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「舐めてくれる?」
「ん、ふ……っ」
ジルの綺麗な手を、すっと目の前に出されてその長い指に舌を這わす。咥えて、吸う。子供のように。
こんな綺麗なものを汚すなんて、と思いながらも背筋がぞくぞくしてしまう。
こんなの許されるひと、きっとおれくらいしかいない。少なくとも、今は。
もういいよ、と口からその指を離して、まだ挿入れたままのおれの指を引き抜いて、おれがべちゃべちゃにしてしまった指をかわりに挿入される。
自分の指とは太さも長さも違うもので、その圧迫感につい力を入れてしまった足がぎゅうとシーツに皺を作ってしまった。
「ん……ッ」
「痛い?大丈夫?」
「んっ、ん、らいじょっ……」
自分の指では得られなかった、背中から溶けてしまうような甘い痺れ。
油断すると泣き喚いてしまいそうになるような。
歯を食いしばって、ふうふうと息をするおれに気付いたのか、ジルはその口元に触れて、我慢しないで、と言う。
「痛くはないよね?ここ、気持ちいいんでしょう?」
「んうう、ふ、っう、んんん……っ」
「さっきまでちゃんと声出せてたのに。出してしまった方が楽だよ」
「んん……」
「変なところ強情なんだから……そんなとこもかわいいけど、無理させたい訳じゃないのに」
「ンぅ……!」
ジルのもう片方の手が頬を撫でて、そのまま唇に触れ歯をこじ開ける。
息だけが漏れていたのに、それだけでまた声を零してしまう。
今更声を聞かれるのが恥ずかしいとかじゃなくて、いや恥ずかしいんだけど、そうじゃなくて、ただ、どうしたらこの快感を逃せるのかわからなかったんだ。
「は、ぁう……あッ、ん!」
「ん、ちゃんと声出せたね」
良い子、と軽くキスをされる。こんなことで褒められるのか。
嬉しくて、少し笑ってしまった。
そして、そんなおれを見てジルも笑う。
「泣いてる顔も怒ってる顔も、いつだってユキはかわいいけれど、やっぱり笑ってる時がいちばんかわいいよ」
「ん……」
恥ずかしいけど、もっと言ってほしい。
絶対に忘れることがないよう、覚えてしまうくらい、刻み込むように、いっぱい、もっともっと甘い言葉を。おれ宛に。
「あ、は……ぅ、ジル、そこ、ばっか……っ」
「でもここが気持ちいいでしょ?」
「き、きもちい、きもちいっ、からあ……そこばっか、だと、っ……もっ、ほしくなるっ……」
「それは困るな、まだちょっと早い」
動いていた指が止まって、物足りなさを感じる。
少しして指が引き抜かれて、早いって言ったのにもう?とどきりとしてしまい、ぎゅっと瞳を閉じて痛みを待っていると、離れていく気配を感じた。
……えっ?
不安になって、薄らと瞳を開け、ジルの姿を探す。
向けられた背中に、消えそうな声で名前を呼ぶと、ちょっと待ってね、と優しく宥められた。
このタイミングで、とさみしくなってしまい、すり、と膝を合わせた。
不安で指先が裾を掴む。
待つって、何を。こんなにもう躰は熱いのに。
文句を言いそうな口を噤んで、ジルの足音を待った。
「……ジル」
「ん、お待たせ」
再度呼んだ名前に、ベッドを軋ませながら戻ったジルがキスで返事をする。
ほんの数分数十秒、それでも無事に戻ってきたことに安堵した。
「何してたの……」
「ないよりましかと思って」
ジルの手にした小さな容器に入ってたのは白いクリーム。ほんの少し、薬品のにおいと柑橘系のにおい。
寒いところは乾燥するからとアンヌさんに持たされたクリームらしい。
……その名前に少し罪悪感を覚えて、でも今更止めることは出来なくて、ジルに掴まれるまま、抵抗せずに膝をひらいた。
「っん……」
「どう?さっきより滑りやすいと思うんだけど」
「ん、ん……っ、だいじょ、ぶ」
あたためられたクリームを使って、またぬるりと指が挿入される。
確かにさっきよりましだと思う。
枕を抱き締めて耐えていると、こっち、と枕を取り上げられた。
腕を取られて、首に持っていかれる。
思わず邪魔じゃない?と訊くと、抱き締めるなら俺にして、と返されて、すぐに頷いてしまった。
枕に嫉妬したのかな、嬉しい。そうだよ、枕とかじゃなくて、お互いを抱き締めたらいいんだよね。
「……っ、は、ぁう」
また気持ちよくなってきた、どうしよう、今日はあんまりイきたくない。だって話だって、いっぱいしたいし。
「ま、まだ……?」
「うーん、もう少し、かな」
「もおいい、よぉっ……」
「もうちょっと、ね?頑張ろう」
「ううう」
「いつもより丁寧にしなきゃ」
「でも……でもっ」
大切にさせて、と耳元で言われて、ずるい、そんなの、文句なんて言える訳がない。
もうちょっと、我慢するしかないじゃんか。
「……っあ、う、」
自分の指と違って、奥の方も届く。
いつもの気持ちいいとこも、どっちも。
「は、あぅ、ん……ッじ、ジルっ……」
「うん?」
「あ、あ、そこ、やだあ……」
「気持ちいい?」
「ぅん、う、あ、きもちい……ッあ、や、だめっ……」
ぐ、といいところを押されて、躰が跳ねる。
