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手を握って貰って、何回もキスして貰った。
苦しくならないよう、何回も、何回もする細かいキス。
何回も何回も名前を呼ばれて、かわいいと髪を撫でられる。
甘ったるい空間。それを全部自分に向けられてる。おれなんかに。
「んっ、は、あう、うぅう……」
どれくらい時間が経ったのだろう、もうなにも考えたくない。頭が馬鹿になってしまったみたい。
元々良くなかったけど。
「あ、も、もぉや、イきたっ……あ、ぁん、っう」
「もう少し我慢出来る?」
「やあ、いや、なんでえ……」
「俺も、もう少しで」
「んう、早く、じる、早くしてえ、ぁう」
「ユキがもっとかわいいことしてくれたら」
「ん、ん、なにっ……わかっ……な、」
「じゃあこっち見て、笑って」
「んえ……」
ぼんやりしてきた視界で、ジルの瞳を見る。
なんでこんなにぼんやりしてるんだっけ。
あ、おれ、ずっと泣いてるのか、と気付いたのはジルがおれの目許を拭ったから。
それでも視界はクリアになりはしなかったけど。
「ユキ」
「じる……」
ジルの手に頬を擦り寄せる。
笑う、笑うってどうするんだっけ。歯を見せればいいんだっけ。
「ジル、おれ、……かわいい?」
「ああ、かわいい、誰よりもかわいいよ」
「……へへ」
すき?と訊こうとして、止めた。
かわいいなら何回も何十回も言ってもらってる、これならいいかと思った。
「んッ、あ、あっ、あ、あ!」
抽挿が早くなる。気持ちいい、もうだめ、もういい?いいよね?我慢しなくていいよね?
ジルの手を掴む指に力が入る。それでジルが察したのか、耳元で、もう我慢しなくていいよ、と優しく囁かれた。
決定打はそれだったのかもしれない。
「あ、だめ、や、イっ……く……んあ、ぁあッ……!」
足を閉じるように、ジルの腰を挟んだ状態で達してしまった。
それと同時に、お腹の上に暖かいものを感じる。
ジルも一緒に達したようで……ナカに出さないようにしてくれたみたいだ。
ぼんやりした頭で、あ、お腹の上、おれのとジルのが混じってる、と思ってしまった。
「は……はあ、ぅ、つ、つかれた……」
「……お疲れさま、頑張ったね」
「ん……」
「かわいかったよ、ユキ」
「んう」
頬にキスを落とされて、もうかわいいに対して反論も何も出来ない。その言葉をおれが引き出してしまったし。そうですおれはかわいいんです、ジルの中では。
「疲れただろう?そのまま寝てていいよ」
「だいじょー、ぶ……お風呂、はいんなきゃ……」
「無理だよ、俺が綺麗にするから」
「……そんな、ジルに……してもらうわけには……」
「もう動けないでしょ、いいよ、おやすみ」
「でも……でも」
立とうとは思ってるんだ。でも立てないの。
力が入んなくて……ものすごく眠いし、なんかふわふわくらくらする。
ジルの撫でる手と声が気持ちいい。もっと……
「もっと撫でて……」
「いいよ」
王子様にこんなお願いするなんて、おれと末っ子王女くらいじゃないだろうか。
贅沢なやつめ。
「おやすみ、かわいい俺のユキ」
「……」
なんか今、いつもとちょっと違う気がしたけど。
でもまあ……悪くない。このふわふわ感は悪くない。
もうちょっとジルを見ていたかったけど。
おれの瞼が限界のようで……本当におれ、ジルと一緒だとよく眠れるみたい。
すとん、とすぐに眠りの世界へ入ってしまった。
◇◇◇
起きてすぐにきらきらしたものが視界に飛び込む。
眩しい。
朝陽も、目の前のジルも。
遥陽といい、なんでこんなに眩しいひとばっかおれの近くにいるんだろうか。
「……」
長い睫毛。
あ、金色でわかりにくかったけど、頬のとこに落ちてる。そう思って指を伸ばすと、ぱちりと綺麗な碧い瞳が開いて、おれを見る。
思わず引っ込めてしまった。
「……触ってもいいのに」
「ち、ちが、ちがう、さわっ……ま、睫毛取ろうと」
「おはよう」
「……おはよ」
多分おれ、髪の毛とかぼっさぼさの自信があるし、なんなら涎垂れてた気もする。
目の前の男は整えてから横になっただけかのように乱れたところが何もない。
どんな寝方をしたらどうなるんだ、そうまじまじとジルを見ていたら、またかわいいと髪を撫でられる。
……絶対寝起きの間抜けな顔してると思うんだけど。
そしてそこで気付く。首の下の違和感。
……これはもしかして、もしかしなくても、腕枕というやつ。
通りでジルが近い筈だ。いや、まじで近い、本当に近い、くそお顔が良い!
