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「ロザリーに息子にキミの魔力と神子様達の魔力が混じって気持ち悪い」
「……そんなこと言われても」
不機嫌そうにぶちぶちと花をちぎって毟って荒らしていく。
止めて欲しい、ジルが綺麗に育てた花なのに。
そういいたいのが視線でわかったのか、こんなの幾らでもなおせるでしょ、と吐き捨てられる。
それはそうかもしれないけど、今捨てられた花だって生きてた訳で……飾るわけでもなく、無闇に嫌がらせのように捨てられるのは違う。
「それでどうするの、キミは僕の傍にいてくれるの?」
「……にんげんは嫌だって、」
「だからにんげんじゃなくなっちゃえばいいじゃない」
「え」
「魔女になればいいよ、そしたら僕に嘘も吐けないし、一緒にいれる約束も出来るよね」
新たな選択肢に背中が冷えて、声が出なくなる。
魔女になる?
キャロルを呪う魔女に?いやその魔女本人ではないけど、魔女ってそういうことが出来るひとってことでしょ?
王族を憎んで呪って、殺されるまで生き続ける。
この世界に残ることは出来るけど、でもそれじゃあジルと遥陽と一緒に居れない。
「ねえ、キミも嘘を吐くの?僕をひとりにする?さみしいなあ、やっぱりそうだよねえ、ここに残りたいから僕を利用するだけだもんね、さみしくさせないなんて嘘だよね」
「う、うそじゃ」
「じゃあどういうつもりだったの?適当に言えば僕が絆されるとでも思った?」
「……そんなんじゃ」
「じゃあ仲間になってよ、ずっとひとりはさみしい」
本気じゃないのはわかる。
おれを仲間にしたい訳ではないのも。ただおれを揺さぶっているだけ。そうわかるのに。
確かにひとりはさみしくて、だからおれは遥陽をひとりにしたくなくて、ここに来た時だって、遥陽と離されて、ひとりで不安だった。
彼にももしかしたらその気持ちはちょっと、少しくらいあるのかもしれない、そう思ったら、ふざけるな、冗談言うなとは言えなかった。
同情や憐憫と、下手なことを言うと逆鱗に触れるかもしれないという気持ちもある。
魔女なんてごめんだ、なりたくなんてない。長生き出来たって、誰かを憎んで、呪って、だいじなひとと離れてまで生きたくない。
……じゃあ彼は?だいじなひとはいた?誰を憎んでいるのか?
「魔女には、なれません……」
「……そう、じゃあやっぱり」
「魔女は……すみません、名前、知らないから……魔女、さん……は、魔女をやめたくないんですか」
「……やめられると思う?」
「魔女にすることが出来るなら、逆も出来るのかと……」
「知らないよそんなの」
「……すみません」
余計なことを言ったか、と口を噤む。
彼が、出来るならやってる、そう呟くまで。
「やめたいんですか、魔女」
「やめたいとは言ってないだろ」
「でも」
「煩いな、やっぱりキミを魔女にしてもなんも楽しくない」
「それはそうです、だってお互い何も知らないし……」
「別に知らなくてもいいよ、キミを魔女にした時のアイツの顔が見たいだけなんだから」
「アイツ……」
誰かなんてすぐわかる。
その理由はわからないけど。
「ジル……」
「そうだよ、アイツの絶望した顔が見たいな、母親と妹を呪う魔女に、だいじにしてるキミがなっちゃったらどんな顔をするかなあ、元の世界に帰すだけで十分だと思ったけど、魔女にするのも楽しそうだなって思っちゃった」
「そんな」
「ふふ、あはは、うん、最高かもしれない、やっぱり魔女にしよう、近くに居るのに会えなくて、憎みたくないのに憎悪の対象になっちゃうの、楽しそう」
「いやです!」
「帰れるか長生き出来るかの二択だよ、キミにはいいことしかないじゃない」
「いやです……!」
なんでそう、そんな嫌な選択肢ばかり出してくるのだろう。
嫌がらせだからそれであってるのかもしれないけれど。
「ジルが何したんですか!?会ったことないんでしょ!?」
「だってロザリーが約束を破った理由はアイツだもの」
「……は?」
やたらロザリー様の名前が出てくるのは、単にキャロルの前に呪われて亡くなったからだと思っていた。例えで出されてるだけだと。
ちゃんとロザリー様として話をされていたのか。
「ロザリー様が、何を」
「約束をしてたんだ、魔女になるって」
「……魔女に?ロザリー様が?」
「魔女になる条件は魔力の高さがあるからね、その点でキミとロザリーは十分満たされてた」
「でもロザリー様は最初から呪われてた筈じゃあ……」
「馬鹿だよね、魔女になればそんなのどうにかなったのにね」
子供の頃に会った魔女とロザリー様は仲良くなって、魔女になる約束をした。
でも所詮幼い子供の約束、戯言、意味等特にないもの。
寂しがり屋の魔女は本気にして、ずっとずっと待っていた、大きくなって、一緒に過ごすことを。
でも大きくなった彼女は王様と子を儲ける。
国と我が子を愛する彼女が魔女になどなる筈がない。
そんな当たり前のこと、でも彼にはただの裏切りで、破られた約束だった。
幼稚な約束。
でも彼には必要な約束だったんだ、どうでもいいおれに当たる程、たいせつなもの。
「……そんなこと言われても」
不機嫌そうにぶちぶちと花をちぎって毟って荒らしていく。
止めて欲しい、ジルが綺麗に育てた花なのに。
そういいたいのが視線でわかったのか、こんなの幾らでもなおせるでしょ、と吐き捨てられる。
それはそうかもしれないけど、今捨てられた花だって生きてた訳で……飾るわけでもなく、無闇に嫌がらせのように捨てられるのは違う。
「それでどうするの、キミは僕の傍にいてくれるの?」
「……にんげんは嫌だって、」
「だからにんげんじゃなくなっちゃえばいいじゃない」
「え」
「魔女になればいいよ、そしたら僕に嘘も吐けないし、一緒にいれる約束も出来るよね」
新たな選択肢に背中が冷えて、声が出なくなる。
魔女になる?
