28 / 31
11.真名と思い
11-2
しおりを挟む
それが予想外の結果になろうと、だれが思えよう?
「なぜだ……、なぜ、
オマエはあたしの言うことを聞かないんだ!」
そっと目をあけたサカキの体を取り巻いていたのは、
小さな光だった。
ちらちらと光るそれはすぐに消えたが、
サカキの頭の中で、小さな声がした。
「愛してるわ……。
だから、アナタだけでも、生き延びて。
愛しいかわいい、わたしのぼうや」
知らない女性の声だ。
でも、どこか懐かしくて、切なくて……。愛しい。
「母さん」
自然と、その単語が口から出た。
そうだ、これは、サカキの母の声だ。
そして、それが意味することは……。
「くそっ、まさかコイツ、真名が違うのか!」
そう、サカキは生誕の祝福を、
捨てられる前に受けていたということ。
それに気づいた瞬間、サカキの心は激しく震えた。
ああ、おれは、ただ捨てられていたんじゃない……。
生誕の祝福を受けていた。
愛されていたんだ。
パキン、と、音をたてて
サカキの額にかけられていた魔法がくだけちった。
「ええい! 寄るな!
カミサマをあやつって、村人を殺すぞ!」
アルラウネの言葉に、三人はひるむ。
そうだ、
コイツの分身であるカミサマはまだ村にいるのだ。
サカキとカエデは顔を見合わすと、
かまえていた剣と杖をゆっくりとおろした。
「卑怯よ!」
「ふん、うるさい、羽虫の分際で」
アルラウネはルーナを蔓でとらえようとするも、
ルーナはひらひらと空へとむかって逃げていく。
「くそ、腹が立つ……!
もう、村人は皆殺しだ!
あははは! ざまぁみろ!」
「やめろ!」
「やめてくださいまし!」
サカキとカエデの願いを打ち砕くように、
アルラウネは嫌な笑みを浮かべた。
が、その笑みは恐怖にゆがめられる。
「う……、くそ、まさか……」
どうも、様子がおかしい。
パアン! と遠くで火薬の音がした。
そこで、空にいたルーナが叫ぶ。
「サカキ、カエデ!
村の方、緑の煙が! 火事⁉」
緑の煙……!
『おれがいない間、村のこと頼むぜ、師匠!』
『ああ、まかせときな。
何かあったら、色付きのろしをあげるから、空を見な』
のろし。
緑の煙の意味は……、「安心せよ、安全確保」!
「うおおお!」
サカキは剣を再びかまえ、叫んだ。
師匠が、カミサマを倒したんだ!
そんな確信があった。
「覚悟しろ、アルラウネ!」
心のたかぶりを感じながら、
不思議と、サカキはこれまでの旅を思い返していた。
そして、大切な仲間のことも。
カエデ。
本当に、頼りになって、すげーやつだ。
恐怖に身がすくんでも、それに立ち向かう強さを持ってる。
ルーナ。
邪気が強いのに、ここまでやってきてくれた。
たくさんの呪文をつかえて、
明るくてムードメーカーな心優しき妖精。
「来るな、来るなあああ!」
アルラウネはがむしゃらに蔓草をのばしてきた。
「炎よ、盾となり、悪しき蔓草から彼を守りたまえ!」
カエデの魔法で、
サカキにむかってきた蔓草たちが焼き切れる。
「風よ、彼の後押しを!
かのものに吹き、空に舞う力を与えたまえ!」
ルーナの魔法は、サカキの体を羽のように軽くしてくれた。
サカキは剣をふりかぶると、
とびあがり、ぶわりと宙に舞った。
「これで、終わりだあああ!」
サカキは高らかにほえた。
そのまま剣を振り下ろす。
ざん、と一撃。
アルラウネの体は真っ二つになった。
「あああぁぁぁ……!」
悲鳴とともに、
アルラウネの体は黒いもやになって、
ちりぢりになり、消えていった。
「なぜだ……、なぜ、
オマエはあたしの言うことを聞かないんだ!」
そっと目をあけたサカキの体を取り巻いていたのは、
小さな光だった。
ちらちらと光るそれはすぐに消えたが、
サカキの頭の中で、小さな声がした。
「愛してるわ……。
だから、アナタだけでも、生き延びて。
愛しいかわいい、わたしのぼうや」
知らない女性の声だ。
でも、どこか懐かしくて、切なくて……。愛しい。
「母さん」
自然と、その単語が口から出た。
そうだ、これは、サカキの母の声だ。
そして、それが意味することは……。
「くそっ、まさかコイツ、真名が違うのか!」
そう、サカキは生誕の祝福を、
捨てられる前に受けていたということ。
それに気づいた瞬間、サカキの心は激しく震えた。
ああ、おれは、ただ捨てられていたんじゃない……。
生誕の祝福を受けていた。
愛されていたんだ。
パキン、と、音をたてて
サカキの額にかけられていた魔法がくだけちった。
「ええい! 寄るな!