ジルの首に回した腕にぎゅっと力が籠った。
「ん、ふ……っ」
ジルの綺麗な手を、すっと目の前に出されてその長い指に舌を這わす。咥えて、吸う。子供のように。
こんな綺麗なものを汚すなんて、と思いながらも背筋がぞくぞくしてしまう。
こんなの許されるひと、きっとおれくらいしかいない。少なくとも、今は。
もういいよ、と口からその指を離して、まだ挿入れたままのおれの指を引き抜いて、おれがべちゃべちゃにしてしまった指をかわりに挿入される。
自分の指とは太さも長さも違うもので、その圧迫感につい力を入れてしまった足がぎゅうとシーツに皺を作ってしまった。
「ん……ッ」
「痛い?大丈夫?」
「んっ、ん、らいじょっ……」
自分の指では得られなかった、背中から溶けてしまうような甘い痺れ。
油断すると泣き喚いてしまいそうになるような。
歯を食いしばって、ふうふうと息をするおれに気付いたのか、ジルはその口元に触れて、我慢しないで、と言う。
「痛くはないよね?ここ、気持ちいいんでしょう?」
「んうう、ふ、っう、んんん……っ」
「さっきまでちゃんと声出せてたのに。出してしまった方が楽だよ」
「んん……」
「変なところ強情なんだから……そんなとこもかわいいけど、無理させたい訳じゃないのに」
「ンぅ……!」
ジルのもう片方の手が頬を撫でて、そのまま唇に触れ歯をこじ開ける。
息だけが漏れていたのに、それだけでまた声を零してしまう。
今更声を聞かれるのが恥ずかしいとかじゃなくて、いや恥ずかしいんだけど、そうじゃなくて、ただ、どうしたらこの快感を逃せるのかわからなかったんだ。
「は、ぁう……あッ、ん!」
「ん、ちゃんと声出せたね」
良い子、と軽くキスをされる。こんなことで褒められるのか。
嬉しくて、少し笑ってしまった。
そして、そんなおれを見てジルも笑う。
「泣いてる顔も怒ってる顔も、いつだってユキはかわいいけれど、やっぱり笑ってる時がいちばんかわいいよ」
「ん……」
恥ずかしいけど、もっと言ってほしい。
絶対に忘れることがないよう、覚えてしまうくらい、刻み込むように、いっぱい、もっともっと甘い言葉を。おれ宛に。
「あ、は……ぅ、ジル、そこ、ばっか……っ」
「でもここが気持ちいいでしょ?」
「き、きもちい、きもちいっ、からあ……そこばっか、だと、っ……もっ、ほしくなるっ……」
「それは困るな、まだちょっと早い」
動いていた指が止まって、物足りなさを感じる。
少しして指が引き抜かれて、早いって言ったのにもう?とどきりとしてしまい、ぎゅっと瞳を閉じて痛みを待っていると、離れていく気配を感じた。
……えっ?
不安になって、薄らと瞳を開け、ジルの姿を探す。
向けられた背中に、消えそうな声で名前を呼ぶと、ちょっと待ってね、と優しく宥められた。
このタイミングで、とさみしくなってしまい、すり、と膝を合わせた。
不安で指先が裾を掴む。
待つって、何を。こんなにもう躰は熱いのに。
文句を言いそうな口を噤んで、ジルの足音を待った。
「……ジル」
「ん、お待たせ」
再度呼んだ名前に、ベッドを軋ませながら戻ったジルがキスで返事をする。
ほんの数分数十秒、それでも無事に戻ってきたことに安堵した。
「何してたの……」
「ないよりましかと思って」
ジルの手にした小さな容器に入ってたのは白いクリーム。ほんの少し、薬品のにおいと柑橘系のにおい。
寒いところは乾燥するからとアンヌさんに持たされたクリームらしい。
……その名前に少し罪悪感を覚えて、でも今更止めることは出来なくて、ジルに掴まれるまま、抵抗せずに膝をひらいた。
「っん……」
「どう?さっきより滑りやすいと思うんだけど」
「ん、ん……っ、だいじょ、ぶ」
あたためられたクリームを使って、またぬるりと指が挿入される。
確かにさっきよりましだと思う。
枕を抱き締めて耐えていると、こっち、と枕を取り上げられた。
腕を取られて、首に持っていかれる。
思わず邪魔じゃない?と訊くと、抱き締めるなら俺にして、と返されて、すぐに頷いてしまった。
枕に嫉妬したのかな、嬉しい。そうだよ、枕とかじゃなくて、お互いを抱き締めたらいいんだよね。
「……っ、は、ぁう」
また気持ちよくなってきた、どうしよう、今日はあんまりイきたくない。だって話だって、いっぱいしたいし。
「ま、まだ……?」
「うーん、もう少し、かな」
「もおいい、よぉっ……」
「もうちょっと、ね?頑張ろう」
「ううう」
「いつもより丁寧にしなきゃ」
「でも……でもっ」
大切にさせて、と耳元で言われて、ずるい、そんなの、文句なんて言える訳がない。
もうちょっと、我慢するしかないじゃんか。
「……っあ、う、」
自分の指と違って、奥の方も届く。
いつもの気持ちいいとこも、どっちも。
「は、あぅ、ん……ッじ、ジルっ……」
「うん?」
「あ、あ、そこ、やだあ……」
「気持ちいい?」
「ぅん、う、あ、きもちい……ッあ、や、だめっ……」
ぐ、といいところを押されて、躰が跳ねる。
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