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お茶を出してもらい、アンヌさんの用意してくれた軽食に舌鼓を打つ。
同じ席に、モーリスさんも、他の護衛のひとも着く。わざわざおれの為にこんなところまで一日使わせて申し訳ないです。
おれなんかがすすめるのもどうかと思ったけど、おれたちだけ口にするのもなんか感じ悪いよな、とお菓子を差し出すと、すんなり受け取って貰えたものだから、おれが作ったんですよ、大丈夫ですか?と確認してしまう。
呆気に取られたような顔をして、それから美味しそうですよ、と簡単に口にしてしまう。
それを見たジルが、ほら、皆ユキのことを不吉な子だなんて思ってないよ、と言う。
安心半分、これ実は仕込みでは?と疑い半分。
「美味しいですよ、ユキ様はお料理上手なんですね」
「いえ、殆ど作ったの、アンヌさんなんで……!」
なんかすごい恥ずかしい。ジルたちで慣れたと思ってたのに、普通に褒められるの、すごい恥ずかしい!
ちょっとしたことで褒められるの、やっぱり慣れないや。
「私も頂いて宜しいですか?」
背後から声を掛けられてびっくりした。
振り返るとセルジュさんが籠を指さしている。気配なかったぞ。
「あっ、はい、どうぞ……」
「頂きますね」
クッキーを一枚つまみ、口に入れる。
そんな単純な所作さえ美人がやると一味違う。見蕩れてしまう。
ジルも綺麗だけど、中性的なセルジュさんはなんというか、女神様のようで、同性のおれでもどきどきしちゃう。
「……美味しいですね」
「あ、ありがとうございます……」
「これはユキ様おひとりで?」
「いや、えっと、おれはお手伝い程度で……」
「ふむ」
「……何かやばいです?味とか」
「いえ、とても美味しいですよ」
にこ、と笑った顔が神々しい。こんな美人間近で拝んでいいものか。
この世界、本当に顔面偏差値が高過ぎる、遥陽に慣れてなかったらおれの目はしんでた。
「ただ」
「ただ?」
「これ、魔力入ってますね」
「まりょく」
「ええ、無意識です?」
「……?」
「あ、無意識ですね」
また思案するように口許に手を置いて、それを不安そうに見るおれに気付いたセルジュさんは笑みを返してくれた。
男だってわかってるのにファンになっちゃいそう。
「魔力って、悪いやつですか、食べたらなんかありますか、おれ昨日、キャロルに食べさせちゃって」
思い出して急に焦ってしまう。
なんも予定のないおれや、躰の強そうなモーリスさんはともかく、忙しいジルやただでさえ病弱なキャロルになにかあっては困る。
「キャロル様も召し上がったんですか?何かおっしゃってましたか?」
「……おいしいって」
「はい美味しいです」
「えっと、ううん、んー、前よりおいしいって……でもそれはおれじゃなくて主に作ってくれたひとの腕が上がったからで……」
「他には?」
「えー、うーん、おかしじゃなくて、ぽかぽかするって……これはおれの体温が高いのかなって」
「うーん……わかりました、ありがとうございます」
ふわ、と笑った瞬間、花が飛んだかと思った。
うへ、良い意味で目が潰れそうだ。一般人がこんな近くで見ていいひとではないのではないのだろうか。
いや今はそこじゃない。
「いやあの、キャロルに何かあったりとかは」
「大丈夫ですよ」
「でも」
「美味しい、ぽかぽかするって言ってるんでしょう、良いことじゃないですか」
「はあ……?あ、いや、効能の話じゃなくて」
「はい」
「えっと、あの、キャロルの……えっと」
あれ、呪いの話って良く考えたら話しちゃダメだよな、知ってるひと少ないんだよな、どうしよ、ここまできて上手く誤魔化せるだろうか、おれこういうの下手くそなんだよな、と冷や汗をだらだらかいていると、呪いの話ですか、と耳元で囁かれた。
「ひぇ……あ、そう、そう!です!」
「大丈夫でしょう、合わなければ何かしらの不調が見えるでしょうからね、ユキ様の魔力はキャロル様に良い方に向かってると思いますよ」
「……良かったあ」
「後でよく見てみましょうね」
「はい!」
あああ、この優しい声が癒される、アンヌさんとはまた違った心地の良さ。
くらくらする程の美人なのに、近くに居たくなるのはこの声や全身から滲み出る癒しオーラみたいなもののおかげなのかもしれない。
「あの、いっぱい作ったので、良ければ他にも」
「良いのですか?」
「はい!ご迷惑でなければ!」
「ありがとうございます、実は甘いものすきなんですよ、なかなか買いに出掛けられないので嬉しいです」
「えへへ」
でれでれしちゃう。
そんな溶けきったおれを見られてしまったのか、気がつけば後ろからじりじりとした視線が刺さるのを感じた。
やばい。ジルのことをすっかり忘れていた。
モーリスさんに謎の嫉妬をするくらいのジルのことだ、もしかするとすごい顔をしてるかもしれない。
振り返るのもこわいが、後回しにするのもこわい。意を決して振り向くと、恐ろしいくらい綺麗な笑顔だった。
……なんで顔の整ったひとはこんなにこわい顔が出来るんだろうか。
ジルの背後でモーリスさんが苦笑いしている。
「ジルも食べる?」
「食べる」
機嫌を取りに行ったおれに、笑顔を崩さずに口を開くジル。
……こんなところであーんイベントが来るとか思わなかった。
同じ席に、モーリスさんも、他の護衛のひとも着く。わざわざおれの為にこんなところまで一日使わせて申し訳ないです。
おれなんかがすすめるのもどうかと思ったけど、おれたちだけ口にするのもなんか感じ悪いよな、とお菓子を差し出すと、すんなり受け取って貰えたものだから、おれが作ったんですよ、大丈夫ですか?と確認してしまう。
呆気に取られたような顔をして、それから美味しそうですよ、と簡単に口にしてしまう。
それを見たジルが、ほら、皆ユキのことを不吉な子だなんて思ってないよ、と言う。
安心半分、これ実は仕込みでは?と疑い半分。
「美味しいですよ、ユキ様はお料理上手なんですね」
「いえ、殆ど作ったの、アンヌさんなんで……!」
なんかすごい恥ずかしい。ジルたちで慣れたと思ってたのに、普通に褒められるの、すごい恥ずかしい!