カミサマをあやつって、村人を殺すぞ!」
アルラウネの言葉に、三人はひるむ。
そうだ、
コイツの分身であるカミサマはまだ村にいるのだ。
サカキとカエデは顔を見合わすと、
かまえていた剣と杖をゆっくりとおろした。
「卑怯よ!」
「ふん、うるさい、羽虫の分際で」
アルラウネはルーナを蔓でとらえようとするも、
ルーナはひらひらと空へとむかって逃げていく。
「くそ、腹が立つ……!
もう、村人は皆殺しだ!
あははは! ざまぁみろ!」
「やめろ!」
「やめてくださいまし!」
サカキとカエデの願いを打ち砕くように、
アルラウネは嫌な笑みを浮かべた。
が、その笑みは恐怖にゆがめられる。
「う……、くそ、まさか……」
どうも、様子がおかしい。
パアン! と遠くで火薬の音がした。
そこで、空にいたルーナが叫ぶ。
「サカキ、カエデ!
村の方、緑の煙が! 火事⁉」
緑の煙……!
『おれがいない間、村のこと頼むぜ、師匠!』
『ああ、まかせときな。
何かあったら、色付きのろしをあげるから、空を見な』
のろし。
緑の煙の意味は……、「安心せよ、安全確保」!
「うおおお!」
サカキは剣を再びかまえ、叫んだ。
師匠が、カミサマを倒したんだ!
そんな確信があった。
「覚悟しろ、アルラウネ!」
心のたかぶりを感じながら、
不思議と、サカキはこれまでの旅を思い返していた。
そして、大切な仲間のことも。
カエデ。
本当に、頼りになって、すげーやつだ。
恐怖に身がすくんでも、それに立ち向かう強さを持ってる。
ルーナ。
邪気が強いのに、ここまでやってきてくれた。
たくさんの呪文をつかえて、
明るくてムードメーカーな心優しき妖精。
「来るな、来るなあああ!」
アルラウネはがむしゃらに蔓草をのばしてきた。
「炎よ、盾となり、悪しき蔓草から彼を守りたまえ!」
カエデの魔法で、
サカキにむかってきた蔓草たちが焼き切れる。
「風よ、彼の後押しを!
かのものに吹き、空に舞う力を与えたまえ!」
ルーナの魔法は、サカキの体を羽のように軽くしてくれた。
サカキは剣をふりかぶると、
とびあがり、ぶわりと宙に舞った。
「これで、終わりだあああ!」
サカキは高らかにほえた。
そのまま剣を振り下ろす。
ざん、と一撃。
アルラウネの体は真っ二つになった。
「あああぁぁぁ……!」
悲鳴とともに、
アルラウネの体は黒いもやになって、
ちりぢりになり、消えていった。
0
あなたにおすすめの小説
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
オバケの謎解きスタンプラリー
綾森れん
児童書・童話
第3回きずな児童書大賞 奨励賞をいただきました! ありがとうございます!
――七不思議を順番にめぐると、最後の不思議「大階段踊り場の鏡」に知らない自分の姿が映るんだって。
小学六年生の結菜(ユイナ)が通う三日月(みかづき)小学校では、そんな噂がささやかれていた。
結菜は難関中学に合格するため、塾の夏期講習に通って勉強に励んでいる。
だが一方で、自分の将来にひそかな期待と不安をいだいてもいた。
知らない自分を知りたい結菜は、家族が留守にする夏休みのある夜、幼なじみの夏希(ナツキ)とともに七不思議めぐりを決意する。
苦労して夜の学校に忍び込んだ二人だが、出会うのは個性豊かなオバケたちばかり。
いまいち不真面目な二宮金次郎のブロンズ像から、二人はスタンプラリーの台紙を渡され、ルールを説明される。
「七不思議の謎を解けばスタンプがもらえる。順番に六つスタンプを集めて大階段の鏡のところへ持って行くと、君の知らない君自身が映し出されるんだ」
結菜と夏希はオバケたちの謎を解いて、スタンプを集められるのか?
そして大階段の鏡は二人に何を教えてくれるのか?
思春期に足を踏み入れたばかりの少女が、心の奥底に秘めた想いに気付いてゆく物語です。
生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!
mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの?
ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。
力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる!
ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。
読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。
誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。
流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。
現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇
此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
まぼろしのミッドナイトスクール
木野もくば
児童書・童話
深夜0時ちょうどに突然あらわれる不思議な学校。そこには、不思議な先生と生徒たちがいました。飼い猫との最後に後悔がある青年……。深い森の中で道に迷う少女……。人間に恋をした水の神さま……。それぞれの道に迷い、そして誰かと誰かの想いがつながったとき、暗闇の空に光る星くずの方から学校のチャイムが鳴り響いてくるのでした。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる