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8.カミサマという存在
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「目には見えずとも、
われはなんじがそこにありしことを知っている。
おおいなる優しさをもつ水よ、
集まりて、このものの体を清めたまえ」
ルーナの呪文で、
空中にサカキの体をすっぽり包むくらいの水の球があらわれた。
サカキはそこにとびこみ、体の泥を洗い流す。
「ぶはっ! スッキリした~!」
「わたしの魔法では、
水に聖なる力を与えるまでにはいかないけど……。
体の汚れはとれるからね!
さ、次は乾かしてあげる!」
こうして、風の魔法を使われ、サカキはすっかりピカピカになった。
「はー、やっぱり、ルーナの魔法はすげーな」
ため息をつき、同意を求めるようにサカキはカエデの方を向く。
しかし、カエデはまたも、
何か考えこんでいるようで、心ここにあらずという感じだ。
「おーい、カエデ?」
「あ、ご、ごめんなさい。何かおっしゃいまして?」
サカキがカエデの目の前でひらひらと手をふると、ようやく反応してくれた。
「なあ、さっきからどうしちゃったんだよ。
ゴーレムとの戦いで、どっかケガしたとかないよな?」
「大丈夫。そんなことないですわ」
心配そうなサカキに、カエデは申し訳なく思った。
「あら? そういえば、ルーナはどこに……?」
きょろきょろとカエデがあたりを見回すと、
サカキは頭をぐしゃぐしゃとかきながら、
「ルーナは、どっかに出口があるか探しに行ってくるって。
さっき言ったろ?」
とこたえを返してくれた。
「そ、そうでしたのね」
「……なあ、どうしたんだよ。なんか悩みでもあんのか?」
サカキの言葉に、カエデの心は揺れる。
ごくり、とつばをのみこみ、とうとうカエデは口を開いた。
「ねえ、サカキ。
サカキは、カミサマについて、どう思ってますの?」
「……うん?」
イマイチその言葉が理解できず、サカキは疑問の声を上げる。
「えっと、カミサマって、ウチの村のカミサマだよな」
「ええ」
固い顔をしているカエデ。
これは、真剣にこたえた方がよさそうだ。
「えーと、すごい、人……っていうか。
いや、そのまんま、すごい神様だと思うよ」
「……そうですわよね」
「カミサマのおかげで、ウチの村の野菜は評判がいい。
味もいいし、病気にもかからないし。
野菜に合った土の質とか、特別な肥料とか……、
全部、カミサマが教えてくれるし」
「ええ」
「あとは……。
行方不明になったクコを見つけたのもすごいよな」
一年ほど前。
当時五歳だった少女、クコが行方不明になった。
村の小さい子たちでやっていた、
かくれんぼ中にいなくなったのだ。
村中探したが、どこにもいない。
しかし、カミサマは一発でその居所を突き止めた。
クコは、地下の酒つぼの貯蔵庫にいる、と。
クコはカラだった大きな酒つぼに入りこみ、
丁寧にフタまでして、その中で眠ってしまっていたのだ。
カミサマの力で、村は蔓草であふれていた。
それは、カエデの使う魔法の応用だった。
蔓草をはわせて、目的の人物を探したのだ。
村中に蔓草をはわせたカミサマの力に、カエデは感心したものだった。
「ただ……」
「ただ?」
サカキは言いにくそうに、「あー」とか、「うー」とか言っている。
「言いたいけれど、言っていいものか」と、
迷っているサカキに、カエデは続きをうながした。
「サカキ、ここにはわたししかいませんわ。
遠慮なく、思ったことを言ってくださいまし」
サカキは意を決したように、
「絶対、他の人には言うなよ」と前置きして言った。
「おれ、捨て子だったじゃん」
「……ええ」
「この髪と目、不吉な色だってことでさ、
また捨てられそうになったこと、あるらしいじゃん」
「サカキ、それは……」
「いや、それはいいんだけどさ。
そう思われてももっともだし」
よくない! とカエデは思うが、
そうすると話が中断してしまうので、そのまま黙っていた。
「それで、捨てられそうになったところを、
カミサマがとめてくれたんだろ?」
「ええ! その通りですわ!」
そう、その時カミサマは、
「サカキは将来、必ず村の助けになる」と、村人たちをなだめたのだ。
やはり、カミサマは慈悲深い。そう、カエデが思った時……。
われはなんじがそこにありしことを知っている。
おおいなる優しさをもつ水よ、
集まりて、このものの体を清めたまえ」
ルーナの呪文で、
空中にサカキの体をすっぽり包むくらいの水の球があらわれた。
サカキはそこにとびこみ、体の泥を洗い流す。
「ぶはっ! スッキリした~!」
「わたしの魔法では、
水に聖なる力を与えるまでにはいかないけど……。
体の汚れはとれるからね!
