【完結】召喚失敗された彼がしあわせになるまで

鯖猫ちかこ

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「あの、もしモーリスさんが怒られたりするようであれば、おれも謝りに行きます」
「え?」
「おれが余計なこと言うから泊まってくれただけだし」
「……モーリスはずっと泊まってたの?」
「あ、はい……」

 さっきまでの笑顔はどこへやら。ちょっと声がこわい。
 お、大人の世界ってややこしい、おれが引っ掻き回してしまってたらどうしよう。
 例えばモーリスさんの出世とか、そういうのの邪魔になってたら……

「じゃあユキはモーリスと寝たんだ?だからあんなに仲良さそうにしてたんだね」
「え、え?」
「……モーリスも連れて行けば良かったかな」
「え、ちょ、ちが……」
「妬けちゃうな」
「ええ?」

 なんか言い方に語弊がある、と思ってたら、頭上から降ってくる少し冷たい声。
 妬けちゃうとは……?声のトーンあってなくない……?

「あ、あの、モーリスさんはとなり」
「隣で寝たの?」
「そ、そう!そうです!」
「そっか……」

 頷くと、部屋の扉を閉めて、それで何をしたの?と訊かれた。
 ……何を、とは?

「5日間、モーリスと何をしたの?」
「え、部屋を見て回ったり、勉強したり、昼寝したり、お茶したり、とか……」
「そっちじゃなくて、夜」
「ええ……お菓子食べたり、雑談したり……」
「他には?」
「他って……あと筋トレ……トレーニング、くらい」
「運動ってこと?」
「まあ……?」
「ふうん」
「っあ!」

 どんどん壁際に追いやられて、気がついた時にはベッドに足を取られていた。
 転がったおれに、ジルの冷たい視線が降る。
 え?え?なにかおれ、怒られるようなことした?
 寝る前にお菓子食べたから?
 え?違うよね?そこじゃないよね?そんなお母さんみたいな、ね?

「どういう運動したの」
「えっ、えーっと……」

 筋トレ詳しくないんだよな、そもそもおれの知ってる筋トレの名称とこっちの世界の名称は同じなんだろうか。腕立て伏せとかスクワットとか言って伝わるものなんだろうか。
 言い淀んでいると、言えないこと?と訊かれ、なんかその言い方が……ちょっとやらしいな、と思った。

「言えないっていうか、その、なんて言えばいいかってゆーか」
「こういうことでしょ?」
「ひえっ」

 思わず変な声が出た。
 だってジルの手がおれの服の中に入って、腹を撫でたから。
 こういうことってどういうことだよ!

「ちょ、ちょ手、なん、え、なに」
「夜の運動ってこういうことでしょ」
「や、ちが、どこ触っ……う、」

 ジルの指がおれの胸元に触れて、首筋には息が当たる。近い。声が、喋る度に耳がぞくってする。
 な、なにこれ、いつの間にか雰囲気がなんかその、えっちなやつになってる。
 どういうことかわからない。
 何で何で何で、今そういう話だった?暫く視察で忙しかったからなんかおかしくなってるだけ?
 おれ女のひとじゃないんだけど、そんなとこ……

「あ、あの、く、擽ったい……から、そこ触んない、でほし……」
「ここはモーリスにあんまり触って貰えなかった?」
「……っわって、ない、触ってないからっ……」
「じゃあ下の方だけ?」
「ぅあっ!?」

 ぎゅっと下の方、を掴まれた。
 えっ、なんでそこ?本当にジルが何が言いたいかわからなくて、なんて言えばいいかわからない。
 わからなくなってる間に、ジルの熱い手が動いていく。
 やばい、ここに来てそんな、自分でやるとか、なんもしてなかったし、すぐ出ちゃいそう。

「は、はなひ、てっ……や、むりっ、出ちゃ……」
「いいよ」
「ッ……」
「ユキの甘い声、聞きたい」
「ひっ、ぅあ、やあ……ッだめっ、てばあ……ンぅ……!」

 だめだめだめだめ、絶対だめだってわかってるのに。
 わかってるのに暫く抜いてなかった躰には我慢出来るようなものじゃない。
 ぎゅうっと爪先に力を入れて我慢したって、ジルの指が先端に触れた瞬間、びくびくと躰が跳ねてしまった。

「っう、あぅ……」
「かわいい、ユキ」
「は……っ、あ、は……」
「他の人に見せないで」
「はぁっ、ふぁ、は……っみせて、なんかっ」

 息が切れて上手く反論出来ない。
 他の人に見せないでって、こんなの、誰に見せるっていうんだよ、こんなこと、その、誰とも……ないんだけど。

「みせ、ないっ」
「ほんと?もうモーリスとしない?」
「しっ、モーリスさんとっ、こんなことっ……して、してないっ」
「え、でもベッドで隣で運動」
「おれっ……そんなこと、ゆってない……!」
「え」
「モーリスさんが泊まったのは隣の部屋!一緒に、えっと……ね、寝たりは、してない!」
「ええ……」

 言ってくれたら良かったのに、というジル。
 言う暇なんかなかったですよねえ!
 でもそれよりも、何か忘れていませんか?

「……ジル、おれに言うことあるよね?」
「え?」
「ね?」
「ああ、ちょっと強引だったかな、今度は優しくするね」
「…………は?」
「今日は準備が足りないからね、寝ようか」
「…………へ」
「かわいいユキ、おやすみ」

 あれ?おれが思ってたのと違う。
 ごめんとか、そういうのを言わせたかったんだけど。
 あれ?おれがおかしいのかな?経験がないからわかってないだけ?
 それともこの世界ではこーいう、その、えっちなやつは普通にある話なの……?
 頭の中がぐるぐるする。普通ってなんですかね……?

 躰を綺麗に拭かれて、ふかふかの布団を掛けられて、おでこにちゅっと軽いキスをされて、すぐ隣にはジルのあったかい躰がある。
 達したばかりのおれは、疲れと心地良さと頭の使い過ぎで、すぐに眠りに落ちてしまった。
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