「躰は大丈夫?」
「だいっ……じょうぶ……たぶん」
「今日はゆっくりしてるといい」
「う、うん……」
最中はその、そういうもんなんだろうなって思ったけど、一夜明けて尚甘ったるい空気のジルに、頭がバグってしまいそうだ。
「アンヌに何か持ってこさせようか」
「えっやだ!」
一気に目が覚めた。
だからその、アンヌさんにこんなのばれたら嫌だってば。
モーリスさんにだって嫌だけど、でも、アンヌさんにばれちゃうのが一番嫌だ。
「……やだ」
「じゃあ今日はここは一日立ち入り禁止かな」
「……そーしてほしい」
「じゃあ俺が何か取ってこよう」
「や、ジルにやってほしい訳じゃ」
「でもお腹も空いただろう」
「……でもジル、忙しいでしょ」
「でもこの仕事をモーリスにやるのは俺が嫌だ」
「……だからモーリスさんはそんなんじゃないってば」
真顔。そんなに嫌なのか、仲良いと思ってたのに、こういうのは別なんだな。
苦しくならないよう、何回も、何回もする細かいキス。
何回も何回も名前を呼ばれて、かわいいと髪を撫でられる。
甘ったるい空間。それを全部自分に向けられてる。おれなんかに。
「んっ、は、あう、うぅう……」
どれくらい時間が経ったのだろう、もうなにも考えたくない。頭が馬鹿になってしまったみたい。
元々良くなかったけど。
「あ、も、もぉや、イきたっ……あ、ぁん、っう」
「もう少し我慢出来る?」
「やあ、いや、なんでえ……」
「俺も、もう少しで」
「んう、早く、じる、早くしてえ、ぁう」
「ユキがもっとかわいいことしてくれたら」
「ん、ん、なにっ……わかっ……な、」
「じゃあこっち見て、笑って」
「んえ……」
ぼんやりしてきた視界で、ジルの瞳を見る。
なんでこんなにぼんやりしてるんだっけ。
あ、おれ、ずっと泣いてるのか、と気付いたのはジルがおれの目許を拭ったから。
それでも視界はクリアになりはしなかったけど。
「ユキ」
「じる……」
ジルの手に頬を擦り寄せる。
笑う、笑うってどうするんだっけ。歯を見せればいいんだっけ。
「ジル、おれ、……かわいい?」
「ああ、かわいい、誰よりもかわいいよ」
「……へへ」
すき?と訊こうとして、止めた。
かわいいなら何回も何十回も言ってもらってる、これならいいかと思った。
「んッ、あ、あっ、あ、あ!」
抽挿が早くなる。気持ちいい、もうだめ、もういい?いいよね?我慢しなくていいよね?