さ、次は乾かしてあげる!」
こうして、風の魔法を使われ、サカキはすっかりピカピカになった。
「はー、やっぱり、ルーナの魔法はすげーな」
ため息をつき、同意を求めるようにサカキはカエデの方を向く。
しかし、カエデはまたも、
何か考えこんでいるようで、心ここにあらずという感じだ。
「おーい、カエデ?」
「あ、ご、ごめんなさい。何かおっしゃいまして?」
サカキがカエデの目の前でひらひらと手をふると、ようやく反応してくれた。
「なあ、さっきからどうしちゃったんだよ。
ゴーレムとの戦いで、どっかケガしたとかないよな?」
「大丈夫。そんなことないですわ」
心配そうなサカキに、カエデは申し訳なく思った。
「あら? そういえば、ルーナはどこに……?」
きょろきょろとカエデがあたりを見回すと、
サカキは頭をぐしゃぐしゃとかきながら、
「ルーナは、どっかに出口があるか探しに行ってくるって。
さっき言ったろ?」
とこたえを返してくれた。
「そ、そうでしたのね」
「……なあ、どうしたんだよ。なんか悩みでもあんのか?」
サカキの言葉に、カエデの心は揺れる。
ごくり、とつばをのみこみ、とうとうカエデは口を開いた。
「ねえ、サカキ。
サカキは、カミサマについて、どう思ってますの?」
「……うん?」
イマイチその言葉が理解できず、サカキは疑問の声を上げる。
「えっと、カミサマって、ウチの村のカミサマだよな」
「ええ」
固い顔をしているカエデ。
これは、真剣にこたえた方がよさそうだ。
「えーと、すごい、人……っていうか。
いや、そのまんま、すごい神様だと思うよ」
「……そうですわよね」
「カミサマのおかげで、ウチの村の野菜は評判がいい。
味もいいし、病気にもかからないし。
野菜に合った土の質とか、特別な肥料とか……、
全部、カミサマが教えてくれるし」
「ええ」
「あとは……。
行方不明になったクコを見つけたのもすごいよな」
一年ほど前。
当時五歳だった少女、クコが行方不明になった。
村の小さい子たちでやっていた、
かくれんぼ中にいなくなったのだ。
村中探したが、どこにもいない。
しかし、カミサマは一発でその居所を突き止めた。
クコは、地下の酒つぼの貯蔵庫にいる、と。
クコはカラだった大きな酒つぼに入りこみ、
丁寧にフタまでして、その中で眠ってしまっていたのだ。
カミサマの力で、村は蔓草であふれていた。
それは、カエデの使う魔法の応用だった。
蔓草をはわせて、目的の人物を探したのだ。
村中に蔓草をはわせたカミサマの力に、カエデは感心したものだった。
「ただ……」
「ただ?」
サカキは言いにくそうに、「あー」とか、「うー」とか言っている。
「言いたいけれど、言っていいものか」と、
迷っているサカキに、カエデは続きをうながした。
「サカキ、ここにはわたししかいませんわ。
遠慮なく、思ったことを言ってくださいまし」
サカキは意を決したように、
「絶対、他の人には言うなよ」と前置きして言った。
「おれ、捨て子だったじゃん」
「……ええ」
「この髪と目、不吉な色だってことでさ、
また捨てられそうになったこと、あるらしいじゃん」
「サカキ、それは……」
「いや、それはいいんだけどさ。
そう思われてももっともだし」
よくない! とカエデは思うが、
そうすると話が中断してしまうので、そのまま黙っていた。
「それで、捨てられそうになったところを、
カミサマがとめてくれたんだろ?」
「ええ! その通りですわ!」
そう、その時カミサマは、
「サカキは将来、必ず村の助けになる」と、村人たちをなだめたのだ。
やはり、カミサマは慈悲深い。そう、カエデが思った時……。
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