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9.究極の選択
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サカキとカエデは森の中を進んでいった。
ふたりとも、なんとなく無言になってしまう。
今まで三人で旅をしてきたから、
ルーナのいない分、ぽっかりと穴が空いたようだった。
「ルーナ、心強い味方だったな」
サカキがぽつりと言った。
「ええ。
そのルーナが、邪悪な気配がすごいと言っていた場所ですもの。
気を引き締めて行かなければ」
魔物がいつ出てくるか分からない。
ふたりは慎重に歩みを進めていく。
と、そこで森の中に、原っぱのように開けた場所が出現した。
カエデは地図を確認する。カミサマが印をつけてくれた場所だ。
その開けた場所の真ん中に、木があった。
その木は、枯れかけていて、ところどころヒビが入り、もろくもくずれそうだった。
サカキとカエデはその木に駆け寄る。
すると、木がまばゆく光りだした。
思わず目を閉じる。
徐々に光がおさまっていき、
目を開けると、そこには美しいひとりの女性がいた。
髪の色は鮮やかな緑。
ジュキ族だろうか?
だが、瞳は金色だ。
それに、体からはつねにまばゆい光が放たれている。
ふわりと地面から少し浮いているその姿は、
神々しいという表現がぴったりだった。
「こんなに森の奥深くに人間とはめずらしい。
わたしは、この木に宿る精霊です。
……もしや、あなたがたは熱病の薬を取りに来たのですか?」
女性は、澄んだ鈴の音のような声でふたりに話しかけた。
「あ、その……、はい!
おれたちの村が熱病にやられてて、
んで、カミサマが、ここに印をつけてくれて……」
「カミサマの命により、薬となる木の葉をいただきに参りました。
精霊様、その薬となる木はどこにあるのでしょうか?
どうかお教えください」
しどろもどろになっているサカキとは違い、
カエデはすらすらと言うと、
スカートのすそを両手でつまんで深々と礼をした。
「そうですか……。
しかし、あなたがたには、つらいことを伝えなければなりません」
精霊は顔をくもらせて、申し訳なさそうに言った。
「実は、その熱病の薬となるのは、
このわたしが宿っている木の葉なのです」
サカキとカエデは顔を見合わせる。
だって、この木は……。
「おそれながら、精霊様。
この木は、もう、その……、
枯れているように見受けられますが……」
カエデはおそるおそる問うた。
ふたりの心臓の鼓動が、少しずつ早くなっていく。
最悪の答えが頭をよぎった。
「……あなたの言う通りです。
この木はもう、わたしとともに枯れゆくさだめにあります。
見ての通り、木の葉は一枚もないのです」
どくんと心臓が大きな音を立てたのが分かった。
その答えに、サカキもカエデも思わず絶句した。
木の葉が、ない?
それも、一枚も?
「せ、精霊様。
それ、マジで言ってるんすか?
その、他に同じ種類の木とか、ないのかよ?」
精霊に向かって、サカキは詰め寄った。
「残念ながら、この木はわたしが宿った特別な木。
この木以外から、薬がとれることはありません」
精霊はきっぱりと断言した。
その言葉を聞いて、カエデはへたりこむ。
「そんな……。お母様が……。
それに、村のみなさんも……」
薬を持っていかなければ、待っているのは、最悪の現実。
「死」のみ。
サカキも、呆然と立ちつくすしかなかった。
カエデの母のことはもちろん、
熱病にかかった様々な人の顔が、浮かんでは消えていく。
ふたりとも、なんとなく無言になってしまう。
今まで三人で旅をしてきたから、
ルーナのいない分、ぽっかりと穴が空いたようだった。
「ルーナ、心強い味方だったな」
サカキがぽつりと言った。
「ええ。
そのルーナが、邪悪な気配がすごいと言っていた場所ですもの。
気を引き締めて行かなければ」
魔物がいつ出てくるか分からない。
ふたりは慎重に歩みを進めていく。
と、そこで森の中に、原っぱのように開けた場所が出現した。
カエデは地図を確認する。カミサマが印をつけてくれた場所だ。
その開けた場所の真ん中に、木があった。
その木は、枯れかけていて、ところどころヒビが入り、もろくもくずれそうだった。
サカキとカエデはその木に駆け寄る。
すると、木がまばゆく光りだした。
思わず目を閉じる。
徐々に光がおさまっていき、
目を開けると、そこには美しいひとりの女性がいた。
髪の色は鮮やかな緑。
ジュキ族だろうか?
だが、瞳は金色だ。
それに、体からはつねにまばゆい光が放たれている。
ふわりと地面から少し浮いているその姿は、
神々しいという表現がぴったりだった。
「こんなに森の奥深くに人間とはめずらしい。
わたしは、この木に宿る精霊です。
……もしや、あなたがたは熱病の薬を取りに来たのですか?」
女性は、澄んだ鈴の音のような声でふたりに話しかけた。
「あ、その……、はい!
おれたちの村が熱病にやられてて、
んで、カミサマが、ここに印をつけてくれて……」
「カミサマの命により、薬となる木の葉をいただきに参りました。
精霊様、その薬となる木はどこにあるのでしょうか?
どうかお教えください」
しどろもどろになっているサカキとは違い、
カエデはすらすらと言うと、
スカートのすそを両手でつまんで深々と礼をした。
「そうですか……。
しかし、あなたがたには、つらいことを伝えなければなりません」
精霊は顔をくもらせて、申し訳なさそうに言った。
「実は、その熱病の薬となるのは、
このわたしが宿っている木の葉なのです」
サカキとカエデは顔を見合わせる。
だって、この木は……。
「おそれながら、精霊様。
この木は、もう、その……、
枯れているように見受けられますが……」
カエデはおそるおそる問うた。
ふたりの心臓の鼓動が、少しずつ早くなっていく。
最悪の答えが頭をよぎった。
「……あなたの言う通りです。
この木はもう、わたしとともに枯れゆくさだめにあります。
見ての通り、木の葉は一枚もないのです」
どくんと心臓が大きな音を立てたのが分かった。
その答えに、サカキもカエデも思わず絶句した。
木の葉が、ない?
それも、一枚も?
「せ、精霊様。
それ、マジで言ってるんすか?
その、他に同じ種類の木とか、ないのかよ?」
精霊に向かって、サカキは詰め寄った。
「残念ながら、この木はわたしが宿った特別な木。
この木以外から、薬がとれることはありません」
精霊はきっぱりと断言した。
その言葉を聞いて、カエデはへたりこむ。
「そんな……。お母様が……。
それに、村のみなさんも……」
薬を持っていかなければ、待っているのは、最悪の現実。
「死」のみ。
サカキも、呆然と立ちつくすしかなかった。
カエデの母のことはもちろん、
熱病にかかった様々な人の顔が、浮かんでは消えていく。
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