ジルの手を掴む指に力が入る。それでジルが察したのか、耳元で、もう我慢しなくていいよ、と優しく囁かれた。
決定打はそれだったのかもしれない。
「あ、だめ、や、イっ……く……んあ、ぁあッ……!」
足を閉じるように、ジルの腰を挟んだ状態で達してしまった。
それと同時に、お腹の上に暖かいものを感じる。
ジルも一緒に達したようで……ナカに出さないようにしてくれたみたいだ。
ぼんやりした頭で、あ、お腹の上、おれのとジルのが混じってる、と思ってしまった。
「は……はあ、ぅ、つ、つかれた……」
「……お疲れさま、頑張ったね」
「ん……」
「かわいかったよ、ユキ」
「んう」
頬にキスを落とされて、もうかわいいに対して反論も何も出来ない。その言葉をおれが引き出してしまったし。そうですおれはかわいいんです、ジルの中では。
「疲れただろう?そのまま寝てていいよ」
「だいじょー、ぶ……お風呂、はいんなきゃ……」
「無理だよ、俺が綺麗にするから」
「……そんな、ジルに……してもらうわけには……」
「もう動けないでしょ、いいよ、おやすみ」
「でも……でも」
立とうとは思ってるんだ。でも立てないの。
力が入んなくて……ものすごく眠いし、なんかふわふわくらくらする。
ジルの撫でる手と声が気持ちいい。もっと……
「もっと撫でて……」
「いいよ」
王子様にこんなお願いするなんて、おれと末っ子王女くらいじゃないだろうか。
贅沢なやつめ。
「おやすみ、かわいい俺のユキ」
「……」
なんか今、いつもとちょっと違う気がしたけど。
でもまあ……悪くない。このふわふわ感は悪くない。
もうちょっとジルを見ていたかったけど。
おれの瞼が限界のようで……本当におれ、ジルと一緒だとよく眠れるみたい。
すとん、とすぐに眠りの世界へ入ってしまった。
◇◇◇
起きてすぐにきらきらしたものが視界に飛び込む。
眩しい。
朝陽も、目の前のジルも。
遥陽といい、なんでこんなに眩しいひとばっかおれの近くにいるんだろうか。
「……」
長い睫毛。
あ、金色でわかりにくかったけど、頬のとこに落ちてる。そう思って指を伸ばすと、ぱちりと綺麗な碧い瞳が開いて、おれを見る。
思わず引っ込めてしまった。
「……触ってもいいのに」
「ち、ちが、ちがう、さわっ……ま、睫毛取ろうと」
「おはよう」
「……おはよ」
多分おれ、髪の毛とかぼっさぼさの自信があるし、なんなら涎垂れてた気もする。
目の前の男は整えてから横になっただけかのように乱れたところが何もない。
どんな寝方をしたらどうなるんだ、そうまじまじとジルを見ていたら、またかわいいと髪を撫でられる。
……絶対寝起きの間抜けな顔してると思うんだけど。
そしてそこで気付く。首の下の違和感。
……これはもしかして、もしかしなくても、腕枕というやつ。
通りでジルが近い筈だ。いや、まじで近い、本当に近い、くそお顔が良い!
「躰は大丈夫?」
「だいっ……じょうぶ……たぶん」
「今日はゆっくりしてるといい」
「う、うん……」
最中はその、そういうもんなんだろうなって思ったけど、一夜明けて尚甘ったるい空気のジルに、頭がバグってしまいそうだ。
「アンヌに何か持ってこさせようか」
「えっやだ!」
一気に目が覚めた。
だからその、アンヌさんにこんなのばれたら嫌だってば。
モーリスさんにだって嫌だけど、でも、アンヌさんにばれちゃうのが一番嫌だ。
「……やだ」
「じゃあ今日はここは一日立ち入り禁止かな」
「……そーしてほしい」
「じゃあ俺が何か取ってこよう」
「や、ジルにやってほしい訳じゃ」
「でもお腹も空いただろう」
「……でもジル、忙しいでしょ」
「でもこの仕事をモーリスにやるのは俺が嫌だ」
「……だからモーリスさんはそんなんじゃないってば」
真顔。そんなに嫌なのか、仲良いと思ってたのに、こういうのは別なんだな。
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