする。
知らないことばかりだったからかな……
魔力の話とか、召喚とかあるならそりゃあるわなって思って受け入れてしまったけど、ひとりでぼおっと考えてると、すごい話だよな、と思う。
ゲームじゃん。
そんな世界で遥陽は力を手に入れた。
おれは?
多分ないと思う。何も感じないもん。
両手を突き出して、むむむ、と力を込めるけどなーんも!起きない。
やっぱだめだ、おれはこの世界で平凡に生きるしかないみたい。
今日ちょっと教えて貰った感じだと、読めない書けないなのに理解は出来るという訳のわからない感覚に、覚えるの逆に難しいかもしれないと覚悟したのだけど、意外とすんなり入ってきて、自分が一番びっくりした。
この調子だと数日もすれば、時間がかかっても辞書片手に本くらい読めるようになるんじゃないかな。
遥陽びっくりするかな、優希勉強苦手なのに!って。
……いつか会えるよね、大丈夫だよね、遥陽だってきっとおれに会いたいって言ってるよね。
「……さみしい」
口にすると、なんだかぶわっと気持ちが広がってしまう。
何で呟いちゃったんだろ、さみしい、さみしい。
遥陽もジルもいなくて、さみしい。誰もいなくて、ひとりでさみしい。
隣の部屋にモーリスさんがいるから、恐怖は今日はない。
だから余計さみしいのかもしれない。
昨日も一昨日もジルがいたから。
いつ戻ってくるかな。
早く戻ってきてほしいな……
おれ結構、ジルのにおい、落ち着いてて安心出来てすきなんだよなあ、香水なのかな、早く一緒に寝たいな……
……
…………
……一緒に寝たいな?
何考えてんだおれは?
不安過ぎて頭バグってんのか?え?
ここにきて不安過ぎて頭おかしくなってるんじゃないか?
ないないないないないでしょさみしいからって一緒に寝たいはないでしょ?まだ二回、一緒に寝ただけだよ?
こわいから同じ部屋にいてくれれば良かっただけで、隣で一緒に寝たいって望んだ訳ではない。
……訳ではないんだけど、確かに安心したのは事実であって。
これからも一緒に寝たい訳じゃあ……
いやジルが一緒に寝たいならまあ……
まあじゃないよ何考えてんだおれは、そんな、恋する乙女みたいな……みたいな……
……
いや考えるな、おれはきっとあの顔に騙されてる。
あんなきらきらした顔面の耐性がおれになかっただけだ。
遥陽の系統なら慣れてんだ、かわいいに慣れててイケメンに慣れてないだけだ、うん、よし。
だから帰ってきても大丈夫、もう大丈夫。
大丈夫だから、早く帰ってきて。
◇◇◇
「アンヌさん」
「はいなんでしょう」
「アンヌさんってお子さんいますか」
「はいまあ……どうされました?」
「……いえ、なんも……」
翌日、起きて暫くして、朝食が済んでも頭がぼんやりしていた。
体調が悪い訳じゃない。
ただおれ本当、勉強出来ないから……考え過ぎたのかもしれない。
ジルじゃなくて、アンヌさんに甘える方が普通になんじゃないかと思って。
でもそれもよく考えたら……いやよく考えなくてもおかしい話で、なんでアンヌさんに甘えるんだよお前馬鹿か、と気付いてしまう。
おれって世話を焼く遥陽がいないとこんな甘ったれだったっけ?
「お昼は何を作りましょうか、お菓子もおすきなものをご用意しますよ」
「えっ、あ、えと、あったかいのがいいです、サンドイッチとかも美味しいけど、あったかいの……」
「リクエストがあればなんでも言って下さいね」
ふふ、と笑っておれの頭を撫でた。
それだけのことで、なんだかちょっと、ただ仕事として働いてるだけじゃなくて、おれを身内に入れてくれたかのような……そんな気がして嬉しかった。
こんな頭を撫でられることなんて、前の世界ではなかった。
親と仲良い訳ではなかったし、おれは出来の悪い子だったし、うん、素直にちょっと嬉しいかな。
「アンヌさんユキ様をお孫さんみたいにかわいがってますねえ」
「だってユキ様素直でかわいらしいんですもの」
「えっ」
「ほら~俺がかわいいっていうのわかったでしょ、何かもう赤ちゃんみたいなんですよねえ」
「えっ」
「ふふ、わかりますわかります」
「ええ……」
赤ちゃんはない。ほっぺた触るんじゃない。
言い過ぎだとは思うものの、正直ちょっと……構われるのは嬉しいかもしれない。
だってアンヌさんもモーリスさんもにこにこしてるんだもん。
あんまりこういう、ちやほやじゃないけど、ユキ様ユキ様と構われることってなかったから、なんかその、なんかあったかくなるっていうか。
孫でも弟でも赤ちゃんでも、このふたりが優しくしてくれるんならいいや、って思っちゃう。
あれこれ病んでる?まさかまさか、このおれが鬱になる訳がない。
ただちょっと揺れてるだけだ。
勉強をすれば良い子だの覚えが早いだの褒められ、食事をするだけでちゃんと食べられたと褒められ、ちょっとした手伝いで褒められ、笑ってるだけでこっちまで嬉しくなると微笑まれ……あれこれやっぱり5歳児くらいの扱いされてないか。
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