ちょっとしたことで褒められるの、やっぱり慣れないや。
「私も頂いて宜しいですか?」
背後から声を掛けられてびっくりした。
振り返るとセルジュさんが籠を指さしている。気配なかったぞ。
「あっ、はい、どうぞ……」
「頂きますね」
クッキーを一枚つまみ、口に入れる。
そんな単純な所作さえ美人がやると一味違う。見蕩れてしまう。
ジルも綺麗だけど、中性的なセルジュさんはなんというか、女神様のようで、同性のおれでもどきどきしちゃう。
「……美味しいですね」
「あ、ありがとうございます……」
「これはユキ様おひとりで?」
「いや、えっと、おれはお手伝い程度で……」
「ふむ」
「……何かやばいです?味とか」
「いえ、とても美味しいですよ」
にこ、と笑った顔が神々しい。こんな美人間近で拝んでいいものか。
この世界、本当に顔面偏差値が高過ぎる、遥陽に慣れてなかったらおれの目はしんでた。
「ただ」
「ただ?」
「これ、魔力入ってますね」
「まりょく」
「ええ、無意識です?」
「……?」
「あ、無意識ですね」
また思案するように口許に手を置いて、それを不安そうに見るおれに気付いたセルジュさんは笑みを返してくれた。
男だってわかってるのにファンになっちゃいそう。
「魔力って、悪いやつですか、食べたらなんかありますか、おれ昨日、キャロルに食べさせちゃって」
思い出して急に焦ってしまう。
なんも予定のないおれや、躰の強そうなモーリスさんはともかく、忙しいジルやただでさえ病弱なキャロルになにかあっては困る。
「キャロル様も召し上がったんですか?何かおっしゃってましたか?」
「……おいしいって」
「はい美味しいです」
「えっと、ううん、んー、前よりおいしいって……でもそれはおれじゃなくて主に作ってくれたひとの腕が上がったからで……」
「他には?」
「えー、うーん、おかしじゃなくて、ぽかぽかするって……これはおれの体温が高いのかなって」
「うーん……わかりました、ありがとうございます」
ふわ、と笑った瞬間、花が飛んだかと思った。
うへ、良い意味で目が潰れそうだ。一般人がこんな近くで見ていいひとではないのではないのだろうか。
いや今はそこじゃない。
「いやあの、キャロルに何かあったりとかは」
「大丈夫ですよ」
「でも」
「美味しい、ぽかぽかするって言ってるんでしょう、良いことじゃないですか」
「はあ……?あ、いや、効能の話じゃなくて」
「はい」
「えっと、あの、キャロルの……えっと」
あれ、呪いの話って良く考えたら話しちゃダメだよな、知ってるひと少ないんだよな、どうしよ、ここまできて上手く誤魔化せるだろうか、おれこういうの下手くそなんだよな、と冷や汗をだらだらかいていると、呪いの話ですか、と耳元で囁かれた。
「ひぇ……あ、そう、そう!です!」
「大丈夫でしょう、合わなければ何かしらの不調が見えるでしょうからね、ユキ様の魔力はキャロル様に良い方に向かってると思いますよ」
「……良かったあ」
「後でよく見てみましょうね」
「はい!」
あああ、この優しい声が癒される、アンヌさんとはまた違った心地の良さ。
くらくらする程の美人なのに、近くに居たくなるのはこの声や全身から滲み出る癒しオーラみたいなもののおかげなのかもしれない。
「あの、いっぱい作ったので、良ければ他にも」
「良いのですか?」
「はい!ご迷惑でなければ!」
「ありがとうございます、実は甘いものすきなんですよ、なかなか買いに出掛けられないので嬉しいです」
「えへへ」
でれでれしちゃう。
そんな溶けきったおれを見られてしまったのか、気がつけば後ろからじりじりとした視線が刺さるのを感じた。
やばい。ジルのことをすっかり忘れていた。
モーリスさんに謎の嫉妬をするくらいのジルのことだ、もしかするとすごい顔をしてるかもしれない。
振り返るのもこわいが、後回しにするのもこわい。意を決して振り向くと、恐ろしいくらい綺麗な笑顔だった。
……なんで顔の整ったひとはこんなにこわい顔が出来るんだろうか。
ジルの背後でモーリスさんが苦笑いしている。
「ジルも食べる?」
「食べる」
機嫌を取りに行ったおれに、笑顔を崩さずに口を開くジル。
……こんなところであーんイベントが来るとか思わなかった。
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