キャロルを呪う魔女に?いやその魔女本人ではないけど、魔女ってそういうことが出来るひとってことでしょ?
王族を憎んで呪って、殺されるまで生き続ける。
この世界に残ることは出来るけど、でもそれじゃあジルと遥陽と一緒に居れない。
「ねえ、キミも嘘を吐くの?僕をひとりにする?さみしいなあ、やっぱりそうだよねえ、ここに残りたいから僕を利用するだけだもんね、さみしくさせないなんて嘘だよね」
「う、うそじゃ」
「じゃあどういうつもりだったの?適当に言えば僕が絆されるとでも思った?」
「……そんなんじゃ」
「じゃあ仲間になってよ、ずっとひとりはさみしい」
本気じゃないのはわかる。
おれを仲間にしたい訳ではないのも。ただおれを揺さぶっているだけ。そうわかるのに。
確かにひとりはさみしくて、だからおれは遥陽をひとりにしたくなくて、ここに来た時だって、遥陽と離されて、ひとりで不安だった。
彼にももしかしたらその気持ちはちょっと、少しくらいあるのかもしれない、そう思ったら、ふざけるな、冗談言うなとは言えなかった。
同情や憐憫と、下手なことを言うと逆鱗に触れるかもしれないという気持ちもある。
魔女なんてごめんだ、なりたくなんてない。長生き出来たって、誰かを憎んで、呪って、だいじなひとと離れてまで生きたくない。
……じゃあ彼は?だいじなひとはいた?誰を憎んでいるのか?
「魔女には、なれません……」
「……そう、じゃあやっぱり」
「魔女は……すみません、名前、知らないから……魔女、さん……は、魔女をやめたくないんですか」
「……やめられると思う?」
「魔女にすることが出来るなら、逆も出来るのかと……」
「知らないよそんなの」
「……すみません」
余計なことを言ったか、と口を噤む。
彼が、出来るならやってる、そう呟くまで。
「やめたいんですか、魔女」
「やめたいとは言ってないだろ」
「でも」
「煩いな、やっぱりキミを魔女にしてもなんも楽しくない」
「それはそうです、だってお互い何も知らないし……」
「別に知らなくてもいいよ、キミを魔女にした時のアイツの顔が見たいだけなんだから」
「アイツ……」
誰かなんてすぐわかる。
その理由はわからないけど。
「ジル……」
「そうだよ、アイツの絶望した顔が見たいな、母親と妹を呪う魔女に、だいじにしてるキミがなっちゃったらどんな顔をするかなあ、元の世界に帰すだけで十分だと思ったけど、魔女にするのも楽しそうだなって思っちゃった」
「そんな」
「ふふ、あはは、うん、最高かもしれない、やっぱり魔女にしよう、近くに居るのに会えなくて、憎みたくないのに憎悪の対象になっちゃうの、楽しそう」
「いやです!」
「帰れるか長生き出来るかの二択だよ、キミにはいいことしかないじゃない」
「いやです……!」
なんでそう、そんな嫌な選択肢ばかり出してくるのだろう。
嫌がらせだからそれであってるのかもしれないけれど。
「ジルが何したんですか!?会ったことないんでしょ!?」
「だってロザリーが約束を破った理由はアイツだもの」
「……は?」
やたらロザリー様の名前が出てくるのは、単にキャロルの前に呪われて亡くなったからだと思っていた。例えで出されてるだけだと。
ちゃんとロザリー様として話をされていたのか。
「ロザリー様が、何を」
「約束をしてたんだ、魔女になるって」
「……魔女に?ロザリー様が?」
「魔女になる条件は魔力の高さがあるからね、その点でキミとロザリーは十分満たされてた」
「でもロザリー様は最初から呪われてた筈じゃあ……」
「馬鹿だよね、魔女になればそんなのどうにかなったのにね」
子供の頃に会った魔女とロザリー様は仲良くなって、魔女になる約束をした。
でも所詮幼い子供の約束、戯言、意味等特にないもの。
寂しがり屋の魔女は本気にして、ずっとずっと待っていた、大きくなって、一緒に過ごすことを。
でも大きくなった彼女は王様と子を儲ける。
国と我が子を愛する彼女が魔女になどなる筈がない。
そんな当たり前のこと、でも彼にはただの裏切りで、破られた約束だった。
幼稚な約束。
でも彼には必要な約束だったんだ、どうでもいいおれに当たる程、たいせつなもの。
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